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大原櫻子『マイ フェイバリット ジュエル』インタビュー
「心に触れる楽曲」を追い求めて歌い続けている
秦 基博プロデュースの新作『マイ フェイバリット ジュエル』についてはもちろん、アーティストとして女優として女性として彼女がどんな成長を遂げてきたのか。また、衝撃的な歌声で度肝を抜いた日本武道館2daysや舞台【リトル・ヴォイス】について等も語ってもらった。
最初から本質的な部分を見てくれていた……ファンのみんなは本当に友達みたい
--デビュー時から「大原櫻子はポップスターになる」と書かせて頂いていましたが、実際に日本武道館のステージに立ったり、舞台で主演も務めたりとスターダムを駆け上がっています。支持してくれているファンが日本中にいるこの状況には、どんな感慨を持たれていますか?
大原櫻子:ライブをやる度にファンの皆さんもそうなんですけど、スタッフさんの多さにも毎回ビックリしていて。でもだからと言って毎回ビクビクしている訳ではなくて、例えば日本武道館は想像していたよりお客さんとの距離が近く感じられたので、すごく安心してライブが出来ていたんです。--とは言え、有名になるにつれて求められるものも大きくなりますし、自分に対するいろんな意見を耳や目にするようになりますよね。そういった部分で怖くなったり挫けそうになったりすることはなかったんですか?
大原櫻子:怖くなったり……うーん、あんまりなかったかも。エゴサーチとかするときはするんですけど、それは自分が出掛けたときに「変なところ見られてなかったかな?」と思ってするぐらいで(笑)。だからあんまり自分への意見とかに良い意味で気付いてないのかもしれない。ただ、自分の価値観を毎日毎日変えていかなきゃと思っていて、ひとつの舞台に挑む前と後では確実に変わっているんですけど、そこは「もっとどんどん変わっていかなきゃな」と焦ったりはします。--そんな大原櫻子を支えているファンについてもお話を伺いたいのですが、とてもハートフルで熱いファンが多いですよね。大原櫻子を生活の一部として見ている感じもするんですが、自分にとってどんな存在になっていますか?
大原櫻子:すごく私の本質を見てくれる人が多くて。やっぱりどうしてもデビュー当時って「自分をよく見せよう」と思ったり、それで緊張している自分もいたりしたんですけど、ライブを何回か重ねていく中で、どんどん自分の素を出していくようになったんですよね。そうなると大原櫻子のイメージが最初と変わってくるじゃないですか。それで「プイッとされたらどうしよう?」と思ったりしていたんですけど、ファンのみんなは「いや、元々そういう子だと思ってた」みたいな。最初からすごく本質的な部分を見てくれていたんだなって気付いたんですよね。そういう意味では、ファンのみんなは本当に友達みたいな感覚ですかね。--大原さん的には「良く見せなきゃ」と思って隠しているところもあったんでしょうけど、ファンからすると「隠れていなかった」というか、素の大原櫻子が漏れちゃっていた説もありますよね(笑)。
大原櫻子:あ、そうかもしれない(笑)! でも普通は「こういうことをしている大原櫻子が好き」ってなるじゃないですか。だけど、私のファンの方は私が何をしても「好き」って言ってくれるんです。好きだからこそ本音もズバッと言ってくれますし、それはすごく有難いと思いますね。--「この役の大原櫻子が好き」とか「この曲を歌ってる大原櫻子が好き」とか限定した感じではなくて、人間として大原櫻子を……
大原櫻子:見てくれている気がする!--極論を言うと、何かダメなところを見せたり、失敗したとしても……
大原櫻子:「それも人間だから」みたいな(笑)。--そこも含めて好きになっている感じはしますよね。これだけ忙しく活動していれば疲れたり悩んだりすることもあると思うんですが、ファンの力によって立ち直ったりすることもある?
大原櫻子:ありますね! 例えばライブ前とかって100%良い体調、ベストなコンディションのときなんて滅多にないんですよ。ほぼないに等しくて、何かしらに躓いたりしてることが多いけど、でもステージに出て「ウワァ~~!」って叫んでくれるあの歓声によって心が晴れる感覚は毎回ある。だから「やっぱりライブってお客さんが作っているんだな」と思いますよ。すごく救われています。あと、ファンのみんなと直接話せるイベントがあったりすると、私は同世代のファンの方が多いので、受験している子がいたり、就活している子がいたりするんですけど、1年前に会ったときは「これから受験なんです……」と言っていた子が「受かりました!」って報告してくれたりするんですよね。そういうのもすごく嬉しいです。--一緒に歩んでいる感があるんですかね。
大原櫻子:本当にそうなんですよ!--デビュー以降様々な挑戦や経験をしてきたと思うんですが、2017年夏現在の大原櫻子はどんな表現者になっていると感じますか?
大原櫻子(from MUSH&Co.) - 頑張ったっていいんじゃない 【Music Video(Short ver. )】
--「日常も変わってきている」具体的に言うとどんな風に変わってきているんですか?
大原櫻子:今まで出逢ってなかった友達との交流が増えて、そこから得られるエッセンスとかもたくさんあるので、それによってすごく成長させてもらっているところもあるんです。あと、舞台で出会う人たちからの影響も大きいですね。稽古の期間も入れると何ヶ月も一緒にいるので、それで仲良くなる人も多いですし、刺激を受けることもたくさんあります。--そうした舞台経験も経て女優としてはどう成長してきたと思いますか?
大原櫻子:まだ絶賛勉強中でもあるんですけど、この約3年のあいだで初舞台をやらせて頂いて、舞台での練る時間みたいなものがすごく私を成長させてくれている感じがして、ドラマなどの映像で演じるときも舞台での経験が活かされてるなとすごく思います。- 初主演舞台【リトル・ヴォイス】の洗礼……エディット・ピアフには本当に感謝
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リリース情報
マイ フェイバリット ジュエル
- 2017/08/09
- 通常盤[VICL-37312(CD)]
- 定価:1,296円(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 初回限定盤Bの詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
初主演舞台【リトル・ヴォイス】の洗礼……エディット・ピアフには本当に感謝
--そんな今の大原さんから見て、デビュー作でもある映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でヒロイン理子役を演じていた自分はどんな風に映ったりします?
MUSH&Co. - 明日も(MUSIC VIDEO) <映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』>
--あの理子の歌声が個人的には大原櫻子から最初に受けた衝撃だったんですけど、先日上演された【リトル・ヴォイス】の歌声からは更なる衝撃を受けました。まず初主演舞台が決まったときはどんな気持ちになりました?
大原櫻子:【リトル・ヴォイス】のお話を頂いてから映画版を見させて頂いたんですけど、その時点で「途中で体調を崩して出来なくなるかもしれない」という恐怖があって、結構ビクビクしていましたね。すごくハードルの高い挑戦になるなと思いました。--エディット・ピアフやジュディ・ガーランド、マリリン・モンローなど伝説のスターたちの歌声を体現していく訳じゃないですか。誰もが通れる道じゃないですし、表現者として強烈な経験だったんじゃないですか?
大原櫻子 圧巻の初主演舞台 『Little Voice(リトル・ヴォイス)』 ゲネプロ
--あの中の誰かひとりのスターを演じるだけでも凄まじい精神力を使う訳じゃないですか。
大原櫻子:そうなんですよね。でもひとりひとり勉強させて頂いて、その方々の歌を舞台で表現させて頂いたことは本当に宝ですし、共演者の方もベテランの俳優さんばかりだったので、いろんな話を聞かせてもらって、本当に良い経験をさせてもらいました。--あのスターの歌たちはオリジナルの音源を流している訳じゃなくて、大原さんの生歌ですべて聴かせている訳ですよね?
大原櫻子:あれはぜんぶマネして歌っています。それでいちばん最後だけマネじゃなく自分の声で歌っているんですけど……--いやぁー、それは凄い。オリジナルの音源を流しているのかと思うぐらい、完成度が半端なかったですよ。今まで習ってきた歌唱法と全然違う訳じゃないですか。
大原櫻子:全然違いましたね。だから喉が痛くて痛くてしょうがなくて「もうこんなに痛めつけることはないだろうな」と思うぐらい痛めつけましたけど、最終的に声帯がそれに慣れていくんですよ。だから最後までやりきる事が出来ました。--みんな伝説のスターですけど、その中でも体現するのにいちばん苦労したスターは?
大原櫻子:ビリー・ホリデイ。最初いちばん「どうしよう?」と思っていたんですけど、最終的にはいちばん歌いやすくなりました。「ラクに声を出すことでビリー・ホリデイの歌に近づけるんだ」と気付いたんですよね。--世の中にいろんなモノマネをしてきた人がいますけど、あの錚々たる面々のモノマネをマスターした人って他にいないですよね?
大原櫻子:ちゃんとマスターできているかは分かんないんですけど、精神的な部分ではいないかもしれないですね(笑)。あと、ピアフは歌えて良かったなと心底思いました。もう人生のすべてを失いながらも歌を歌ってきた方なんですが、そんな方の歌を体現する機会なんてなかなかないし、ピアフには本当に感謝しながら毎回歌っていました。--ピアフの人生を知ってどんなことを感じました?
大原櫻子:うーん……人間ってすべてを失うと気持ち良くなるんだというか(笑)、本当に何もないし、逆に肩の荷が下りるというか、逆に振り切れるんだなと思いましたね。ピアフもそうですし、他の歌わせて頂いたスターの方々の曲もそうなんですけど、どれも強烈だし、奥深いので、あの舞台を経験してからライブとかで日本語の歌を歌うことに違和感を覚えることも一瞬あったぐらいなんですよ。それぐらい凄い歌をあの舞台で歌わせて頂いたので、自分も頑張らなきゃなと思いました。--そんな歌手としても女優としても大きな経験をした大原櫻子ですが、去年の日本武道館2daysも衝撃的でした。自分の中ではどんな2日間になったと思いますか?
大原櫻子 - CONCERT TOUR ~CARVIVAL~ DVD/Blu-ray (Special Live Trailer)
--最終的にどうしたんですか?
大原櫻子:最終的に「音が出ない歌」という曲を即興で作りました(笑)。「音が出ないよ~♪」って。そしたら音が出たんですけど、本当に寿命が縮まりました!--僕は2日目の公演(http://bit.ly/2uhjto2)を取材させて頂いたのですが、本編最後に披露された「Scope」に最も衝撃を受けました。あの日あの曲で放たれた歌声は、想像を上回る驚異的な爆発力を誇っていたと思いますし、泣かされました。
大原櫻子:本当ですか? 嬉しい! あの曲は「お客さんひとりひとりに訴えかけるように歌おう」と意識するより、逆に具体的な人物を思い浮かべて歌うほうがメッセージとして響くと思っていて、実際にいろいろあった友達の状況、特定の人のことを頭に浮かべながら「元気づけたい」とか「あの人に届け」と思って歌ったんです。だからこそ力強く歌うことが出来たのかなと思いますね。悩んでたり苦しい状況にいるときに聴いたら元気が出る曲だと思うので、そういう風にもがいている友達へ「元気が出ますように!」と心を込めて歌いました。それで結果的にみんなのことも包み込めたらいいなって。--自分的には大原櫻子の歌をどう自己評価されていますか?
大原櫻子:まだ玉子の殻の中にいる感じです。--あれだけ歌えて?
大原櫻子:いやいやいや、まだまだです。早く玉子の殻から踏み出さなきゃなと思って、その準備をしている段階だと思います。アルバムだといろんな表情が見せられるんですけど、表題曲としてズカーン!と世に響く曲は「もっと大人にならないと表現できないのかな」と思ったり、そういう意味ではまだまだ全然……いや「まだまだ全然」と言えるレベルまでも行ってないと思っています。リリース情報
マイ フェイバリット ジュエル
- 2017/08/09
- 通常盤[VICL-37312(CD)]
- 定価:1,296円(tax in.)
- 詳細・購入はこちらから>>
- 初回限定盤Bの詳細・購入はこちらから>>
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
大好きな秦 基博とのレコーディング「想像以上にスパルタでした(笑)」
--では、大原櫻子が孵化したらどうなっちゃうんですか?
大原櫻子:20代中盤までには孵化したいと思っているんですけど、それこそ【リトル・ヴォイス】を経ていろいろ見えてきたところはあるんです。「こうあるべきだな」「こうならなきゃいけないな」って。--それは、歌っていく人の生き様とか信念とか意思的な部分で「そこまでのものを私は持っているのか?」というところの話だったりするんですかね?
大原櫻子:そうですね。具体的な歌とか目に見えるものとかじゃなくて、本当に内面的な部分の話ですね。--【リトル・ヴォイス】で体現してきたスターたちはそれぞれに「歌い続ける理由」があったと思うんですけど、大原櫻子の現時点での「歌い続ける理由」って何だったりします?
大原櫻子:もっともっと幅広い人たちに響く歌を歌いたい。その想いがずっとある気がしていて、それこそ子供から大人まで知っている楽曲。でもそれって「知ってもらうこと」を目的に作ったから広まるんじゃなくて、聴いてくれる人たちが共感したり胸打たれたりするから広まっていくんですよね。なので「心に触れる楽曲」を歌いたい。そういう楽曲を追い求めているから、歌い続けているのかなって思います。--ここまで歌手や女優としての大原櫻子について語ってもらいましたが、ひとりの女性としてはどんな成長を遂げたと思いますか?
大原櫻子:こういうお仕事をしているからだと思うんですけど、観るものも多いし、観なきゃいけないものも多いし、自分を広げる時間がすごく多いから、そこから自分オリジナルというか……今までも「これは良いな」「これはあんまり良いと思わない」という選択はしていたんですけど、最近は自分から生まれるものがちょこちょこ出てきている。それこそツアーでやりたいことだったり、自分から「これがしたい」と言えるようになってきた。--デビューからしばらくは言えなかったんですか?
大原櫻子:何も知らないし、そんな自分がアレコレ言うのは失礼かなと思っちゃうし、やっぱり言えなかったですね。でも舞台の現場では自分の意見を持ち込まないといけないんですよ。「何も考えてきませんでした」が通用しないので、舞台で鍛えられたのは大きかったと思います。--さて、そんな大原櫻子のニューシングル『マイ フェイバリット ジュエル』が完成しました。秦 基博プロデュースの新作となっていますが、秦さんには元々どんな印象を持たれていたんですか?
大原櫻子 - マイ フェイバリット ジュエル初回限定盤ティザー
--そんな秦さんが手掛けた「マイ フェイバリット ジュエル」を聴いてどんな感想を?
大原櫻子:まず「秦さんじゃん!」と思いました。だから「私が歌ったらどうなるんだろう?」と思っていたんですけど、歌ってみてすごく気持ち良かったし、私は発散するような曲が今まで多かったんですけど、この曲はそうじゃなくて日常感がある。だから「新しいな」と思ったし、そのあと歌詞が届いたときは「あー、私のイメージに寄せて下さっているんだな」と感じましたね。タイトルの「マイ フェイバリット ジュエル」からしてそうだし。あと、個人的には「散歩している犬」というフレーズがすごく好きです。秦さんらしくもあるし、キュンとするし、日常の小さな幸せを大きな幸せに感じる瞬間というテーマ、その身近さ、親しみやすさは常に秦さんの楽曲から私が感じていたものですし、私も音楽を伝える上で大切にしてきたものでもあるので、そこは共通点としてあるのかなと思いました。--今作の制作過程で直接やり取りはしたんですか?
大原櫻子:レコーディング現場に来て下さって、いろんなやり取りをさせて頂きました。私が今までやってこなかった歌い方で歌ってみてと言われたりして、それで1番を丸々取り替えたり、想像以上にスパルタでした(笑)。--さすが元野球少年。特にどんなところにスパルタを感じました?
大原櫻子:「完璧、天才」と言いながら「もう1回。はい、もう1回」って10回ぐらい繰り返されて、内心「全然1回じゃないじゃん」と思いながら歌っていました(笑)。でもすごく勉強になりましたし、今回の秦さんをきっかけに「いろんなアーティストさんと作ってみたいな」とも思いました。やっぱりアーティスト同士だから分かり合える何かというものがあって、それはすごく曲に生きてくるし、すごく良いなと思ったので、またいろんな方とコラボできたらいいなと思っています。--ちなみに、どんなアーティストとコラボしてみたいですか?
大原櫻子:歌詞に重みがある、でも伝わりやすい歌を作っているアーティストさん。このあいだ、槇原敬之さんのライブを観に行かせて頂いたんですけど「マッキーさんの曲を歌ってみたい」とすごく思いました。--今作『マイ フェイバリット ジュエル』リリース後には、全国ツアー【大原櫻子 4th TOUR 2017 AUTUMN ~ACCECHERRY BOX~】も控えております。どんなツアーにしたいですか?
大原櫻子:すごく新しい色にしたいなと思っています。今までのツアーは自分の曲だけで構成していましたけど、カバーとかも出来たらいいなと思いますし、Zeppツアーならではの、近い距離感だからこその、お客さんとの楽しみ方も考えたいなと思っています。--では、最後の質問になります。歌手であり女優でもある大原櫻子、将来的にはどんな表現者になることが目標ですか?
大原櫻子:大人としてすごく胸を張れる作品にもっともっと会いたいなと思いますし、だからと言って色を決めないで、いろんな色に染まれる人になりたいなと思います。単純に言うと格好良い人になりたい。凛としている人。それは自分に自信がある人ということじゃなくて、ずっと努力していたいし、ずっと何かに疑問は持っていたいけど、自分のやっていることに対してすごく堂々としている人になりたいと思っています。Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
リリース情報
マイ フェイバリット ジュエル
- 2017/08/09
- 通常盤[VICL-37312(CD)]
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
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