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黒木渚、BBLスペシャルインタビュー ~新曲「灯台」、そしてジャズ・トリオとの共演を語る。
独自の文学性を備えた歌詞で注目を集めるシンガーソングライター、黒木渚が8月21日にビルボードライブ大阪、27日にビルボードライブ東京にて公演を行う。しかも、今回の公演ではジャズ・ピアニストの新鋭、森田真奈美のトリオがバックをつとめ、黒木の楽曲が放つであろう新たな色彩やニュアンスにも注目が集まる。
今回はそんな黒木渚、そして森田真奈美にメール・インタビューを実施。先日、映画『全員、片想い』の主題歌としてリリースした新曲「灯台」、そして公演に臨む心境について質問に応えてもらった。
黒木渚インタビュー
「ライブを通して彼らからいろんな事を学ぶだろうと予感しています」
▲「灯台」ジャケット
――7月1日にリリースした「灯台」は、“片想い”についての曲であると同時に、それと裏腹の、不思議な明るさ、恋の陶酔感が表現されています。とても珍しい“片想い”ソングだと思いますが、この曲が生まれた経緯を教えて下さい。
黒木渚:主題歌のお話を頂き、映画が片思いをテーマにした作品だったので私も同じテーマでバラードをかこうと思いました。成就しなかった恋の方が、鮮明に、美化されて残っているのが多いのは、失恋の痛みにセンチメンタルが足されて上手いこと消化した結果だなあ…などと考えながらプロトタイプをつくりました。
――「灯台」は映画『全員、片想い』の主題歌にもなっています。映画を意識して書かれた曲なのでしょうか?
黒木渚:映画のテーマ『片思い』は意識しました。 オムニバス映画なので、どれかひとつのストーリーについて歌うより全体を貫く大テーマを歌おうと思いました。
――「灯台」の歌詞からはハッキリとしたストーリーが浮かび上がって来ますが、作詞の際は明確にストーリーを意識しながら書くことが多いのでしょうか? それとも、作詞をする過程で浮かび上がってくるのでしょうか?
黒木渚:ストーリーの大枠とクライマックスは決まっていて、ディテールは作詞しつつ詰めていく事が多いです。歌の中の時間軸や展開に仕掛けをつくるのも好きです。
――歌詞の中での“灯台”は“憧れの人”のメタファーですが、具体的にモチーフになった人物(事物?)はいるのですか?
黒木渚:過去の片思いについて日記を読み返したりはしました。具体的に誰を歌っているというモデルはありませんが、私の経験も参考にしています。
――歌詞の“朝焼け”というのは何を指しているのでしょうか?
黒木渚:別の女だと思います(笑)。恋敵ですね。
――「灯台」の歌詞は、言葉は平易なのに、組み合わせ方によって、通常とはひと味異なるイメージや感触が換気されるという印象を受けました。そういった歌詞の作用は意識されていますか?
黒木渚:言葉の掛け算については考えます。 違和感のある言葉をバランスよく配置するのは、食事のアクセントに薬味を入れるのと同じ感覚です。
▲黒木渚「灯台」(Live)
――黒木さんの音楽ではやはり歌詞が重要な要素だと思いますが、ライブでも「言葉がしっかり伝わる」ということは意識されていますか? また、そのためにライブ中、意識していることがあれば教えて下さい。
黒木渚:意識しています。外音も、きちんと歌詞が聞き取れるというのを基準にして声の音量を決めます。
――今月末のビルボードライブ公演についても教えて下さい。今回の公演では、ジャズ・ピアニストの森田真奈美さん率いるトリオとのライブになりますが、どういった経緯で共演が実現することになったのでしょうか?
黒木渚:スタッフが『凄くカッコいいジャズ・ピアニストを見つけたんだよ』と教えてくれたことがキッカケです。いつもと趣向を変えたライブがしたいとはずっと思っていたので、オファーを受けてくださった時は嬉しかったです。
――森田真奈美さんというピアニストへの印象を改めて教えて下さい。
黒木渚:風が吹いてる系クリエイターです。 いつもアイデアが循環していて、滞ることなく芸術を吐き出している人。 あと、すごく無邪気で話すととても可愛い方です。
――ピアノトリオとの共演では、いつものバンドとはかなり勝手が違うと思います。実際にリハーサルをした感触はいかがですか? まだの場合、そこに臨む心境を教えて下さい。
黒木渚:ずっと歌い続けて来た曲が、ジャズ・アレンジで生まれ変わったなと感じました。 リハではトリオの演奏に終始興奮していて、今回のライブを通して彼らからいろんな事を学ぶだろうと予感しています。楽しみです。
▲Manami Morita「I am」(Live)
――公演では新たなグッズとしてビール・グラスを販売するそうですね。なぜビール・グラスに? せっかくなので好きな銘柄があればお知らせ下さい。
黒木渚:私がビール党であるのに加え、席に座ってお酒を楽しみながら聴ける会場が初めてなので、嬉しくて記念に作ってしまいました。 (ビールは)札幌黒ラベル好きです。 喉が渇いているときはハイネケンやコロナみたいに薄いやつをぐびぐび飲むのも良いですね!
billboardライブに向けて新しいグッズにビールグラスが登場しました!
— 黒木渚 (@KurokiNagisa) 2016年7月30日
手元に届いたのでap bank 出番終わりで頂いてます。最高。 pic.twitter.com/GfADrUfYou
――最後に公演に向けて、意気込みを教えてください。
黒木渚:森田さんジャズトリオの才能、 それからいつもとは違う曲の表情を受け取って下さい。
森田真奈美インタビュー
「楽曲の本質的な部分は失わないよう、わたしなりのアレンジをしました」
――黒木渚というシンガーについてどんな印象を持っていますか?
森田真奈美:前向きになんでもチャレンジする、ポジティブな方だと思います。天然、純真なこころを持っていて、そんなまっすぐな彼女の内面が、彼女の楽曲、歌声にそのまま出ているのではないでしょうか。
――森田さんは今回、編曲も担当されるのでしょうか? 黒木渚楽曲についてはどんな印象をお持ちでしょうか?
森田真奈美:編曲も担当させていただいています。黒木さんの楽曲はもともとアレンジ含め素晴らしく、それを今回はジャズミュージシャンに委ねていただいたという思い切りの良さを裏切らぬよう、できるだけ楽曲の本質的な部分は失わないよう、わたしなりのアレンジをしました。黒木さんの楽曲は、どれをとっても着眼点と発想に脱帽させられます。アレンジももちろんですが、歌詞はとくに、言葉の選び方ひとつにしても、テーマに関して深く考えて作り込まれているなぁという印象です。
――公演に向けて見所や意気込みがあればお願いします。
森田真奈美:黒木さんのファンの方々はもちろん、ジャズを普段は聴かない方も、普段からジャズばかり聴いている方も、どなたが聴いても絶対に楽しめる内容に仕上がってきていると思います。わたし自身、大阪のBillboardは出演させていただいたことがありますが、東京は初めてですので、バンドメンバー一同、非常に気合が入っております。ぜひ足をお運びくださいませ!
公演情報
関連リンク
ふざけんな世界、ふざけろよ
2016/04/06 RELEASE
LASCD-69 ¥ 1,320(税込)
Disc01
- 01.ふざけんな世界、ふざけろよ
- 02.おんな・おとこ・おんな
- 03.カイワレ
- 04.ふりだし
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