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高見沢俊彦(THE ALFEE)【真夏の夜の夢 : Takamiy 3Days】インタビュー



高見沢俊彦(THE ALFEE)【真夏の夜の夢 : Takamiy 3Days】インタビュー

 8月17日~19日の3日間 ビルボードライブ東京にて【真夏の夜の夢 : Takamiy 3Days】開催決定! このイベントに向け、高見沢俊彦(THE ALFEE)のアーティスト/ミュージシャン像に迫るインタビューを敢行した。

 42年にもわたって音楽やバンドを継続できている要因、500本以上のマイギター、西本智実率いるイルミナートフィルハーモニーオーケストラとのコラボコンサート【INNOVATION CLASSICS】への挑戦、クラシックやプログレへの想い~1995年の画期的名盤『夢幻の果てに』制作秘話、苦手だったテレビに出演するようになった経緯、そしてビルボードライブ東京公演の構想など、高見沢俊彦の歴史と音楽愛が詰め込まれたミュージックフリーク必見の内容! ぜひご覧頂きたい。

42年目の今が一番良い状態~解散すると暴露本が3つ出る(笑)

--デビューから42年。今、高見沢俊彦はどんなアーティスト/ミュージシャンになっているなと、ご自身では感じられていますか?

高見沢俊彦:自分ではコンポーザーであり、ギタリストであり、シンガーである。この3つは変わらないですね。いろんなことをしてるんですけど、ミュージシャンとしてやってきたことに対して自信というか、「俺はミュージシャンである」という確固たるものはあります。だからいろんなことが出来る、どこに行ってもここに帰ってこれる。例えばバラエティ番組に出たとしてもね。42年かけてミュージシャンとして培っていたものがありますから。だからこそ、ふなっしーともロケができた(笑)。

高見沢俊彦(THE ALFEE)【真夏の夜の夢 : Takamiy 6Days】インタビュー

--では、ギタリストとしては?

高見沢俊彦:変なギタリスト。

一同:(笑)

高見沢俊彦:だって、普通さ、プロのギタリストでも500本以上ギター持っている人っていないよね? エンジェルギターみたいにデコラティヴなものはライブパフォーマンス用にね、お客さんをビックリさせたいと思って作っている訳ですけど、そういうことを踏まえると「変だよな」って思うよね(笑)。普通は1本のギターを使い続けたりすると思うんだけど、そういうことはあんまり考えてないですからね。

--そもそも何がきっかけで500本以上ものギターを持つことになったんですか?

高見沢俊彦:エンジェルギターとか、恐竜ギターとか、変形ギターをたくさん持ってるんですよね。これは、T・レックスとか、デヴィッド・ボウイとか、グラムロックが高校のときにすごく流行って。その中にモット・ザ・フープルのイアン・ハンター(vo,g)っていう人がいて、当時『ミュージック・ライフ』に“H”ギターを持って載ってたのよ。Ian Hunterの“H”ね。やたら高いロンドンブーツ履いてさ、ギンギラの格好して、それで“H”ギターを持ってる姿がすごく衝撃的で!「ギターってこんなこと出来ちゃうんだ? これで音鳴るんだ?」みたいな。あの頃、レスポールかストラトしかないじゃない? リッチー・ブラックモアはストラトだし、ジミー・ペイジはレスポールだし、それがスタンダードだと思っていたところに……異物だよね?「これはすげぇな!」と思って、そのイメージが僕の中にずっとあって。そういうギターの自由度を追求していくと、どんどんいろんなギターが欲しくなって、結果こんなんなっちゃった(笑)。

--明らかに弾きづらいギターもありますよね?

高見沢俊彦:あるよー。失敗作というかね。4本ネックのギター作ったんだけど、重すぎて持てず。一番下のネックは必要ない。

--(笑)

高見沢俊彦:手が届かないんだよね(笑)。

--では、THE ALFEE。自分の中ではどんなバンドになっていると思いますか?

高見沢俊彦:ライブバンドとしては最古のほうですよね。現役でずっと休みなく42年活動し続けてきましたから、それに対しての自負もありますし、そういう意味では「よく熟成してきたな」と思ってますよ。バンドとしての状態は、今が一番良いと思うんですよ。それぞれみんなスキルもアップしてるし、42年目の今が一番良い状態のバンド。そう在りたいと思ってやってきたからね。

--40年以上一度も解散せず継続している、しかも第一線で休まず活躍し続けている日本のバンドって、サザンですら活動休止はありましたから、今やTHE ALFEEしかいないと思うんですが、何をどうしたらバンドをここまで長く太く存在させ続けられるんでしょう?

高見沢俊彦:バンドって「継続させるのが難しい」って言われるよね? ただ、THE ALFEEに限って言うと難しくないんだよね。みんなコーラスが好きでしょ? それで三声のコーラスをやってる。3人がそれぞれリードボーカルも取れる。だからひとりだけの喉を酷使しないで済む。で、やっぱり3人ともライブが好きなんだよね。3人でやるパフォーマンスが好きだし、1人だとここまで出来なかったと思うけど、普通は100%出せばいいところを3人なら1人50%でも150%の力が出せる。そういう感じでやってきたから続けてこれたのかなと思う。あとね、これはよく冗談で言ってるんだけど、長く続けられてきた要因は、3人とも次男坊なんだよね。長男的な感覚がない。次男坊気質というのかな?「俺が、俺が」っていうのが3人ともあんまりない。「どうぞ、どうぞ」的な感じ? ダチョウ倶楽部精神でやれてるから(笑)。俺が歌作ってさ、「さぁ、誰が歌う?」ってなったときに「おまえが歌え」「おまえが歌え」「おまえが歌え」って決まらないときがあった。そういうときは3人でオーディションして、多数決で「じゃあ、桜井で」みたいな。それぐらい「俺が、俺が」って奴がいなかったことも良かったのかもしれませんね。

--いわゆる普通のバンドに比べて、結果的にフラストレーションが少ないチームを組めていたんですかね。

高見沢俊彦:多分ウマが合ったんでしょうね。同じような家庭環境の次男坊同士だったというのもありますし、桜井とは高校も一緒だし、坂崎とは大学からですけど、学校も同じだったというのもある。あと、それぞれが全く違う音楽性を持ってるんで、お互いをリスペクトする部分ももちろんありますからね。今でも「俺には出来ないな」って思う部分をお互いに感じ合えてるからバンドって出来るんじゃないかな。全部「俺だ!」ってなったら、やっぱりそれはブレイクするしかないじゃないですか。「1人でやったほうがいい」って思うならやったほうが良いと思うんですよ。でもそういう風には思ってこなかったから。なので、THE ALFEEのスピリッツというのは、ひとつの塊としてのスピリッツ。だから継続してこれたのかなって思います。

--学生時代からの仲間とバンドを続けているという意味では、42年間ずっと青春を継続している感覚もあったりする?

高見沢俊彦:そうだね! 相変わらずバカな話もするしね。本当にくだらないことを話していることも多いですし……あと、お互いにいろんなこと知ってるから解散できないところもある。

--解散すると何を暴露されるか分からない?

高見沢俊彦:何を言われるか分からない!

一同:(笑)

高見沢俊彦:暴露本が3つ出る(笑)。

--昨年、TM NETWORKが30周年を迎えて、3ピースという形態でこれだけ長く継続している人たちってなかなかいないですよねって話になったら、小室哲哉さんが「どれだけ長くやっても僕らの上にはTHE ALFEEがいる」みたいな話をしていて、もうこれだけの歴史を超えられる3ピースバンドって出てこないんじゃないかと思うんですけど、ご自身ではどう思われます?

高見沢俊彦:それだけ長くやってるってことですよね。でも最初から長くやろうと狙っていた訳じゃないからね。ただ、1日1日の積み重ねというか、「休みなく続けていくことに意義があるかな」みたいな。毎年ツアーも欠かさずやってきているし、今でも年間60本はやってますからね。その中で、やり続けていることの楽しさがあるし、ライブを続けるからこそ新しい曲が生まれる。そういう相乗効果も僕の中にはありますから。だからライブ活動が出来ているうちは続いていくんだろうなって。

--このまま行くと誰も超えられないバンドになりそうですよね。

高見沢俊彦:でもこういうバンドがひとついることで、「いくつになってもやっていけるんだ?」って若いバンドが思ってくれればさ、続けていけるじゃない。1年、2年で辞めないでさ、「とりあえず10年頑張ってみようか」って。まぁ何年って決めなくてもいいけどね。出来るときにやって続けられればね。でもこれって難しい問題があって、自分たちがやりたいと思ってもやれない状況になる場合があるから。そこはファンの人たちに感謝だよね。僕らの歌を見つけてくれた人、僕らのコンサートを選んだ人、そういう人たちによって僕らは活動できてるから、そういった方たちへの感謝っていうのは……最近特にそう思うことが多くなってきましたね。これだけ長くTHE ALFEEの歌を愛してくれて、コンサートを選んでくれて、この前リリースした新曲もおかげさまでベストテン入ったし、それで『メリーアン』から50作連続TOP10入りになった訳ですからね。やはり、ファンの方たちには心から感謝してますよ。そういうサポートがない限りは長くできないですから。だからファンは裏切らずに大事にしましょう(笑)。それだけは言い切れますね。

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--40年以上も音楽活動をしていたら、なかなか新鮮なアプローチって出来なくなっていきそうなものですけど、高見沢さんは今年2月に西本智実率いるイルミナートフィルハーモニーオーケストラとのコラボレーションコンサートを開催。あの企画は42年目にして大きな試練でもあったと伺っているんですが、そもそもどういった経緯で実現に至ったんでしょう?

高見沢俊彦:これは西本さんからのオファーですね。西本さんが「ぜひ一緒にやりたい!」と言ってくれて、それでお会いして話を聞いたところ「新しいクラシックを考えてる」と。そこにぜひギタリストとして迎えたいと。それで「じゃあ、やってみようかな」って半分安請け合いだったんですよ。自分もクラシック好きだから出来るかなと思って。でも、西本さんから「こんな曲をやりたい」と譜面が送られてきて、それを見たときはひっくり返りました(笑)。「これはちょっと出来ないんじゃないかな?」みたいな。クラシックの譜面を見るのも初めてだったし、あんなに何段も長く音符が連なってる譜面を見たことがなかったから。ほら、僕らみたいなロックミュージックはコードでしょ? そのコードという概念がクラシックにはない訳ですよ。メロディーのハーモニーだから。で、「ここ弾いて」「ここ弾いて」って付箋があるんだけど、「これ、俺が弾くの? ギターで?」みたいな。あとは、自分のインスパイアでアドリブでやらなきゃいけない部分もあったし、まず「これは大変だな」って思いましたね。でも「新しい扉が開けるかな?」っていう予感があったので、気持ちとしては「うわぁ、まいったな~」と「楽しみだな」の両方が半々である感じ。ステージに立つまではかなり緊張してました。

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