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特集:小坂忠~ジャパニーズ・ポップス・シーンの至宝~ 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)コメント/ビデオ・メッセージ公開
日本のソウル・ミュージックやゴスペル・ミュージックの元祖。といえば、小坂忠こそ間違いなくその道のパイオニアといっていいだろう。音楽人生を50年超えた今も、追随する者がいないほどの素晴らしい歌声を聴かせ、名盤『HORO』に代表される傑作群は世代を超えて愛聴されている。今年も早々にビルボードライブ公演を行うことが決定するなど、精力的に活動を続ける小坂忠の足取りを追ってみたい。
また、次ページでは、今回ビルボードライブ東京の公演にゲストとして登場する中納良恵(EGO-WRAPPIN’)からのコメントも掲載。
ザ・フローラルのメンバーからソロ・デビューへの道のり
小坂忠は1948年生まれ、埼玉県出身。GSグループのザ・フローラルのメンバーとして、1966年にデビューする。しかし、シングルを2枚リリースするも不発で、新たにミュージシャンを集めて新グループ、エイプリル・フールを結成。この時のメンバーには細野晴臣や松本隆がおり、その後はっぴいえんどに発展することは有名な話。エイプリル・フールは、ディスコなどで精力的にライヴを行うが、1969年にアルバムを発表するとすぐに解散。(『APRYL FOOL』のジャケット写真は当時20代であった荒木経雄が撮影した。)その後、小坂はロック・ミュージカル『ヘアー』に出演した。
1971年に作曲家の村井邦彦らが立ち上げたマッシュルーム・レコードより、アルバム『ありがとう』でソロ・デビューを果たす。細野晴臣が全面的にバックアップし、ジェイムス・テイラーやキャロル・キングなどに影響を受けたシンガー・ソングライター然とした傑作に仕上がった。林立夫や松任谷正隆など、この時のレコーディング・メンバーを中心に結成されたフォー・ジョー・ハーフを率い、1972年にライヴ・アルバム『もっともっと』をリリース。翌1973年にはリズム&ブルースやゴスペルの要素も加えた『はずかしそうに』を発表し、徐々にその実力に磨きをかけた。
新境地を開いた『HORO』のリリース、ゴスペル・シンガーヘの転向
1975年には最高傑作との呼び声も高い『HORO』をリリース。細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆というティン・パン・アレーのメンバーが全面的にバックアップし、ソウルやファンクを取り入れて新境地を開いた。本作は70年代における日本のソウル・ミュージックの最高峰と評価され、今もなお多くのミュージシャンやDJに影響を与え続けている屈指の名盤である。
その後も、『CHEW KOSAKA SINGS』(1976年)、『モーニング』(1977年)といったオリジナル・アルバムを発表していくが、愛娘の事故をきっかけにクリスチャンとなった小坂は、1978年に日本初のゴスペル専門レコード会社「ミクタムレコード」を設立。ゴスペル・シンガーヘと転向し、その後は教会の牧師になるなど、ポップ・ミュージックの一線から遠のいてしまった。
細野晴臣が全面プロデュースした24年ぶりのスタジオ作での完全復活
再び、小坂が最前線に現れるのは、20年以上も経った2000年のこと。ティン・パン・アレーの4人のうち3人が集まったTin Panの再結成にともなうアルバムとコンサートにゲスト参加。そして翌2001年にはなんと細野晴臣が全面プロデュース担当し、24年ぶりのオリジナル・アルバム『People』を発表。ゴスペルで培った変わらぬ歌唱力と、さらに円熟味を増した味わいを見せつけた。
その後も牧師としての仕事の合間を縫ってコンサート活動を行い、デビュー40周年である2009年には佐橋佳幸のプロデュースによりアルバム『Connected』を発表。佐橋を中心に、小原礼、Dr.kyOn、高橋幸宏という豪華メンバーが集結したSOUL CONNECTION名義のバンドを従えてビルボードライブ・ツアーも行われ、DVDとしても発表された。また、翌2010年には『HORO』のマルチテープをもとに、ヴォーカルのみを差し替えた『HORO2010』をリリース。その後も、鈴木茂をゲストに迎えたゴスペル・アルバム『NOBODY KNOWS』(2013年)を発表するなど、ライヴも含めて音楽活動が目立つようになってきた。
世代を超えてリスペクトされるその歌声、渋みを増したパフォーマンス
そして、2016年には初の洋楽カヴァー・アルバム『CHU KOSAKA COVERS』が届けられた。エディ・フロイドの「Knock On Wood」に始まり、スモーキー・ロビンソンの「You've Really Got A Hold On Me」、オーティス・レディングの「The Dock Of The Bay」、そしてビリー・プレストンの「You Are So Beautiful」にいたるまで、日本人離れしたヴォーカル・スタイルで圧倒的な歌唱力を見せ付けてくれた。デビューから50年経った今もまったく衰えを見せないその歌声は、とにかく驚異的としか思えない。
振り返ってみると、小坂忠はとにかく幅広いジャンル渡り歩いてきたシンガーである。グループサウンズに始まり、サイケデリック・ロック、ブルース・ロック、フォーク、カントリー、リズム&ブルース、ソウル、ファンク、ゴスペル、etc。ここまで多彩なサウンドを違和感なく取り入れ、自身の血肉にしてきたアーティストはなかなかいないだろう。誰もが知るようなヒット曲もなければ、センセーショナルな演出をするわけでもない。しかし、世代を超えてリスペクトされるその歌声は、まさにジャパニーズ・ポップス・シーンの至宝だ。まもなく始まるビルボードライブ・ツアーでは、鈴木茂、小原礼、Dr.kyOn、屋敷豪太、小林香織といった強者たちがサポート。東京にはEGO-WRAPPIN'の中納良恵、大阪には尾崎亜美がそれぞれゲスト参加するという豪華なステージになる。その渋みを増したパフォーマンスによって、また新たな歴史が刻まれていくことだろう。
大阪/東京公演に向けてコメント公開
公演情報
小坂忠
featuring 鈴木茂, 小原礼, Dr.kyOn, 屋敷豪太&小林香織
Special Guest 尾崎亜美
ビルボードライブ大阪:2017/3/23(木)
1stステージ開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>公演詳細はこちら
小坂忠
featuring 鈴木茂, 小原礼, Dr.kyOn, 屋敷豪太&小林香織
Special Guest 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
ビルボードライブ東京:2017/3/28(火)
1stステージ開場17:30 開演19:00 / 2ndステージ開場20:45 開演21:30
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
関連リンク
Text: 栗本斉
中納良恵コメント
昨年の忠さんに50周年の記念ライブに呼んでいただいて
今回二度目のお誘いをいただきました
とってもとても光栄なことであります
ありがとうございます
音楽に長ーーい情熱と愛情を持って取り組んでこられたその歌声は
太く深く荒々しくでかくそして優しい
忠さん自身がまるで大河のように
変わらず緩やかに流れててこられたのでしょうか
そんな水辺に人は集まり生の深いところを旅するのだと思います
今回もまた忠さんの水の中で心地よく泳ぐ魚のように
跳ねたり踊ったりできることを
とても楽しみにしています
みなさまと過ごせる素敵な時間を待ちに待って
中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
◎リリース情報
ライブBlu-ray&DVD『ROUTE 20 HIT THE BUDOKAN ~live at 日本武道館~』
2017/3/15 RELEASE
<Blu-ray>
TFXQ-78142 6.400円(tax out.)
<DVD>
TFBQ-18186 5.400円(tax out.)
EGO-WRAPPIN' Officialサイト
公演情報
小坂忠
featuring 鈴木茂, 小原礼, Dr.kyOn, 屋敷豪太&小林香織
Special Guest 尾崎亜美
ビルボードライブ大阪:2017/3/23(木)
1stステージ開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>公演詳細はこちら
小坂忠
featuring 鈴木茂, 小原礼, Dr.kyOn, 屋敷豪太&小林香織
Special Guest 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
ビルボードライブ東京:2017/3/28(火)
1stステージ開場17:30 開演19:00 / 2ndステージ開場20:45 開演21:30
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
関連リンク
CHU KOSAKA COVERS
2016/09/05 RELEASE
CRCP-40477 ¥ 3,300(税込)
Disc01
- 01.Knock On Wood
- 02.You’ve Really Got A Hold On Me
- 03.Your Cheatin’ Heart
- 04.(Sittin’ On) The Dock Of The Bay
- 05.Amazing Grace
- 06.You Send Me
- 07.Unforgettable
- 08.From Me To You
- 09.You Keep Me Hangin’ On
- 10.You Are So Beautiful
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