Special
大塚 愛『LOVE HONEY』インタビュー
歌うことの楽しさも取り戻した大塚 愛による、待望の新アルバム『LOVE HONEY』完成。
サバイバル化が進む音楽シーンにおける彼女の生き方。そして本音と夢。
「歌えるって素晴らしい!」みたいな感覚になって。「私」の存在も大きかった。
--シングル『私』リリースタイミングのインタビュー(http://bit.ly/2nD1K7d)以来2ヶ月ぶりとなりますが、この間にはビルボードライブでのピアノ弾き語りライブ【AIO PIANO vol.4】がありましたね。僕も拝見させて頂いたのですが……
大塚 愛 ai otsuka feat. Lyric speaker / スターターピストル
--本当に観ましたよ(笑)。本人的にはどんなライブになったと感じていますか?
大塚 愛:疲れました。なんかすごい疲れたんですよね~。【AIO PIANO】自体が4回目ということもあって「そろそろちゃんとしなきゃいけない」気分だったんですよね。その肩に力入る感じがすごく疲れた。あと「2daysなんて無理だよ」と言っていたんですけど、やっぱり無理だった。--大塚さん、今のところ愚痴しか言ってませんよ(笑)?
大塚 愛:無理だった! 疲れちゃった! 弾き語りって1曲1曲が本当に……「1曲やって死んで、また生き返って1曲やって死んで」みたいな感じなんですよ。一気入魂? 一発入魂?--一球入魂。
大塚 愛:あー、それ! ハハハハハ! だからすごく疲れちゃって。--今までの【AIO PIANO】はリラックスしてやれたけど、今回はそれだけ神経を研ぎ澄まして臨んだということですよね?
大塚 愛:1,2回目はまだ「どうなるんだろう?」というワクワクした気持ちがあって、例えば「次はこうやってみよう」とか新鮮な気持ちを引きずったまま出来るんですけど、4回目って「そろそろちゃんとしないと本当に怒られそうだな」という……--そのわりにはビルボードライブ東京から見えるスケートリンクの実況したりとか、だいぶ砕けた感じもありましたよね(笑)。
大塚 愛:そこに癒しを求めてました。スケートリンクの「なんでみんなあんなにグルグルグルグル回ってるんだろう」という情景が緊張感を崩してくれた(笑)。--でも本当に一球入魂の連続でしたよね。「Cherish」があれば「LOVE LETTER」もあって、おでんみたいな夫婦をピアノソロで描いたと思えば、安藤裕子さんに提供した「Touch me when the world ends」も自ら歌って涙を誘い、新曲「私」も弾き語りで。前回のインタビュー(http://bit.ly/2nD1K7d)で「歌う」ことに対して懐疑的になっていると仰っていましたが、あの日のライブは「歌う」ことに思いっきり挑んでいっているようにも感じ取れました。
大塚 愛:その【AIO PIANO vol.4】の後にたしか体調を崩したんですよね。それで「しんどいなぁ」と思っていて、そこから無理矢理体調を回復した先に歌うことがあったんですけど、しばらく歌っていなかったことで気持ちも回復していたみたいで、久しぶりに歌ったときに「ちょっと楽しい」って思えたんです。--そうなると【AIO PIANO vol.4】は「歌う」ことに対して懐疑的だったフェーズの最後のライブになる訳ですが、そこで安藤裕子さんに提供した「Touch me when the world ends」を歌ったことが意外でした。言うならば、大塚さんが「私、なんで歌ってるんだっけ?」と思ったきっかけの曲でもあった訳じゃないですか。
大塚 愛:あのライブではトミタ栞ちゃんに提供した曲も歌ったんですけど、栞ちゃんに提供した曲は歌詞も私が手掛けてるから、100%自分と繋がってる感があって。でも安藤さんに提供した曲は歌詞を書いてもらってるから、なんとなく……「互いの血を分け合った」みたいな。べったりと云うよりは、半分繋がってないんだけど半分繋がってる感じ。その謎のハーフ感があって、逆に歌うのが楽しかったというか、自分の曲じゃないんだけど、自分の曲を歌っているような……カバーとオリジナルの中間みたいな、五分五分な気持ちで歌えたことが面白かった。ただ、安藤裕子のモノマネにはならないよう気をつけました(笑)。どうしても彼女のイメージがあるから引っ張られそうになるんですよね。--自分はあの日の「Touch me when the world ends」に涙しました。
大塚 愛:本当ですか? タマネギ食べたんですか?--食べてません(笑)。あと、おでんみたいな夫婦をイメージしたというインストナンバーも印象的でした。
大塚 愛:あの曲は……1,2年前に作っていたものがあって。で、なんとなく【AIO PIANO】で前年からインストの曲を披露するようになって、その流れで今回はすでに作っていた素材を使いつつ、人に聴かせる形に仕上げるときに「おでんみたいな夫婦」をテーマにしようと思ったんです。--そもそもなんでインストに手を出そうと思ったんですか?
大塚 愛:元々サントラが好きで「サントラやりたいなぁ」というところから……せっかく【AIO PIANO】ではひとりでピアノ弾いているし、それで歌が好きじゃないんだったら「うってつけだ」と思って!--もう「歌が好きじゃない」モードではないんですよね!?
大塚 愛:そうですね(笑)。具合が悪くなって歌えない期間があると「健康って素晴らしい!」みたいな感じで「歌えるって素晴らしい!」みたいな感覚になって。あと、2月にシングルリリースした「私」(ドラマ木曜劇場『嫌われる勇気』主題歌)という曲の存在も大きかったです。去年バタバタと作っていたから自分の中で消化する前に提出しなきゃいけなくて、良いか悪いか分からないまんま、不安なまんま過ごしていたんですけど、その曲に自分の背中を押される瞬間があって。そのときに「良い曲だな」と思って「あー、よかった」みたいな。--「私」のどんなところに背中を押されたんですか?
大塚 愛:ドラマ『嫌われる勇気』が最終回に向かっていくにあたって、主人公にどういうことがあったかとか、自分が知らないで曲を書いていた部分がだんだん露わになってきて、私が想像で書いていた部分が「実際に合っていたかどうか」答え合わせをしていくことになったときに、なんとなく「あ、合ってたんだな」ということから「私は彼女の生き方に教えてもらうこともあった」と気付いたというか……--「私」に彼女の生き方が重なり合って戻ってきた?
大塚 愛:重なり合って、私に教えてくれた感があった。--不思議な体験ですね。
大塚 愛:そうですね。--では、前回のインタビュー(http://bit.ly/2nD1K7d)で言っていた「歌わない」とか「転職する」みたいな気持ちにはもうならない?
大塚 愛:いや、今、駐車場経営をしようと思って土地探してます。--え、駐車場経営を目指すことにしたんですか?
大塚 愛:そうですね!一同:(爆笑)
--前回は「転職する」と言っても具体案はなかったですけど、ひとつ候補が出てきちゃってるじゃないですか(笑)。
大塚 愛:やっぱり駐車場経営がいちばんイケてるんじゃないかと思って。--どのあたりに魅力を感じたんでしょう?
大塚 愛:アハハハハ! えーっと、まず私が表に出なくていい。--まぁ任せておけばいいですからね。何なら無人でもOKですからね。
大塚 愛:そこがやっぱり……魅力(笑)?--その間、大塚さんは何やってるんですか?
大塚 愛:そうですねぇ……映画観ようかな?--凄いですね。これだけいろんなものを生み出してきた人が、途端に何も生み出さなくなる(笑)。
大塚 愛:でも最近、自分がピアノを弾いて、子供たちが歌うっていう。そんなことがあったりすると、自分が弾いたものに対して誰かが歌ってくれるのって「ちょっと幸せだな」と思ったりなんかして。それは安藤裕子さんのライブ(http://bit.ly/2kRFjc4)に出たときの話と繋がるんですけど、その形はやっぱり楽しいんですよね。だから……やっぱり歌わなくていいのかなぁ?--また振り出しに戻った! 自分でも歌って、それもやればいいじゃないですか!
大塚 愛:でも「子供たちにピアノを教えるのも面白いな」と思ってしまって。--ピアノの先生の言うこと聞かずに生きてきた大塚さんが?
大塚 愛:楽譜読めないのにどうやって教えるんだろう(笑)。--でも自分のピアノで誰かに歌ってもらうのが楽しいんですね。
大塚 愛:やっぱりすごく楽しい。それもあって「音楽がすごく好きだなぁ」というところには今います。--ちなみに、安藤裕子さんのときみたいに「私のこういう曲をこの人に歌ってほしい」と思う人って今いるんですか?
大塚 愛:既存の曲は自分で歌っちゃってるんでアレなんですけど、数日前にふと平原綾香さんから「「サクラハラハラ」良かったよ」ってメールが来て。それで「じゃあ、あーやさ、私の曲、今度歌ってね」と言ったら「ぜひ歌いたい」と言ってくれたんで、「じゃあ、朝ドラで」って返しました。--朝ドラの主題歌ってこと?
大塚 愛:そうそう!--条件付き(笑)。
大塚 愛:「朝ドラの主題歌、獲ってきて」って。なんかピッタリいったんですよ!「あ、あ、これだったらイケる! 朝ドラなら作れる」って(笑)。--そんな中、大塚さん自身のアルバム『LOVE HONEY』がリリースされます。ここに至るまで紆余曲折ありましたが、無事に8枚目のアルバムを完成させられたことにはどんな感慨を持たれていますか?
大塚 愛:「やっと8枚目か」って。周りのアーティストさんを見ると「私、遅いのかな」って……ま、人それぞれのペースだからアレなんですけど、私も5枚目まではポンポンポンって出してきて、でも6枚目から結構じっくりじっくり作るようになってきて。だから「あ、やっと8枚目まで来た」って思いましたね。- 同じものを「好き」と言ってくれた……ちょっとおかしな人たち(笑)
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リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
LOVE HONEY
2017/04/12 RELEASE
AVCD-93667 ¥ 4,620(税込)
Disc01
- 01.HONEY
- 02.私
- 03.QueeN
- 04.TOKYO散歩
- 05.サクラハラハラ
- 06.HEART BREAK
- 07.モノクロ
- 08.make up
- 09.FrogFlag
- 10.HEY!BEAR
- 11.スターターピストル
- 12.日々、生きていれば
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