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SCANDAL 結成10周年ベストアルバム『SCANDAL』インタビュー
SCANDAL結成10周年ベストアルバム『SCANDAL』発売!
ダンススクールの中でバンド結成という特殊なスタートを切った彼女達が、どんなにネガティブな声や視線にも怯まず、バンドシーン全体を唸らせる存在になるまで―――。ベストアルバムの話は勿論、4人それぞれの生き様や今後の夢についても語ってもらった。ファンならずとも必読!
「だからSCANDALは10年続けてこれた」4人で各メンバーの魅力を語る
--自分たちではSCANDALをどんなバンドだと感じていますか?
SCANDAL BEST ALBUM「SCANDAL」DIGEST
一同:(笑)
RINA:嬉しい! 私は最初からすごく正々堂々としているバンドだなって。そうあるべきだと思ってバンドをやってるんですけど、いろんなやり方で音楽を創ってきたし、いろんなスタイルでライブをしてきたし、それこそ最初は分かりやすく制服というコスチュームを着て活動していましたし、本当にいろんな見られ方をしてきたバンドだなと思っていて、その中で自分たちはいつも正々堂々と芯からブレずにやっていく。そうすることで理解してもらえることが増えていくバンドなんじゃないかな。ずっと挑戦しているような気持ちで音楽はやってます。 HARUNA(vo,g):10年間、すごくタフだったなと思います。ダンススクールの中でバンドを結成するという特殊な始まり方はしてるんですけど、インディーズのときにワールドツアーをやったりとか、最初からライブ中心に活動してきていて。「女子だから」っていうところに捕らわれずいろんなことに挑戦し続けてこれた10年だったと思うので、度胸はすごくあるというか、すごくタフなバンドだなと思います。--最初は企画モノとして観ていた人も多かったと思うんですけど、そこから自分たちの力で、正真正銘バンドとして世に認められていく流れは見事だったと思います。そんな4人がそれぞれどんなメンバーなのか? 1人ずつフィーチャーしてみんなで語ってください。
一同:みんなで(笑)?
--では、まずMAMIさんから。
MAMI(g,vo):では、みんなで語っていただいて(笑)。 TOMOMI(b,vo):10年間の活動の中でいちばん変化があったメンバーだと思いますね。見た目もある日突然金髪にしてガラッと変わったんですけど、そこから精神的にも覚醒したというか、豊かな人になったなと思う。それまでって「メンバーでご飯行こうよ」っていう話が出たとしても行かなかったりしたんですよ。お家にいる人だったんですけど、いろんな人と接する機会も増えていくうちに本当に豊かな人になって、それが音楽活動に直結していった。今、MAMIが中心になって曲作りをしているんですけど、昔はそういう面でもあまり主張をしてこなかったので、そういう意味でもいちばん変化があったメンバーだと思います。 RINA:あと、ずっと個性的ですね。ファッションとか好きなものもそうだし……好きな食べ物とかも! 良いのか悪いのか分かんないけど、すべてのことにすごく拘りがあって「偏ってる人だな」って思います(笑)。でもそれがSCANDALというバンドにとって良いスパイスになってるし、音楽的入口を作っている人でもあるなとすごく思うし、話していてすごく楽しいんですよね。「面白い人だな」って思います。--以前はメンバーとご飯に行かなかったのは、何故だったんですか?
MAMI:「4人でこういうことを話したいから誘ってくれたんだろうな」とか思い返せば分かるんですけど、当時は何も考えてなかった(笑)。完全に気分。 HARUNA:血液型で人のことを判断するのは良くないと思うんですけど……ザ・AB型なんです(笑)。--なるほど。でも変わっていったんですよね?
MAMI:髪染めて、見た目も心も変わっていった……っていう自覚はあんまりなかったんですけど、周りのメンバーやスタッフから「あの頃から変わったよね」って言われるようになってから「あ、そうかもしれない!」と気付いたんですね。だから「髪の毛、染めたい。染めるなら金だな」っていう単純な動機ではあったんですけど、見た目が派手になった分だけ心も派手になったのかもしれないですね。そこから「プレイのスタイルも変わった」って言われることも多いので。 RINA:前に出るようになりました。--続いて、TOMOMIさん。
MAMI:TOMOは出逢ったときからずっと器用な子。ベースもそうだし、プライベートにおいてもそうだと思うし、何でもこなしてしまうから「凄い!」って思うことがたくさんある。 RINA:あと、プライベートの時間をしっかり持ってる人だなって思います。TOMOのことはもちろん理解してるんですけど、4人の中でいちばん「知らないところもあるな」って感じるメンバー。ミュージシャンとは違う顔をいちばん持ってる人だと思います。友達もすごく多いなって感じるし、ミュージシャンの友達とか違うジャンルの友達もそうだけど、地元の子ともよく一緒に遊んでて、いろんな人と会ってるし、いろんな繋がりを持っている人だと感じます。--実際のところはどうなんでしょう?
TOMOMI:地元で出逢った友達が東京に出てきていたりとか、お仕事の都合で月に1回は東京に来るみたいな子が周りにすごく多くて、地元が一緒でおんなじ風に育ってきたから居心地が良くって。その地元の友達と遊んで、その遊び場にみんな集まって、そしたらそのお店の人とも仲良くなって(笑)。だから飲食関係の友達も多いんですよ。なので、SCANDALでの活動で出来た繋がりじゃないところの繋がりもわりとずっとある。 HARUNA:休みの日もすごくアクティブに動いてるイメージ。 MAMI:プライベートを楽しんでる。 RINA:リア充ですね!--SCANDALイチのリア充(笑)。
MAMI:なかなか休みの日までそんなに動けない。 RINA:凄いことやと思う! 車もいちばんに買ったし。 MAMI:車買ってから行動範囲が広がった。 TOMOMI:「電車で行きやすいところと車で行きやすいところって全然違うんだな」って車を買ってから思ったんですけど、視野が広がりますね。知らなかった世界を知れたような気分です。--続いて、RINAさん。
HARUNA:すごくストイック。昔からそれは感じていて、SCANDALを組む前にずっとスポーツをやっていたこともあって、何事に対しても熱く一生懸命になれる。そこは本当に凄いなって感じてる。 MAMI:SCANDALを始めたり、大人になっていく中で“自分の好きなもの”をちゃんと見つけて、それを胸張って「好き」って言えるまでいろんな扉をこじ開けていく。探究心が物凄くある人なので、それについていくらでも語れるようになるとか、それを「知ってる」ってちゃんと言えるようになるとか、ひとつひとつに凄い熱量を注ぐんですよ。そこはすごく尊敬しますね。--どうしてそこまでストイックで探究心の凄い人になったんですかね?
RINA:うーん……バンドを初めてから意識的に「好きなことを増やしたい」と思ったんです。全然完璧じゃないからこそ凄く完璧主義なんですよ。いつも「足りない」って思ってるから、いっぱいいろんなことを知りたい、見たい、聞きたい。そう常に思ってるんです。なんか「変わりたい!」って気持ちがいつもある。--それを突き詰めていくと最終的にどういう人間になるイメージなんですか?
RINA:いやぁ~、ずっとこんな感じだと思います。満足しなさそうですね(笑)。私はやっぱりSCANDALが好きなんですよ! それで「このバンドをもっと良くする為には、自分がもっと良くなりたい」っていう思考回路ですね。 TOMOMI:それは出逢ったときから変わらない。ずっと何か探してるし、RINAは3才の頃からこういう表に出る仕事がしたいと思っていた人なので、パッションが凄いんですよね。なので、SCANDALにRINAが居なかったら結成してすぐ趣味に変わっていたかもしれない。--それぐらいキーパーソンであったと。
RINA:(照れ笑い)--続いて、HARUNAさん。
TOMOMI:HARUNAはすごく不器用ですね。でもその不器用なところがすごく魅力的。本当に常に壁にぶつかってて、常にそれを必死に乗り越えようとしてる。多分、この10年間でいちばんツラかっただろうし、大変だっただろうし、苦労したメンバーだと思うんですよね。でももしHARUNAがそういう壁とかを器用に乗り越えられる人だったら、SCANDALは10年も続けてこられるような音楽をやってなかったかもしれない。HARUNAが不器用で、いつも何かにぶつかって「現状を打破したい!」みたいな想いを沸々とさせているから、そういう歌がうたえたんだろうし、だからSCANDALは10年続けてこれたんだろうなって思う。だから、やっぱり真ん中に立つべき人、ボーカルであるべき人だなって思います。- 「これこそが“ガールズバンド”」音楽だけじゃない、全部を磨く
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リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
「これこそが“ガールズバンド”」音楽だけじゃない、全部を磨く
--今の話を聞いていかがですか?
HARUNA:悩みながらやってきたのは、その通りだと思います。まずバンドを組んだ時点で自分が思い描いていた人生とは変わっているので、そのときから「じゃあ、どういう風にこれから生きていくのか?」みたいなことを考え続けた10年だったなって思います。でもそこはメンバーに出逢えて変わった部分もあるし、あのときバンドを選択したからこそここまで来れたと思うので。--ちなみに、今までぶつかってきた壁でいちばんキツかった壁は?
HARUNA:自分の思うように歌えなかった時期がいちばんツラかったです。それまではあんまりそういうことで悩んだことがなかったので……でもひたすらライブを重ねながら「どういう風にしていくか?」って自分で考えながら、悩みながら……その壁を乗り越えるまでには少し時間がかかったんですけど、それでも歌い続けてきたからこそ乗り越えられたと思っているので、「諦めなくてよかったな」と思います。--そんな4者4様に個性の強いバンドが、結成10周年ベストアルバムをリリースできるほどのキャリアを積めたのは何でだと思いますか?
RINA:性格と……メンバーの相性! そこはベーシックにあると思います。 MAMI:「この4人だから」っていうところがいちばんにあります。リスペクトし合って、理解し合えているから、だから今みたいに「この子はこうでこうなんですよね」ってメンバーのことをみんなで話せると思うんです。そこに愛情とか信頼とかがなかったら、あんまり深くその人のことを考えないですからね。--その絆は次第に深まっていったものだと思うんですが、最初はどうだったんですか?
RINA:最初はそんなことを考えている余裕すらなかったです(笑)。毎日必死。学校終わってバンドして、学校終わってバンドして……っていう生活が本当に忙しく過ぎていった感じだったんですけど、やっぱり同じコンプレックスとか挫折とか……夢みたいなものも持ちながらスタートしたので、そこは強かったのかなと思いますね。全員が同じラインから始まったので「4人で力合わせてやってみよう!」っていうモチベーションでずっといられた。誰か1人がスターな訳でもないし、誰かだけがカリスマな訳でもないし、ずっと「4人で出来ること探そう、4人で切り開こう」といった感覚でやっているので、運命共同体みたいな感じはありますね。--とは言え、結成当初は楽器もバンドも初心者だった訳で、当然ながら実力も技術も経験もない訳じゃないですか。その状態でメディアやステージへ出て行くのはどんな気分だったんですか?
RINA:何も分からなさ過ぎて「恥ずかしい」とも「怖い」とも思わなかった! HARUNA:まさに怖いもの知らず。一同:(笑)
MAMI:「よしやるぞー!」「かます!」みたいな感じで。 RINA:音作りに関しても「音なんて気にしてないし!」みたいな(笑)。本当に「そこにあるもので思いっきりやってるだけです」みたいな。
SCANDAL 「少女S」/ Syoujo S ‐Music Video
--当時、HotStuff30周年イベントのサブステージでSCANDALを観てるんですけど。
MAMI:えぇ~! RINA:横アリですね。--そうです。木村カエラ∞Perfumeのコラボがあって、クロマニヨンズとかスカパラとか真心ブラザーズとか凛として時雨が強烈なライブを繰り広げていく中で、とにかく若さだけで乗り越えようとしているガムシャラなガールズバンドがいて……
一同:(爆笑)
HARUNA:その通りだったと思う。--いきなり凄い現場に放り出されていましたよね。
MAMI:でも「緊張するな」とか「怖いな」とかは思ってなかったんですよ(笑)。「人、いっぱいいる! 嬉しい!」みたいな。それぐらい「バンドしていることが楽しい」っていう気持ちが先行してライブもやっていたので。--では、あの時点で「バンド楽しい!」「ライブ最高!」と思える次元に到達していたんですね?
RINA:そうですね。今とは違う楽しさなんですけど。お客さんのことまでそんなに考えられてなかったし、まだ「どういう風にすれば人の心を掴めるか」みたいな考えでライブをやってなかったから、本当に「4人が気持ちよくやりきって帰る」っていうテーマだけだったんですよ。でもそれでステージに上がったら、みんなある意味期待なんてしてないから、思いっきりかまして帰れば、みんな驚いて面白がってくれてたんです。だから最初はそれで良かったんだと思う。それでワンマンとかやるようになって「クアトロのツアーなんて埋まらないよ」って言われつつも、やってみたらソールドアウトで「あ、お客さん来てくれるんだ?」ってちょっとずつ自信もついていったんですけど、そのうち「バンドなのにロックフェスに呼ばれてない。なんで?」っていう時期にぶつかって、そこからフェスに呼ばれるバンドとウチらの何が違うのか初めて考え出したんです。そこから「足りないものを埋めていく作業をしなきゃ」ってなっていった感じですね。--SCANDALは、元々は自分の意思でバンドを始めた訳でも楽器を持った訳でもない、いわゆる普通のバンドと成り立ちが違っていて。ゆえに結成当初は「バンドなめんな」的な目で見られることもあったと思うんですけど、そうしたネガティブな声や視線は当時どう受け止めていたんでしょう?
RINA:そういう意見ももちろん「分かるな」って思いました。本当にロックに命懸けてやってるミュージシャンからしたら嫌なところもあるだろうし、認めたくないところもあるだろうし、お客さんに届かない部分もあっただろうし、例えば「バンドなのに作曲しないってなんだよ?」ってなる人ももちろんいたと思うんです。でも自分たちも本気でバンドやってるし、ちゃんとそのハートを分かってほしいし、もっとロックファンたちとも分かり合いたいなってすごく思うようになって、それで「曲も頑張って創ってみようよ」とか「どうしたらもっと良いライブが出来るだろう」って考えるようになって、音楽の創り方がガラっと変わっていったんです。--では、ネガティブな声や視線が自分たちを奮い立たせたというか、覚醒していく為に必要な燃料だったんですね。
RINA:必要だったと思う。 HARUNA:逆境には燃えるタイプなんです。自分たちに満足できないっていう部分もそうだし、人からそういう声を聞くこともそうだし、いつだって何だって熱量に変えて自分たちを良い方向へ持っていったバンドだと思います。 MAMI:どういう形であれ、どんな意見であれ「ウチらのことが気になってるってことでしょ?」と思っていたし、ムカつく意見があったとしても、自分たちもちゃんとバンドに向かって生きているから、それを証明していくだけ。だから「見てろよ?」って……それは今でも思ってます。 TOMOMI:そうやって言われることを自分たちがいちばん理解してるから、自分たちもそこをネックに思っていた時期があって。でもバンドを続けたら続けた分だけ、いろんな人たちに誤解されていた部分? そういうところも変わっていった手応えはあるんですよ。だから「とにかく続けないと!」って思います。長く続けないと、自分たちがどういうバンドなのかは証明できない。 RINA:なので、そことずっと戦い続けている感覚もあるんですけど、今はもう理想系でバンドが出来てるなと思っていて、あとはこれをもっとブラッシュアップしていきたい感じですね。もっと私たちの音楽を聴いてもらいたいし、キャラクターを知ってもらいたいし、世間にはいろんな種類のバンドがいると思うんですけど、SCANDALは音楽だけのバンドじゃないと思ってるんですね。話し方も仕草も態度もヘアメイクもファッションも音楽と同じレベルで大切なものだし、その全部を含めてバンドだなと思ってるんです。例えば、どういう表情で、どの言葉を使って気持ちを伝えるか。それって歌うことと何が違うんだろうって思うし、だから全部を良くしたいって思いますね。やっぱり見た目も楽しいほうがいいし、そういった大事にしたい部分を全部磨いていく、これから先なのかなと思ってます。--今の話も顕著ですけど、SCANDALみたいなバンドって他にいないですよね。10年間、ずっと独自路線を突っ走ってきた。
「SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 『2006-2016』」ダイジェストムービー
--なので、SCANDALの印象が変わる=ガールズバンドのイメージが変わる。そういう状況が今出来上がってますよね。SCANDALの演奏力や表現力が上がれば上がるほど、後輩のガールズバンドたちは「あ、可愛らしいだけじゃダメなんだ」って気付いていくだろうし、もっと屈強で面白いバンドも増えていく。この状況にはどんなことを感じていますか?
RINA:……責任重大です(笑)。 HARUNA:でも自分たちがどんどん新しいことに挑戦していく姿を見せていく。それは大切なことだなと思ってます。--自分は今回初めてインタビューさせて頂いているぐらいなので、比較的外野からSCANDALのことを観ていた人間なんですけど、本当に気付いたら「最近のSCANDALが凄い」といった絶賛の声をいろんなところから聞くようになって、2013年にZepp DiverCity Tokyo公演を観に行ったんですよ。そしたら正真正銘バンドとして熱狂を生めるバンドになっていて「ガムシャラさしかなかった女子高生たちがこんなに凄いことになってる」と、親戚のおじさんみたいな感覚で感動したことを覚えてます(笑)。
一同:(笑)
RINA:嬉しい。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
「10周年を自力で完成させられた」各メンバー推薦曲語る~企て中!?
--その成長過程を見せていく中で、SCANDALは国内外にたくさんのファンを持つバンドとなりました。この状況にはどんなことを感じていますか?
SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”‐Trailer
--デビュー当時から今日までこれだけナチュラルに海外でも受け入れられているバンドって珍しいですよね。
HARUNA:そこはガールズバンドで良かったなって思ってます。世界的に見るとあんまりガールズバンドっていないので、もはや日本の文化になってきているなと思いますし、日本の文化として私たちのことを好きでいてくれている人も多いと思うので、日本のガールズバンドで良かったなって思ってます。 MAMI:本当にSCANDALは海外と縁があるバンドだなと思っていて、海外でツアーを廻らせていただく度に、それがSCANDALにとってのターニングポイントになってるんですよね。インディーズ時代の最初のアメリカツアーのときは、そこでライブスタイルを覚えたし、最近だと2015年のワールドツアーの影響があって、自分たちですべて作詞作曲したアルバム『YELLOW』が出来たし、本当にバンドとしてガラッと変わるタイミングで必ず海外の仕事が入ってくるんですよ。「そこで変わろう!」と明確に思っている訳じゃないんですけど、自然と良い方向に変えられてしまう。そういう意味でも海外での活動は大切にしたいと思います。 TOMOMI:私たちが結成してからの10年間ってインターネットの普及ぶりが凄かったんですよね。SNSもそうですし、動画サイトもそうですけど、本当にあたりまえのように海外の人からコメントが来たりする。国のボーダーがもうほとんどないというか、音楽をやっている人たちにとってはすごく良い時代にデビューできたんだなって思いますね。 RINA:あと、海外は心身ともにタフにさせられる場所でもあるし、2016年はヨーロッパツアーを廻っていたんですけど、ヨーロッパでは私たちインディーズ2年目のバンドなんですよ。で、日本ではデビューして8年なので、日本でのキャリアをもって向こうで新人としてツアーが出来るっていうのは、私たちにとってはかなり良い状況で。日本で出来なかったことをヨーロッパでやってる感じ。日本で新人時代にやりたかったけど出来なかったことがちゃんと出来ている感じもあるし、海外で良い気分になってまた日本に戻ってきて新曲を創ったりできる。海外にいるときの気持ちを忘れずに日本でのツアーもやりたいなと思うから、やっぱり海外はSCANDALにとってすごく大切なんですよね。--インディーズ2年目のヨーロッパでは、SCANDALはどう評価されてるんでしょう?
RINA:もうね、凄い情熱で迎え入れてくれるんですよ。なんか感動しちゃいますね! 自分たちがステージに上がる前から凄い熱気で、誰もまだ登場してないのに泣いちゃってる女の子がいたり……「海を越えたところでこんなに私たちの音楽と共に生きてくれている人がいるんだ?」っていう光景を見ると、もっと出来ることを探してやり続けたいって思います。 TOMOMI:自分たちが行ったことのなかった国でそういうことが起こってるから、凄いなって思いますね。--では、今後も世界中で音楽活動していきたい気持ちは強い?
RINA:そうですね。ただ、海外に行く度に日本のことを好きになるし、大切に思えてくるんですよ。だから日本でももっと良いツアーをして、もっとたくさんの人に知ってもらいたいし、好きになってもらいたい。だから「47都道府県ツアーをしっかりやろう」とかそういう時期に一周まわって入ってきてるのかなって思いますね。--そんなSCANDALの結成10周年記念ベストアルバム『SCANDAL』がリリース。ファン投票でつくった作品ですが、その投票結果を見たときはどんな印象や感想を持たれました?
HARUNA:思った通り(笑)。 MAMI:「だよね!」って思いました。ライブを中心に活動してきた私たちなので、やっぱりライブで人気の曲が上位に入ってて、それは単純に嬉しかったです。 TOMOMI:ライブ人気曲がほとんどで、ということはずっと演奏し続けている曲ばかりになるので、ライブではどれもライブアレンジされたものを今は披露してるんですよね。だから今回久しぶりにオリジナル音源を聴いて「イントロ、この小節だったんだ?」とか「あれ、こんな曲だったっけ?」って少し変な感じはします(笑)。--どれも思い入れのある楽曲だとは思うのですが、個人的に最もお気に入りの楽曲をひとつずつ挙げるとしたらどの楽曲になりますか?
SCANDAL 「Departure」 ‐Music Video
--TOMOMIさんは?
TOMOMI:いちばん思い入れのある曲は「SCANDAL BABY」。投票で1位になった曲なんですけど、シングル曲ではなくて、1stアルバムの1曲目だったナンバーなんですよ。だからこの曲を知るのは、1stアルバムを購入してもらうか、ライブに来てもらうしかないんですよね。だけど、1位になった。それってSCANDALがライブ中心に活動してきた証明でもあるなと思って。元々は当時の意思表明的な意味合いで作った曲だったんですけど、今はそれを超越していて、とにかくステージから見た光景が凄いんですよ。大合唱が巻き起こって、SCANDALという国があるなら国歌と思えるぐらいの盛り上がりを見せるんです。本当にお客さんが育ててくれた曲だし、お客さんが1位にしてくれた、特別な曲にしてくれた……という意味で、いちばん思い入れがある曲です。--RINAさんは?
RINA:「ビターチョコレート」というアルバム曲なんですけど、多くの人に聴いてもらいたかった曲だから、今回選んでもらえてすごく嬉しくて。私たちは一軒家に住んでいたことがあって、そこで共同生活をしていたんです。だからツアー先でも4人でホテルに泊まって、家に戻ってきても4人で暮らすみたいな生活をずっとしていたんですけど、そのときに自分の部屋でキーボードでメロディーを作ってたら「なんかこれ出来たかも!」と思って、その当時はTOMOMIが中心になって歌詞を作っていたので、TOMOMIの部屋にデモを持っていって聴いてもらって「歌詞作ってみてくれない?」ってお願いして、1曲を2人で作るスタイルで完成させた曲なんですよ。そのやり方が楽しかったから今も作詞と作曲が違うパターンで作ったりしてるんですけど、自分のイメージになかった歌詞が乗ってきた喜びは今でも憶えてますね。その直後、全員一人暮らしになったんですけど、その一人暮らしの部屋に行ってデモ詰めながら夜中まで話してたな……ってこの曲を聴くと思い出します。--HARUNAさんは?
SCANDAL 「会わないつもりの、元気でね」/ Awanaitsumorino Genkidene ‐Music Video
--また、今作には「FREEDOM FIGHTERS」「HELLO」と新曲も収録されています。それぞれどんな想いやイメージから形にしていった曲なのか、教えてもらえますか?
RINA:まず「HELLO」は1年ぐらい前からデモとしてあった曲なんですけど、リリース時期も冬だし、冬のラブソングを聴いてもらいたいと思って収録しました。王道のポップスに仕上がったなと思っていて、歌詞もとってもストレートだし、ストーリー性のある内容になっているので、いろんな人に届きやすい曲がちゃんと書けたんじゃないかなと思っています。クリスマスに1回だけ披露したことがあるんですけど、ようやくリリースできて嬉しいです。そして「FREEDOM FIGHTERS」は、47都道府県ツアーを行うということもあって「ライブ映えする派手なキラーチューンを創りたいな」と思って、曲調はそういうイメージを持って形にしていったんですけど、自由をテーマにした歌詞を誰もが分かるような言葉で書きたいと思って、そこをクリアするのに時間を結構要しました。だから制作にすごく苦しんだ1曲ではあるんですけど「拘って良かったな」と思っていて。この曲がこのベストアルバムに入ったことで「10周年を自力で完成させられたな」って。「やりきったな」って思えた曲ですね。--またここからスタートできる感がある?
RINA:そうですね。やっと新しいステージに行けるというか、心が1回リセットできたような感覚が出来上がったときにありました。--ここからSCANDALはどんな未来を目指していくんでしょう?
HARUNA:もうすぐ47都道府県ツアーが始まるんですけど、やっぱりずっとライブというものを大事にしていくバンドで在りたいなと思います。これまではワンマンライブを中心にやってきたんですけど、もっといろんな人と関わってライブをやっていきたい想いもありますし、ここまで自分たちの道を突き進んできたので、いろんな人と対バンしたりすることでもっといろんなことを吸収したい。 MAMI:47都道府県ツアーが終わって、夏フェスシーズンが過ぎた頃ですかね。いろいろ企んでいることがあるので、そこで「一緒にやりたい」と思っている人たちと何か出来たらいいなと思っていて。なので、楽しみにしていてください! RINA:今までTRICERATOPSと氣志團とザ・クロマニヨンズとしかツーマンしたことないんですよ。--凄い3バンドですけどね(笑)。
RINA:3組とも大先輩やし、すっごい刺激をもらったんです。だからもっとツーマンをやって自信つけたり、時に傷ついたりすることも必要だなと思ってるんですよ。そこで燃えることもあるだろうから、どんどんやっていきたいです。Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:Jumpei Yamada
SCANDAL
2017/02/15 RELEASE
ESCL-4810/2 ¥ 6,600(税込)
Disc01
- 01.SCANDAL BABY
- 02.Stamp!
- 03.少女S
- 04.ピンヒールサーファー
- 05.S.L. Magic
- 06.スイッチ
- 07.Departure
- 08.Hello!Hello!
- 09.テイクミーアウト
- 10.下弦の月
- 11.OVER DRIVE
- 12.LOVE SURVIVE
- 13.太陽と君が描くSTORY
- 14.会いたい
- 15.ちいさなほのお
- 16.EVERYBODY SAY YEAH!
- 17.Image
- 18.FREEDOM FIGHTERS
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