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UNCHAIN アルバム『from Zero to “F”』インタビュー



UNCHAIN 『from Zero to “F”』 インタビュー

昨年は、鬼束ちひろとのコラボレーションをはじめ、年に2枚のアルバムをリリースし、初のホールライブも成功させるなど20周年のアニバーサリー・イヤーをノン・ストップで駆け抜けたUNCHAIN。21年目となる2017年もそのスピードを落とすことなく、オリジナル・アルバム『from Zero to “F”』を完成させた。20年のキャリアを経て、もう一度スタートラインに立ち戻り、新たな試みで制作した全12曲はどれも瑞々しく、生き生きとしたメロディーが印象的だ。

 <UNCHAIN メンバー
 ・谷川正憲(vo,g)
 ・佐藤将文(g,cho)
 ・谷浩彰(b,cho)
 ・吉田昇吾(dr)

ロサンゼルスでトップライナーとの楽曲制作、まさかのトラブルも?

▲UNCHAIN「Fresher」MUSIC VIDEO
▲UNCHAIN「Fresher」MUSIC VIDEO

--20周年を終えても相変わらずノン・ストップで曲作りに励んでいると聞きました。

谷川:最近、曲を作り過ぎて、自分でもよくわからない状態です(笑)。21年目という一区切り終えた翌年という事もあって、とにかく新鮮な気持ちで曲作りがしたかったので、今までのやり方を一度見直そうと思ったんです。これまで、どんな曲をどんな風に作ってきたのか、そんな所から振り返って作り始めたという感じなんですが。

--そんな21年目も休み知らずのUNCHAINですが、ずばり今回はどんなテーマの作品ですか?

佐藤:20周年が終わってみんなでミーティングしたときに、漠然とですけど“21年目に相応しい新しいもの”という事で「フレッシュ(Fresh)」というキーワードが出てきて。

谷川:ここ数年はファンクをロックに昇華させていく事を意識しながらやってきたんですけど、今回はもっとソウルに寄ったものを作りたいなって。そういう共通認識は持ってたけど、漠然とだったので、まだ具体的にはイメージできていなかったですね。作り始めたのが去年の11月からで、その時点ではコンセプトは全く決まっていなくて「さてどうしようかな?」って。そんな時にロサンゼルスでのトップライナーとの曲作りという話が決まり、急遽僕だけ年明けロスに行く事になったんです。

佐藤:ロサンゼルスだったら『10fold』のレコーディング実績もあるし、色んな人とのつながりもあるし、そこでトップライナーと一緒に作ったら、きっと今までにないフレッシュで新しいものが出来るんじゃないかなって予感がしたし、結果見事にそれが当たったという感じで。

--でも年明けは谷川くん、佐藤くんのユニットで動いて、その後すぐにアコースティックツアーがあって、あと谷川くんは舞台(※)もやっていたし、いつロス行ったんですか?
 ※谷川正憲はいま注目の劇作家・加藤拓也氏と組み、舞台音楽を担当し、全公演生演奏を披露した。<劇団た組。第13回目公演「まゆをひそめて、僕を笑って」上演2017年4月20日~23日横浜赤レンガ倉庫ホール>

谷川:アコースティックツアー中の僅かな空き時間を使って10日間位行ってました。向こうのトップライナーも超多忙で、その期間動ける人はもう決まっていたんですよ。

--めちゃくちゃタイトなスケジュールですね。その時点で向こうで作る曲の歌詞は出来ていたんですか?

谷川:そもそもトップライナーとの作業はトラックにメロディーを乗せるという作業なんで、歌詞は後付なんですよ。

--そうなんですね。

谷川:ただ作業自体初めてだったから、どういう流れで作っていくのかわからず「とりあえずリズムトラックだけは作ってきてね」って言われていたので、コード進行も何もない、ただのドラムトラックだけ持って行ったんですよ。そしたら向こうの言うリズムトラックって要はカラオケまでの事で「あのードラムトラックだけじゃ、ちょっと作業できないんですけど…」「え? まじっすか?」みたいな話になり(笑)。

--着いていきなり(笑)。

谷川:僕はてっきり一緒にゼロから作曲するのがトップライナーとのコライト(共同作業)だと思っていたんですけど、そうじゃなくて、出来上がっているトラックにメロディーを付けていくという作業だったんですよ。それで急遽現地でトラックを用意しなくてはいけなくて、どうしようってなって、そこで閃いたのが、佐藤のデモ曲の中からメロディーが付けやすそうなものを選んでそのカラオケトラックを日本から送ってもらって、そこに新たにメロディーを乗せるというアイデアで、それがハマって「Fresher」のメロディーが生まれました。

--今回2人のトップライナーが担当されていますね。

谷川:最初がコートニーで、その次にデイビーですね。3日間ずつ交代でセッションしたんですけど、最初のコートニーとのセッションはトラックを急遽作ったり、やり方を模索してあたふたしながらも「Sunday Morning」を作ったり、デイビーに変わってからは日本から送ってもらった佐藤のトラックのおかげでスムーズに進めることができました。

--どんな感じで進めていったんですか?

谷川:そのカラオケトラックをワンコーラスほど聞いたかと思うと、次の瞬間「OK!」ってマイクの前に行っていきなりバーっと歌うんですよ。そのメロディーのクオリティーが半端なくて。

--ハナモゲラ語的な?

谷川:そう。一応英語っぽくはなってるんですけど、それがいきなり「めっちゃええやん!!」ていう、そんなスピードでデイビーと一番最初に作った「Fresher」は1時間もかかってないですよ。

--へえー、それでたった10日間でアルバム収録の4曲のメロディを作ったんですね。

谷川:今回のアルバムには「Fresher」「Back To Zero」「Dangerous」「Sunday Morning」を収録しましたけど、実際には10曲作りました。

--10曲? でも「Sunday Morning」は意外でした。このアコースティック感は今までのUNCHAINの流れのひとつだったし、これも共作だったんだって。

谷川:これはコートニーと作った曲ですね。デイビーの時も一緒なんですけど、トラックを聴いて、すぐに思い浮かんだメロディーをパッと歌って、それに対して僕もメロディーを出していくみたいな。まるでラップのバトルみたいなのが繰り広げられ、そこで良いメロディーが残っていくんですね。

--という事は今回は谷川くんとトップライナーと共同でメロディーのピースを出し合いながら、まるでパズルのようにはめ込んでいくみたいなイメージ?

谷川:極端にいうとそういう曲もあったりしますね。アイデアが次のアイデアを生むという、そういう現象がものすごい短時間の中でたくさん起きていて、その刺激をもらって日本に帰って更に新たなメロディーやアレンジが浮かんでいくという作業でしたね今回は。

--なるほど、今までのファンの皆さんにはその辺じっくり聴いてもらって、新たな発見をしてもらいたいですね。それでは1曲ずつ振り返っていくと、まず1曲目の「Fresher」。こちらはMVも紹介されましたが、明らかに今作の軸となるナンバーですね。インパクトのあるギター・イントロから始まって、歌詞は日本語なんだけどロサンゼルスの空気をまとって洋楽っぽくいテイストです。

谷川:そうですね。デイビーと一緒に一番最初にこの曲が出来た時に「うわー、すげえのできちゃった!」って。ものすごく印象に残っていて、せっかく良いメロディーになったからアレンジも良いものにしていかないといけないって、メロディーというアイデアが出たからこそ、イントロも出てきたという感じですね。良いものが出たら、そこから新たな良いものが生まれるという連鎖がこの曲なんじゃないかと。

佐藤:歌詞も最初デモでは英語がのっていたし、「最終的に日本語でいけるのかな?」って思ってましたが、聴いた時びっくりするくらい日本語がハマっていて、言葉もいっぱい詰められているのにちゃんと聴こえてくるし。

谷川:メロディーが新鮮だった分、歌詞をのせる作業も新鮮でしたね。

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UNCHAIN「from Zero to “F”」

from Zero to “F”

2017/06/07 RELEASE
CRCP-40516 ¥ 3,056(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Fresher
  2. 02.甘い晩餐
  3. 03.Back To Zero
  4. 04.Dangerous
  5. 05.Underground Love
  6. 06.Walkin’ Dead
  7. 07.Sunday Morning
  8. 08.Flowered
  9. 09.Tomorrow
  10. 10.What You Want
  11. 11.So Good, So Good
  12. 12.You & I

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