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ピコ太郎 インタビュー「ビルボードさん、大丈夫ですか?ちゃんと、計算合ってます??」



CHART insightインタビュー

 2016年8月末にYouTubeで公開した動画「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」が、ジャスティン・ビーバーが自身のツイッターで「My favorite video on the internet」とTweetしたことなどが後押しし瞬く間に世界中で再生され、2016年10月29日付Billboard HOT 100に日本人として26年ぶりのチャートインを果たしたピコ太郎。世界中にPPAP旋風を巻き起こしているピコ太郎に、現在の心境と、プロデューサーである古坂大魔王が感じているヒットについて話を聞いた。

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笑いに重要なのは、聞き取りやすいこと

−−「PPAP」は公式動画が何度も再生された以外に、世界中の人が真似をした動画をYouTube上に公開し、よりヒットが波及していくという方法で世界中に広がりました。この波及の仕方は現代ならではだと思いますが、動画を制作するにあたり“真似のされやすさ”を意識しましたか?

ピコ太郎:古坂さん(お笑い芸人 古坂大魔王:ピコ太郎のプロデューサー)は、この動画を作る時は“お笑いの概念”を意識したとおっしゃっていました。

−−というのは?

ピコ太郎:言葉が聞き取りづらいものって笑えないじゃないですか?例えば、ガンガンにディスト―ションをかけたギターを鳴らしながら歌っても、かっこ良くなるけど、言葉が通らないと面白くはなりません。音もなるべくシンプルにして、リバーブも薄くして、声を立てることがお笑いには一番重要だと思いました。もう一つ意識したのが、シンプルなのに“なぜか体が揺れる”音楽であるということ。なので、“踊って笑えるとは何か”を考えて作りました。真似をしやすい曲を意識したわけではありませんでしたが、伝わりやすさを追求した結果、真似をしやすいものになったんだと思います。だって、難しいラップだったら真似できないですもんね。




−−そうですね

ピコ太郎:特に、今はタブレットやスマートフォンで動画を見る人が多いので、スモールスピーカーからでも言葉が聞き取れることというのは、意識しました。あと、ここから先はピコ太郎なりの分析ですが、私って一般的にはかわいくないと思うんですよ。だって53歳のおっさんで、髭も生えてますから。しかも、曲も“愛”とか“恋”がどうのこうのっていう内容でもないし。そんな可愛くないものを、可愛い子が真似をした違和感が、ウケた理由の一つなのかなと思っています。

−−ギャップが良かったんですね(笑)。海外でも、数多くの人が真似をするなど大きな反響がありました。英語を使うことで海外にも広がることを予想されていましたか?

  

ピコ太郎:予想できていたら、ヒットするのにこんなに時間はかからなかったと思います(笑)。これは、世界中の誰もが予想していなかったんじゃないでしょうか。古坂大魔王さんもびっくりしていますし、私の飼い猫もびっくりしすぎて、最近「ワンッ」って言っちゃうくらいですから。ただ、国内のライブに出た時の反応は、すごく良かったので古坂さんは「日本では可能性があるから映像を作ろう。今年の頭から動くんだ。」っていうことは、ずっと言っていましたね。

−−たしかに、YouTubeのミュージックチャートで3週連続世界1位は、誰もが予想していなかったと思います。

  

ピコ太郎:(YouTubeが)世界一の再生数って言われた後、2位以下のアーティストを見たら、2位がザ・チェーンスモーカーズ、3位がメジャー・レイザーだったんです。私、メジャー・レイザーが大好きなので、びっくりして震えが止まりませんでした…。逆に震える手がゆっくりに見えてくるくらい、震えましたね。

−−米Billboard HOT 100には、日本人としては26年ぶりとなる77位にチャートインしたあと、再び2016年11月26日付で82位に再チャートインしました(その後、2016年12月10日付で90位となり4度目のチャートイン達成)。

  

ピコ太郎:え?今、鳥肌が立っております。嬉しいですけども、本当にまだ実感がないです。77位をいただいた時も、76位がレディ・ガガさんだったんですねよね。

−−2回目のチャートインは、ピコ太郎さんの1つ上の81位はペンタトニックスです。

  

ピコ太郎:「PPAP」を公開してからの2週間が、あまりにもスタートダッシュだったんですが、総合的なデータによるヒットチャートを作ってらっしゃるビルボードさんに、こうやって評価されるのは、自分で言うのも変ですが正確だなと思いますね。世の中に浸透していることが分かるチャートだなと。なので、私の結果を見て、皆さんチャートについて色々考えているし、色んな意見を挙げていますよね。見てくれている、知ってくれている人がこれだけ多くいるのは嬉しいですし、なるべくこのチャートに居続けたいと思います。



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ビルボードさん、大丈夫ですか?ちゃんと、計算合ってます??

−−私達は、セールス、ダウンロード、ストリーミング、動画再生回数などを合算した日本版Billboardチャートを作っています。11月21日付チャートで「PPAP」は、動画再生回数が断トツ1位、Twitterが6位、ダウンロードが20位で総合4位を獲得しています。普段、ピコ太郎さんはチャートをご覧になりますか?

ピコ太郎:いやー、見ないですね。チャートを意識していたら「PPAP」は作らないと思います(笑)。だから、この曲がチャートインするなんて思ってもいませんでしたし。ビルボードさん、大丈夫ですか?ちゃんと、計算合ってます??

−−合ってますよ(笑)

ピコ太郎:私はもともと、“違和感ミュージュック”が好きなんですよ。今の世の中のポップスとは違うんですが、ちょっとした技術と知恵と、新しさが加わったものが好きなんです。古坂さんのコントって、5年くらい経ってから面白いって言われることが多くて、周りから「かっこいい」って言われると思いますが、私は(5年経ってから面白いって言われることは)逆に、5年遅いと思うんです。

−−どういう意味でしょうか?

ピコ太郎:早すぎることは別に良いことじゃなくて、早すぎることは、遅いことと等しいと思っていて。ちょっと早い程度だったら良いと思いますが、100年早いものは“早い”とは言えませんから。

−−底ぬけAIR-LINEとして活動されていた時の古坂さんのコントは、私も大好きで、繰り返し見たくなる中毒性がありました。これも、「PPAP」の“違和感“に通じるものがあるのでしょうか。

ピコ太郎:古坂さんは、“余韻笑い”が好きなんです。例えば、映画でも最後に犯人の名前をはっきり言わずに、犯人らしき人がニヤッと笑って終わらせることってありますよね?そういうのが、古坂さんは好きなんですよ。観ている人を、ひっかけておいて逃げるというか。なので、ピコ太郎も45秒で終わらせて、観ている人に「え?」と思わせて逃げるという作り方になっているんだと思います。

--なるほど。余韻が残るから、もう一度観たくなってYouTube再生回数も世界一になるんですね。

ピコ太郎:そうなんです。余韻を残したまま、やり逃げするから、観ている人は後で「何だったんだろう?」って気になって、もう一度観たくなるんです。なので、古坂さんのコントも一度観ただけじゃ、よく分からないのは、そういう意図があるようですよ。

--短い曲を作った結果、Billboard HOT 100にチャートインした最短の曲としてギネスにまで認定されました。

ピコ太郎:これは、別の意味で驚きましたね。「PPAP」は45秒なんですが、世の中にはクラシック作品などで、もっと短い曲もあります。なので、そういう曲が今までチャートインしなかったことに驚きました。さっきの余韻笑いを作りたかったという意図もありますが、ただ単に1分以上のものを作れない体質なんです。

--体質ですか?

ピコ太郎:飽きちゃうんです。40秒あたりでサビがくるのが、ちょうど面白いんじゃないかなって思っていて。ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムさんも数年前のインタビューで「今後、曲はよりシンプルに、より音階もなく、1分ぐらいになるんじゃないか。」とおっしゃっていて、私も同じことを思っていました。なので、短い曲で皆さんに喜んでもらえたのはすごく嬉しかったです。感情を揺さぶるような曲を作るには、やはり5分程度は必要だと思いますが、私の曲は一回盛り上がるくらいがちょうど良いかなと思っています。

--先ほど、ヒットチャートは見ないとおっしゃっていましたが、最近はどんな曲を聴いていますか?

ピコ太郎:洋楽だとクラフトワーク、M.I.A.、ディプロ、スティーヴィー・ワンダーが好きですね。最近、特に注目しているのは南アフリカ出身のラップグループのダイ・アントワードです。




--邦楽は、どんなアーティストが好きですか?

ピコ太郎:好きな人は沢山いますが、特に柏原芳恵さんの「春なのに」が大好きです。あとは、LiSAさんも好きで、よくDVDを観ています。他には…、小泉今日子さんですね。「夏のタイムマシーン」が大好きで、こんな曲を作りたいと思って「KASHITE KUDASAIYO」を作りました。




--新しい曲はどうやって知ることが多いですか?

ピコ太郎:これは、まさにYouTubeなんです。検索し続けると、自分の好きな曲を薦められるじゃないですか。そこから、どんどん掘り下げていきます。あと古坂さんの弟さんが、ものすごく音楽に詳しくて、「この曲、良いよ」って、ぐいぐい送ってくるんです。古坂さんの弟さんと、古坂さんの好きな音楽ってすごく近くて、二人とも同じアーティストを20年くらい追いかけ続けているんです。そこから、ザ・プロディジーが好きでXLレコーディングスに所属する他のアーティストを聴いてみたり、好きな曲と出会うと、そのレーベルを掘り下げることが多いですね。

--最近、注目しているとおっしゃったダイ・アントワードは、どうやって知ったんですか?

ピコ太郎:彼らは、90年代のレイヴシーンを今も引っ張っている若い2人組なんですが、周りの人に教えてもらって知りました。Twitterも、好きなアーティストや好きなエンジニアをフォローしているので、SNSを通じて知ることも多いですね。

--定額制の音楽ストリーミングサービスも使いますか?

ピコ太郎:使いますね。あとは、iTunesでダウンロードしたり。デイリーモーションを見ることもあります。そう考えると、ストリーミングにアップされている曲って、すごく数が多いですよね。でも、上げておかないと、何も始まらないと思っています。

--12月7日には、いよいよアルバムがリリースされます。

ピコ太郎:これは、作詞、作曲、録音、アレンジ、映像編集を古坂さんが担当していて、私がミックスと映像の文字付けを担当しているんですが、締切が台湾に行く前日(2016年11月11日)で、もう死ぬかと思いました。CDには歌が20曲とカラオケが5曲入っていて、全てのミュージックビデオも入っています。全曲聴いても40分くらいなので、あっという間に終わります。YouTubeにも上がっていないし、ライブでもやっていない曲も沢山あります。

--CDのボーナストラックに、「自宅でワンマンで」というライブ音源がありますが、これはどういう内容でしょうか?

ピコ太郎:ワンマンライブは、本来は全て1人であるべきだと考えたので、お客さんも入れずに1人で音出しをして、1人で録音して、1人で盛り上がるというライブを30分やりました。

--30分も!

ピコ太郎:音出しも、ところどころ失敗していて、まさにライブ感がばっちり出せたと思います。20曲も入れて、これをリリースしたら次はどうするんだという意見もあるかと思いますが、大丈夫です。ほぼ同じ数の曲をスタンバイしております。もともと好き勝手にYouTubeにアップしていて、面白いと思ったことはその日のうちにアップしていました。今、面白いと思ったものは、すぐに伝えていくという精神は曲げずにいようと思います。

--今後の目標は何でしょうか?

ピコ太郎:私のテーマは、世界平和と、家族、従妹、ハトコへの愛なんです。この概念をもとに、皆さんと一緒にペンをアップルに刺したいと思っています。平和というのは、とても難しいということは分かっています。でも、時間が5年でも2秒でも平和は同じ。私は、1分であれば平和にできると思っています。自分でも、今の状態はお祭りだなと思っています。お祭りだなとは思っていますが、このお祭りが長く続けられるような努力はしていきたいと思っています。日本の文化を背負っていくつもりはございませんが、一端でも担っていければいいと思いますね。

ピコ太郎「PPAP」

PPAP

2016/12/07 RELEASE
AVCD-93574 ¥ 2,036(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ピコアタック
  2. 02.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)
  3. 03.ロミータ・ハシミコフ
  4. 04.ネオ・サングラス
  5. 05.KASHITE KUDASAIYO
  6. 06.べったら漬けが大好き
  7. 07.☆スイーツまとめて星になれ☆!
  8. 08.ねぇ…
  9. 09.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン) (「ロング」バージョン)
  10. 10.二文字目ミステイク
  11. 11.ピコウォーク
  12. 12.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン) (KOSAKA DAIMAOU REMIX)
  13. 13.今いる場所、それはここ
  14. 14.変わりゆく女
  15. 15.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン) (KOSAKA DAIMAOU REMIX ver2)
  16. 16.ヒヨコ選別
  17. 17.最終手段
  18. 18.YOME
  19. 19.カナブンブーンデモエビインビン
  20. 20.ピコ太郎のテーマ
  21. 21.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン) (オリジナル・カラオケ)
  22. 22.ネオ・サングラス (オリジナル・カラオケ)
  23. 23.☆スイーツまとめて星になれ☆! (オリジナル・カラオケ)
  24. 24.PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン) (「ロング」バージョン) (オリジナル・カラオケ)
  25. 25.KASHITE KUDASAIYO (オリジナル・カラオケ)

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