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【Live Hackasong 参加企業インタビュー】ワン・トゥー・テン・ホールディングス
今年で2回目となるCip協議会×Billboardによるハッカソン【Live Hackasong】。技術提供として参加する企業の中から、1→10(ワン・トゥー・テン)にインタビュー。
1997年に京都で創業し、広告・コミュニケーション、プロダクトのプロトタイピング、ロボット言語開発、空間プロデュース・エンタテインメント事業コンサルティングまで総合的にプロデュースし、カンヌライオンをはじめ国内外のアワードを多数獲得している同社が、今回提供する技術とは。そして、ハッカソンに期待することとは。ワン・トゥー・テン・ホールディングス代表取締役社長の澤邊芳明氏と、ワン・トゥー・テン・イマジン インスタレーションデベロッパーの横田達也氏に話を聞いた。
一度のスキャンで関節などの情報も読み取ることができる
−−今回のハッカソンでは「ANATOMe(tm)(アナトミー)」という技術をご提供いただきます。どのような技術なのでしょうか。
横田達也(ワン・トゥー・テン・イマジン インスタレーションデベロッパー):関節や筋肉に相当する情報も読み取ることができる3Dスキャンおよびモーションデータを適用する総合システムです。頭や首、胸、両肩の骨などの間接の情報を約27ヶ所スキャンし、コンテンツに取り込むことで回転させたり、動かしたりすることができるというものです。 約2年前から開発を始め、バージョン1を経て、現在は高解像度版のバージョン2へと進化しています。
−−他の3Dスキャンとの違いはなんでしょうか?
横田:今までは固定したポーズをスキャンすることしかできませんでしたので、動かすためにはスキャンしたデータに関節の情報を追加する必要がありました。ですが、このシステムでは一度のスキャンで関節などの情報も読み取ることができるので、約4分という短い時間でデータを抽出することが可能です。
−−本来であれば、どのくらい時間がかかるものなのでしょうか?
横田:そうですね…。手動で人力で追加するのですが、人にもよりますが2~3時間くらいかかると思います。
−−具体的には、どのようにスキャンするのでしょうか。
横田:Aポーズと呼んでいる少し腕を広げて立つ特定のポーズをしてもらい、撮影をします。そのデータから骨の情報を自動的に推測し、数分後に3Dモデリングデータを出力させることができます。
−−このシステムの開発には、どれくらいの時間がかかりましたか。
横田:はじめは3ヶ月で作り上げる予定だったのですが、難航し結果的には1年半ほどかかりました。
澤邊芳明(ワン・トゥー・テン・ホールディングス代表取締役社長):当初は4台のカメラを使っていたんですが、360度スキャンするにはカメラからの死角が多く台数が足りないことが判明し、開発終盤になってから急遽10台に増やしました。その結果、そこから先の苦労は倍以上に増えましたけどね(笑)。複数の3Dカメラはそれぞれが自分自身を原点とした3D空間を持っています。それら別々の3D空間を1つの共通の箇所を原点とした3D空間に統一してあげることをキャリブレーションと呼ぶのですが、それぞれの空間のズレを統一し、共通の3D空間であることを認識させることに苦労しました。
このバージョン1を経て、VRC,Inc.のスキャンシステムと連携し、その後、カメラ及びコンピュータの台数を減らしたバージョン2に今は進化しています。 バージョン1では一瞬で撮影できるという利点があったのですがその分カメラの台数が増えるなどシステム的な課題が多くありました。そのためバージョン2ではカメラを人体の周りに動的に回転させることによってスキャンしています。撮影自体は数秒かかる様になってしまいましたが、精度は大幅に向上しています。
参加者の皆様にはバージョン1とバージョン2の双方を体験してもらう予定です。
−−今回ハッカソンに参加すると、どのようにそのシステムを使うことができるのでしょうか。
澤邊:3メートル×3メートルの空間が必要なので、カメラをお貸しするのではなく、当社にお越しいただいて出力データをお渡ししたいと思います。
−-動物もスキャンすることはできるのですか。
横田:今は、人間のみですね。人らしい形をしているものであればスキャンすることが可能です。
−−このデータを使った作品というのは、今までにどのようなものがありましたか。
澤邊:今年の5月に開催された【A 5th of BitSummit】では、「ANATOMe」を使って、自分が格闘ゲームのキャラクターになれる「ファイティングアナトミー」というゲームを出展しました。
横田:対決する2名をスキャンし、コントローラーを使って自分自身を操作することができるというゲームです。加えて、QRコードも自動で発行されるのでスマホで読み取る事でブラウザ上に表示されますので、そのまま持ち帰ってもらえるようなサービスにもなっていました。
澤邊:このシステムは、手軽に短い時間で3Dスキャンデータを生成できるのが特徴なので、イベントでの使用に適していると思います。今後は、プリクラのように東京ドームやゲームセンターに常設していきたいとも思っています。
Fighting ANATOMe from 1→10 on Vimeo.
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開催情報
【Live Hackasong】
アイディアソン
日程:2017年11月11日(土) 9:30開場 10:00~12:00
会場:ビルボードライブ東京
ハッカソン
日程:2017年12月10日(日) 10:00~18:00
会場:慶應義塾大学三田キャンパス内g-sec
※各チームの中間発表も行います。
最終発表&表彰式
日時:2018年1月下旬予定
会場:ビルボードライブ東京
参加受付(締切:2017/10/15): http://www.billboard-japan.com/hack2017
関連リンク
取材:高嶋直子
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