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ティーンエイジ・ファンクラブ新作発売記念!音楽都市グラスゴーの5大バンドをピックアップ
英国スコットランドの街グラスゴー。国内で4番目の規模の大都市ではあるが、それ以上にロンドン、リヴァプール、マンチェスターなどと並ぶ音楽都市としても知られている。ホールやライヴハウス、そして音楽学校も多数あり、ミュージシャンが育まれる土壌がしっかりあるということもあって、古くから優秀なアーティストやバンドを多数輩出してきた。
古くは60年代のドノヴァンやルル、ジャック・ブルース(クリーム)にマーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)。ニューウェイヴ期にはシンプル・マインズやブルー・ナイルなどが続々とデビューし、ネオアコの代表格であるアズテック・カメラとオレンジ・ジュースが一世を風靡した。また、インディー・シーンの活性化も目覚ましく、重鎮のパステルズから、ヴァセリンズ、Bis、フランツ・フェルディナンド、フラテリス、チャーチズにいたるまで、個性的なバンドが続々と登場している。
先日久々の復活で話題を呼び、9月9日に最新作『Here』をリリースするティーンエイジ・ファンクラブもそのひとつ。ここでは、彼らを含むグラスゴーの5大バンドをピックアップし、その近況をお伝えしたい。
ティーンエイジ・ファンクラブ
▲ 「I'm In Love」
1989年に結成された重鎮バンドのひとつであるティーンエイジ・ファンクラブ。彼らは、ニルヴァーナ旋風が吹き荒れる1991年にアルバム『バンドワゴネスク』を発表し、オルタナティヴ・ロックのUK代表として脚光を浴びた。とはいえ、グランジとは一線を画し、デ・ラ・ソウルと共演したり、ホーンやストリグスを大々的に取り入れながら、英国らしいポップなメロディとエモーショナルなギター・ロック・サウンドを売りにしている。ここしばらくは活動も控えめで、アルバム・リリースも寡作なイメージだった。9月にリリースされた6年ぶりのアルバム『Here』には相変わらずの美メロが満載で、とくに先行シングルとなった「I'm In Love」の青春っぽさは彼らの面目躍如。
プライマル・スクリーム
▲ 「Where The Light Gets In feat. Sky Ferreira」
グラスゴーが生んだ最大のトリックスターといえば、プライマル・スクリームではないだろうか。1982年にボビー・ギレスピーを中心に結成され、1991年発表のアルバム『スクリーマデリカ』で大ブレイク。セカンド・サマー・オブ・ラヴといわれたUKロックのムーヴメントにおける象徴となった。その後もリリース毎に物議を醸しだすが、近年はストレートなロック・サウンドに回帰。3月に発表された11作目のアルバム『Chaosmosis』では、ブルージーなナンバーから今時のエレクトロ・サウンドまで、彼らのこれまでの歩みを総決算したかのようなバラエティに富んだ内容だ。先行シングルになったスカイ・フェレイラとのデュエットも程よい下世話さで爽快。
トラヴィス
▲ 「Idlewild feat. Josephine Oniyama」
オアシスやレディオヘッドがUKロックの本流だとすれば、トラヴィスはまさに正統派のロック・バンドといえる存在かもしれない。1994年に映画『パリ、テキサス』の主人公の名前から名付けたという彼らは、1996年にデビュー。間もなくオアシスのオープニング・アクトに選ばれたというラッキー・バンドだ。しかし、ヘヴィなサウンドからアコースティックまで対応できるテクニックと、内省的な印象の美しいメロディは誰の真似でもない唯一のもの。特に大ヒットした「Why Does It Always Rain on Me?」は、名曲の誉れ高い代表作。4月にリリースされたアルバム『Everything At Once』は、社会的な歌詞を内包しており、ジョゼフィーン・オニヤーマをフィーチャーした「Idlewild」も話題だ。
モグワイ
▲ 「Ether」
轟音の中から聞こえてくる美しいメロディ。モグワイほど、グラスゴーの音楽シーンの特異性を物語っているバンドはいないかもしれない。1995年に結成し、翌年デビュー。1999年に発表したアルバム『Come On Die Young』で大きな注目を集め、一躍UKポストロックを代表するバンドへと成長した。インスト中心ということもあって、けっしてポップとはいえない音楽性ながら、エフェクティヴなギターを中心としたディープな世界観と圧倒的なライヴ・パフォーマンスは年々評価が高まってきている。4月にリリースしたばかりの最新作『Atomic』はテレビ番組のサントラではあるが、オリジナルに匹敵するダイナミックなサウンドがたっぷり。
ベル・アンド・セバスチャン
▲ 「The Party Line」
カリスマ的な人気を誇るベル・アンド・セバスチャンは、グラスゴーのインディー・シーンを象徴する存在といってもいいだろう。1996年に結成され、最初期はたんなるローカル・バンドのひとつだった。しかし、1998年発表のアルバム『The Boy With The Arab Strap』で大ブレイク。その後も、アルバムとEPを使い分けながら精力的にリリースを続け、ヴァイオリンやトランペットが入ったユニークな編成を武器に、ギター・ポップ、ソフトロック、チェンバー・ロックなど様々なタイプのサウンドにチャレンジしている。昨年初頭にリリースしたアルバム『Girls In Peacetime Want To Dance』では、エレクトロを大胆に取り入れ、ダンサブルな一面も見せた。
Text: 栗本斉
ヒア
2016/09/09 RELEASE
HSE-5132 ¥ 2,739(税込)
Disc01
- 01.I’m In Love
- 02.Thin Air
- 03.Hold On
- 04.The Darkest Part Of The Night
- 05.I Have Nothing More To Say
- 06.I Was Beautiful When I Was Alive
- 07.The First Sight
- 08.Live In The Moment
- 09.Steady State
- 10.It’s A Sign
- 11.With You
- 12.Connected To Life
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