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「川崎は多面的な顔を持っていることが大きな魅力」― 佐山雅弘 x 山本陽子 インタビュー

佐山雅弘インタビュー

 11月11日から20日までJR川崎駅周辺を中心に開催される【かわさきジャズ2016】。裏方として本プロジェクトの運営に携わっている川崎市市民文化局の山本陽子係長と、本フェスティバルの前身となる【モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき】から出演しているジャズピアニストの佐山雅弘に、本フェスティバルの見どころや今後の目標について話を聞いた。

川崎は多面的な顔を持っていることが大きな魅力

−−11月11日から川崎市内の各所を舞台にしたジャズフェスティバル【かわさきジャズ2016】が開催されます。東京や横浜でもジャズフェスティバルは多く行われていますが、川崎で開催することの意味は何でしょうか?

山本陽子:川崎の街の面白さに尽きると思います。東京もすごく素晴らしい街ですし、横浜も色々なことが行われている魅力的な街だと思います。川崎という街は東京と横浜の間に位置し、様々な国や地域の人が集まりながら、産業都市として発展してきました。川崎には、南北に長い土地に色んな要素が凝縮されていて多面的な顔を持っています。かわさきジャズを通して市内あちこちに点在している多様な要素・資源を繋げられるという魅力があると思います。

佐山雅弘:そうですね。その魅力を、もっと前面に出したいですね。

−−川崎市は、とても長い地形なので繋げるのが大変ではありませんか?

佐山:そうなんです。川崎市内には東京や横浜の人が来やすい場所もある一方、例えば、宮前区の人や新百合ヶ丘の人がミューザ川崎に来ようと思うと随分大変です。南武線はほとんど各駅停車だし(笑)

山本:「川崎駅に行くんだったら、東京のホールで聴く方が良い」という方も多いと思います。でも、【かわさきジャズ】では、様々な切り口のライブやイベントを行っているので、もっとその魅力を発信して、川崎ではこんなに面白いことが起こっているんだということを、皆さんに知っていただきたいと思っています。

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−−【かわさきジャズ】では、ミューザ川崎シンフォニーホール等での有料公演以外に、地域と連携したフリーライブもたくさん開催されますね。

山本:今年の【かわさきジャズ】のテーマは、「ジャズは橋を架ける」です。プログラムも<MUSIC BRIDGE>、<PEOPLE BRIDGE>、<FUTURE BRIDGE>の3つに分かれていて、ライブだけでなく、ここから羽ばたいていってほしいなという願いを込めました。<PEOPLE BRIDGE>では地元で活動する社会人からプロまで総勢240人のミュージシャンがフリーライブを行う「川崎ジャズプレイヤーズフェスタ」や、初の試みとして出演者を公募したフリーライブも行います。

佐山:僕、これに応募しようかと思っているんです。

山本:本当ですか!? お客さんがびっくりしますよ(笑)

佐山:僕は、今ジャズピアニストとして活動していますが、学生時代はベースを弾いていたんですよ。だから、今も生徒を教える時にベースを弾くこともあるんです。なので、学生と一緒に出ようかなと思って。

山本:是非!

佐山:でも、僕は出たかったんですが、学生たちはコンクールとかで忙しいみたいで。だから、このアイディアは立ち消えになりそうです(笑)。

山本:それは残念です(笑)。

−−【かわさきジャズ2016】では、全部で何公演のフリーライブ行われるのでしょうか?

山本:去年は37公演くらいでしたが、今年は少し増えて40公演を行います。でも、続々と追加ステージが決定していて、昨年 小川町にオープンした「ON THE MARKS」というホテルが、音楽をコンセプトにしたホテルということもあって、コラボレーションすることになりました。【JAZZ LIVE NIGHT】というタイトルで、10月16日から11月20日まで、毎週日曜日の19時~22時までノーチャージでのライブを6回行います。

佐山:素晴らしいですね。

山本:他にも、この秋取り壊される川崎市役所本庁舎で「さよならイベント」が行われるんですが、10月16日は【かわさきジャズ2016 スペシャルライブ】と称して、地元ジャズプレイヤーの方が2組、ライブを行います。かわさきジャズとの連携イベントを説明しにいくと、どなたも協力的で、どんどん輪が広がっていくんです。そこが川崎の良さですよね。

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▲ 地域連携プログラム「福本純也Boylston Jazz Quartet」

−−こんなにたくさんフリーライブが開催されるということは、川崎にはジャズを演奏される市民の方も多いんでしょうか。

山本:ジャズを聴いたり自分で演奏したりと、みなさん様々な形で楽しまれていますね。ですが、今まで川崎市ではこういったジャズフェスがなかったので、【横濱ジャズプロムナード】や、【阿佐ヶ谷ジャズストリート】、府中市の【JAZZ in FUCHU】などに出演されていたようです。宮城県仙台市で毎年9月に開催されている【定禅寺ストリートジャズフェスティバルin仙台】に出演しているという市民の方もいて、驚きました。

佐山:仙台にまで遠征するなんて。すごい熱心さですよね。

−−【かわさきジャズ】は、前身の【モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき】として行っていた頃も含めると、2011年から開催されています。佐山さんは、【モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき】の初回から出演されていますが、その頃から比べると【かわさきジャズ】の認知は進んできたと思いますか。

佐山:少しずつ進んでいますが、遅いと思いますね。横浜に住んでいる人は、ジャズファンでなくても【横濱ジャズプロムナード】の存在は、ほとんどの方が知っています。でも【かわさきジャズ】を知らない川崎市民の方は、まだまだたくさんいると思います。なので、もっと浸透させるために、自分は何ができるのかをいつも考えています。

山本:大きな課題ですよね。私なんて、去年は【かわさきジャズ】と書いた桃太郎旗を背負って、2か月間くらいキャラバン隊のように歩き回りましたから。夢にまで出てきました(笑)

−−すごいですね。

山本:でも川崎の方って、大企業の方でもとても協力的なんです。

佐山:そこが川崎の良さですよ。ブランド力のあるイベントじゃないと信用されなかったり、ジャズ喫茶どうしの仲が悪い街もあります。でも川崎は庶民の街なので懐が深い。川崎には様々な都道府県の人がまんべんなく住んでいて、外国人の方が多いのも理由の一つかもしれませんね。なので、これからは外国人の方も楽しみにしてくれるようなイベントにしていきたいですね。

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  4. 04.若草の恋
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