Special

【Live Hackasong 参加企業インタビュー】NTT西日本



top

今年で2回目となるCip協議会×Billboardによるハッカソン【Live Hackasong】。技術提供として参加する企業の中から、NTT西日本にインタビュー。 「ICTで社会問題を解決する」をテーマに、さまざまな分野の課題に挑戦するアライアンスパートナーとして、日々挑戦を続けるNTT西日本が提供する技術、そしてハッカソンに期待することとは。
NTT西日本のビジネスデザイン部永屋義行氏、宮本あゆみ氏、そしてストリーミングサービスを提供している NTTスマートコネクト メディアビジネス部の元木健太氏に、提供内容と、ハッカソンに期待することについてインタビューを行った。

靴の擦れる音、歌手の方の息遣いまでも再現することが可能

−−今回のハッカソンでは、“MPEG4-ALS技術”を活用したハイレゾ音源のプラットフォームをご提供いただきます。これは、どんなサービスですか。

宮本あゆみNTT西日本 ビジネスデザイン部ビジネスクリエーション部門):これはNTT研究所が開発した技術ですが、通常、音源や映像を配信する際には元のデータを一度圧縮し、配信した先で再度復元するということを行っています。その新たな圧縮方法が“MPEG4-ALS技術”です。

永屋義行(NTT西日本 ビジネスデザイン部ビジネスクリエーション部門担当課長):図をご覧いただくと分かりやすいかもしれませんね。まず図1が通常の音楽配信をした場合の周波数です。配信前の波形と、配信後の波形が全く異なることがお分かりいただけますでしょうか。一方、図2の“MPEG4-ALS技術”では配信前と配信後の波形が、ほぼ同じですよね。

宮本:今までの圧縮方法では、高音質なハイレゾ音源を圧縮すると特に高い周波数についてはカットされてしまっていました。こうやって会話しているような音声であれば、あまり違いはないのですが、ライブ音源などの場合、音の奥行や深みが失われてしまっていたのです。ですが、この技術を使えば高い周波数も含めて本来の音のまま圧縮、復元を行うことができますので、より高い臨場感を味わえるようになりました。例えば、スポーツであれば靴の擦れる音、ライブであれば歌手の方の息遣いまでも再現することが可能です。

永屋:今まで、高音質な音源もダウンロードであれば再現できていたのですが、ストリーミングで再現する技術はありませんでした。それを可能にしたのが、今回のALS技術で世界初の技術です。

元木健太(NTTスマートコネクト メディアビジネス部):今までのFLAC(フリーオーディオロスレスコーデック)は、高品質な音声を圧縮・復元することに特化した技術でした。MPEGが、ムービング、ピクチャー、エキスパート、グループの略であることから、お分かりの通り『MPEG4-ALS技術』は、動画配信にも活用する事ができます。MPEG-DASHという標準化された規格でH265という最も美しい映像を届けられる技術を使い、さらにMPEG4-ALSという高臨場感のある音を届けられる仕組みですね。

−−開発されたきっかけは何だったのでしょうか。

元木:NTTグループが開発した超高臨場感につながる『Kirari!』という伝送技術というサービスがあります。これは、360度の立体映像を見せる技術なのですが、やはり高い臨場感を感じるためには視覚だけではなく、音質の良さが非常に重要です。現4Kや8Kなど、映像が高品質化し、またどんな角度から見ても立体映像になるような技術が進んできました。音声も、立体音響など技術開発は進んでいるので、今まで届けることができなかった音を届けるために、また離れたA地点とB地点を高臨場感ライブで繋ぐソリューションを作るため、今回の開発に至りました。

−−開発に、どのくらいの期間を要されたのでしょうか。

元木:実は、この技術が標準規格化されたのは2005~2006年頃です。NTT研究所、ベルリン工科大学、RealNetworks社が開発を行いました。10年前に開発したまま、なぜ今に至るのかというと、開発したタイミングが早すぎたのだと思います。素晴らしい音質でも、映像を配信する技術が追い付いていませんでした。この10年間で映像配信技術は飛躍的に進み、音質の向上に注目が集まり始めています。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. 今回のハッカソンで様々な知見が集まれば
  3. Next >

関連キーワード

TAG