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SALU アルバム『INDIGO』インタビュー
ただ聴いていて楽しくなってもらうことだけに特化して作った。SALUは本文の冒頭でもそう語るが、その最新アルバム『INDIGO』はあまりに深く、壮大な芸術作品だった。
終盤、“もう、しょうがないや。バレてるわ”と笑顔を見せてくれた彼の真意はどこにあるのか。少々しつこい質門にも真摯に向き合ってくれた、ファンのみならずすべての芸術作品を愛する方々に必読!とオススメしたいインタビューです。
ただ聴いていて楽しいことだけに特化して作りました
▲YouTube「SALU / WALK THIS WAY (Official Music Video)」
--前作『Good Morning』は、ヒップホップのやり方で当時の音楽シーンに対して挑戦した傑作でした。
SALU:リリースした2016年の4月当時、他のジャンルで主流になっていた音楽スタイルをふんだんに取り入れたアルバムにはなっていたと思います。ヒップホップ、ラップをしている方でそういうトライをしていた方は、当時はあんまりいなかったと思っていて、そういうスタイルもアリだと提示したかったところはありますね。--前作があれだけ痛快だっただけに、では次は何をやるのか、楽しみにしていました。
SALU:『Good Morning』は、それまでの暗かったりアンニュイだったり、自分の内面の葛藤だったりを深いところまで掘り下げて、“どう思いますか?”っていう提示の物語だったと思うんですけど、今作はそういうのを取り払って、ただ聴いていて楽しくなってもらうことだけに特化して作りました。聴いてくださる人が明るくなったり、楽しくなったり気持ちよくなれたり、そういうところにフォーカスを合わせようと。--ただ、そんな今作『INDIGO』は、“わかりやすくポップにキャッチーに仕上げました!”という作品ではないですよね?
SALU:自分がこうしたいと思って出来上がるものと、それをどう聴いてもらうかはまったく別だと思っていて、色んな受け取り方ができる作品だと思います。僕としては、聴いていてただ楽しんでもらえればいいかなって。--1曲目の「WALK THIS WAY」は名曲中の名曲と同タイトルを冠していますが、リリックは改めての意思表明だと、強い心意気を感じました。
SALU:確かに決意や覚悟みたいものを、女性との別れの曲に乗せて歌ってはいるんですけど、1曲目に持ってきたのは歌詞というよりも音ですね。音として1曲目にいいかなって。今回は明るく楽しいサウンド作りが得意とされているトラックメイカーの方々にお願いしていて、たとえば2曲目「LIFE STYLE feat. 漢 a.k.a. GAMI, D.O」のChukka Zuluさんもダークなイメージがあるかもしれないですけど、SMAPなどメジャー作品でもたくさんプロデュースをされている方なので、そっちの側面を引き出せたらと思ってました。
漢さんとD.Oさんのおふたりには、いつも通りドープな歌詞をお願いしたんですけど、そこに僕とChakiさんの作るポップさが合わさると、ちょうど良い気味悪さになるかなと思って。
BACHLOGICさんに再びお願いできるだけの余裕が戻ってきた
--SALUさんがやりたいことは、作品を重ねるごとに反映されている?
SALU:最初はBACHLOGICさんがトータルプロデュースをしてくださって、その上に僕がラップや歌詞を乗せる形だったんですけど、前作から自分が好きなサウンドをより追求して、自分の意見も反映させてもらってメロとフロウと歌詞を乗せるやり方になりました。BACHLOGICさんはずっと憧れの人でしたし、デビュー当時からプロデュースしていただいたおかげで、たくさんの方に聴いていただけて感謝しています。ただ、まだ業界を何もわかってなかったただのガキだった自分からすると、世に出た反応の中には“え、そういう風になっちゃうんだ……”っていうことも多々あって、その現実をなかなか受け入れられなかった。
そうしたすべてが僕のクリエイティビティに入ってきて、自分が本当に何がやりたいのか、どういう人間でどういう音楽ができるのかがわからなくなった時期があって。でも、今はそうしたすべてが僕の歌詞の芯になって、こういう形で音楽に返ってきているので、良い経験だったと思います。こうして今回、3曲目「TOKYO」で再びBACHLOGICさんにお願いできるだけの余裕が戻ってきていますね。
--SALUさんは今年の4月、YouTube上に「YEDI」という新曲のMVをアップしましたが、“俺がする事は全て俺の暗黒面から来てる”というリリックが印象的でした。
SALU:あの曲は『Good Morning』を作り終わってすぐにできた曲なんですよ。ずっと前から英語の曲に挑戦してみたくて、どうしても出したかった曲だったんですけど、今回の『INDIGO』に収録するのは違うなって。分けてあった方がお互いが際立つと思ってアルバムには入れなかったんですけど、僕の中では『INDIGO』の無くてはならない一部という気持ちではあります。- < Prev
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リリース情報
INDIGO
- 2017/05/24 リリース
- 初回限定盤[TFCC-86587(CD+DVD)]
- 定価:3,700円(tax in.)
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関連リンク
Interviewer&Photo:杉岡祐樹
INDIGO
2017/05/24 RELEASE
TFCC-86587 ¥ 3,769(税込)
Disc01
- 01.WALK THIS WAY
- 02.LIFE STYLE feat.漢 a.k.a. GAMI, D.O
- 03.TOKYO
- 04.SPACE
- 05.Dear My Friend
- 06.First Dates
- 07.Good Bye
- 08.2045
- 09.夜に失くす feat.ゆるふわギャング [Ryugo Ishida, Sophiee]
- 10.Butterfly
- 11.東京ローラーコースター feat.FRAME a.k.a FAKE ID for Refugeecamp (Bonus Track)
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