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school food punishment 『amp-reflection』インタビュー

school food punishment 『amp-reflection』 インタビュー

 インディーズ時代からschool food punishmentというバンドは常に“前作超え”を目指し、実現してきたバンドだ。しかし彼らはそのストーリーのゴールに今作『amp-reflection』でもって辿り着いてしまったと言っていい。メンバー自ら「同じところで勝負しても多分ダメ。だから違う道を選ぶ」と痛感するほどの世界がこのアルバムの中には広がっている。凄まじい熱量と感情と、それらを表現する為に要した葛藤と鼓舞。早くも第一章の幕を下ろすこととなった衝撃作について、内村友美(vo,g)、蓮尾理之(key)の2人が語ってくれた。

どちらも主役でありながらサポートし合える関係

--メジャー移籍第1弾シングル『futuristic imagination』以来のインタビューになるんですが、あれから今回のアルバムに辿り着くまでの約1年は自分たちにとってどんな期間になりましたか?

内村友美:時間の流れが分からなくなる感じでしたね(笑)。

蓮尾理之:あと転機がたくさんある1年でした。最初の『futuristic imagination』を作っている頃は「より多くの人に聴いてもらいたいんだ」っていう漠然としたイメージがあって、食わず嫌いでそれまで拒んでいた“曲にストリングスを入れる”ということをアリにしましたし。3rdシングル『sea-through communication』のときは、自分たちの周りのスタッフとのコミュニケーションを積極的に取っていくというテーマを自分たちに課したり。あと、ずっとライブハウスでライブをやってきた僕らがフランスの【Japan Expo】や【SUMMER SONIC 09】という大きな舞台に立つ。その上で要求されるパフォーマンスや「どう伝えたいか」というところについて考えたりしたのもひとつの転機でした。そんな感じで要所要所に転機があったんですけど、基本的にはガムシャラに突っ走ってましたね。

--あと、山崎英明(b)さんのケガにより、最初は3人で活動をしていく状況だった訳ですけど、あの頃は今振り返るとどんな精神状態だったんですか?

蓮尾理之:ちょうど『futuristic imagination』のレコーディングが終わって、PVを撮影する前にケガで休むことになって。でも次の『butterfly swimmer』のレコーディングで戻ってきたので、音源に関しては山崎さんが抜けたものはないんですけど、それ以外のライブや打ち合わせ、インタビューというものに関しては「何とか3人で乗り切る」「だから山崎さんは全力で治してください」っていう感じで。そこもガムシャラだった。

内村友美:3人でライブをすることになって、サポートのベーシストを入れる手段もあったと思うんですけど、その直前のワンマンライブで同期を始めていたんですよ。だから生のベースじゃないと格好良くないものを打ち込みベースでどう補うのかを考えたりしながら、同期に関する感覚を研ぎ澄ましていくことができて。で、同期は山崎さんが戻ってきたあとも継続されたんですよね。それを受け入れてくれたお客さんがいたり、それによって自分たちも「打ち込みもアリなんだな」と思うことができたり、大きな転機にはなりました。

蓮尾理之:打ち込みを入れ始めて、僕と(比田井)修さんは基本的にクリックを聴きながら演奏するようになって。最初は借り物のマックでやっていたんですけど、ライブ中に固まったりしたんですね。もう気が気じゃなくて。

内村友美:それによって蓮尾くんは「絶対にどうにか繋がなきゃいけない」ってなるし、私は私で何が止まっても動じずに歌い続けて、トラブルが起きている方向に向かせないようにしたり。だから自分に注意を向けさせたりとか「そっちは見なくていいよ」って言えるようになったりとかして、そういうMCにしても自分の姿勢にしても度胸は付きました。そこで山崎さんが帰ってきて、ちょうどフランスのライブとか重なっていったので、この1年は起こっている出来事に必然性を感じることがいっぱいあって。

--山崎さんが戻ってきて最初に一緒に音を鳴らしたときはどんな印象を?

内村友美:そこに彼がいること自体がすでに嬉しくて、最初にスタジオで音を鳴らしたときは「わ~!ベースがいるよ」って(笑)。それでずっと「あれやろうよ、これやろうよ」っていろんな曲を演奏していましたね。ただただ嬉しいって子供みたいに思っていたような気がします。それまでパソコンとベースアンプを繋いで、ベースアンプから音は鳴るけど、誰かが弾いている訳じゃない音が鳴っていて。なのに、山崎さんが勝手に音を作って弾いてるっていう状態が特別なことのように思えて。人が弾いたベースが鳴っているのが嬉しかった。

--そんな1年間の集大成とも言えるアルバム『amp-reflection』なんですが、まず自分たちでは仕上がりにどんな印象や感想を?

内村友美:「やれることはやったな」って感じるし、同時に「やれることとやれないことがあるな」っていうことも分かりました。本当にこれだけガムシャラに走ってきた中で、自分たちの不器用さにも気付いたし。それで「ここはお願いした方がいいところなんだ」とか「ここはやらなきゃいけないところなんだ」っていうことも分かってきて、プロデューサーやエンジニアのことをそれまで以上に信頼できるようになった。だからみんなと一緒に作ったっていう感じがすごくしているんですよね。先導してもらった感じもしているし。

--あと、このアルバムには「東のエデン」関連のナンバーが4曲も収録されています。普通、あれだけアクの強いアニメタイアップ曲がこれだけ入ったら、そのアーティストのらしさみたいなモノがボヤけると思うんですが、このアルバムを聴いているとバンドが「東のエデン」に寄せたのか、その逆なのか、全く分からないんですよね。それだけあのアニメのイメージと解け合えた、もしくはそもそも世界観が酷似していたからだと思うんですが。

内村友美:本当に「ピッタリだったな」と思ってます。「東のエデン」が伝えようとしていたテーマや神山健治監督が求めていたものに「自分たちはちゃんと合っていたんだな」って。元々school food punishmentが持っている性質が共鳴したんですかね。やればやるほどそれは感じました。“どちらかがどちらかの為に”ってならなきゃいいなと思っていましたけど、どちらも主役でありながらサポートし合える関係になれたかなって感じています。

--では、同じアニメの楽曲を幾つも発表し続ける上での戸惑いとかはなかったんでしょうか?

内村友美:勝手に4部作にしたんですよ。そういうオーダーがあった訳じゃなかったんですけど、ついつい自分で自分の首を絞めてしまったんです。『futuristic imagination』(アニメ「東のエデン」エンディングテーマ)の次に『light prayer』(映画「東のエデン 劇場版I The King of Eden」主題歌)を書いたときに、自然と世界観を繋げたくなったんです。それで「東のエデン」の曲は最後まで自分たちが書くというのが決まっていたので「これは4部作だな」と思ったんですけど、3作目のときにオーダーされたのが“脳天気なもの”だったんですよ。私の中では1作目、2作目で書いた主人公が脳天気になるなんてとても思えなくて。

--(笑)。

内村友美:私は歌詞によって口調も変わるし、一人称も変わるんですよ。だから“脳天気なもの”を目指せば、1作目、2作目とチャンネルを変えなきゃいけなくなるんですよね。でもチャンネルを変えたら話が繋がらなくなるので、そこをキープしながら脳天気さをどう出すかを考えに考えて。私なりに最大限の脳天気な曲を書いたつもりでいて。他の人だったらもっと脳天気に書けるんでしょうけど、なにせ、自分が脳天気ではないもので、そういうのは書けないし、同じ主人公で最後までいきたいなと思っていたので『future nova』(映画「東のエデン 劇場版II Paradise Lost」オープニングテーマ)みたいな曲になりました。で、4作目『after laughter』(映画「東のエデン 劇場版II Paradise Lost」エンディングテーマ)はその主人公の視点を変えつつ、4部作としてちゃんと通用するように書いた感じですね。

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school food punishment「amp-reflection」

amp-reflection

2010/04/14 RELEASE
ESCL-3414/6 ¥ 3,772(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.signal
  2. 02.goodblue
  3. 03.butterfly swimmer
  4. 04.future nova -album edit-
  5. 05.電車、滑り落ちる、ヘッドフォン
  6. 06.light prayer
  7. 07.after laughter
  8. 08.04:59
  9. 09.駆け抜ける
  10. 10.futuristic imagination -album version-
  11. 11.line
  12. 12.パーセンテージ
  13. 13.sea-through communication

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