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【FUJI ROCK FESTIVAL '16】総力レポート~ライブ・フォト&レポ、360度写真、インスタグラムでフジロックを振り返る
新潟県・苗場スキー場にて2016年7月22日~24日にかけて開催された国内最大級の野外音楽フェスティヴァル【FUJI ROCK FESTIVAL】。20回目を迎えた今年のフジロックには、前夜祭を含め125,000人が来場し、総延べ入場者数200万人を突破した。
20周年ということもあり、ヘッドライナーを務めたシガー・ロス、ベック、レッチリらフジロックに所縁のあるアーティストをはじめ、ウィルコ、トラヴィスらの良質な音楽を紡ぐ中堅、ジェイムス・ブレイク、バトルス、カマシ・ワシントンなどの気鋭アーティストやトロイ・シヴァン、ジャック・ガラット、ラプスリーらの新世代ポップスターなど話題のアーティストが多数出演し、国内外の音楽ファンを唸らせた。Billboard JAPANでは、当日の白熱のライブ&フォト・レポートに加え、360度写真やInstagramでフェスの模様を徹底的に取材。今回特別にFM802のDJも参加してくれた総力レポートをお届けする。
DAY 1 l 2016.07.22 FRIDAY
BOREDOMS / LUCKY TAPES / 奇妙礼太郎 / BIFFY CLYRO / LÅPSLEY / JAKE BUGG / COURTNEY BARNETT / THE INTERNET / THE BAWDIES / JAMES BLAKE / The Birthday / SIGUR RÓS / DISCLOSURE / D.A.N.12:10~ @ FIELD OF HEAVEN

初日、<フィールド・オブ・ヘブン>のトップバッターは奇妙礼太郎。ソロの弾き語りのイメージの強い彼だが、バンドとしての初のステージが「今日このバンドの初めてのライブです。ひとつよろしく~」というMCの様に本当に初めてなようだ。メンバー全員白いフォーマルな出で立ちで放たれる泥臭いR&Rと、むき出しのエモーショナルな声で歌う新曲2曲は、ストレートに晴れたヘブンに染み渡った。ちょっとした「らしい」下ネタMCを挟み、切ない晩夏の思い出のような「最終電車」という曲を歌い上げ、既に配信されているソロ第一弾シングル「七色LADY」をバンドセットで披露し、最後はゲストに松井洋介が登場し、ブルースハープを奏でたり、歌ったりしながら、ヘブンらしいハッピーなグルーヴを生み出していた。奇妙礼太郎は9月に初のビルボードライブ公演が東阪で決定している、どんな新しい奇妙くんを見せてくれるのか今から楽しみである。
15:50~ @ RED MARQUEE

最も脂ののった状態で、ほぼ完璧なセットを披露してくれたコートニー嬢。
着用するバンドTの秀逸なセンスも巷で話題の彼女だが、この日はニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの“BAD SEED”と書かれた黒のTシャツ姿で登場。序盤の「Dead Fox」からタイトなアンサンブルで、観客をグイグイと引き込んでいく。左利きギタリストでありながら、繊細なフィンガーピッキングから荒々しいディストーション・ギターまで様々なスタイルを自由自在に弾きこなし、どの曲にもストイックに、全力投球で挑み、ラストの「Nobody Really Cares If You Don't Go to the Party」まで傾れこむ。ライブ中ほぼMCをしなかったものの、最後に「呼んでくれてありがとう。すごく光栄だよ。」とハニカミながら話す姿には、心を撃ち抜かれた人も多かったはず。正真正銘のインディー・ロック界の才媛、ネクスト・ステージではどんな姿を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。
16:30~ @ WHITE STAGE

夕刻の<ホワイト・ステージ>には、今年の初来日公演もSOLD OUTしたジ・インターネットが登場するとあってかなりの観客が押し寄せていた。1曲目「Dontcha」からシド・ザ・キッドが華奢ながら存在感を感じさせるパフォーマンスで極上のメロウ・ソウル・サウンドを披露。そのまま最新作『エゴ・デス』より「Get Away」につなぐと大歓声が起こると、コール&レスポンスしながら会場のヴォルテージを更にあげていく。中盤、機材トラブルに見舞われるも、バンドメンバーの楽しそうな雰囲気は変わらず、新旧の曲を絶妙に織り交ぜ終盤へと展開し、すっかり会場の雰囲気を自分達のものにしていた。終止観客との距離を近くとりながらのMCやいちいちカッコいいシドの仕草と妖艶なヴォーカルが印象的で、彼らの幅広い音楽性が存分に散りばめられたライブだった。単独公演も是非期待したい。
18:50~ @ GREEN STAGE

まだ日の落ちてない<グリーン・ステージ>にジェイムス・ブレイクが登場。「Life Round Here」のイントロが演奏されると悲鳴に似た歓声が起こるがその声をかき消すように深い低音とエモーショナルな歌が鳴り響く。欲を言えば、もう少し暗い時間に観たかったと思っていた。「こんばんわ、日本に来れて嬉しいです。」と日本語で挨拶し最新アルバムより「Timeless」を演奏する。一音一音がズシリと全身に響く重低音と、美しいヴォーカルと相まって塊になって迫ってくる、気がつけば日も落ち、叙情的な雰囲気にハマる暗さになり、彼をこの時間に置いた意図を理解した。観る度に進化する彼のライブだが、今回歌唱力が次元を超えて素晴らしかった。またラストの「The Wilhelm Scream」での美しいノイズに心を掴まれた人も多かったのではないだろうか。まだまだ進化する彼の今後が楽しみだ。
21:00~ @ GREEN STAGE

2005年<ホワイト・ステージ>での伝説的なステージから彼らがヘッドライナーとしてカムバックするのをどれだけ待ったことか。フジの幻想的な雰囲気を音楽で体現するバンドと言っても過言ではない、シガー・ロス。この日のパフォーマンスは、そんな記念すべき日にふさわしいバンドの集大成となるステージだった。
「Óveður」のイントロとともにどよめきが起こると、やや肌寒い夜空の下、ヨンシーの無垢な歌声が木霊する。冒頭の格子の演出、宇宙的なLEDプロジェクション、ドリーミーなスモーク、そして目を見張るようなライティングまで、すべてがシネマティックで堂々たるスケール。哀愁漂うゲオルグのベースラインとオッリの凄まじいドラミングの緩急なコントラストがスリリングな「Ný Batterí」、ヨンシーの伸びのある甘美なファルセットに息をのんだ祝賀的賛美「Festival」、ゲオルグがドラムスティックを用いてベースを演奏する、どこかオリエンタルでマントラ的な雰囲気が漂う「Hafsól」など、新旧バランスのとれたセットリストを展開。そして悲痛な叫びとともにヨンシーがボウを投げ捨て、まるで雪崩の如く音が溢れ出したラストの「Popplagið」は圧巻の一言だった。
鳴り止まない拍手と歓声に応え、3人は2度もステージへ登場し深々とお辞儀をし、満足そうな笑みを見せる。「“Takk”シガー・ロス」-美しいという言葉だけでは揶揄しきれない、感動的で高尚なパフォーマンスだった。
23:30~ @ RED MARQUEE PLANET GROOVE
昨年はルーキーに出演し、今年は深夜の<レッド・マーキー>のPLANET GROOVEのオープニングに抜擢されたD.A.N.。スタート前より既にレッドには溢れんばかりの観客が詰めかけていた。小林うてなをサポートに従え、3人が登場すると歓声があがり「Zidane」でライブはスタートすると、オーディエンスは思い思いに身体を揺らしフロアの空気は一気に変化した。「Ghana」ではバックのビジョンにはメンバーとシンクロしたアニメーションが映し出されステージを盛り上げる。心地よいシンセとキック、ベース音とまるで楽器のような伸びのある高音のヴォーカルが合わさり浮遊感あるクラブサウンドに会場は完全にダンスフロアと化していく。まだ結成2年ほどのバンドとは思えない円熟のパフォーマンスと曲間で述べる感謝の言葉が印象的だった。今後の彼らの活動には目が離せない。
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公演情報
【FUJI ROCK FESTIVAL '16】2016年7月22日(金)、23日(土)、24日(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
開場9:00 開演11:00 終演予定23:00
チケット:1日券19,000円、2日券36,000円、3日券43,000円
INFO: http://www.fujirockfestival.com/
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