Special
トータス × デヴェンドラ・バンハート オープンレター・プロジェクト
アーティストやクリエイターがお互いにメッセージを送り合うオープン・レター・プロジェクト。今回は2017年5月にビルボードライブで来日公演を行うポスト・ロックのパイオニア、トータスのダン・ビットニー(パーカッション)と、“フリー・フォーク・ムーヴメント”のアイコン、デヴェンドラ・バンハートが登場し、お互いの近況や音楽についての印象まで語ってくれた。
Greetings Devendra,
僕はインストゥルメンタル・ロック・バンド、トータスのメンバーで、マルチプレイヤーでもあり即興詩人、作曲家、そして教育者。このBillboard JAPANのオープンレター企画を一緒に出来て嬉しいよ。
今、この手紙をシカゴのハンボルト・パークにある自宅から書いているんだ。ちょうどトータスのツアーが終わったところで、ここ数週間は家で過ごせているよ。この前のツアーのハイライトのひとつは、メキシコシティで開催された【NRMALフェスティバル】でサイキックTVのステージを観れたことと、マイアミでイギー・ポップに会えたことかな。
来週はショート・ツアーでカリフォルニアに行くよ。だから、今こうして家族で過ごせる時間や自分のベッドで眠れることに幸せを感じるんだ。
そういえば今日、近所の家の目の前の大きな木が、市役所の人に切り倒されていてね。この木は何年生きたんだろうと思って年輪を数えたんだ。38まで数えたところでちょうど隣人が出てきたから、この木の年齢が分かるか聞いたんだけど、彼女も知らなかった。だからまた年輪を数え直してみたら、自分の年齢と全く同じだったんだよね。
君は普段はどんな音楽を聴いているの?
シカゴでショーをしたみたいだけど、どうだった?何か面白いエピソードはある?
君のミュージック・ビデオをいくつか見たけど、すごく気に入ったよ。君の音楽がどこから影響を受けたかも気になるね。君はアーティストとして、限界を押し広げる責任があると感じる?
君の音楽を聴くと、美しさを残したままの抽象的な古いブラジリアン・ポップを聴いているようだ。
カエターノ・ヴェローゾ、ジョージ・ハリスン、アーサー・ラッセルの影響を受けているようにも聞こえる。
何がきっかけで音楽を始めようと思ったか覚えてる?
Looking forward
Dan Bitney
▲Tortoise - Rock On
Irasshaimase Dan-San !
いきなり、トータスでデヴィッド・エセックスの「Rock On」をカバーしているんだね!ああ、もう最高だよ。カバーしてくれてアリガト!すごくいい曲だよね、プロダクションも本当に完璧!
この曲を聴くと、TVドラマ『Baywatch』を見たときの鮮明な思い出が蘇ってくるよ。その中で、主人公のデビッド・ハッセルホフ演じるミッチ・ブキャナンが、息子の初めてのリサイタル(?)に間に合うか、凄く不安な心境のシーンがあって(結果的に間に合うんだけど)、その時に息子が「Rock On」を歌うんだ。そのドラマの中では、あたかもその息子が作曲したかのように見せていて、そこにいた観客は感動させられるんだよ。もし、この話を読んで、YouTubeにあがっている90年代のつまらないテレビ番組の動画を色々見る気にさせてしまったなら、『ビバリーヒルズ高校白書』に出てくるブライアン・オースティン・グリーン演じるデビッド・シルバー の歌う「Be my love」は見てみて欲しいな。良い意味で、ぞくっとさせられるよ!
それと、「The Clearing Fills」もとても美しい曲だね。この曲名は、僕の庭を思い出させるよ。庭に空いたスペースがあったから色んな植物の種を撒き散らして、どうなるか観察したんだ。そしたら、実際に色んな植物が生えてきたよ!ケール、セージ、ルリジサ、ルッコラ…空いてたスペースが埋まったんだ。
切り倒された木があなたと同じ年齢だったことについてだけど、木にとっての転生(生まれ変わり)は僕たちとは違った意味を持つのかもしれないね。僕たち人間が生まれ変わるときはもっと人間らしくなるように、もしかすると木は伐採された時にもっと木らしく生まれ変わっているのかもしれない。
「Yonder Blue」ではジョージア・ハブリーとフィーチャーしたんだね。僕は彼女の歌声が大好き。本当に素晴らしい曲だよ!
この前のシカゴでのショーはすごく楽しかった。あの会場は実際に音楽をやっていて、過ごしやすい楽屋がどんな場所が知っている人たちが運営してるみたいだね。
ショーをするのに適している場所についてだけど、トータスも5月にビルボードライブで来日公演があるんだね!「日本ですべき3つのこと」は何だと思う?
僕たちは公演が終わったら、鎌倉と江の島に行こうと思ってるよ!一度も行ったことが無いから、ものすごく(怖いくらい)楽しみにしてるんだ!
Blessings to thee!
Yer new pen pal , Devendra
▲Devendra Banhart - Saturday Night (Official Video)
プロフィール&来日公演情報
デヴェンドラ・バンハート
“フリー・フォーク・ムーヴメント”のアイコンにして流浪のアウトサイダー。2000年代初頭、スワンズのマイケル・ジラやジョアンナ・ニューサム、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズといったアーティストとの関わりの中で頭角を表わすと、2005年に名盤『クリップル・クロウ』をリリース。以降も、浮遊感をまとった歌とギターを中心とした柔らかなサイケデリック・サウンドをベースに、自身の音楽性を独自の方向に深化させてきた。2013年にはUSの名門レーベル、ノンサッチに移籍。2016年には、同レーベルから2作目となる『エイプ・イン・ピンク・マーブル』をリリースしている。
2017/5/8(月)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>詳細はこちら
ビルボードライブ東京:
2017/5/10(水)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
>>詳細はこちら
BAND MEMBERS
デヴェンドラ・バンハート / Devendra Banhart(Vocals, Guitar)
ラッキー・レミントン / Luckey Remington(Bass)
ロドリゴ・アマランテ / Rodrigo Amarante(Guitar)
ノア・ジョージソン / Noah Georgeson(Guitar)
グレッグ・ロゴ-ヴ / Greg Rogove(Drums)
トータス
ポスト・ロックのパイオニアとしてサウンド追求の旅を続けるシカゴ出身バンド。1990年、ジョン・マッケンタイアを中心に結成。1994年にアルバム『トータス』でデビューを果たした。ジャズ、ロック、ダブ、エレクトロニカ、ミニマリズムなど様々な音楽的要素を交配したインストゥルメンタル・サウンドで、“シカゴ音響派”と呼ばれた独自の音楽コミュニティを牽引。1998年の3rdアルバム『TNT』では、ハードディスク・レコーディングを採用し、その後のシーンに大きな影響を与えた。2016年には最新作『ザ・カタストロフィスト』をリリース。シーンの重鎮としての地位に飽き足らず、持ち前の実験精神を支柱に活動を続けている。
2017/5/15(月) & 17(水)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
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ビルボードライブ大阪:
2017/5/19(金)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
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【GREENROOM FESTIVAL ‘17】
2017/5/20(土) - 21(日)
横浜赤レンガ地区野外特設会場
※Tortoiseは2日目、5/21(日)に出演
>>詳細はこちら
BAND MEMBERS
ダン・ビットニー / Dan Bitney (Percussion)
ジョン・ヘーンドン / John Herndon (Percussion)
ダグラス・マッカム / Douglas McCombs (Bass)
ジョン・マッケンタイア / John McEntire (Keyboards)
ジェフ・パーカー / Jeff Parker (Guitar)
関連リンク
Devendra-San,
僕たちの「Rock On」について褒めてくれてありがとう。この曲はベーシスト、音楽制作オタクにとってのアンセムなんだ。ちょっと不気味な曲でもあるけど。君が言ってたブライアン・オースティン・グリーンの動画を見たよ。ワオ!ささやくような歌声にキーボードがマッチしていて凄くよかった。
YouTubeについてだけど、バンドのメンバーの一人が君がスケートボードをしている動画(Devendra Banhart Learning To Shred)を見つけてきたんだ。すごく感激したよ!スケーターとしての自分から見た君のスタイルに感心させられた。色んなトリックに挑戦してるのに、挫折もしなければ怪我もしてない。あれは君にとって初めての挑戦だったようだけど、それにしてはすごい良いバランス感覚とユーモアのセンスも持ち合わせてるね。
僕もスケボーが大好きなんだけど、転んだときに僕の“ココナッツ”を痛めるんじゃないかと心配してるんだ。
スケボーは君にとって仕方なくやってみたこと?それとも熱中して出来た?
種を撒く話、気に入ったよ。自分で育てた食べ物をシェアするのは気持ちがいいことだよね。僕は日本の庭が大好きなんだ。京都に数日間行ったことがあって、そのときは信じられないほど美味しい料理を食べて、あとは観光もしたよ。金閣寺が一番のお気に入り。
鎌倉も面白そうな場所だよね。もし鎌倉に行くなら、まずハイキングにいって、それから懐石料理を食べて、その後に大仏を見にいく流れにしたいな。
君はどの日本食が一番好き?
僕たちトータスは、またビルボードライブで公演が出来ることを本当に楽しみにしているよ。いつも本当に楽しい時間を過ごせているんだ。
シカゴでのショー、それからその快適な楽屋が気に入ったみたいでよかったよ。
最初の手紙を書いたあと気付いたんだけど、ちょうど僕が君に手紙を書いているときに、君はシカゴでショーしていたんだよね。これって偶然の出来事だと思う?それとも目には見えない何かしらの繋がりがあったのかな?
Thank you,
Dan
▲Tortoise - Gesceap (Official Audio)
Dear Dan,
今日、ドライブ中にあなた達の素晴らしい音楽を聴いていて気付いたんだけど、もう本当に最高な気分だったよ。車のフロントガラスに向かって葉っぱが舞い落ちて来て、木が左右に揺れていてね、サンタアナの風がやってきたんだ。山の斜面から吹いてくるその乾燥した風のせいで、みんな変な気分にさせられるっていうけど…その風はとても良いイオンを運んでくると言っている人もいるよ。
僕は日本食なら何でも好きなんだ。時々、家で自分なりにハイブリットさせたひどい日本食を作るんだ。でも、ごくまれに上手くいくときもあるよ。ちなみに昨日はこんな感じ。
餅、2つ
ベビー・パクチョイ、ほうれん草、ケール
柔らかいゆで卵、2個
細切りにした水戻し昆布
それの上に、みりん、酵母フレーク、味噌、たまり醤油、生姜をミックスして作ったドレッシングをかけて、お皿の横には梅を置いておく。塩気がほしいときにその梅を一緒に食べるんだ。
ほとんどの場合、全然美味しくないんだけどね。自炊をそんなにするわけでもないから。でも時々、美味しくできた!って時もあるよ。
僕は色んな料理を食べてみることも好きでね。「このメニューの中で一番変わったものを下さい」っていうふうによくオーダーしていたんだけど、“the Death Fish”が出されたときから、その注文の仕方はやめたんだ。だってまだ生きている魚が僕の目の前に出されたんだよ。僕はその魚の目を見て「君はまだ準備が出来てないから、そっとしておくよ」って思わず言っちゃったんだ。
ちなみに今は、蜂の子の缶詰が気になってる。(ピーター・メンツェルとフェイス・ダルイシオが著者の「Man Eating Bugs」という本に日本の珍味として紹介されていたんだ。)
でも、それが懐石料理の中に出てくるとは思わないけどね!
あなたがお勧めしてくれた鎌倉での過ごし方、やってみようかな!グラシアス!
あ、それから今度一緒にスケボーしよう!
and may Bhaisajyaguru smile upon thee...
Yer old pen pal , DB
▲Devendra Banhart - Middle Names [Official Audio]
プロフィール&来日公演情報
デヴェンドラ・バンハート
“フリー・フォーク・ムーヴメント”のアイコンにして流浪のアウトサイダー。2000年代初頭、スワンズのマイケル・ジラやジョアンナ・ニューサム、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズといったアーティストとの関わりの中で頭角を表わすと、2005年に名盤『クリップル・クロウ』をリリース。以降も、浮遊感をまとった歌とギターを中心とした柔らかなサイケデリック・サウンドをベースに、自身の音楽性を独自の方向に深化させてきた。2013年にはUSの名門レーベル、ノンサッチに移籍。2016年には、同レーベルから2作目となる『エイプ・イン・ピンク・マーブル』をリリースしている。
2017/5/8(月)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
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ビルボードライブ東京:
2017/5/10(水)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
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BAND MEMBERS
デヴェンドラ・バンハート / Devendra Banhart(Vocals, Guitar)
ラッキー・レミントン / Luckey Remington(Bass)
ロドリゴ・アマランテ / Rodrigo Amarante(Guitar)
ノア・ジョージソン / Noah Georgeson(Guitar)
グレッグ・ロゴ-ヴ / Greg Rogove(Drums)
トータス
ポスト・ロックのパイオニアとしてサウンド追求の旅を続けるシカゴ出身バンド。1990年、ジョン・マッケンタイアを中心に結成。1994年にアルバム『トータス』でデビューを果たした。ジャズ、ロック、ダブ、エレクトロニカ、ミニマリズムなど様々な音楽的要素を交配したインストゥルメンタル・サウンドで、“シカゴ音響派”と呼ばれた独自の音楽コミュニティを牽引。1998年の3rdアルバム『TNT』では、ハードディスク・レコーディングを採用し、その後のシーンに大きな影響を与えた。2016年には最新作『ザ・カタストロフィスト』をリリース。シーンの重鎮としての地位に飽き足らず、持ち前の実験精神を支柱に活動を続けている。
2017/5/15(月) & 17(水)
1stステージ開場17:30 開演19:00
2ndステージ開場20:45 開演21:30
>>詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:
2017/5/19(金)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>詳細はこちら
【GREENROOM FESTIVAL ‘17】
2017/5/20(土) - 21(日)
横浜赤レンガ地区野外特設会場
※Tortoiseは2日目、5/21(日)に出演
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BAND MEMBERS
ダン・ビットニー / Dan Bitney (Percussion)
ジョン・ヘーンドン / John Herndon (Percussion)
ダグラス・マッカム / Douglas McCombs (Bass)
ジョン・マッケンタイア / John McEntire (Keyboards)
ジェフ・パーカー / Jeff Parker (Guitar)
関連リンク
エイプ・イン・ピンク・マーブル
2016/10/19 RELEASE
WPCR-17503 ¥ 2,640(税込)
Disc01
- 01.ミドル・ネームズ
- 02.グッド・タイム・チャーリー
- 03.ジョン・レンズ・ア・ハンド
- 04.マラ
- 05.ファンシー・マン
- 06.フィグ・イン・レザー
- 07.ライム・グリーンの服を着た台湾の婦人のテーマ
- 08.スーベニール
- 09.哀悼者の踊り
- 10.土曜日の夜
- 11.リンダ
- 12.幸運
- 13.祝祭
- 14.エヴィクション・パーティー (日本盤のみボーナス・トラック)
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