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DIMENSION『Best Of Best 25th Anniversary』勝田一樹インタビュー



DIMENSION 『Best Of Best 25th Anniversary』勝田一樹 インタビュー

ジャズ生誕100周年にしてJ-FUSION40周年という大きな節目に、同じく25周年というアニバーサリーを迎えた日本屈指のインストゥルメンタルグループ DIMENSIONが、その軌跡を2枚のアルバムに収めたベスト盤『Best Of Best 25th Anniversary』をリリースした。

そこで今回も勝田一樹(sax)を招き、収録曲から25年を辿ると共に、DIMENSIONの現在地について語ってもらった。

皆さんがこのグループに何を望んでいるのかを集約できればいい

--意外だったのですが、DIMENSIONのベスト盤は初だったんですね。

勝田一樹:バラードベストの『Ballad』とかは出してるんですけどね(笑)。

--今作『Best Of Best 25th Anniversary』の選曲はどのようにして?

勝田一樹:ライブでも演っている、25年間応援してきてくれたオーディエンスの皆さんにも馴染みの深い楽曲を……、みたいなポイントで選びましたね。

--2枚のDISCに収録された計25曲は、1992年のデビュー当時から中期くらいまでの楽曲が数多く見受けられた印象でした。

勝田一樹:ベストを出すんだったら望まれる作品にしたいので、オーディエンスの皆さんがこのグループに何を望んでいるのかを集約できればいい……って自分たちなりに考えてみた感じですね。

--ベスト盤には時系列順に並べた作品やシングルセレクション的な作品もありますが、『Best Of Best 25th Anniversary』はそうした形式になっていません。

勝田一樹:独立した作品という考え方だったので、時系列とかは関係ないかもしれないですね。それに“25年の集大成のベスト盤”みたいな謳い方になると、やっぱり最近のものより古い楽曲を選びがちになりますよね。初期っていうのは、今思えばDIMENSIONのサウンドの根幹を作り出しているころで、一番勢いよく曲を作っていたと思います。

--DISC 1のオープニングを飾るM-01「Beat #5」(DISC 1)などは、まさにそうした勢いを感じさせる楽曲ですよね。

勝田一樹:今のDIMENSIONの位置を決めるような、方向性を示すような1曲ではありますね。『Second Dimension』くらいから、今に通じるものがワサワサッと出てきて……、デビューしてから5~6年の間はそうだったのかな。

--また、本作ではM-04「Break Out」(DISC 1)でベースを別テイクに差し替えたりと、既存曲から変更した点もあると伺いました。

勝田一樹:当初は青木智仁さんのテイクを録音していたんですけど、レコード会社同士の事情などが色々あって使えなくなっちゃって、涙を飲んでベースだけ打ち込みにしてリリースしたんですよ。でも、今となってはその辺りもクリアになったので、今回は青木さんのテイクを使わせてもらいました。

完成したなんて微塵も思っていない

--他の曲もミックスやマスタリングは変更したのでしょうか。

勝田一樹:Ballad Bestに収録されている曲以外は全部やり直しましたね。現在の技術と音の傾向で聴いてもらえる作品になっていると思います。

--そうした作業を通して見つける新たな発見はあるのでしょうか。

勝田一樹:個人的には、まだまだ若い部分が色濃く残っていると感じたたりもするし、当時は“もっと上手くならなきゃ”って常に思ってたけど今聴くとかわいいですね。下手は下手なりにがんばってたんだなって(笑)。

--リスナーからすれば初期からすごいですよ(笑)。

勝田一樹:僕もリスナーとして、すごく好きで聴いてる偉大なサックス・プレイヤーの曲が30年とか50年前の録音だったりするけど、その当時本人たちがどう思っていたかというと、たぶん“もっと煮詰めてやらなきゃ”とか“ここで止まってるわけにはいかない”とか、完成したなんて微塵も思っていないわけで。それは自分にも当てはまります。

--数年前に初めて聴いた曲をこうして改めて聴き直してみると、新たな発見が多々あって驚かされました。

勝田一樹:この手の音楽はパッと聴きで伝わるというより、聴き慣れてくることで聴こえてくる部分が増えてくる音楽でもあると思います。それぞれに経験を積んだ後に改めて聴くことで、“こういう曲だったんだな”ってフレッシュに感じられることはあるかもしれないですね。

--DIMENSIONはかつてライブ盤の『Sixth Dimension“LIVE”』から『SEVENTH DIMENSION』、そしてAORがテーマというコンセプチュアルな『Eighth Dimension』と、アルバム作品を3か月連続で立て続けにリリースしたこともありました。

勝田一樹:あのころは、グループとしての活動の仕方が何となく見え始めた時期ですね。ライブも動員が増えて行って、その勢いをパッケージにしたというのと、1枚1枚を別々に作っていたわけではないんですよ。とりあえずドンドン曲を作っていって、サウンドや方向性でそれぞれに振り分けて、3枚のアルバムとしてリリースした……っていうことだったと思いますね。

ただ、ミュージシャンとして自分たちの音楽を提示できる機会だから、確かにありがたいことでしたし、業界が活動的だった時代に良いチャンスをもらえましたね。

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DIMENSION「Best Of Best 25th Anniversary」

Best Of Best 25th Anniversary

2017/04/26 RELEASE
ZACL-9095/6 ¥ 3,850(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Beat #5
  2. 02.Are You Gonna Win?
  3. 03.Yellow Sunshine
  4. 04.Break Out
  5. 05.Se.le.ne
  6. 06.Stella
  7. 07.Lost in a Maze
  8. 08.Daydream
  9. 09.Go Up Stream
  10. 10.Jazz Cigarette
  11. 11.M.S.F.B
  12. 12.Lazy Dog

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