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モーニング娘。'16鈴木香音卒業インタビュー
「自分はどういう風に思われたっていい。笑ってほしい」 「私にとってはモーニング娘。が太陽だった」
5月31日の日本武道館公演をもってモーニング娘。での5年半の活動に終止符、そして芸能界を引退し、次の夢である福祉の世界へと進んでいく鈴木香音。この卒業インタビューでは、加入前の少女時代~センター宣言したデビュー、愛をもって厳しく育ててくれた先輩、体型にも表れた0か100の性格、心ない言葉に傷ついた無の時代、笑顔を大切にしたいと思った理由、アメリカでの人気の理由、卒業の真相、メンバーへのメッセージ等、あの笑顔を何度も輝かせながら語ってくれた。
香音が笑えば娘。は笑う――― 12歳から17歳という幼いままで何の問題もない日々を、とにかく人を笑顔にする為に生きてきたモーニング娘。人生。そのドキュメンタリーをここに記録する。
厳しくしてくれた先輩「なんでそこまで人の為に出来るんだろう?」
--2011年1月2日 中野サンプラザで行われた【Hello! Project 2011 WINTER ~歓迎新鮮まつり~】にて、9期メンバーとして「なるべく早いタイミングでセンターポジションを獲れるように頑張るので、よろしくお願いします!」と加入してきた鈴木香音12歳。当時のことはよく覚えてますか?
モーニング娘。9期コメント 2011/04 (English sub)
--モーニング娘。に会えたことがとにかく嬉しかったんですね。
鈴木香音:あと、すごくたくさんお客さんがいて、でも普段と変わらずに喋れてる自分にビックリして。とにかく笑いすぎて、歯が乾いてくちびるがくっついちゃったりしたんですけど(笑)わりと落ち着いていつも通り喋ってたなって。今振り返ると「度胸あるなー」って驚かされます。--当時の映像を振り返ると緊張してる様子が全くないですよね。
鈴木香音:怖いもの知らずで、それまでもほとんど緊張したことがなかったんです。それこそマラソン大会とか競わなきゃいけないときぐらいで、学校の発表会とかも全く緊張しない子供だったので、あのときも全く緊張しなかったです。むしろずっとニコニコしてて楽しそうでしたよね(笑)。--モーニング娘。に加入する前はどんな女の子だったんですか?
鈴木香音:加入当時、全くカメラとか回ってないのに「モノマネします!」って先輩の前ではしゃいだりしてて、とにかく自分がふざけることでみんなに笑ってほしい!みたいな感じだったんですけど、加入前もそのまんまでした。小学校高学年ぐらいから授業中に先生の話していることにチャチャ入れるようになって、それでクラスに笑いが起きるみたいな。授業を楽しくしたいと思っちゃうような子だったんですよね。だから基本的には変わらないです。--そんな女の子が何きっかけでアイドルになろうと思ったんでしょう?
鈴木香音:一番最初はアニメだったんですけど、『おジャ魔女どれみ』が好きで、その中の女の子がアイドルだったんですけど、私が生まれてちょっと経ってから始まったアニメだったから、物心がついたときにはもう「アイドルになりたい」「テレビに出る人になりたい」ってなってたんです。だから将来の夢について悩むとかもなかったんですよ。それが4,5歳ぐらいのとき。そこから12歳でモーニング娘。に加入するまで「アイドルなんてなれる訳ないじゃん」ってすごくバカにされて、悔しくて「じゃあ、歌手になりたい」ってちょっと方向転換した感じで言ったりもしてたんですけど、本当はずっとアイドルになりたくて。今から目指したい福祉系の仕事に就く夢も小学校高学年ぐらいには抱いていたんですけど、そんな中でモーニング娘。のオーディションがあったので「受けたい」と思って、そっちの道へ進んで行った感じです。--モーニング娘。を最初に認識したのっていつ頃なんですか?
鈴木香音:その時期です。メンバー募集が始まったぐらいのときに「モーニング娘。をちゃんと知ろう」と思って。それまでも知ってはいたんですけど、どの期にどのメンバーが入ったとかそこまで詳しくは分かっていなかったので、ちゃんと観るようにしたら一気にファンになっちゃって。毎日学校に行く前、早起きして朝からモーニング娘。の動画を観て、学校から走って帰ってきてからもずっとモーニング娘。を観てました。それぐらいすっごいハマっちゃって、「好き!好き!」って気持ちが止まらなくなった時期に合格できたから「え、いいのかな?」みたいな(笑)。--なんでそんなにハマったんですかね?
鈴木香音:アーティストっぽい感じ。アイドルだけどキャピキャピしてなくて、格好良くて見入っちゃう感じ。アイドルと言えばモーニング娘。というイメージはあったんですけど、実際にちゃんと観てみたら、私の知っているアイドルとは違う格好良いアーティストだったんですよ、当時のモーニング娘。は、その8人、9人編成のときのモーニング娘。にハマってしまって「このグループに入りたい!」って思ったんです。自分があんな風になれるかどうかは分からないけど、「会いたい、この人たちに」って思いました。--そんな鈴木香音含む9期メンバーがモーニング娘。に入ってきた訳ですが、鞘師里保も「最終的にはリーダーになる」と強気でしたし、みんな幼くて小さいのにビッグマウスだったのが印象的でした。
鈴木香音:ハハハ!--あの頃、鈴木香音は将来的にモーニング娘。でどんな存在になると夢見ていたんでしょうか?
鈴木香音:当時はまだそういうイメージとか全くなくて、とにかく「モーニング娘。が好きだから一緒にいたい」って思ったりとか(笑)、あとは「なんちゃって恋愛」とか「しょうがない 夢追い人」とかをステージ上で歌っている自分で在りたいと思って、そういう漠然とした夢はあったんですけど、自分がグループの中でどういう立ち位置でやっていくか?とかは全く考えてなくて、とにかく「あの曲を歌ってみたい!」っていう気持ちだけがありましたね。--先日の鈴木香音ソロイベントで「しょうがない 夢追い人」を一人で歌われていましたけど、どんな気分でした?
鈴木香音:「これ、やりたかったやつ!」って(笑)。夢が叶いました。--その「しょうがない 夢追い人」も歌っていた5期の高橋愛、新垣里沙、6期の田中れいな、道重さゆみ、8期の光井愛佳と錚々たるメンバーが揃っていた時代のモーニング娘。へ加入した訳ですけど、実際に共に活動してみてどんな印象を持たれました?
鈴木香音:私、当時のモーニング娘。の皆さんを超人だと思ってて(笑)、リハーサルなんかしなくても何でも出来ちゃう人たちだと思っていたんですよ。--アニメキャラ的な見方だったんですかね?
鈴木香音:そうなんです。まだ12歳だったから知ってることも本当に少なかったので。でもいざ自分が入ってみたら、1,2ヶ月みっちりリハーサルをして、それで私が映像で観ていたあのコンサートにまでクオリティを上げていくんだなって知って、想像していた世界とは違いましたね。裏で努力しているところまで想像ができてなかった。--で、自分たちはもっと努力しなきゃいけない訳ですよね?
鈴木香音:そうなんですよ(笑)!--憧れの先輩たちと初めて一緒にパフォーマンスを披露したときは、どんな気持ちになりましたか?
鈴木香音:完全に5(先輩)対4(9期)みたいな感じだったので、9期は一緒に前に行って後ろに下がるっていう、移動の仕方も全部5対4だったんです。だから最初は一緒にやってる感じがあんまりなかったんですけど、9期のデビュー曲である「まじですかスカ!」のミュージックビデオが出来上がったときに、先輩のリップシーンと9期メンバーのリップシーンが交互に入っていたのを観て、「え、おんなじように出て行っちゃっていいのかな?」って思って、「しかも自分の顔が高橋愛さんの次に映っちゃっていいのかな?」って思って、それはすごく不思議な感覚でした。だから最初は「きっとこれは世に出ずに終わっちゃうんだろうな。自分たちで観て終わっちゃうんだろうな」って思ってたんです。信じられなさ過ぎて。12歳ながらに自分でも自分が子供なのは分かるし、こんなに違和感ある感じで出ちゃっていいのかなって思ってたんです。現実味がなかった。--では、自分の中でリアリティが出てきたのは?
鈴木香音:そこに辿り着くまでは結構時間がかかりましたね。先輩が卒業していくにつれてっていう感じだったので、だいぶ時間がかかりました。--当時の9期は、光井さんが新人教育係的なポジションでいろいろ教えていたと思うんですけど、彼女にはどんな印象を持たれていましたか?
鈴木香音:うーん……最初は「あ、こんなに怒る人なんだ?」と思ってました(笑)。それまで先輩に怒られることってなかったんですよ。小学生だったから部活も全然厳しくなかったし、だから先輩後輩の関係値みたいなものも全く分かってなくて。だから「敬語を使って、先輩よりも一歩引いてれば大丈夫」ぐらいの結構軽い意識でいたんですよ。なので、例えば、本番前に「何分前です」ってスタッフさんから言われても、とっさに返事が出来なくて怒られたりして。一番よく覚えている怒られ方が「9期、返事」っていう。--(笑)
モーニング娘。 『女が目立って なぜイケナイ』 (光井愛佳 PV Solo Ver.)
--その話、高橋さんはラジオで語られてましたよね。光井愛佳は嫌われると分かりながらも後輩に厳しい先輩であり続けていたこと、でも裏では泣いていたこと。それを知った瞬間はどんな気持ちになりました?
鈴木香音:一切そういう姿を私たちに見せなかったんですよ、光井さんは。だから「なんでそこまで人の為に出来るんだろう?」って思いました。だって、誰だって「自分が一番」って思ったりするじゃないですか。自分の評価が気になったりもするはずなのに、それをさしおいて私たち9期メンバーのことを想って、私たちが恥をかかないように一生懸命いろいろ教えてくれていた訳だから……そこまで人の為に出来る人なんて本当に少ないと思うし、すごく嬉しかったです。- 笑顔の理由「自分はどういう風に思われたっていい。笑ってほしい」
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リリース情報
泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅
- 2016/5/11
- 初回生産限定盤A[EPCE-7217(CD+DVD)]
- 定価:1,600円+税
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄
Photo:内山直也
泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅
2016/05/11 RELEASE
EPCE-7217/8 ¥ 1,760(税込)
Disc01
- 01.泡沫サタデーナイト!
- 02.The Vision
- 03.Tokyoという片隅
- 04.泡沫サタデーナイト! (Instrumental)
- 05.The Vision (Instrumental)
- 06.Tokyoという片隅 (Instrumental)
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