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「いまだにジャズという言葉の解釈が複雑だと感じる」―ノラ・ジョーンズ 来日インタビュー
デンジャー・マウスとタッグを組んだ2014年の『リトル・ブロークン・ハーツ』では、臨場感溢れるバンド・サウンドで、ややダークな世界観を表現し、アーティストとして着実に進化を遂げてきたノラ・ジョーンズ。その後、グリーン・デイのフロントマン、ビリー・ジョーとともに、エヴァリー・ブラザースの楽曲を取り上げた『フォエヴァリー』や盟友サーシャ・ドブソン&キャサリン・ポッパーとのオルタナ・カントリー・バンド、プスンブーツのメンバーとしてもアルバムを発表した彼女が、ソロ名義としては約4年ぶりとなるスタジオ・アルバム『デイ・ブレイクス』を2016年10月5日に日本先行リリースする。
今作は、ノラが所属する<ブルーノート>の75周年を記念して2014年に開催された【Blue Note At 75】コンサートにて、今なお精力的に活動を続ける“ジャズ・ジャイアント”=ウェイン・ショーター、そしてノラのデビュー作にも参加したブライアン・ブレイドとの共演を経て、「ピアノを弾くことが楽しく感じた」彼女が自身のルーツであるピアノと向き合った1枚。上記の2人に加え、 ロニー・スミス、カリーム・リギンズ、ジョン・パティトゥッチらの名プレイヤー、さらにはサーシャ・ドブソン、キャサリン・ポッパーなども参加しており、ジャズを根幹に、アメリカーナ、ポップス、フォークなどノラを構築する音楽が凝縮された濃厚な作品に仕上がっている。Billboard JAPANは、今作のプロモーションのために9月に来日したノラに話を訊いた。
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TOP Photo: Danny Clinch
いまだにジャズという言葉の解釈が複雑だと感じるけれど…
とはいえ、ジャズ・コミュニティが復活の兆しをみせているのは確か
−−まず、ここ数年の間にノラが携わってきたプロジェクトについて伺いたいのですが、2013年にはグリーン・デイのビリー・ジョーとともに『フォエヴァリー』を発表しました。意外な組み合わせでしたが、充実した内容でした。
ノラ・ジョーンズ:同感。本当に意外だったけれど。
−−そしてプスンブーツとしてもアルバムをリリースしましたが、この2作はある程度偶発的に生まれた作品だったのですか?
ノラ:そうね。プスンブーツとしては、もうかれこれ8年ぐらい活動してるけど、やっとアルバムを作るのに好期だって感じたの。バンドだ、って実感も沸いてきていたし、制作する時間もきちんと取れたから。ビリー・ジョーとのアルバムは、本当に偶然って感じ。ある日、彼から「やってみない?」って電話がかかってきて、面白そうだったから「じゃあ、何日間か時間をとって相性を試してみよう。」って答えた。で、実際作業を始めて、いい感じだったから、突き進もう、ってことになったの。
−−ノラ自身、元々エヴァリー・ブラザースのファンだったんですよね。
ノラ:もちろん!彼らの音楽をやるのは、考えるまでもなかった。けれど、第一に相性が大事だし、エヴァリー・ブラザースの楽曲をビリーとやるのも最初はどうかな、と思ってた。最終的には、ビリーがなぜ彼らの楽曲を取り上げたかったかも理解できたし、エキサイティングな経験だった。でも、プロジェクトをスタートした時は、どんな作品が完成するか、まったく見当がつかなかったわ。
−−そしてヴォーカリストとしては、異母妹のアヌーシュカの作品をはじめ、キース・リチャーズの最新作収録の「Illusions」にもゲスト参加していますね。
ノラ:イエス!
−−実際にキースとスタジオ入りしたのですか?
ノラ:あれは残念ながらオーヴァーダブだから、一緒にスタジオには入ってないけど、その直後にキースに会ったわ。過去にも一緒に歌ったことがあるけど、あの曲はすごく気に入ってるの。
−−ちなみに、ノラの最新作『デイ・ブレイクス』収録の「Burn」のヴォーカルはちょっとキースを意識していたような印象を受けました。
ノラ:えぇ、本当?クール!嬉しい言葉ね。
−−(笑)。後は、ロバート・グラスパーの「Let It Ride」という曲にも参加していましたが、ノラのイメージとはかけ離れたドラム&ベース・トラックで、ビックリしました。
ノラ:そう、でも楽しかったわ!彼が探求しているサウンドには、すごく興味があるの。
−−2人は、旧友なんですよね。
ノラ:そう、彼と出会ったのは高校生の時。頻繁にハングアウトするほどの仲じゃないけど、年々連絡は取り合ってきた。それにレーベルとマネージャーも同じだから、イベントとかで顔を合わせることが多い。彼がスキニーな高校生の頃から知ってるから、久しぶりに会うと、これまで彼が成し遂げたことを含め「わぁ~、ロバート!」ってテンションがあがっちゃう。あの曲に「参加してほしい。」って言われた時も、嬉しかったわ。
−−最初にトラック、プロダクションを聴いたときの印象は?
ノラ:すごく気に入った。どんな風に仕上がるかわからなかったけど、彼がなにか変わったことをやろうとしていたのは理解してた。
−−2人は、共通点が多いですよね。出身地のテキサス、レーベルはもちろん、ジャズや<ブルーノート>の古典的なイメージを拭うのにも重要な役割を担っています。
ノラ:そう言ってくれて嬉しい。いまだにジャズという言葉の解釈が複雑だと感じるけれど…。とはいえ、ジャズ・コミュニティが復活の兆しをみせているのは確か。
−−人々が抱いてるジャズのイメージと実際は相違がありますよね。
ノラ:そう、常に変化していて、単純に誤解されがちなのよね。
−−ノラ自身、デビュー当初ジャズというジャンルの固定概念に縛られることに抵抗はありましたか?
ノラ:すごく嫌だと思ったことはないかな。特に駆け出しの頃は、“ジャズ”をやっていたから。でも、デビュー作がリリースされた後は…だって、私のデビュー作は本来の意味でのジャズ・アルバムじゃないから。当然ジャズに影響は受けていて、リリース以前にはジャズをやっていたけれど。そうね…難しい…複雑な心境を呼び起こすトピックね(笑)。
−−その上、ピアノを弾き語りする天性の歌声を持つ美女的なレッテルを貼られたり…。
ノラ:そうなの!そういう言葉で片付けられることもあった。正直、そんな評価は気にしてないし、どうでもいいの。けれど、そうやってレッテルを貼られるのは、本当にタフなことなのよ。
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リリース情報
デイ・ブレイクス
- ノラ・ジョーンズ
- 2016/10/05 RELEASE
- [通常盤 UCCQ-1065 定価:¥ 2,700(tax in.)]
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- [日本限定盤 UCCQ-9039 定価:¥ 3,456(tax in.)]
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