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「ミュージシャンと出会って新しい曲を知ることが多い」 ― 小曽根真 インタビュー
父・小曽根実の影響でジャズピアノを弾き始め、1983年に米CBSと専属契約を結び『OZONE』でデビューした小曽根真。ゲイリー・バートングループの正式メンバーにも加わり、多くの作品をリリース。近年ではモーツァルトやラフマニノフ等のピアノ協奏曲にも取り組み、井上道義、尾高忠明、アラン・ギルバート、ニューヨーク・フィルハーモニック、サンフランシスコ交響楽団などと共演を重ねている。音楽の聴き方が変化していく中、ジャズピアニストである小曽根は、日頃どうやって音楽を聴いているのか、新しい音楽との出会いは何なのかについて話を聞いた。
初めてのLPは『オール・アバウト・ジミー・スミス』
−−私達は、「今、最も聴かれている音楽は何か」をテーマに、今の音楽の聴き方に合ったデータを使いながら、Billboard JAPAN HOT 100という複合チャートを作っています。小曽根さんは、子供の頃 新しい音楽との出会いは、何でしたか?
小曽根真:僕の場合は、父親が家でハモンドオルガンを弾いていたので、父親の演奏を通じて知ることがほとんどでしたね。あとは、レコードです。
−−レコード屋めぐりをしたり?
小曽根:自分で買いにいけないくらい小さい頃は、父親が選ぶレコードを一緒に聴いていました。レコードって、再生するプロセスも楽しいんですよ。まず、アンプの電源を入れて真空管を温めるんです。で、温まったらLP盤を袋から出して静電気をとるスプレーをかけて、ビロードみたいな布拭いてターンテーブルに置いて、そっと針を乗せるんです。それが一つの儀式みたいで親父の姿を見て「かっこいいなあ」って思っていました。ちなみに、LPって当時でも1枚2,000円くらいしたんですよ。
−−今のCDの金額と同じくらいしたんですね。
小曽根:そう。LPって、とても高価なものだったんです。中学生の時にジャズのLPを買うために、アルバイトしてお金を貯めていました。こんなことを言うと年寄りくさいって言われちゃうかもしれませんが、お金の面では昔と今とでは1曲のありがたみが違うなと思いますよね。
−−この50年の間に、音楽の聴き方はとても大きく変わりました。
小曽根:そうですね。録音の仕方も、大きく変わりました。今、どんどんスタジオが閉鎖されていることからも分かるように今は歌だけ録音すればパソコンのソフトだけでも作れます。でも、昔はバンドも全部 生演奏を録音していましたし、1回で24チャンネルまでしか録音できなかったので、足りない時は24チャンネルまず録音して、それを新しいテープにダビングして、さらに音を重ねていました。スタジオ代も人件費も今より倍以上かかるので、レコードの単価も高かったんでしょうね。
−−小曽根さんが初めて買ったレコードは、何ですか?
小曽根:買ったのではなく買ってもらったのですが、初めての自分のレコードはジミー・スミスのベスト盤『オール・アバウト・ジミー・スミス』です。2枚組のレコードに立派なブックレットも付いていて、すごく分厚くて。小学校1年生くらいの時に、親父に買ってもらったのを今でも覚えています。
−−まわりのお友達は、どんな曲を聴いてたんでしょうか?
小曽根:学校では、ビートルズが流行っていましたね。エレキ・ギターを弾ける奴は「すごい」ってみんなから尊敬されていました。今と比べると物が少なかった時代ですから、音楽を聴く楽しさや喜びはとても大きかったですね。
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公演情報
【チック・コリア&小曽根真 ピアノデュオ プレイズ・アコースティック】
5月7日(土)14:00 よこすか芸術劇場
5月8日(日)16:00 みやまコンセール
5月10日(火)18:30 盛岡市民文化ホール
5月14日(土)18:00 / 15日(日)15:00 NHKホール ※NHK交響楽団定期演奏会
5月18日(水)19:00 長野市芸術館
5月19日(木)19:00 サントリーホール
5月21日(土)15:00 三原市芸術文化センター ポポロ
5月22日(日)15:00 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
5月25日(水)19:00 松本市音楽文化ホール
5月26日(木)19:00 滋賀・守山市民ホール
5月27日(金)19:00 愛知県芸術劇場 コンサートホール
5月29日(日)15:00 アクロス福岡 シンフォニーホール
5月31日(火)19:00 高岡文化ホール 【 チック・コリア ソロ公演 】
INFO: http://www.kajimotomusic.com/jp/concert/k=541/
関連リンク
CHICK & MAKOTO -Duets-
2016/04/20 RELEASE
UCCJ-2136 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.デュエット・インプロヴィゼーション No.1 (未発表トラック)
- 02.ブルー・ボッサ
- 03.デュエット・インプロヴィゼーション No.2 (未発表トラック)
- 04.デュエット・インプロヴィゼーション No.3 (未発表トラック)
- 05.サマータイム
- 06.デュエット・インプロヴィゼーション No.4 (未発表トラック)
- 07.ラ・フィエスタ
- 08.クリスタル・サイレンス (未発表トラック) (Bonus Track)
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