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MICHI『I4U』インタビュー
沖縄初のアニソンシンガー・MICHI。移り変わりの激しくなってきたアニソンシーンで、敬愛する先輩アーティストの卒業や活休に翻弄されながらも「私が牽引できるぐらいの存在になりたい」と次世代代表として駆け抜けていくストーリー。そんな新たなフェーズの始まり、ここに公開。
アニサマに出て「MICHIはアニソンシンガー」とみんなに認めてもらった
--前回の1stアルバム『Sprint for the Dreams』インタビュー(http://bit.ly/2py3jnw)後、MICHIは初のワンマンライブ(http://bit.ly/2q3Cp3M)を開催。自分の中ではどんなライブになりましたか?
【MICHI】1st Album「Sprint for the Dreams」全曲試聴
--でもそれはポジティブな気持ちですよね。
MICHI:そうですね! 次に繋げる為の大切な気持ちだったなって思います。--具体的にはどの辺が「もっと出来る」と思ったの?
MICHI:技術面とか、なんてったってパフォーマンス力ですよね。うーん……もっと出来たなって思います。あと、もうちょっと落ち着いて出来たかもしれないなぁ。あのときは初めてのワンマンでしたし、緊張し過ぎてましたし、あんなにたくさんの曲を歌うことが今までなかったので、自分の中で結構切羽詰っていた部分もあって。なので、終わった後に「もっと出来たよな、MICHI」と思ったんです。--では、逆に「ここは良かったな」と思ったところは?
MICHI:MICHIんちゅ(MICHIファンの呼称)がたくさん来てくれたこと。ありがたいことにチケットも5分で完売だったし、ぎゅうぎゅうで、後ろのほうのお客さんなんてもしかしたら私の顔も見えてなかったかもしれない。それなのに「楽しかった!」とみんなが口を揃えて言ってくれたことは、すごく嬉しかったですね。--次回のワンマンが決まったらどんなライブにしたい?
MICHI:見せ方も歌も技術面をもっと高めてお届けしたい。あと、次はもっと特別な何かをみんなに届けたいと思っているんですけど、その為には何をやればいいんだろうと今考えてます。ひとつの案としては「流星」の語り弾き!誰にも相談してない、あくまで「案」ですが…--語り弾き? 弾き語りじゃなく?
MICHI:弾き語りだ!--新しい言葉生まれましたね(笑)。MICHIの場合は語り弾きで。
MICHI:私の場合は語り弾きで(笑)! ピアノで語り弾きが出来ないかなと思ってます。ただ、私、ピアノを習ったことがないので、「ねこふんじゃった」ぐらいしか弾けないんですよ。--では、「ねこふんじゃった」を語り弾き?
MICHI:語り弾きします!--「ねこふんじゃった」ってちゃんとした歌詞あるんですかね?
MICHI:ありますよ!「ねこふんじゃった ねこふんじゃった ねこふんじゃ ふんじゃ ふんじゃった♪」じゃないですか?--調べてみますね(笑)。でもそこにMICHIのメッセージを乗せちゃってもOKですよね?
MICHI:やりましょう(笑)!--あと、初のワンマンライブでは、敬愛する三森すずこやTRUEといったアニソンシーンの先輩、サウンドプロデューサーであるElements Garden、アニサマジェネラルプロデューサー、MICHIの新たなキラーチューン「BRAVE HEART EXTRA」を手掛けたQ-MHzの面々からサプライズメッセージもありました。
MICHI:そうですね。なので、初ワンマンは私がプレゼントをもらった側だったんです。「ワンマンライブ、おめでとう」のプレゼント。--MICHIからすると、三森すずこさんとTRUEさんはどんな存在なんでしょう?
三森すずこ「恋はイリュージョン」MV short ver.(7thシングル)
--それはMICHIに愛される要素があるからだと思うんですけど、自分では2017年春現在のMICHIはどんなアーティストや表現者になれてると思いますか?
MICHI:どんな表現者…………今目の前にあることにまだまだ必死な状態ではあるんですけど、でも日に日にみんなのことを元気付けられるアーティストにはなってると思います! そこは確信を持ってます!--いろんな意味でね。
MICHI:いろんな意味で! アハハハハ! イベントとかで話してて「なんでみんな笑ってるんだろう?」って分からないときもあるけど(笑)、でもどんな形であれみんなを笑顔にすることが出来てるのなら、それはアーティストとして素晴らしいことだなと感じます。--アニソンシーンにおけるMICHIはどうですか? 浸透していってる実感はある?
MICHI:やっぱりアニサマに出させていただいて変わりましたね。アニサマに出て「MICHIはアニソンシンガー」とみんなに認めてもらった感じはありました。そこから徐々に浸透はしていってるのかなって。それは有り難いことに毎回アニメタイアップを付けて頂いていたり、Elements Gardenさんにプロデュースして頂いているおかげだと思うんですけど、そのElements Gardenさんのファンの皆さんにも知って頂いていると思うし、それこそ『だがしかし』や『クロムクロ』『六花の勇者』といった私がテーマ曲を歌わせて頂いたアニメのファンにも知って頂いていると思いますし。あとはやっぱり沖縄のみんなですかね。沖縄初のアニソンシンガーということで応援して頂いているなと感じています。- 激動のアニソンシーン「私が牽引できるぐらいの存在になりたい」
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
激動のアニソンシーン「私が牽引できるぐらいの存在になりたい」
--また、アニソンシーンと言えば、MICHIも敬愛するRayさんがアーティスト活動を卒業します。どんな気持ちになりました?
MICHI:Rayさんは、私にとって本当に太陽みたいな人なんです。いろいろ教えてくれるお姉さんみたい存在ですし、面白い部分や可愛らしい部分もあるし、すごく親しくさせていただいてる方なんですけど、何よりライブが凄くて「体力、ハンパじゃないですね!」と伝えたことがあるんです。2時間ずーっと歌って踊ってるんですよ。それなのに息は上がらないし、ピッチも正確だし、技術面もパフォーマンス力もおしゃべりも全てが凄い。あと、男性が好きそうな、身長の小ささやモチモチした皮膚!--皮膚って(笑)。
MICHI:肌! なんで「皮膚」って言ったんだろう(笑)。だからもう本当に寂しい。「辞めないでください」と言っちゃったんですけど、でもポジティブな卒業なので「これからも応援してね」と仰ってましたね。だから応援します!--Rayさんもそうですし、藍井エイルさんもそうですし、アニソンシーンの象徴的な方々が卒業や活動休止という道を選択されてるじゃないですか。この状況にはどんなことを感じていますか?
藍井エイル 13thシングル『翼』Music Video (Short Ver.)
--いや、僕も分からないですけど、卒業や活休ってどのシーンでも重なるもんなんですよ。たまたま今がそういう周期なのかもしれない。
MICHI:そうなんですね…やっぱり寂しいですね。--ただ、その移り変わりの激しくなってきたアニソンシーンにおいて、これからはMICHIが次なる世代代表として前へ躍り出ていかなきゃいけないと思います。
MICHI:おこがましいですが、その通りです! 私がバーンと出て行けるようにより一層頑張ります。もっとアニソンシーンを盛り上げていきたいなと思って。アニソンシンガーの方が前に出られるような状況を皆様と一緒に作りたいし、いずれか私が牽引できるぐらいの存在になりたい。その道のりが果てしないことは重々承知しておりますが!--では、もっともっとメディアに出て行きたい?
MICHI:今でも本当に沢山のWEB媒体さんや雑誌、テレビ・ラジオ番組に出させていただいているのですが、欲張ってしまうと!沖縄のみんなも観られるような番組に出演できたら、そんな幸せなことないなと思ってます。カメラの前で歌って「あ、アニソンってこんなに格好良い曲あるんだ」って沢山の方に知っていただきたいです。だって、今回のニューシングル『I4U』(TVアニメ『つぐもも』EDテーマ)もすっごく格好良いんですよ。王道のアニソンなんですけど、誰もが1度は見たことあるようなアニメの懐かしさも含まれている曲なので、皆さんに「格好良いな、好きだな」と思っていただけると嬉しいです。--その「I4U」を聴いて最初に思ったのが、歌がまた進化しましたよね? ロック色が増してさらに上手くなっていると感じました。
【MICHI】4th Single「I4U」MV Short ver.【つぐもも】
--これは鍛錬の賜物?
MICHI:鍛錬はもちろんなんですけど、私はいつもアニメのオープニングやエンディングの映像をイメージしながらどのテーマ曲も歌ってきたんですが、今回に関してはそれを一切しないで、私そのもので歌いました。アニメ『つぐもも』の主人公のかずや君の気持ちが描かれた曲なんですけど、そのかずや君と私がすごくリンクするので「私そのもので全力で歌えば、かずや君になる」と思って。だから今回はストレートに歌いました。--どんなところが自分に近いと感じたんですか?
MICHI:ヒロインの桐葉ちゃんやいつも見守ってくれている友達についても歌っている曲なんですけど、そのみんなに対するかずや君の「君の為に生きたい」とか「君の為にそばにいるよ」「僕が君を守るからね」という感覚は私の中にもあるんですよ。私の場合はその対象がMICHIんちゅになるんですけど、MICHIんちゅを想って「みんなを守るから」「みんなの為にこれからも歌っていくから」と想って歌えば自然と気持ちが重なるんです。だからそのままの自分で歌ったらみんなから「今までと力強さが違う」「また違うMICHIになった」と評価していただいているのでとても嬉しいです。--元々「アニソンシンガーとしてはハスキー」と自身でも仰っていましたけど、MICHIの声質は完全にロックシンガー寄りですよね。
MICHI:そうかもしれない。私の原点はやっぱりロック寄りなのかなぁ。お母さんやお父さんが聴いていた曲の影響もあると思いますし、私が沖縄にいたときに聴いていたアニソンが『家庭教師ヒットマンREBORN!』や『銀魂』のバンドさんによる主題歌だったので、その影響も今回の歌には出てるんだと思います。--ありのままの自分で歌って、それがアニメの世界観と純度高く重なり合えるって奇跡的なことですし、これまでアニメに限らず何かの主題歌でブレイクしたアーティストはその奇跡を起こしている人だと思うんですよね。そういう意味では、MICHIもこの曲で一気にステップアップできる可能性はあると思います。
MICHI:このシングル『I4U』は私もスタッフさんも「勝負のシングル」だと思っているんですよ。前回1stアルバムをリリースして、MICHI第2章、ここからまた新しいMICHIをみんなに届けていく。今作はそのスタートとなるシングルじゃないですか。だから今までよりもさらに気持ちは入ってるんじゃないかなって思います。--ちなみに『つぐもも』でMICHIがいちばん共鳴したエピソードがあったら教えてほしいです。
MICHI:これはまだアニメで放送されていない原作のエピソードなんですけど、かずや君が倒した相手は代償を払う事になるんですよ。例えば、髪の毛が半年生えてこないとか、3ヶ月ぐらい声が出ないとか。だからかずや君は躊躇するんです。「この相手が喋れなくなってしまったら……でも桐葉ちゃんや周りの人を守らないといけない。どうしよう?」って。そこがすごく「分かる!」と思って。どっちも犠牲にしたくないし、そういう葛藤は自分の生活の中でもあるなって。--例えば?
MICHI:夜遅くに「これを食べたいけど、でも食べたら次の日むくんじゃう。どうしよう?」みたいな(笑)。--食べた代償(笑)。
MICHI:あとは、ライブで「ここで全力を出したら、次のライブでは声が嗄れちゃうかもしれない。けど、ここに来ているみんなを喜ばせたい」みたいな葛藤はありますよね。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
私が「こうしたい」と思ったものがすべて具現化されているんです
--結局どうするんですか?
MICHI:元気の前借りをして、両方とも全力でやって、その次の日に潰れます(笑)。私はどっちも犠牲にできない。みんなに最高のものしか見せたくないので、そこは妥協せず。でも声の命は削られている気はしますけどね。--THE BACK HORNのボーカリストも近い話をしていて、全力で歌い続ければ喉にも負担がかかってくるし「次の日声でなかったらどうしよう?」と思う瞬間も出てくる。でも「この瞬間にこのフレーズを力を抑えて歌ってしまったら、俺は何の為にこのステージに立ってるんだ?」と思って、本当は明日のことも考えなきゃいけないんだけど……ここは突き進む!みたいな。
MICHI:本当にその通り! 私もまったく一緒です。やっぱりアーティストさんが生きているのは“今”なんですよね。舞台で生きるからこそ……次の日のことを考えなきゃいけないのは分かっているんですけど、でもみんなの喜ぶ顔が見たいから全力で歌ってしまう。そこもちゃんと計算できるようにならなきゃいけないとは思ってるんですけど。--でもあんまり計算高いMICHIは見たくないですけどね(笑)。
MICHI:でしょ(笑)?--もちろん喉はしっかりケアしつつですけどね。
【MICHI】2nd Single「Checkmate!?」MV(Short ver.)【だがしかし】
--MICHIが言葉を発さないって相当ツラいのでは?
MICHI:その通り!あれはツラかったなぁ。でもその頃に比べると喉は強くなってますし、発声の仕方をしっかり覚えたので、やっぱり基礎が出来ているとこんなにも違うんだなって思います。--それも『I4U』の歌声が強くなった要因のひとつ?
MICHI:そうですね! それが顕著だったのはカップリングの「超常性ワールド」で、今回のシングルはレコーディングに過去最長の6時間ずつかけてるんですよ。今までここまで歌い続けたことはなかったんですけど、「超常性ワールド」のレコーディングが終わった次の日もお仕事があって、そこで普通に声が出たんです。6時間も大声で叫んで歌っていたのに声が嗄れてなかったのはビックリしました。だからしっかりとした発声で声を出してると喉があんまり疲れないんだなって。もちろん歌い続けているときは体力的にもキツいんですけど、一晩寝ただけで何もなかったように回復してましたね。--でもきっとそれぐらいのレベルにならないと、ツアーとかまともに歌い切れないんでしょうね。
MICHI:そう思います! 昔の私だったら絶対ムリだと思います。でも最近はプールに通い出したからか、ジムに通っているからか分からないんですけど、踊りながら歌ってもバテなくなりました。だから着々とツアーに向けて体力づくりは出来てますね。--今作『I4U』のミュージックビデオの仕上がりには、自身ではどんな印象や感想を?
MICHI:またひとつ殻を破ったMICHIが表現できているのではないかと思ってます。ボルドーのリップを塗って、ちょっと大人っぽい色気のあるMICHIを演出したり、イギリスの洋館っぽい結婚式場で撮影しているんですけど、シャンデリアの前で踊ったりして、異空間を創り上げた感覚もありますね。『つぐもも』の世界観とはまた違った魅力を存分に表現したMVになってると思います。あと、今作は衣装やジャケットも含め、世界観作りにイチから立ち会わせてもらったんですよ。今まではスタッフさんがある程度決めたところに途中から私が入っていたんですけど、今回は最初から一緒に何時間も会議したりして、だからMVの撮影もスムーズに進んだんだと思います。私が世界観を細かいところまで理解できていたので。--今後もそのスタンスでクリエイティブに携わっていく?
MICHI:どうですか? スタッフ:そうしていきたいですね。
Lady Gaga - Telephone ft. Beyonce
--チームMICHIが一丸となれている?
MICHI:一丸となれていると思います! メイクさんもスタイリストさんもすごいセンスの持ち主で、私が「ゴッドハンド」と呼んでるんですけど、みんな凄いんですよ! それでいて意思疎通も出来てるから「これはどう?」「うーん……」「じゃあ、これどう?」「すごく良い!」みたいな感じでドンドン話も進めやすいんですよ。私は常に夢見がちで「ああしたいなぁ、こうしたいなぁ」と話しているので、それが実現できるかできないか常に周りが考えてくれているんですよね。だから私はみんなのことをすごく信頼してます。--そんなチームと共に『I4U』からまた新しいフェーズに突入した訳ですが、自分の中ではどんなフェーズにしたいなと思っていますか?
MICHI:もっと自分のことを好きになれるというか、認められる自分になりたいです。私ってどんなに頑張っても、みんなに「今日のライブ、すごく良かったよ」と言われても、自分の中で「うん」と頷けないんですよ。自分をなかなか認めないんです。でもこのままだときっとこれからキツくなってくるのかなって。今はずっと「頑張ろう、頑張ろう」でやってるから良いんですけど、途中から自分で自分の首を絞めていくんじゃないかって……そういう不安があるんですよ。だから、頑張って力をつけている自分を実感しながら、皆さんから評価されている今の自分を認められるようになりたい!あと、2016年が有り得ないぐらい濃い日々だったじゃないですか。世界中でライブしたし、日本のアニソンフェスにも沢山出させていただきましたから、でも今年はそれを超える年にしたいんです。2016年は異常だったと分かっているんですけど、でも私はその味を占めてしまったので、あれ以上のことをしたいし、みんなが知っている大きな舞台にも出ていけるように頑張ります。私、欲張りなんです。そして誰よりも負けず嫌いなので、努力に努力を重ねて、沢山の方の前でパフォーマンスしたいです! 海外にも行きたいし、その為にもずっと全力疾走で突き進みます!Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
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