Special

でんぱ組.inc 古川未鈴『WWDBEST ~電波良好!~』リリース単独インタビュー



 でんぱ組.inc、初のベストアルバム『WWDBEST ~電波良好!~』が12月21日にリリースされる。2011年12月25日の初のワンマンライブ、つまり6人体制のお披露目となった日から、ちょうど丸5年という、アニバーサリーなタイミングでのリリースとなる。

 その内容も、グループへの愛が存分に詰まったものだ。まずベスト盤にして3枚組というボリュームからして濃い。彼女たちのプロダクトらしく、デザインにも趣向が凝らされ、ファン必携の超豪華盤には、特製法被まで付嘱するという念の入り様だ。 今回、ビルボードジャパンでは、本作の発売を記念してグループのセンター、古川未鈴の単独インタビューを行った。5周年というタイミングで過去を振り返り、古川は何を思うのか。そして「秋葉原カルチャーの落とし子にして、オタク」という強烈なアイデンティティを持つグループの未来は? 表現者としての芯を感じる言葉が印象に残った。

「ファンのみなさんに夢や勇気を与えたいとか一切思ってなかった」

――初のワンマン、そして6人体制になってからちょうど5周年というタイミングでのベスト盤ですが、“5年”と言われて、率直にどうですか?

古川:よく「すごい売れて、環境も変わったでしょ?」とか言われるんですけど、私自身は「変わったのかなー?」って感じで、あんまり分かってないです。ケータリングとか、タクシーを使わせてもらえるとかは変わったんですけど、私はいまでもゲームセンターにひとりで行くし、相変わらず家ではずっとゲームをしているし。思い描いていた芸能人みたいな生活ではないですね。

――どんな生活を思い描いていたんですか?

古川:芸能人の集まり飲み会に行くみたいな(笑) 私の思い描いていた芸能界像って、お金で全部動いているみたいな感じだったんです。でも、実際は意外と人の気持ちで動いているんだな~と今回の作品で強く思いました。やりたいことやっていいんだなと。

――作品、というのは新曲の「WWDBEST」のこと?

古川:そうですね。私は「愛」とか「愛情」とかいう言葉があんまり好きじゃないんですけど、それを使わざるを得ないくらい、愛情を感じました。「WWDBEST」は、いままで関わってくれたみなさんが一気に集結して作ってくれて、歌詞も沢山の方に書いてもらったんですけど、みなさんとにかく“でんぱ”っていう言葉を入れてくれるんです。制作の指揮を執っていた人が「ちょっと“でんぱ”が多すぎるので削らせてください…」って言うくらいで。曲やMVも、みなさんが応援してくれている気持ちが伝わってきて、何かしら期待をしてくれているんだなというのをすごく感じました。その人たちのためにも、頑張らないといかんなって。人のために頑張るっていう気持ちになったのも、この5年の成長かもしれません。


▲でんぱ組.inc - WWDBEST(MV)

古川:私がアイドルになったきっかけは「とにかくいじめてきたやつらを見返してやる!」みたいなところから始まっていて、正直、ついて来てくれるファンのみなさんに夢や勇気を与えたいとか一切思ってなかったんです。よくメンバーにも「未鈴はほんとに最初は人の心を持たない人間だった」って言われて(笑) 昔はみんなを“メンバー”って呼ぶのも、熱い感じで恥ずかしくて、“ユニットの人”って呼んでいました(笑) だから、メンバーと呼べるようになったのも個人的には大きな一歩かなと思います。

――その「見返してやる」っていう気持ちは解消したんですか?

古川:いやー…「もう見返したでしょ?」って言われるけど、私はまだTVにもそんなに出ていないし、少しは有名になったけど、おじいちゃんおばあちゃんがみんな知っているか?と言ったらそうじゃない。まだまだニッチな存在だと思います。SPEEDさんとかモーニング娘。さんみたいな人たちに憧れがあったので、いまでも、やりたいことはいっぱいあります。

――先ほど、スタッフの方のでんぱ組への愛っていう話がありましたが、古川さん自身のでんぱ組っていうグループへの捉え方はどうですか?

古川:元々「私にはアイドルしかないんだ!」と思って突き進んできたタイプなので、自分の居場所になったんだなってすごく思います。いまでも、ひとりで何か活動する時は自信がなくて、「上手く出来るかな?」ってすごく不安なんです。でも、6人でライブをする時は自信しかない。好き嫌いはあるだろうけど、観てくれる人を暇させない、目を釘付けにすることは出来ると思う。それって6人でいるからこその自信だし、私の自信を増やしてくれるグループなんです。

――支えて貰っている、という感じですか?

古川:団体戦を覚えたって感じですね。私、アイドルは団体戦だと思うんですよ。「みなさん、(グループの中で)私を推してください!」みたいなことを表立って言う人がいるのって、私はダメだと思っていて。もし、私がファンだったら「そうじゃないだろ!」って思ってしまう。でんぱ組のファンのみなさんも、それぞれの推しがいると思います。でも、そんなみなさんも、いわいる“箱推し”というか、でんぱ組そのものも好きでいてくれていると思う。私は、でんぱ組を好きでいてくれていれば誰の推しでも嬉しい。自分を売るのではなく、でんぱ組を売るというか、グループの中で一人ひとり役割を持って活動して団体戦でいければ、良いんじゃないかなと思っています。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. 「W.W.D」は「みんなに共感してもらえる曲」
  3. Next >

関連商品