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KING 来日記念特集~プリンス、エリカ・バドゥらが絶賛する3人組の正体

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 プリンス、エリカ・バドゥ、クエストラヴらがその才能を讃え、ケンドリック・ラマー作品で早くからサンプリングされ、ロバート・グラスパーがグラミー受賞作で起用した、ロサンジェルスの女性3人組。まさに「ミュージシャンに愛されるミュージシャン」といえるキングが、ついに処女作を世に放ち、絶好のタイミングで初来日公演を行う。

プリンスのイングルウッド公演で前座を務める

CD
▲『Everything's Beautiful』

 パリス&アンバー・ストローザーの双子姉妹(ミネアポリス出身)と、アニタ・バイアス(コンプトン出身)の3人から成るキング。2016年も1/4が過ぎた頃だが、彼女たちは今年、早くも音楽ニュースを騒がせるトピックを数々放っている。コリーヌ・ベイリー・レイが、スタジオ・アルバムとしては実に6年以上ぶりに発表する新作『The Heart Speaks In Whispers』への参加。パリスとアンバーは、リード曲“Been To The Moon”に続いて、マーカス・ミラー、ポール・ジャクソン・ジュニアやエスペランサも参加したセカンド・シングル“Green Aphrodisiac”でも共作・共同プロデュースに携わり(プロデュースはパリスのみ)、キング色の漂う楽曲でコリーヌの新たな魅力を引き出している。また、ロバート・グラスパーが、マイルス・デイヴィス&ロバート・グラスパー名義で発表するマイルス90周年トリビュート企画『Everything's Beautiful』へのゲスト参加。いずれも、5月に発売される。彼女たちの記念すべき初来日公演の行われるその月に、だ。そして彼女たちにとって今年最大のトピックは、デビュー・アルバム『We Are KING』がついに発売されたということだろう。


 5年前の春。友人たちに聞かせようとインターネット上にアップロードした3曲の音源が、すべての始まりだった。バークリー卒のパリスによるドリーミーなプロダクションに、3人が折りなす美しいハーモニーによって紡がれる彼女たちの音楽は、『The Story』というEPとしてリリースされると、すぐさまクエストラヴがTwitterで紹介するなど話題に。そしてネット上で彼女たちの音源を耳にしたプリンスの指名により、彼のイングルウッド公演で前座を務め、さらに、エリカ・バドゥはジャイルス・ピーターソンの番組で彼女たちを絶賛し、「聞いていると何かが私の中から生まれそうな……そう、インスパイアされるのよ」などと褒める言葉を惜しまなかった。これらは、『The Story』がリリースされてからわずか数ヶ月の間に起こったことだ。


核にはミネアポリスR&B

 その後も、『The Story』収録の“Hey”がケンドリック・ラマー『Section.80』でサンプリングされ、パリスがジル・スコット『The Light Of The Sun』に楽曲提供したのを始め、フォーリン・エクスチェンジ、ビラル、エリック・ロバーソン作品や、フェラ・クティのトリビュート企画『Red Hot + Fela』への参加などオファーは続いたが、中でも、2012年発売のロバート・グラスパー・エクスペリメント『Black Radio』への参加は、翌年のグラミー授賞もあって、彼女たちの知名度をさらに上げた。

CD
▲『We Are KING』

 そして、『The Story』から始まった物語は、5年後の2016年、ようやく『We Are KING』というアルバムとなって結実した。サウンド面での要となっているのは、シンセやリズムマシーンを操るパリス。スティーヴィ・ワンダー、マイルス・デイヴィスや、ジョニ・ミッチェル、スティーリー・ダンなど幅広い影響源を挙げているが、“The Greatest”などでは、ハイエイタス・カイヨーテらと同様に、80年代から90年代初頭の8ビット/16ビットのTVゲームからの影響ものぞく。HMVの「無人島に持って行きたい10作」のコーナーで坂本龍一の『Smoochy』を筆頭に挙げていたのも興味深いが、彼女の大きな影響源のひとつは、同郷ミネアポリスの大御所たるジャム&ルイスだろう。先の無人島コーナーでは『Velvet Rope』も挙がっているが、80年代から90年代のジャネット・ジャクソンを思わせる瞬間も少なくない。ロサンジェルスを拠点としている彼女たちだが、その核にはミネアポリスR&Bがあるのだ。ちなみに、キングのデビュー・アルバムは当初2014年夏の発売を予定しており、ジミー・ジャムが2014年のお気に入りのアルバムの一枚だと評していたのも付け加えておこう。


「クリエイティヴ・コントロールを自分たちで握る」

 アルバム発売まで、正直かなり待たされたが、キングという少々検索しづらい名前をグループ名にした理由に、「クリエイティヴ・コントロールを自分たちで握る」という矜持が込められていることを考えれば、それも納得ではないだろうか。『The Story』同様に、全曲のプロデュースおよびエンジニアリング、ほとんどの演奏をパリスがひとりで担い、楽曲もすべてキングの3人のみで書き上げている。ライヴ・パフォーマンスでも、サポート・メンバーを入れず、彼女たちは3人だけで自分たちの音楽を再現する。この3人でなければならないし、この3人以外は要らない。ミニマムだが、そのぶん広がったスペースに満ちたハーモニーは、豊かな物語を語ってくれる。


 なお、BillboardやAllMusicなど様々なメディアから高く評価されている『We Are KING』だが、ソランジュ主宰のメディア Saint Heronの企画でこのアルバムを「今お気に入りのアルバムのひとつ」だと紹介したのは、同じLAのアンダーソン・パーク。昨年のドクター・ドレー『Compton』への参加を経て、1月に発表した最新作『Malibu』が大絶賛され、先日はドレーのAftermath入りが発表されるなど、2016年もっとも話題の人物だ。そしてLAでいえば、アンダーソン・パークやケンドリック・ラマーとも共演するBJ・ザ・シカゴ・キッドも6月にビルボードライブでの初来日が決まっている。5月にキング、6月にBJと、今のLAの勢いを感じられる初夏となりそうだ。

キング「ウィー・アー・キング」

ウィー・アー・キング

2016/03/02 RELEASE
PCD-24490 ¥ 2,640(税込)

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Disc01
  1. 01.THE RIGHT ONE
  2. 02.THE GREATEST
  3. 03.RED EYE
  4. 04.SUPERNATURAL (EXTENDED MIX)
  5. 05.LOVE SONG
  6. 06.IN THE MEANTIME
  7. 07.CARRY ON
  8. 08.MISTER CHAMELEON
  9. 09.HEY (EXTENDED MIX)
  10. 10.OH, PLEASE!
  11. 11.THE STORY (EXTENDED MIX)
  12. 12.NATIVE LAND

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