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brainchild's『PILOT』インタビュー



brainchild's 『PILOT』 インタビュー

菊地英昭(THE YELLOW MONKEY / ex.KILLER MAY)プロデュースによる注目プロジェクト brainchild'sが、ミニアルバム『PILOT』を5月10日にリリースする。

渡會将士(vo / FoZZtone)、神田雄一朗(b / 鶴)、岩中英明(dr / Jake stone garage)。歴戦の実力派が揃った第7期のメンバーたちは、THE YELLOW MONKEY再集結という大きなトピックを前に、EMMAこと菊地英昭と共にどのようなサウンドを提示してみせたのか。4人に訊いた。

神田先生は元々THE YELLOW MONKEYのコピーバンドをやっていた

▲YouTube「brainchild's - PILOT Official Digest Movie」
▲YouTube「brainchild's - PILOT Official Digest Movie」

--brainchild'sが音源をリリースするのは、THE YELLOW MONKEY再集結以降では今回が初めてのことになります。 (前作『HUSTLER』は2016年2月24日リリース)

菊地英昭:前作『HUSTLER』は再結成を発表した後にリリースしたんですけど、当時はbrainchild'sの第7期のスタートともリンクしていたのであんまり意識してなかったですね。

渡會将士:でも、教えてもらう前から、“何かすごいことになってるぞ……”っていう雰囲気はヒシヒシと感じていて。当時のEMMAさんの周辺に飛び交っていた情報の量や忙しさは他の人でも見たことがなかったですし、虫の知らせのようなものは感じていました。

神田雄一朗:レコーディングのときも、“brainchild'sしかやってないはずなのに、なんでこんなに忙しそうなんだろう?”って(笑)。

岩中英明:俺は全然気づいてなかったので、ビックリしました。

--しかも第7期のメンバーがTHE YELLOW MONKEY好きだったことを、EMMAさんは後から知ったそうですね。

菊地英昭:神田先生は知ってたんですよ、元々THE YELLOW MONKEYのコピーバンドをやっていたって話でしたし。ワッチ(=渡會将士)も何となく分かっていたんですけど、ONNY (=岩中英明)は全然知らなかった。ONNYがやっているバンド Jake stone garageはジャンルがけっこう違いますし。でも、レコーディングのリハのときにうちらがTHE YELLOW MONKEYの「楽園」を弾き始めたら、ちゃんと叩けるんですよ(笑)。

--鶴もライブのリハで、よく「楽園」をやってますよね。

神田雄一朗:うちの秋野さんは喉の調子をチェックするとき、必ず「楽園」を歌うんですよ。キーがちょうどいいらしくて、温めるのにもピッタリだって。
再集結を知ったのはちょうど昨年の年始だったと思いますけど、お年玉をいただいた気分でしたよ。心の準備はできていたので、“素敵なお知らせを、ありがとうございます”って気持ちでしたね、純粋に。

渡會将士:brainchild'sで一緒にツアーを回らせてもらってから、THE YELLOW MONKEY再集結の代々木を観に行ったんですけど、あの広大なステージで繰り広げられるEMMAさんのパフォーマンスを観て、“あ、これ俺が隣で見てたやつだ!”って(笑)。でも、よくよく考えてみたら、それはかつてイエモンのライブ映像作品でずっと観てきた姿だったので、本当に一貫しているんですよね。自分が音楽をやっていく上で、大きな指針になりました。

EMMAさんという豊かな土壌の上でヤラカシた感じ

brainchild's『PILOT』インタビュー
▲左から:神田雄一朗/菊地英昭
/渡會将士/岩中英明

--そして今回の新作『PILOT』ですが、タイトルは操縦士という意味の他に、映画のパイロット版などを差す言葉でもありますよね。

菊地英昭:僕らが考えていたのは操縦士の方で、たとえばM-01「暁光」だったら、空中から見ている空や地上をイメージして作った曲になっているんですけど、歌詞の中にも乗り物がいくつか出てきますから、操縦する人。ということで“PILOT”だったんですけど……

神田雄一朗:次のインタビューからは“パイロット版”の方をいただきましょう(笑)。

--また、前作に引き続き、作詞は渡會さんが中心的に担当していますが、時折ギョッとさせられる言葉が印象的でした。

渡會将士:ギョっとしてもらうことが一番のフックだと思っているんですよ。特にbrainchild'sは、EMMAさんのキャリアがあった上で、そこに参加させてもらっている。だからこそ上手に丸く収めることよりも、EMMAさんという豊かな土壌の上で、ちゃんとヤラカシた感じになった方が良いと思って歌詞を書いてます。

--M-02「SexTant」の歌詞では、現代への風刺を普遍的な言葉の組み合わせで描き出し、虚無感やその先にあるものを浮かび上がらせる表現にトライされていますよね。

渡會将士:わー、嬉しいです!

菊地英昭:“マストも無いくせに 追い風を待ってる”っていう歌詞をすごく気に入っていたんですけど、ワッチは変えようとしてたんですよ(笑)。“EMMAさん、歌詞変えて良いですか?”って言われて、どこなんだろうと思いながらレコーディング当日を迎えたら……。

渡會将士:変えて歌入れしてたら、“ここは一番良いところなのに!”って言われて(笑)。結局、元通りになりました。

--不寛容に狭くなっていく世界をどこか俯瞰で見ながら、当人もその船の船員であるという、考えさせられる内容でした。

渡會将士:僕がやっていたFoZZtoneの世代って、CDバブルの崩壊を体験していたり、所属していたレーベルが吸収されたり、それこそアナログからデジタルに移行していったり……。どこに向かっていけばいいのかわからない中で、何とか生き残ってきたミュージシャンばかりなんですよ。そういう意味では、鶴もとても勇敢だと思うし。

それにテレビでは見なくても良いようなニュースが日々大量に流されていて、毒されて疲れていったり、むしろ欲している瞬間やゴシップを笑ってる自分があったりもする。そこに不思議な感覚があって、目標無く海を漂っているような……。バンド時代から常々、方位磁石的なものは無いものかと探し続けているところがあるんです。

そして今、brainchild'sという非常に恵まれた環境に入れたことで、少しだけ落ち着いて、俯瞰で見られるようになってきた。答えは全然出ていないんですけど、迷いながらでも視点が変わってきた。だからこの機会に、抽象的でも良いからちゃんと形にしておこうかなって。現在座標的な曲になったかなって感じてますね。

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  1. 3人ともすごいミュージシャンなので、3人を聴いて欲しい
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インタビュー写真

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brainchild’s「PILOT」

PILOT

2017/05/10 RELEASE
POCS-1561 ¥ 2,750(税込)

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Disc01
  1. 01.暁光
  2. 02.SexTant
  3. 03.恋の踏み絵
  4. 04.Flight to the north
  5. 05.白と黒
  6. 06.Mellow Downtown

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