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金子ノブアキ『Captured』 Billboard Live インタビュー
RIZEのドラマーとして、ソロ・アーティストとして、音楽家、そして俳優としても活動の幅を拡げてきた金子ノブアキ。今や広い意味での日本のポップ・シーンに欠かせない存在となった彼が「いま一番楽しい現場」と言い切るのが、自身名義でのソロ活動だ。これまでにフル・アルバムを3枚リリース。2015年からはライブ活動もスタートし、いま正にそのポテンシャルを開花させつつある肝煎りのプロジェクトだ。
そして、その最新ライブ【金子ノブアキ showcase 『Captured』】が2017年2月、ビルボードライブ東京および大阪にて開催される。金子ノブアキ名義では初となる映像作品『Captured』のリリースを記念して行われる本公演。クラブ・ライブという通常のライブハウスとは異なる環境で、あくまで“現場”にこだわる金子の渾身のプロジェクトがどんな華を咲かせるのか? 未だ成長途上の部分も多いであろう、このプロジェクトの魅力を、金子自身の言葉から引き出してみよう。
いわゆる“バンド・カルチャー”とは別の形での表現を大切にしたい
――2月のビルボードライブ公演は、1月18日の新作DVD『Captured』のタイトルを掲げた公演となります。『Captured』はソロとして初の映像作品となりますが、リリースに向けて心境はいかがですか?
金子:(ソロでの)ライブ自体は、始めてまだ1年ちょっとなんですけど、映像自体は清水康彦監督と二人三脚的に作り続けてきました。そういう意味では、彼との活動の一旦の総括というか。これまでの軌跡に加えて、新しいものも何本か撮り下ろして、かなり実験的なこともやらして貰っています。テクノロジーの進化で映像面もフットワークが軽くなっているし、すごく小さなカメラでも4Kの映像とかが撮れる。そういう可能性も追求しつつ、音楽はもちろん、映像も今までの作品をまとめて観られるのが面白いかなと思います。
――こうやって作品として世に出したいという話は以前からあったんですか?
金子:いや、元を正すと、ライブ音源が貯まってきていて「アルバムも良いけど、そっちもすごく良いからリリースしよう!」って言っていたのが発端ですね。で、どうせだったら映像も、この際、大盤振る舞いで行こう、と。今のご時世、こういうものを出すときはバンッと、採算度外視で出したくなっちゃうんです(笑) でも、単純にそれらをまとめただけじゃなく、新しい何かが絶対に必要だろうということで、ここにしか入っていない音源と映像に加えて、作品コンセプトを考えました。ライブ映像とMVで曲が被らないようにしつつ、ドキュメンタリーも入って、全編を通してトータルで観られるような作品になっています。
▲『Captured』トレイラー映像
――単なるMV集やライブ映像集と比べると格段に凝った作りですよね。
金子:そもそもソロでの活動理念として、肉体的な、いわゆる“バンド・カルチャー”とは別の形での表現を大切にしたいというのがあったんです。そういう表現自体、元々、作り続けてはいたんですけど、それがようやく発表したり、ライブが出来る現場や環境が整ってきたので、そこを大切にしたいなと。
あと、僕が13、4歳から出入りしているストリート・カルチャーみたいなところとは、全く違った部分での“テクノロジーの進化”みたいなものを、僕の世代はすごく感じていたんです。多分、僕らはアナログ・レコーディングを体感として知っている最後の世代なんですよね。当時は、まだ高校生だったんですけど、デビュー盤も全部アナログ録音で、まだProToolsとかも無かったんです。
――ProToolsが浸透し始めるのは90年代後半くらいからですよね。
金子:そうですね。97、98、99年と、段々デジタル録音が普及していきましたね。僕らはバンドでやっていたので、テクノロジーの変化に直接触れたり、それを使った作品を発表する機会は少なかったのですが、確実に変化は感じていました。他の人のサポートで入る現場だったり、レコーディングに参加してディレクションもするような場面でも、エンジニアさんや職人さんと一緒にやっていく中で新しいテクノロジーの流れを感じて、そういうものを使うことで、カッコいいものが作れるとも思っていました。だから、ここ10年弱くらい、僕がたまたま自分の名前でソロ活動ができるようになり始めた時に、それを媒介にみんなで面白いものを企んだり作ったりしていくような場面を作りたい、と思ったのが、ソロの出発点だったんです。屋号をつけるとしたら、それが一番まとまり易いのかなと。
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