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ベニー・シングス来日直前インタビュー ~来日公演へのコメント&ベニーとチャットしてみた!~
来日公演直前に控えるオランダのポップ・マエストロ、ベニー・シングス。2003年のデビュー・アルバム『シャンパン・ピープル』でシーンに登場して以降、コンスタントに作品を発表し、バート・バカラックやスティーリー・ダンにも通じる極上のポップ・センスでリスナーを魅了し続けてきた。また、プロデューサー/アレンジャーとしても才覚を発揮し、メイヤー・ホーソーンの最新作『マン・アバウト・タウン』でもプロデュースを手掛け、自身の最新アルバム『スタジオ』の日本盤では国内シーンを牽引するceroとのコラボレーションも果たした。近年のビルボードライブのステージでは安藤裕子、土岐麻子とも共演を重ねてきたベニーが、サックスやキーボード奏者も加えたフルバンド編成でどんなステージを見せるのか。そんなベニーの公演に向けて、アーティストと音楽ライター、そしてベニー・シングス本人からのコメントが到着した。
ベニー・シングス公演に向けてコメント到着
「あ、この人同じ街に住んでる」 - 土岐麻子
ベニーは異国の人ですが、聴いている音楽、音のツボ、作品作りの考え方等を話し合った時「あ、この人同じ街に住んでる」と感じました。音楽好きな私の友人達とも仲良くなれそう!
だけど彼が知っている”美”には、私の知らないものもたくさんあって、一緒に歌った一晩で私の人生に新しい枝分かれをもたらしてくれました。
遠くて近くて懐かしくて新しい友達。ベニーのライブはそんな感じ!
▲土岐麻子 「セ・ラ・ヴィ ~女は愛に忙しい~」
朝を迎えたら終わってしまう一夜限りのラグジュアリーなパーティー - 高橋海(LUCKY TAPES)
ベニー・シングスとの出会いは、ジョヴァンカやウーター・ヘメルのプロデューサーとし自身も作品をリリースしているポップ・マエストロとして知り、「Let Me In」を聴いて5秒で虜になりました。ルース・ヨンカーなどと活動しているウィー・ウィル・メイク・イット・ライトの『House』というアルバムも大好きです。どの楽曲も旋律が美しくてポップだけど、ギラギラとせずにどこか憂いを帯びた世界観が魅力で、朝を迎えたら終わってしまう一夜限りのラグジュアリーなパーティーに足を運び入れたかのような、そんな華やかさと切なさが共存する彼の音世界に1秒でも長く酔いしれていたい。安藤裕子さんやKan Sanoさんなど日本人アーティストとも縁の深いベニー・シングスですが、Sugar's Campaignの一人、Avec Avec氏が2012年にMaltine RecordsからリリースしたEP『おしえて』に収録されている「Love Amania」は、ベニー・シングスの楽曲「New Bed」を全面にサンプリングしたトラックで、こちらもヘビロテした作品。また、昨年11月に恵比寿LIQUIDROOMで行われたceroとのスプリット公演も素晴らしかったので今回のフル編成での来日はさらに楽しみです。LUCKY TAPESもいつか何かしらのかたちで関われたら面白いことが起こりそう。
余談ですが、2年前にソロ名義で作ったクリスマスソング「 Little Christmas Night feat. annie the clumsy」はベニー・シングスから影響を受けて作詞作曲したものです。
▲Kai Takahashi 「Little Christmas Night feat. annie the clumsy」
類まれなる実力を持ったシンガーとしてのベニー - 柳樂光隆
ベニーシングスといえば、グッドメロディーを生み出す作曲家で、なつかしくてあたたかいアレンジを施す編曲家の印象が強くて、どこか文系っぽい。でも、ライブで彼を見て思ったのは、めちゃくちゃ歌がうまくて、連れてくるバンドもみんな上手くて、フィジカルが強いってこと。なるほど。あのベニー独特のマジカルな魅力がある曲の数々は、自分たちの技術や体力を前提にしたから生まれるオリジナリティーでもあったんだねとライブを見て気付いたのでした。つまり類まれなる実力を持ったシンガーとしてのベニーをもっとも楽しめるのはライブってこと。あの自身に満ち溢れたベニーの歌をまた聴きに行きたいです。
ベニー・シングスからのメッセージが到着!
▲Benny Sings Message for Billboard Live Tour 2016
公演情報
ベニー・シングス
ビルボードライブ大阪:2016/9/21(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2016/9/22(木・祝)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
ベニー・シングス / Benny Sings(Vocals, Drumcomputer)
ジュン・フェルミエ / June Fermie(BGV)
アダム・バー・ペレグ / Adam Bar Pereg(Keyboards)
ブラム・ワシンク / Bram Wassink(Bass)
バート・スア / Bart Suer(Saxophone)
関連リンク
ベニー・シングスとチャットしてみた!
いよいよ9月21日に来日公演をスタートするオランダのポップ・マエストロ、ベニー・シングス。先日、ベニーのオフィシャルサイトに気になるポストが。それによると今回のショーは「今までとは全く違ったものになるよ。もっとアンプラグドで落ち着いた(ちょっと変わったヒップホップみたいな)感じにするつもりで、この新しいセッティングにとても満足しているんだ。今までとは全く違った方法で人生に音楽を届けるよ」とのこと。
ちょっと変わったヒップホップ? 新しいセッティング!? それは気になる! ということで、急遽ベニーにチャットしてみることに。オランダ時間で朝10時という早い時間からのインタビューになったが、コーヒーでも飲みながら(妄想)真摯に応えてくれた。ありがとうベニー!
ヘイ、ベニー?
ヘイ!
はじめまして! お元気ですか?
はじめまして!すごく元気だよ!
それは良かった! さっそく最初の質問です。今回のショーについて、今までと違うものになるとのことですが、具体的にどんな風に変わるのでしょうか?
今までのバンド編成は、ドラマー、キーボード、それから色んなサンプルを使っていたんだ。でも今回は、ドラマーの代わりにドラムマシンを使って、キーボードとベースとバックシンガーとサックスに入ってもらっている。こう言ってみると前よりも大きなバンドで大きなサウンドになっているように聞こえるかもしれないけど、実際には真逆なんだ。実際にドラマーが叩く音よりドラムマシンの方がより小さくなるからね。“ヒップホップ meets MTV Unplugged”みたいな感じかな。だからもっと落ち着いていて、こじんまりとした、ちょっと変わった感じになると思う。でもドラムマシンが安定した一定のビートを刻んでくれるんだ。
あなたがドラムマシンを奏でながら、他の楽器はバンドメンバーが弾くということですね、
そうだね。それと、今回のステージでは僕とピアノだけの演出も考えている。あとは、キャンプファイヤーみたいな感じも。僕がアコースティックギターを弾き語りして、その周りでバンドメンバーがハーモニーを奏でる感じ。そして、スペシャル・ゲストも登場するよ!
スキマスイッチですね!
その通り!
豪華な共演ですね! すごく楽しみにしています! 話は戻りますが今回のようなショーにしようと思ったのでしょうか? インスピレーションになった他の音楽やアーティストはいますか?
今回のショーについて、特にインスパイアされたアーティストはいないんだ。きっかけはもっと実践的でね。アメリカのNPR Music主催のミニライブ“タイニー・デスク”でショーをすることになったときに、いつものバンドを連れていくことが出来なくて、違ったセットでのスタイルを考えなくてはいけなかったんだ(アンプラグドな感じのね)。そのショーがきっかけでバンドの編成を変えたんだけど、それがすごく上手くいってね。僕にとってこのこじんまりとした、少し変わったセッティングがドラムやサンプルを使うよりも自分の音楽を表現するのに合ってると感じたんだ。そう思ったら突然、全部の曲がピッタリと型にハマったんだよ。
タイニー・デスクでのショーを見ました。すごく素敵なパフォーマンスでしたね。ビルボードライブのショーではその新しいバンドセットでどんな曲を歌う予定ですか?
今までにリリースした全てのアルバムから曲を披露するよ。2003年から現在までのね。
ということは『Benny at Home』からも何曲か披露することになるんでしょうか? 新しいバンドと合いそうな気がします。今回その『Benny at Home』をヴァイナルで再発しましたが、なぜこのタイミングで再発を?
『Benny at Home』からは「Let Me In」だけ披露しようと思っているよ。今回、ヴァイナルをリリースすることになったのは、僕のオランダのレコード会社“Dox Records”のアイデアなんだ。彼らは昔のレコードを古典的な作品としてリリースしていて、僕の今までリリースしてきたアルバムの中で『Benny at Home』が一番クラッシックなアルバムだと思ったみたいなんだ。このアルバムはアーティストとして僕にとって重要な作品の一つだと思っているよ。このアルバムのおかげで僕の音楽がたくさんの人に広がったと思う。
なぜ、このアルバムが一番クラッシックな作品になったんだと思いますか?
アルバムがリリースされたタイミングが関係してるんじゃないかな。あの時は、ソウルとヒップホップ・ジャズのムーヴメントがピークだった。とても人気のあるジャンルだったから、そのおかげで僕のアルバムもツァイトガイスト(時代精神)をとらえたんじゃないかと思うよ。時代精神をとらえるということは、ミュージシャンにとってのゴールでもあるんじゃないかな。
なるほど。では、今回の新しいバンドセットも時代に合ってると思いますか?
ハハハ…! どうだろうね。そういうことは予期できないからな。自分の言いたいことを言って、それにオーディエンスが同意してくれるかを待ってみてからじゃないとわからないと思うんだ。もしかしたら、この音楽は時代的にはちょっと古臭いかもしれないね。でも、30代以上の人は共感してくれる確信があるよ。もしかすると若い人たちも共感してくれるかも。それは誰にもわからないよね!
今後、新しいバンドセットでアルバムを作る予定は?
それはないかな、バンドは純粋にライブのためのものだと思っているから。アルバムは自分一人で作ることになるだろうね。
そうなんですね。それでは、最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
喜んで! やあ、日本のみんな! またファンタスティックな国に戻って来れることを本当に楽しみにしてるよ!今回のライブ、それから新しいバンドセットについてみんながどんなことを思うのかも楽しみだね。ビルボードライブでお会いしましょう!
今日はお時間を頂きありがとうございました! 新しいセット、みんな気に入ってくれると思います。近くお会いできることを楽しみにしていますね☺
ハハ、ありがとう! またね! バーイ!
公演情報
ベニー・シングス
ビルボードライブ大阪:2016/9/21(水)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2016/9/22(木・祝)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
ベニー・シングス / Benny Sings(Vocals, Drumcomputer)
ジュン・フェルミエ / June Fermie(BGV)
アダム・バー・ペレグ / Adam Bar Pereg(Keyboards)
ブラム・ワシンク / Bram Wassink(Bass)
バート・スア / Bart Suer(Saxophone)
関連リンク
スタジオ
2015/11/18 RELEASE
VICP-65344 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.ストレート・ラインズ
- 02.マイ・フェイヴァリット・ゲーム
- 03.フーズ・フォールト
- 04.スタート (パート1)
- 05.ザ・ビーチ・ハウス
- 06.ユー・アンド・ミー・フィーチャリング・ゴールドリンク
- 07.ドント・メイク・ミー・ダンス
- 08.ブラック・アンド・ブルー
- 09.シューボックス・マネー・フィーチャリング・メイヤー・ホーソーン
- 10.ワン・オブ・ジーズ・ハーツ
- 11.プッシュ・ミー・アウェイ (ボーナス・トラック)
- 12.リアル・ラヴ (日本盤ボーナス・トラック)
- 13.ミート・ミー・アウトサイド (日本盤ボーナス・トラック)
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