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SuG 『Lollipop Kingdom』インタビュー

SuG  『Lollipop Kingdom』 インタビュー

 ヴィジュアル系シーンの“異端”SuGが、4月15日に開催されたイベントでやってくれた。ももいろクローバーZとの対バン(クリープハイプも参戦)で、彼女たちの『労働讃歌』をコピー。アウェー感を一蹴したことで、サイリウムを手にした無数の腕がガンガン振り上がる。交わらないと思われたV系ファンとアイドルファンが凄まじい一体感を生むという、ミラクルを起こした。

 今回の武瑠(vo)2ndインタビュー(1stはこちら )は、そのイベントの5日前に実施したものということもあり、奇しくも何故SuGが前述のようなミラクルを起こせたのか、納得できる内容になっている。アイドルや大槻ケンヂ、毛皮のマリーズ、L'Arc~en~Cielなどの話も交えながら武瑠の思想や価値観を改めて掘り下げつつ、最高傑作と言い切れるニューアルバム『Lollipop Kingdom』をどのような構想をもってして生み出したのか。ガッツリ語ってもらった。

ももクロZとの対バン~アイドルとの戦い方

--4月15日にももいろクローバーZと対バン。驚いたんですが、これはSuGにとって気合いの入る組み合わせだとも思いました。

武瑠:9割ぐらいももクロZのお客さんだと思うんですけど、その中でライブができるのは嬉しい。ただ、SuGって1曲では理解しづらいバンドだと思うので、短い時間の中でどんなセットリストを組むのか悩んでます。あと、1曲ぐらいは変なことしたいなって(笑)。

--ももクロZのアクロバティックなパフォーマンスだったり、選挙カーで東京中を走り回るキャンペーンだったり、ザ・ゴー!チームのイアン・パートンが曲を手掛けたり、そういう前代未聞の感じって、武瑠さんのアンテナに引っ掛かるところですよね、きっと。

武瑠:そうですね。正当なアイドルじゃないし、明らかにズレをわざわざ楽しんでいる。それは大人がニヤリとしながら遊んでいるところだと思うんですけど、共通しているところはあるかもしれない。元々ちょっと変な存在だとは思ってましたけど、『労働讃歌』なんて明らかにおかしいじゃないですか。PV観ても面白いし、歌詞は大槻ケンヂさんが書いてるし。で、俺、大槻ケンヂさんのこと大好きで。

--それは反応しちゃいますね。

武瑠:活動形態として自分の参考になったうちの1人なんです。曲もやって、バンドもやって、小説も書いてっていう。小説『グミ・チョコレート・パイン』がすごく好きで。あと『リンダリンダラバーソール』とか、あの人の半自伝小説みたいなもので勉強してきたところもあって。自分がロックを知りたての高校生のとき、好んでいたルーツのひとりが歌詞を書いているというのも、『労働讃歌』が引っ掛かるポイントとしては大きかったですね。

--ズルいなと思う?

武瑠:思いますけど、あの規模だからできることだと思うんで。発想を形にできる力が大きい。まぁでも彼女たちもいきなり今の状態になった訳じゃないし、ひたすら地方でイベントとかもやりまくってきたんですよね? 週末ヒロインとしての活動を一貫してきた。そこがあるから余計に面白いんですよね。

--昨今のアイドルシーン自体は、武瑠さんの目にどんな風に映っているんでしょう? 音楽シーン全体における大きなシェアを握っている訳ですが。

武瑠:そんなに興味はないんですけど、曲自体には反応しちゃいますね。AKB48の言葉のキャッチーさは恐ろしいなって、純粋にそう思います。だから作詞家としての部分も含め、秋元康さんのプロデュース能力は本当に凄いなって。それはアイドルだから云々ではなく、単純にあのチームとしての構造が素晴らしい。ただ適当にやらせている訳ではなくて、すべてをちゃんと理由立ててあるんで。そういう意味では、アイドルも好きですよ。ただ、その中の人間関係とかはあんまり興味ないです。で、そこに興味がないと言うことに対して、怒る人が一番嫌いです。

--(笑)

武瑠:それは超ウザイ(笑)。なんで押しつけてくるのかわかんない。好きなところだけ好きでいいんじゃないかなって。

--ただ、そういう人も多く出てくるほど、アイドル勢はバンド勢に対してシェアを広めています。AKB48をはじめ、エンターテインメントとしてかなりセンセーショナルなことをやってきた結果だと思うんですが、武瑠さんは負けじと仕掛けていきたいタイプですよね。

武瑠:そうですね。ただ、いつも意識しているのは“自分たちで作っている”ということで。そこがなかったら、アイドルとかジャニーズの方とかに勝ち目ないと思うんですよ。だって、幼い頃からいろんな教育を受けて育っているし、演技力が素晴らしい人たちが集まっている訳だし、いろんな見せ方のプロだし、そもそもがクラスで一番目立つような人たち。そこにどう立ち向かうかって言ったら、バンドやってる人なんて基本的には欠陥人間しかいないと思うんで、その隙間から出ていくもので何かを作って勝負していくしかない。

--なるほど。

武瑠:勘違いされている方が「SuGはアイドルみたいだ」とか「ジャニーズに行けよ」とか言うんですけど、それはお門違い、かつ失礼な話で。そんな簡単に行けないぞと(笑)。「あの人たち、めちゃくちゃすげーぞ」ってことをまず理解した方がいいと思う。そこと勝負するには、自分たちで面白いことを考えて、自分たちで実践していくしかない。それを続けていくことで隙が生じるのを信じてるし、オールインワンで出来るということは大きな可能性を持っていると思うので、自分で作って自分で体現していく。その意味を見失わないようにはしたい。ただ曲を作って、ただ演奏するのは、もう違う。それがロックだと思っている人もいるけど、「これがロックだ」って固まってきた時点でそれはもうロックではないから。ドキドキさせなきゃいけないし、ちゃんと裏切っていかないとダメだなって思います。

--だから、毛皮のマリーズも好きなんですね。

武瑠:めちゃくちゃからかっている感じが好きですね。本気でからかっているというか。で、どこか臆病だけど、すごくクレバーで、情熱をいろんな形で放出していく。そもそも、ちょっと放っておいたら壊れちゃいそうな感じの人が好きなんですよ。志磨(遼平)くんにもそれは感じていたので。

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SuG「Lollipop Kingdom」

Lollipop Kingdom

2012/04/25 RELEASE
PCCA-3588 ¥ 4,320(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Lollipop Kingdom
  2. 02.Pastel Horror Yum Yum Show
  3. 03.☆Gimme×Gimme☆
  4. 04.Toy Soldier
  5. 05.No! More! War!
  6. 06.crispy.
  7. 07.Howling Magic
  8. 08.sleazy ARMY blood
  9. 09.yellow strider
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