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AOR CITY 2017 スペシャル企画 永井博インタビュー



AOR CITY 1000

 昨年、AOR誕生40周年を記念してリリースされたAOR CITYシリーズが今年も登場する。 70~80年代のAOR名盤・レア盤が「千円」で手に入る大好評企画の再登場を記念して、今回もアートワークを手がけたイラストレーターの永井博にインタビューを敢行。 不朽の名盤『A LONG VACATION』のジャケットを始め、数々のレコード・ジャケットや広告などで、70年代から活躍を続けるイラストレーターの永井 博。色鮮やかでクリアな永遠のヴァケーションを夢想させる唯一無二の作風は、今なお多くのファンを魅了している。近年、CDのアートワークや展示会、ブランドとのコラボ企画などで今再び大きな注目を集めている永井博に話を聞いた。

“ベンチャーズとともにやってくるイラストレーター”

―まず最近の近況からお伺いできますか?

永井博:最近はルミネのイベントのポスターを描いたり、大磯ロングビーチの案件があったり、昔に戻ったような仕事の内容になってきましたね、大きい仕事も入ってくるようになったし(笑)。イラストレーターは周りを見ていても、色んな仕事をやってるなって思います。

―今年はKASHIFさんの初のソロアルバム『Blue Songs』のジャケットを描き下ろしが新鮮でした。

CD
▲KASHIF『Blue Songs』

永井博:KASHIFくんの肖像画を描きました。彼とはTwitterで知り合って、「アルバムを作るのなら、(イラストを)描かせて」って、僕から言ったのが始まりだったかな。それ以来僕の展覧会に来てくれたりして、仲良くなっていったんだけど、最初は肖像画ではなくて、僕のいつものテイストでジャケットを描くもんだと思っていたんですよね。

―アーティストの肖像画を描かれるのは珍しいですよね?

永井博:そうですね。たまたま展覧会の時に人物の絵が飾ってあって、彼はそれを見て、気に入ってくれたみたいですね。以前からロンバケ(大滝詠一『A LONG VACATION』)の絵本の中に収録されているような日焼けした白人のハンサムガイの絵も描いていたんですけどね。KASHIFくんには「ホントに風景じゃなくていいの?」って聞いたんですけど(笑)、彼は「肖像画がいい」って。

―KASHIFさんたっての希望だったんですね。

永井博:風景の方が僕の絵だって誰にでも分かってもらえそうだと思ったんですけどね。レコード屋さんにも「アートワークは永井博」って書かれるじゃないですか。だったら風景の方が目を引くかなぁと(笑)。

―描き下ろしではありませんが、永井さんのイラストを使用したサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』も様々なところでベスト・アルバムに選ばれ、注目を集めました。

CD
▲サニーデイ・サービス
『DANCE TO YOU』

永井博:曽我部恵一くんとはDJを一緒にしたことがあって、彼はそこで弾き語りもやっていたんですけど、彼はほんとに歌が上手いですね。声の通りがすごくいいし。僕の展覧会のオープニングの時も、サニーデイ・サービスのジャケットをずっと手がけているADの小田島等くんと3人で鼎談をして、その時も弾き語りで歌ってくれたんです。

―『A LONG VACATION』がリリースされた頃は生まれていなかったような若い世代からも支持を集めていらっしゃる。

永井博:僕の展覧会にも若いお客さんがとっても多く来てくれてね。もちろんオヤジたちもいるんですけど(笑)、それは意外な反響でしたね。この前の代官山蔦屋書店の展覧会でも、外国人の女の子に声をかけられました。

―永井さんのお顔を知っていた?

永井博:そうなんです。展示してあった僕の絵を見て声をかけてきて。「何で僕の顔を知ってるの?!」って聞いたら、「SNSで見た」って。アメリカの娘とシンガポールの娘でしたけど、ビックリしましたよ。

―展覧会の時期は夏が多いですか?

永井博:やっぱり夏が多いですね。僕は夏で暮らしているようなもんですから(笑)。その昔は雑誌で、“ベンチャーズとともにやってくるイラストレーター”なんて紹介されてたくらい(笑)。

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