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SuG『AGAKU』武瑠単独インタビュー



SuG『AGAKU』武瑠単独インタビュー

「SuGに捧げたこれまでの人生がそのまんま詰まってる」

 希望か延命か。バンドが続くのか終わるのか命運握る9/2日本武道館への本音や、病的な挑戦欲求の果てに辿り着いた、その音楽人生の全てを詰め込んで「生きるとは?」の回答をこれでもか!と言わんばかりに叩きつけた新作『AGAKU』について等……その日がやってくる前に必ずご覧下さい。

予想以上に厳しい戦い。1年前に組み立てた設計図の中でちゃんと進んだプロジェクトがあまりない。

SuG『AGAKU』武瑠単独インタビュー

--10周年を迎え、9/2日本武道館ワンマンに向けて奔走中の日々だと思うのですが、今年は武瑠くんにとっても30歳の節目ということで、それまで公にしてなかった年齢を誕生日に公表しました。あれはどういった理由で?

武瑠:特に深い意味はなかったんですけど、20代の美学を詰め込んだスタイルブック『VISION -Life Style Book-』を出すタイミングだったのと、あとは武道館とSuG10周年というアニバーサリーイヤーのタイミングだったので。ただ、個人的には早く言いたかったというか、例えば「高校生のときに何を聴いていたか?」みたいな話をするときに大体分かる訳じゃないですか。でも年齢は公表してない。その中途半端さにモヤモヤしてたんで、30歳という「ちゃんと大人」と言える年齢になったタイミングで言おうと思って。最近知った人は「ウソでしょ?」みたいな感じで驚いてて、何千リツイートとかになってましたけど(笑)。

--このインタビューが公開される頃には、日本武道館ワンマンまでもう2ヶ月を切っている訳ですけど、今の心境は?

武瑠:10周年記念ベストアルバム『MIXTAPE』のツアーがやっと終わったんですけど、そのツアーを廻りつつ、今回のEP『AGAKU』のレコーディングとPV制作をやりつつ、自分のスタイルブックの撮影もやってて、それでヨーロッパに8日間ぐらい行って帰ってきて……「やっと終わった!」って感じです(笑)。

--日本武道館が決まった時点で人生最大に忙しくなるのは確定していたと思うんですが、その間にスタイルブックを出したいと思ったのは何故だったんでしょう?

武瑠:SuGが復活してからずっと出したかったんですけど、出せる機会が全然なくて。男の子がスタイルブックを出すって本当に難しいらしくて、女の子みたいにそういうカルチャーがないからそもそも売れないらしいんです。そういう部分でも「やっぱり立ち位置が孤立してるな」と思ったんですけど、まぁそういう理由で結果的にここまで引っ張ってしまった。でも自分の20代の美学を総括する上で良いタイミングだったし、武道館の前に個人でも出来るような宣伝というか、新しく知ってもらう手段のひとつとしても機能させたかったし、無理してでもここで出そうと思ったんです。

--その撮影に向かう直前だと思うんですけど、パスポートを紛失してましたよね?

武瑠:そう。パスポートが全然見つからなくて。ずっと寝ないで仕事してたら能率があまりに低くなってて、そんな中で出国直前に頼まれる仕事もめっちゃあって「もうどんなに急いで(キーボードを)打っても間に合わない!」みたいな状況だったんですよ。結局、家を出発する2時間ぐらい前に準備し出したんですけど、パスポートが置いてあると思っていた場所になくて……もうあまりに疲れ過ぎてるから諦めちゃって「もう寝よう」と。

--出国を一旦諦めたんですね(笑)。

武瑠:やっぱり極限まで疲れ果てると、お金とかどうでもよくなるんですよ。で、起きてからちゃんとパスポートを見つけて、チケットもすべて取り直して向かいました。めっちゃ高かったですよ。本当に大打撃(笑)! いつも寝ないでそのまま海外に行くスタイルだったんですけど、あんまりに仕事を詰め過ぎると動けなくなるんだなって。詰め過ぎたというか、事前に聞いてなかった仕事とかも入ってきて詰まっちゃったんですけど。

--以前のインタビュー(http://bit.ly/2hhmBFz)で「武道館がその先の“希望”になるのか、ただの“延命”で終わるのか。SuGがそこで続くのか、終わるのか」という話をしてくれましたが、その感覚は今も変わりなく?

SuG『AGAKU』武瑠単独インタビュー

武瑠:変わらないですね。やっぱり予想以上に厳しい戦い。1年前に組み立てた設計図の中で、ちゃんと進んだプロジェクトがあんまりなかったりして。「これぐらいは出来るだろうな」と思ったことが出来てない。39本ライブをすることは発表したんですけど、正直足りないんですよ。39本出来ない。「10本、対バンしよう」と思ったんですけど、それも頓挫しちゃった。で、今出来る限りやろうというところで、ギリギリのところでもう1回再構築している。

--仮にSuGが武道館で終わってしまうとして。例えば、今普通に行っているこのインタビューがSuGラストインタビューになることも有り得る訳ですよね?

武瑠:武道館直前にインタビューしてくれないんですか?

--それはしましょう! ただ、こういうことのひとつひとつが「実は最後だった」ことになる可能性も秘めている訳ですよね。誰も「もうSuGには会えない」と思ってインタビューしに来てないとは思うんですが、SuGが武道館で終わってしまったとしたら、その先のプロジェクトはない訳じゃないですか。

武瑠:そうですね。実際にその先のことはまだ何も決めてない。まぁ日本武道館を発表している時点で終わってしまうかもしれない覚悟もしている訳で、でもその覚悟に誰がどれだけ動いてくれるのかな? 自分たち自身もどれだけ動けるのかな? そういう部分での設計図はあったんですけど……まぁいろいろありましたね。マネージャーがいない時間が長かったりとか、武道館を発表した日にデスクが辞めたりとか、「神様はドラマをどれだけ作ろうとしているのか?」と思うぐらい、信じられないぐらいの出来事がたくさんあった。そういう波乱みたいなものはなるべく言っていきたいんですけどね。本当にすべてを正せば自分たちの責任だと思うんですけど、普通は武道館に挑むバンドとしては有り得ない状況に何度も何度もなったり、外からの窓口がなくて連絡が途絶えたり、急に来なくなったスタッフがいたり、それで無くなってしまった仕事とかイベントとかたくさんあったり、そういうことがこの1年でてんこ盛りであって、若い頃だったら速攻で挫けていたと思うんですけど……簡単に言えば、武道館を目指すバンドが十分に活動できる状況じゃない。その中で“自分たちが今まで歩んできた歴史に恥じないようにどう戦うか”ということを何度も何度も話し合って、自分たちで出来ることを考えたりとか、それこそ足掻いていく中で「AGAKU」のような曲が上がってきたり……

--この曲が生まれたのは、そうした状況下においてはひとつの希望ですよね。

SuG「AGAKU」(MUSIC VIDEO)
SuG「AGAKU」(MUSIC VIDEO)

武瑠:結構ビビってたんですよ。ベストアルバムが出た。その後の10周年EPに相応しい曲を出せるかどうか、物凄く重圧だったんですよ。でも「こんなに良い曲が出来たんだ」と全員が思える曲が生まれたというのは、すごく希望になりました。しかも音像がマジでSuGって感じだし、ジャンルの意味不明さというか、自分たちの辿ってきた歴史がすごく詰まってるから、メンバー全員一致で「今までで一番良い曲なんじゃないか」って。

--自分もそう思いました。

武瑠:そうですよね! スタッフとかも「これが一番良いんじゃない?」と言ってて、だからすごく手応えがあるし、自分たちの最大限をこのタイミングで出せてるんじゃないかなと思っています。

--常にSuGって綱渡り状態で「命懸けでやらなきゃいけない」タイミングというのが他のバンドに比べて多すぎるし、いつも「ここでやり切らなきゃ終わる」みたいな状態で活動してきているし、そして日本武道館を直前に控えている今ですらこの波乱万丈ぶり。でもそんなバンドだからこそ「AGAKU」みたいな曲が生まれたと思うんですよね。今のSuGにとってこの上なくピッタリなタイトルだし、サウンドだし、メッセージだし、逆にこの機会がなかったら生まれなかった曲かもしれない。

武瑠:それは思いました。この曲を作ったyuji(g)も言ってましたね。「こういう状況だから書きやすかった気がする」って。本人的にも凄い手応えが最初からあったみたいです。yujiが作る曲は切ない属性と踊れるポップな属性にわりと分かれている傾向にあったんですけど、今回はそれが同居していて、踊れるし、オシャレだけど、切なさとかもある。それがすごく「10周年のSuG的だな」と思って。これ以上にSuGらしい曲はないかもしれない。

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  1. 曲もそうだし、歴史もそうだし……「なんて不器用で愚直なバンドなんだろう」と思いました
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SuG「AGAKU」

AGAKU

2017/07/05 RELEASE
PCCA-4547 ¥ 1,731(税込)

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Disc01
  1. 01.mark
  2. 02.AGAKU
  3. 03.赤春
  4. 04.CUT

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