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UKジャズ・ファンクの最高峰、ザ・ベイカー・ブラザーズ 来日記念特集&インタビューとプレイリストも公開!

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 UKジャズ・ファンクの最高峰といえば、なんといってもザ・ベイカー・ブラザーズだ。結成して10数年のキャリアを持つ彼らは、デビュー当時から何度もジャパン・ツアーを行い、「日本でもっとも売れているファンク・バンド」としても知られている。彼らの持ち味は、衝動的に感じるファンキーなビートやソウルフルなフィーリング。とにかく自然と身体が動く音楽なのだ。少しでもブラック・ミュージックやダンス・ミュージックに興味があるなら、間違いなく気に入るはず。ここでは、2017年1月に新作リリースと来日公演を控えた最強のグルーヴマスターの魅力に迫ってみよう。

 更に、来日公演を直前に控え、バンド・リーダーのクリス・ペドレイにインタビューを敢行。最新作『ハイ・レズ』や今現在のザ・ベイカー・ブラザーズについての質問に答えてくれた。また、クリスが選ぶ「伝説のファンク&ソウル・ソング」のプレイリストも公開中!

CD
▲『テン・ペイシス』

 ザ・ベイカー・ブラザーズは、キーボードを中心にギターやベース、ヴァイオリンまでもプレイするダン・ベイカーと、ドラムスのリチャード・ベイカーという兄弟に、ベースだけでなくギターやキーボード、トランペットなども演奏するクリス・ペドリーを加えた3人により結成。トリオ編成とはいえ、持ち前の演奏力を活かすことで、めきめきとその実力を磨いていった。

 彼らがデビューするのは、2003年に入ってから。アルバム『Ten Paces』で衝撃のスタートを飾った。シャウトから始まるインパクトの強い本作は、シンプルかつ荒々しい演奏が話題を呼び、「ファンクの新時代が始まった!」と各方面から絶賛される。実際、ミュージシャンやDJにも彼らのサウンドは大きなインスパイアを与え、ジャズやファンクだけでなくロック・ファンにも広がっていった。




CD
▲『ベイカーズ・
ダズン』

 この当時は、メデスキ、マーティン&ウッドやギャラクティック、そしてソウライヴといったジャム・バンドの流れをくむファンキーなバンドが大活躍しており、安定したシーンが存在していた。一方、英国では90年代のアシッド・ジャズの流れから、DJのケブ・ダージを中心にさらにレアなレコードに焦点をあてるディープ・ファンクのムーヴメントがじわじわと盛り上がりを見せ、ザ・ニュー・マスターサウンズが華々しく登場して話題を呼んでいた。そして、「その次に続くのは誰だ?」と待たれていた時に登場したのがザ・ベイカー・ブラザーズだったのだ。

CD
▲『トランジション・
トランスミッション』

 2004年に初来日公演を成功させたザ・ベイカー・ブラザーズは、翌2005年にはロンドンのジャズ・カフェでライヴ・レコーディングを行った『In With The Out-Crowd』をリリース。彼らの躍動感をそのままに詰め込み、本作を初期の最高傑作と評価するファンも多い。さらに2006年には、ヴァネッサ・フリーマンをヴォーカルに迎えた『Bakers Dozen』をリリース。インストだけではない幅の広さを見せつけた。

 その後も日本でのライヴを記録した『Hot Cakes: Live In Japan』(2007年)、ミドル・テンポのヴォーカル・ナンバーなどでソウル色を押し出した『Transition Transmission』(2008年)、スティーヴ・ミラー・バンドやマンゼル、ブラックバーズなど通好みの楽曲で占めたカヴァー・アルバム『Avid Sounds』(2009年)と、話題作を精力的に発表し続けていく。




CD
▲『ヒア・ノー・
イーヴル』

 しかし、2010年に入ってから、創設メンバーのダン・ベイカーが脱退。ギタリストのジェフ・レイを迎え、ホーン・セクションなどを含めて7人組のバンドとして来日公演を行う。この時のライヴは『Silver Bullets -Live at Motion Blue Yokohama-』として、その年の暮に発表した。2011年には久々のオリジナル・アルバム『Time To Testify』をリリースするが、今度はリチャード・ベイカーが脱退。本来の意味での“ベイカー・ブラザーズ”ではなくなったが、ソングライティングなどメインのメンバーであるクリス・ペドリーがそのまま継続。ジェフ・レイ(ギター)、ポール・ヤング(サックス)、テッド・カラスコ(ドラムス)、スコット・ベイリス(トランペット、キーボード)という布陣で再出発する。そして、ヴォーカル曲をさらに充実させた傑作『Hear No Evil』(2014年)を発表し、新たなファンを獲得した。いわば、新生ベイカー・ブラザーズの幕開けといってもいいかもしれない。



 その幕開けの第二章ともいえるのが、2017年の1月にリリースされる新作『High Rez』で、アカンサ・ラングという女性ヴォーカリストをフィーチャーした意欲作だ。マドンナやジャスティン・ティンバーレイクとも共演してきたという彼女の歌声を活かしながら、キャッチーでアグレッシヴなファンク・ビートは健在。レイドバックしたサウンドを駆使しながらも、現在進行系のファンクという印象が残るのはさすがとしかいいようがない。とにかく文句なしに楽しめる一枚であることは確かだ。

 そして、同時期の来日公演では盟友でもあるヴォーカリスト、ヴァネッサ・フリーマンを迎えたスペシャルなステージが繰り広げられる予定だ。史上最強のジャズ・ファンク・サウンドとはどういうものなのか。その秘密を体感するために、ぜひビルボードライブへ足を運んでいただきたい。



 

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ザ・ベイカー・ブラザーズ アカンサ・ラング「ハイ・レズ」

ハイ・レズ

2017/01/06 RELEASE
PCD-24482 ¥ 2,640(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.THE TIDE IS TURNING
  2. 02.GOODBYE MY ANGEL
  3. 03.A MILLION TIMES BEFORE
  4. 04.KNOCKING ON YOUR DOOR
  5. 05.LOVE LIKE THIS
  6. 06.BACK IN THE GAME
  7. 07.BRING THE SUN
  8. 08.LAY IT ON THE LINE
  9. 09.THINGS WE’VE DONE TOGETHER

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