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井上実優『Boogie Back』インタビュー



井上実優 『Boogie Back』 インタビュー

武道館でのワンマンは絶対叶えたい。
そして出来ることならば国外にも出ていきたいし、
クリスティーナ・アギレラに知ってもらいたい―――

 1997年生まれ、福岡出身。音楽塾ヴォイス発の大型新人アーティスト。デビュー前から日本武道館で人生初ステージを経験する等、大きな注目を集めていた井上実優が、いよいよアニメ『ドラゴンボール超』EDテーマでもあるシングル『Boogie Back』でデビューを果たす。何をするにも「きっとダメだろう」と動けずにいた女の子が、歌と出逢って自らの世界を変えてみせたストーリー。ぜひご覧ください。

歌とは本当に向き合ってきたなと思います。そこは一本突き通してきた―――

--メジャーデビューを間近に控えた今、どんな心境ですか?

井上実優『Boogie Back』インタビュー

井上実優:少し前までは実感も湧かずに「このままの状態でデビューできるのかな?」という不安しかありませんでしたが、デビュー作のCDパッケージのサンプルを見たり、オフィシャルサイトが立ち上がっていくにつれて実感が湧いてきて。ただ、最初にCDジャケットを観たときは「誰?」と思い(笑)、少し時間を置いてから「あ、私か」となりました。CDに収録されている曲も「自分の曲なんだな」と思ったり、だんだん楽しみになってきています。

--ちょっと前までは「楽しみ」という感覚にはなれなかった?

井上実優:そうですね。怖かったです。私が尊敬しているアーティストの方や、音楽シーンで活躍されている方々を見ていると「この人たちと同じフィールドに立てるだけの実力が自分にあるのかな?」と考えたり、歌い続けることだけはやってきたつもりですけど、こうしてインタビューで喋ることや、写真やミュージックビデオで撮影されることは絶賛勉強中なので、そういうことも私はきちんとこなしていくことが出来るのか怖くて。音楽の世界でデビューするということは、音楽だけをやっていればいい訳ではないので、大変な世界だなと思いました。

--自分では、井上実優をどんな女の子だと思いますか?

井上実優:一言で言うとネガティヴ、神経質。さっきの「怖かった」っていう話もそうですけど、もっと明るく捉える術はいくらでもあると思うんですよ。でも私は第一に「失敗したらどうしよう、こうなったらどうしよう?」というマイナスな面ばかり考えてしまう。歌を本格的に始める前から人見知りだったし、あんまり上手く自己主張が出来なくて、自分の中で実行する前から「きっとダメだろうな」と勝手に決めつけてしまって、それで結構やらなくて損してきたこともたくさんあったかなって。

--アクション起こせばいいのにそれが……

井上実優:出来ない。考えすぎているうちにチャンスを逃してしまうことはよくあったと思います。

--では、アーティストとしての井上実優はどんなアーティストだと思います?

井上実優:アーティストとしては……そういうネガティブな面も今はまだ垣間見えてしまっていて、切り替えが上手くできない部分はあるなと思いますけど、歌に対しての一途な気持ちはあるつもりというか、歌とは本当に向き合ってきたなと思います。そこは一本突き通してきたところだと思います。

--何をするにも「きっとダメだろう」と動けずにいた女の子が、なんで歌に対してだけは突き進んでいくことが出来たんでしょうね?

井上実優:それは本当に歌のおかげというか、歌を続けていくにつれてだんだん性格もオープンになっていきました。人前で歌っていく以上は声を出さなければ話にならないし、そうやって誰かに見られて歌うことを続けることで、だんだん喋れるようになりました。社交性が生まれたというか。それは本当に歌のおかげだと思います。

--そもそもなんで「歌いたい」と思ったんですか?

井上実優:最初は本当にこの性格の通り、全然人前に出たくないタイプだったので、自分としてはこういう世界に入るつもりは全くなかったです。でも親が「可能性があることは何でも子供にやらせたい」という方針だったので……私自身は歌が好きでも知らない人の前で聴かせたい気持ちは全くなくて、せいぜいカラオケで自分が満足できるぐらい歌えればいいかなと。でも親は「人に観てもらいたい」って気持ちがあったみたいで、勝手にオーディションに応募されました(笑)。人前で歌うことになったきっかけはソレですね。私としては最後まで「イヤだ!」って感じでしたが、でもそれがなければ今ここにいないので、今となっては強引に応募してくれて感謝してます。

--それはいくつぐらいの出来事?

井上実優『Boogie Back』インタビュー

井上実優:小5の途中ぐらいですね。その頃に親が勝手に応募し出して「これに出るよ」「いや、出ない!」みたいな(笑)。でも日がどんどん近づいてきて「出ないわけにもいかないか」となって一応練習をし始める。

--その頃はどんな音楽を聴いていたんですか?

井上実優:本格的に歌を練習し始めるまでは、特に固定の尊敬しているアーティストは居ませんでした。例えば親が車とかでかけていた音楽やテレビから流れてくる最新のヒット曲を聴いていただけなので、特に拘りはなかったです。aikoさんやMr.Childrenさんなど当時から有名だったもの。あと、自分の世代的にはmihimaru GTさんも聴いてましたね。

--井上実優さんのFavorite Artistsを拝見したら「クリスティーナ・アギレラ /アリアナ・グランデ / マルーン5 / 福原美穂 / Superfly / 秦 基博 / 米津玄師」と書かれていたんですが、これらはその後にハマっていったんですか?

井上実優:3,4年後ですね。それまで洋楽なんて1曲も聴いたことがなかったのですが、音楽塾ヴォイスに入ってから聴くようになりました。ヴォイスは洋楽に重きを置いているところなので、まずは名曲中の名曲、例えば「レット・イット・ビー」のコード進行をピアノで覚えて、歌も覚える。そこから洋楽をどんどん知っていく中でクリスティーナ・アギレラは本当に感銘を受けて、格好良いと思って動画とか観ながら研究していって……

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「実優ちゃんは1ヶ月後に武道館に立ちます」と言われて(笑)。

--アギレラのどんなところに魅了されたんですか?

Christina Aguilera - Ain't No Other Man
Christina Aguilera - Ain't No Other Man

井上実優:すべてです! 歌声の力強さにも惹かれましたし、ライブがもはやライブと云うよりショーなんですよね。ダンスも素敵だし、すごくセクシーだし、とにかく魅力がたくさんあるなって。それで「自分もこんな風になりたい!」と思い、曲も覚えて、アギレラの曲で練習もしていました。声的にも「合ってるね」と言われて、それが嬉しくて「ちょっとでも彼女に近づきたい」という想いがどんどん芽生えていって。なので、彼女にはすごく影響を受けています。

--話は前後しますが、小学校6年生で出場した【唐津ジュニア音楽祭】にてグランプリにあたる西尾芳彦音楽賞を受賞。

井上実優:それも親が勝手に応募したのですが(笑)、まだ人前で歌うことには抵抗があって逃げ回っていました。でもその頃には親の影響で福原美穂さんを「この人良いな」って聴くようになっていて、だから【唐津ジュニア音楽祭】に出るなら福原美穂さんの曲を歌おうと思って、そこできちんと練習して「LOVE ~winter song~」を歌わせて頂きました。

--手応えはあったんですか?

井上実優:いや、もうそのときは本当に緊張していて、ロボットみたいな動きしか出来ないし(笑)、喉もガチガチで、笑顔のひとつも見せられなくて、もうほとんどステージ上のことは覚えてないぐらいの状態だったので、私も親は「あー、これはダメだな」と思っていました。でも西尾さんからグランプリを頂いたので、家族一同で「えぇー!?」って驚いて。それで「ぜひ入塾してください」と言われて、そこからヴォイスに通い始めることになりました。

--ヴォイスではどんな日々を送っていたんですか?

井上実優:本当にゼロからのスタートだったので、基礎中の基礎から学びました。発声から始めて、ギターもピアノも触ったことがなかったので「コードはこうでこう」の様な弾き方から覚えたり。あと、邦楽や洋楽の名曲をひたすら聴きながらメロディーや歌詞を分析して、それに慣れてきたら、大体の曲って2番までじゃないですか。そこにオリジナルで3番の歌詞を足すとか。この曲に3番があったとしたらどんな展開になるのか自分で考えて書いてみる。最初のうちはそういったことをひたすらやってました。

--そこからどういう段階を踏んでいくんですか?

井上実優:だんだんレベルの高いことを要求されるというか、それまでは「これをやってください」と言われたことをやるだけでしたが、自分で何でもやってみる。曲の進行を考えてみたり、パフォーマンスでどういう表情を見せるか考えたり、どういう声の出し方をしたらいいか考えたり。その期間が結構長くて、一番大変でしたね。

--そんな中、なんとデビュー前に日本武道館で人生初ステージ(2016年7月)に挑戦。どうしてこんなミラクルヒストリーを歩むことに?

井上実優「I will be your love」 日本武道館ライブ映像 2016.7.29
井上実優「I will be your love」 日本武道館ライブ映像 2016.7.29

井上実優:普通は修行時代に路上ライブだったり、小さいライブハウスなどでステージを経験すると思うんですよ。だから私も路上ライブで度胸をつけておいたほうがいいと思って、それを自分から(プロデューサーに)伝えたことがありましたが、それはイカンと言われて。その理由としては、地元・福岡の天神とかでライブをすれば人は集まるかもしれないけど、その狭い範囲で「私は天神でいちばん上手い」と満足してしまうようなことになったら、そこで成長が止まってしまうから。もっと大きいステージを目指すべきだから、そんなところで歌っている場合じゃない。それで「そうか」と思ってステージに一切立っていなかったのですけど、上京して去年の6月ぐらいにマネージャーから「実優ちゃんは1ヶ月後に武道館に立ちます」と言われて(笑)。絶対ムリだと、すごく自信がなかったけど、でも「もうやるしかない。今までやってきたことを信じよう」と。披露する曲が福岡で作っていたオリジナル曲だったので、それをひたすら歌いこんで。

--メジャーデビューシングル『Boogie Back』の3曲目に収録されているバラード「I will be your love」ですよね。

井上実優:そうです!

--どうだったんですか? 初の武道館は。

井上実優:武道館に立つ1週間前ぐらいはブルーな気持ちが凄くて、親とか友達にも「絶対ムリだ」って愚痴ばかりこぼしていましたが、それを通り過ぎたら逆にふっ切れてきて。マイナスなほうの緊張と云うより、ゾクゾクする感じのほうが強くなって「これはいけるかもしれない」と思うようになり。だから当日は「来た来た!」と高揚している感じでした。最後の最後までマイナスなほうの緊張でメンタルもやられるようだったら、自分は人前で歌うことに向いていない訳で、そこで自信を無くしていたと思いますが、武道館という大きなチャンスを頂いて、そういうプラスな方向での捉え方が出来たというのは、その日一番の収穫だったと思いますね。

--いつか自分のワンマンライブでも武道館に立ちたい?

井上実優:人生初ステージの武道館はたまたまチャンスをもらえただけなのですが、これからは自分の力でお客さんを呼んで武道館ワンマンが出来るようになりたいと、本当に強く思っています。

--そして2017年4月にメジャーデビュー。決まったときの心境って覚えてます?

井上実優:「いよいよかぁ……」という感じでした。実感湧いてきたのがわりと最近でしたので、最初に聞いたときは他人事ではないけど「あー、4月なのかー」の感覚で、まだそんなに近い将来とは思えなくて。でも上京するときに「これでもうしばらく実家に帰れないかもしれないんだ」と思うと……私も親もずっと感傷に浸ってましたね。「時間止まってくれ」と思うときもあったし。でも今はメジャーデビューの日が待ち遠しい感じですね。

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ベジータ様と18号が好きです。レッドリボン軍との戦いもすごく好きですね。

--友達など周囲の反響は?

井上実優:私、特に高校ぐらいからは音楽をやっていることすら誰にも言ってなくて。だから高校の同級生からしたら、ただの地味なガリ勉の人というイメージだったと思いますが、公式のツイッターアカウントから「デビューします!」といきなり発表して、そしたら想像以上に反響が大きくて、意外と小中高の同級生とか私のことを覚えていて反応してくれていました。「え、井上? あの井上?」みたいな感じだったと思いますけど(笑)、それはなんだか気持ち良かったです。「頑張ってきてよかったな」と思えた瞬間でしたね。

--その瞬間を待ち侘びて頑張ってきたところがある?

井上実優:それはありますね。ずーっと同じ練習を……特に中高はひらすら同じ日々の繰り返しで、かなりツラかったし、誰に話しても専門的なことだから理解してもらえることじゃないし、しかもまだ芸能界に入っている訳でもないし、ただの修行の身だったので人に自慢することも出来ないし……ずっと黙々と修行していた日々だったので「あー、早くみんなからアッと言われる日が来るといいな」とは思っていました。だからこうしてデビューすることが知られていく中で、曲を発表していくのも楽しみです。

--ビクターエンタテインメントより4月19日にメジャーデビューシングル『Boogie Back』をリリースする訳ですが、自身ではどんな1曲に仕上がったなと感じていますか?

井上実優『Boogie Back』インタビュー

井上実優:この曲は、福岡に居た頃に創っていた曲のうちのひとつですが、それがメジャーデビューシングルに抜擢されて、しかもアニメ『ドラゴンボール超』EDテーマにも決定したことは本当に驚いてます。自分はクリスティーナ・アギレラのような力強くてスローテンポな曲が一番得意なので、そういう曲で最初は印象付けるのかなと勝手に思っていたんです。なので自分としてはまさかダンサブルでアップテンポな「Boogie Back」が選ばれると思っていませんでした。最初は「私、このキャラで大丈夫かな? ノリノリなキャラでいけるかな?」という戸惑いはありましたが(笑)、十代は今しかないし、誰もがノれるような内容に仕上がったので、今はこの曲でデビューできることにすごく感謝しています。

--ヴォイスでいろんな音楽的手法を学んできた身として、この曲の制作やレコーディングの際にどんなところに拘ったりしました?

井上実優:メロディーがキャッチーで、ちょっと懐かしい感じもする楽曲に仕上がっていて、敢えてそこに切ないラブストーリーの歌詞を乗せました。そこが注目して聴いてほしいところですね。

--その楽曲がアニメ『ドラゴンボール超』EDに決定。この話を聞いたときはどんな気持ちになりました?

井上実優:驚きました。「私があの『ドラゴンボール』とまさかのコラボ?」って。単純に物凄く嬉しくて! ウチは一家揃って『ドラゴンボール』が大好きなんですよ。昔からマンガでもアニメでもずっと観てきたので「やったー!」って。

井上実優『Boogie Back』インタビュー

--好きな『ドラゴンボール』のキャラクターは?

井上実優:やっぱりベジータ様。

--ベジータに“様”付けるって相当ファンですよ(笑)。

井上実優:ハハハハ! ベジータ様と18号が好きです。

--クリリンと結婚した人造人間ですね。

井上実優:その辺のキャラクターが好きです。何回も『ドラゴンボールZ』を観て育ったきたので(笑)。

--好きなエピソードは?

井上実優:マンガも読んでるので『ドラゴンボール』時代のエピソードも好きですけど、レッドリボン軍との戦いはすごく好きですね。

--19歳の女の子がレッドリボン軍を知っていることに感動しています。

井上実優:マニアックですよね(笑)。

--桃白白(タオパイパイ)とかね。

井上実優:その辺も大好きです!

--そんな『ドラゴンボール』フリークにも聴いて頂きたい『Boogie Back』。この曲で井上実優はデビューする訳ですが、自分的にはここからどんなアーティスト人生を歩んでいけたらと思っていますか?

井上実優:自分のありのままの想いを乗せた「言葉に出来ないから歌にしました。聴いてください」ではなく、ひとつひとつストーリーをちゃんと練り、自分とは別に曲の中に主人公がいる曲なのですが、そのひとつひとつの人格を……そこは役者さんと同じだと思いますが、ちゃんと別人格になりきってひとつひとつ丁寧に届けていけたらと思っています。

--メジャーデビューしたからには叶えたい夢や目標ってあったりしますか?

井上実優:歌手なら誰もが憧れる武道館でのワンマンは絶対叶えたい。そして出来ることならば国外にも出ていきたいし、クリスティーナ・アギレラに知ってもらいたいし……

--アギレラと歌う?

井上実優:それは……(笑)。でもいつか直接お会いして、自分がクリスティーナ・アギレラに影響を受けて歌っているということを知ってもらいたいです。

デビューシングル「Boogie Back」MV
https://www.youtube.com/watch?v=-1ahiGLoUM0

Interviewer:平賀哲雄

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井上実優「Boogie Back」

Boogie Back

2017/04/19 RELEASE
VIZL-1146 ¥ 1,980(税込)

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