Special

VOCES8 インタビュー&プレイリスト



VOCES8来日インタビュー

 クラシックの合唱音楽を専門としながら、教会音楽からジャズ、ポップスなど幅広いレパートリーを持つ英国出身のアカペラグループVOCES8(ヴォ―チェス8)。ロイヤル・フェスティバル・ホールやマリインスキー劇場コンサートホール、北京のナショナル・パフォーミング・アーツ・センターなど世界各地でコンサートを開催する他、デッカ・レコードよりリリースされた『Eventide』は2014年の全英オフィシャル・チャートのクラシック部門で2週連続1位を獲得。日本には2011年に初来日して以降たびたび公演を行い、今年も12月23日にクリスマス・コンサートが予定している。そんな彼らに来日公演に向けての意気込みを語ってもらった。

2人として同じ声の人はいないということが大きな魅力

−−このグループを結成したきっかけを教えてください。

バーナビー・スミス(Countertenor):僕たちは全員ウェストミンスター聖歌隊に入団していて、子供の時から一緒に歌っていました。ただウェストミンスター聖歌隊は13歳を過ぎると退団しないといけないんです。その後、ミレニアム・ユース・クワイアに入団したんですが、そこも年齢制限があったので退団することになって。でも、ずっと一緒に歌っていたいなと思っていたので、学校の合間に時々集まって歌っていました。そして大学生の時にイタリアのベニスで開催されるコンクールを見つけたので、「夏のベニスって良いよね」という気軽な気持ちで参加したら、なんと優勝してしまって。そこから僕たちのキャリアがスタートしました。

ポール・スミス(Bariton) :コンクールに出場する時に、8人というルールがあったので、たまたま今の8人のグループができあがったのですが、結果的にはこの“8人”という人数はとても良いバランスでしたね。

−−8人それぞれ、役割分担はあるのでしょうか?

バーナビー:性格は、バラバラです(笑)。8人それぞれ個性がありますし、色んな性格があるからこそバランスが取れていると思います。例えばコンサートで全て同じテンポの曲を聴いても面白くないのと同じように、色々な感情やキャラクターがあるからこそ面白いグループが出来上がっていると思います。

−−ステージ以外では、いかがですか?

バーナビー:オフステージでも、みんな役割がバラバラなので、まるで家族のようです。例えばソプラノのアンドレアは、いつも薬を持ち歩いているので、体調が悪くなると、みんなアンドレアに相談しています。テノールのオリバーは、ポップスやジャズが得意でパーティーをするのも大好きなので、楽しい音楽を聴きたければ、色んな曲を教えてくれます。古楽について知りたいことがあれば、ジョナサンに聞けば何でも答えてくれますよ。

−−アカペラで歌うことの魅力とは、なんでしょうか?

バーナビー:人間の声というのは、2人として同じ声の人はいないということが大きな魅力だと思います。楽器は直接自分の身体から出る音ではないので、おおよそ同じ音を出すことができます。ですが、声というのは顔と同じように隣の人と全く違う個性を持っています。なので、その声から生み出される歌というのは、その人の魂と同じだと思っています。

−−逆に難しさは、何でしょうか?

バーナビー:ものすごく繊細な芸術であるということ。ちょっとしたことが、大惨事につながってしまいます。楽器を使わずにアカペラで歌うということは最も難しい歌い方ではありますが、純粋な声のみが響きあうことによって生まれるハーモニーや、満足感は何ものにも代えがたい感動があります。

−−結成してから現在に至るまで、グループの音色は変化したと思いますか?

バーナビー:ええ。どんどん変化していますね。他の楽器も同じだと思いますが、メンバーそれぞれが成熟してきたことによって、僕たちのハーモニーも豊かで、まろやかな深い響きになってきていると思います。

−−年間120本以上の公演を行ってらっしゃいますが、喧嘩をすることはないのですか?

バーナビー:面白くない答えになっちゃうんだけど、喧嘩をすることはないですね。

ポール:僕は朝にコーヒーを飲まないと機嫌が悪いけどね(笑)。

バーナビー:もちろん、家族と同じように口論になることはあります。でも、そこまでシリアスになるようなことにはなりませんね。もともと僕たちは幼馴染ですし、作り上げたい音や概念は全員一致しています。なので意見が食い違うことはあっても、自分たちにとって何が一番大切なのかを思い出せば、最終的には分かりあうことができます。

−−練習を含めると、ほとんど毎日一緒にいるんですもんね。

バーナビー:年間250日くらい一緒にいますね。でも、練習だけだとコミュニケーションが不足してしまうので、歌うこと以外でも、楽しい時間を一緒に過ごすように意識しています。

−−例えば?

バーナビー:前回、日本に来たときには皆で太鼓体験をやりましたし、最近ではみんなでお洒落をして高級なディナーを食べに行きました。仕事以外にも楽しい思い出を作ることによって、音楽においても人生においても、良い絆を作ることができると思っています。

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. 音楽を通じて寛容さや温かさを伝えていきたい
  3. Next >

ヴォーチェス8 マリ・サムエルセン ホーコン・サムエルセン「ウィンター~冬のア・カペラ」

ウィンター~冬のア・カペラ

2016/11/30 RELEASE
UCCD-1442 ¥ 3,080(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.フォー・ナウ・アイ・アム・ウィンター
  2. 02.エサイの根より(ミヒャエル・プレトリウスのキャロルに基づく)
  3. 03.ウィンター
  4. 04.バルラロウ
  5. 05.今こそ主よ、僕を去らせたまわん
  6. 06.プレインスケイプ プレインスケイプⅠ
  7. 07.プレインスケイプ プレインスケイプⅡ
  8. 08.プレインスケイプ プレインスケイプⅢ
  9. 09.死ぬほど愛して
  10. 10.木枯らしの風 吹きたけり
  11. 11.沈黙の果実
  12. 12.今こそ主よ、僕を去らせたまわん
  13. 13.闇も あなたに暗くなく
  14. 14.雪はすぐとける

関連商品