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ピーター・バラカン×OKAMOTO'S レイジ&ショウが語る70s、パンク、NY。海外ドラマ『VINYL -ヴァイナル- Sex, Drugs, Rock'n'Roll&NY』特集

 7月11日にスターチャンネルにて日本独占放送が開始した海外ドラマ『VINYL ‐ヴァイナル‐ Sex, Drugs, Rock'n'Roll & NY』。ミック・ジャガーとマーティン・スコセッシという音楽と映画の二大巨頭がプロデューサーをつとめる同作は、70年代のNYの音楽シーンとその熱量を再現しながら、音楽ファンにはたまらないネタやシーンの数々も盛り込んだ、いま必見の1編だ。

 さらに、ドラマの公開に合わせて、ドラマと同タイトルのサントラ盤も7月27日に日本リリース。サントラは、ドラマ内で使用されたロック名曲の、現代アーティストによるカバーを中心に編成されたベスト盤的な内容になっており、ザ・ストロークスのジュリアン・カサブランカスが「ヴィーナス・イン・ファーズ」(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)をカバーしたかと思えば、チャーリー・XCXも「ノー・ファン」(ザ・ストゥージーズ)をカバーするなど、ドラマ同様にアツい一枚。また、ソニック・ユースのリー・ラナルドがギター等を手がけた映画オリジナル・バンド=Nasty Bitsの楽曲も収録し、その豪華な参加メンバーにも改めて注目が集まっている。

 今回はそんな注目ドラマ『ヴァイナル』について、ピーター・バラカンとOKAMOTO’Sのオカモトショウ(Vo.)&オカモトレイジ(Dr.)にインタビュー。『ヴァイナル』の魅力をたっぷり語ったトークショーの後、さらに3人に話を聞いた。

73年は音楽が「一番面白い時期」

――トークショーでバラカンさんもおっしゃっていましたが、まず、このドラマの1973年という時代設定が絶妙ですよね。パンク、ヒップホップ、そしてディスコのそれぞれ“前夜”で、ニューヨークのアンダーグラウンドが一番アツかった時代。ドラマで象徴的なバンドとしてニューヨーク・ドールズが登場しますが、当時、バラカンさんは彼らの音楽をどのくらい聴いていましたか?

バラカン:僕は74年に東京に来たので、ちょうどニューヨーク・ドールズのアルバムが出た頃でした。それまでも音楽の世界にいたので存在を知ってはいましたけど、ジャケットを見て「俺の聴くものじゃないな」って距離を置くような感じでしたね。でも、音は一応聴いていて、案外ロックンロールだなと思ってました。僕は当時、グラム・ロックがダメだったんです。

レイジ:そうなんですね!

ショウ:じゃあ、マーク・ボランなんかも?

バラカン:そう。ああいうミャアミャア歌う感じが苦手で。あくまで個人的な好みなんですけど、ボランもブライアン・フェリーもダメだったし、当時はデヴィッド・ボウイも嫌いだった。歌い方が生理的に受け付けられなかったんですよね。

ショウ:なるほど。

レイジ:でも、ヨハンセンは見た目がああなだけで、歌い方は全然違いますよね。

バラカン:確かにそうですね。

--OKAMOTO’Sのお二人はいかがですか?

レイジ:ニューヨーク・ドールズはいつ頃だったかな? もしかしたらジョニー・サンダースの方が先かも知れないです。俺らの世代で、そういうバンドと言ったらまず毛皮のマリーズがいましたね。彼らがリアルタイムで居た“グラムっぽいパンクなバンド”。それこそドールズ直系のバンドっていう感じでした。


▲毛皮のマリーズ - ビューティフル

ショウ:ニューヨーク・ドールズもそうだと思いますが、ローリング・ストーンズからの派生という意味でいうと、俺の場合、村八分の方を先に知りました。どっちも70年代のバンドで、ミック・ジャガー・リスペクトのヴォーカルがいたバンド。それに、パンクの元祖っていう意味だと、どちらかと言うとザ・ストゥージーズやMC5の方が音楽的には突き刺さっていました。

バラカン:なるほどね。後追いだと、その後も知った上で聴いてるから、聴こえ方が全く違うよね。

--逆に、このドラマでは、そうやって後追いで別の文脈で知っていたロックやディスコ等のアーティストが、実は同時期に近しい所で活躍していたというのが、映像でクリアに分かって面白かったですね。

ショウ:たしかにそれはありますね。ジェームス・ブラウンなんかも、後追いだと分かりづらいですが、時代ごとに切っていくと「まだいるの?!」って何度も思います(笑)。

レイジ:ジェームス・ブラウンは驚くほどずっといる(笑)。

バラカン:ちょうど73年のファンクってちょっとジャズの要素が入り始めたりして、すごく面白いんですよ。ハービー・ハンコックの『ヘッドハンターズ』が73年。当時、めちゃくちゃ最先端の音楽で、ジャズの人が聴けば「ちょっとジャズじゃない」ってなるし、ファンクの人が聴くと「ずいぶんジャズだね」ってなる。どっちつかずと言えばそうかも知れないけど、両方を取り入れてるところがすごいカッコよかった。それこそジェームス・ブラウンも新しいタイプのファンクをどんどん築いていって、ウォーとかアイズレー・ブラザーズ、クール・アンド・ザ・ギャング…そういう、ちょっとジャズの要素が入った新しいファンクがめちゃくちゃ面白かった時期ですね。ソウルでも、マーヴィン・ゲイの『レッツ・ゲット・イット・オン』とか、スティーヴィー・ワンダーの『インナーヴィジョンズ』とか、ブラック・ミュージックの聴いたことのないような作品がボンボン出てた。もしかしたら一番面白い時期だったかも知れない。


▲Herbie Hancock - Headhunters(Live)


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(オリジナル・サウンドトラック) アレックス・ニューウェル、ジェス・グリン&DJキャシディ with ナイル・ロジャース チャーリー・ウィルソン エルヴィス・コステロ トレイ・ソングス イギー・ポップ チャーリー・XCX ジョン・ドゥー「VINYL -ヴァイナル- Sex,Drugs,Rock’n’Roll&NY オリジナル・サウンドトラック [シーズン1]」

VINYL -ヴァイナル- Sex,Drugs,Rock’n’Roll&NY オリジナル・サウンドトラック [シーズン1]

2016/07/27 RELEASE
WPCR-17394 ¥ 2,703(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.キル・ザ・ライツ
  2. 02.オールライト・レイディ(レッツ・メイク・ア・ベイビー)
  3. 03.バック・スタバーズ(裏切り者のテーマ)
  4. 04.ライフ・オン・マーズ(火星の生活)
  5. 05.アイ・ディグ・ユア・マインド
  6. 06.ノー・ファン
  7. 07.ストリキニーネ
  8. 08.ホエア・アーユー・ナウ?
  9. 09.ウォッチ・ユア・ステップ
  10. 10.ステイ・ウィズ・ミー・ベイビー
  11. 11.アイヴ・ビーン・ロング・ソー・ロング
  12. 12.ウーマン・ライク・ユー
  13. 13.シュガー・ダディ(テーマ・フロム・ヴァイナル)
  14. 14.ヴィーナス・イン・ファーズ
  15. 15.ラヴ、アイ・ウォント・ユー・バック
  16. 16.ブラック・コーヒー
  17. 17.アイ・ウォナ・ビー・ウィズ・ユー(明日を生きよう)

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