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orange pekoe スペシャル・インタビュー ~オレンジ・ペコーの過去、現在、そして未来~

オレンジ・ペコー インタビュー

 ジャズやボサノヴァ、そしてクラブ・ミュージックなどを、明快かつ軽快にJ-POPシーンに送り込んだオレンジ・ペコー。ソウルフルで凛とした歌声を持つナガシマトモコと、メロディメイカーとしても秀逸なギタリストの藤本一馬によるデュオは、今もなお新鮮な印象のままだ。今年で結成から18年経つ彼らは、2月にビルボードライブでそのキャリアを振り返るオール・タイム・ベスト企画ライブが予定されている。また、その後はニューヨークに拠点を移して音楽活動を続けることも発表した。ソロ活動も盛んに行う彼らの節目とも言えるこのタイミングで、オレンジ・ペコーの過去、現在、そして未来を語ってもらった。

よりカラフルにはなったと思うけれど、本質的な部分ではそんなには変わってない

−−結成が1998年ですが、その頃のことは覚えていますか。

藤本一馬:関西学院大学に入りたての頃ですね。バンドをやりたくて、軽音楽部に入ってメンバーを探していたんです。

−−たしか、最初はバンドだったんですよね。

ナガシマトモコ:そもそもは「バンドやりたいから歌ってくれない?こんな曲作っているから」って一馬がギター一本で聴かせてくれて、その時にまさに「こんな歌が歌いたかった!」って感じました。だから、いきなりバンドというよりは、「なんか一緒にやろう」というのがスタートで、そこからメンバーを探したというのが正しいのかもしれない。

−−じゃあ、もともとは二人の出会いがあって、それを軸にバンドを組んだわけですね。

ナガシマ:その当時は2人ともがっつりと生音指向だったから、自然にバンドになりましたね。

−−その頃のサウンドは、今もまだオレンジ・ペコーの中に残っているんですか。

ナガシマ:もちろん、その後に影響を受けて変わっていく部分もあるし、よりカラフルにはなったと思うけれど、本質的な部分ではそんなには変わってないですね。

−−オレンジ・ペコーとして、音が固まったと感じたのはいつ頃ですか。

藤本:結成して1年くらい経ってからです。ジャザノヴァや4ヒーローなんかが席巻していた時期で、クラブ・ミュージックに多大な影響を受けて、レコードを買いまくっていたんです。バンドももちろん続いてはいたんですけど、打ち込みを使って2人だけで音を作り始めたところからは、ほぼ最初のアルバムにつながっていきます。

−−じゃあ、かなり早い段階でオレンジ・ペコーとしての枠組みは固まっていたんですね。

藤本:結成した当初はライブをすごくたくさんやっていたんですけど、実はその後に紆余曲折あってライブができない時期があったんですよ。

ナガシマ:そんな時期に、「じゃあ最低でも月に1曲は仕上げていこう」っていってずっと曲作りをしていたので、それで固まったというのはありますね。

−−インディーズで出した最初のミニ・アルバム『orangepekoe』が2001年です。

藤本:ちょうどその時に巡りあった事務所がレーベルを立ち上げるというので、満を持して出させてもらいました。

ナガシマ:あの当時、インディー・レーベルってなんかイケてる感じがあったんですよね(笑)。もう1年くらいデモを作り続けていたから、「ようやく出せる!」っていう気持ちでした。ジャケットのイラストをカンバラクニエさんにお願いすることも、リリースの話が出る前から決めていたくらいだから(笑)

−−そもそも、二人はプロとしてやっていくつもりだったんですか。

ナガシマ:二人で出会った時から、いわゆる「当方プロ志向」って感じでした(笑)。ただ、シンガーとして一人でやるというよりは、自分で歌う曲は自分で決めたいと思っていたんです。だから、一馬が書く曲に出会えたのは大きかったですね。

−−CDをリリースした後の反応はどうでしたか。

藤本:CDを出す前から関西のクラブに出入りしていて、そこでたくさん友達ができていたんです。だから、デビューする前から、クラブでは僕らの曲をかけてもらっていたし、ライブもやっていたから、すでに手応えはあったんですよ。そんな中でのリリースだったので、みんな喜んでくれたし応援してくれたから、急に変わったというよりも流れの中でのリリースという感覚ですね。

やわらかな夜
▲ 「やわらかな夜」MV

−−FM802では「やわらかな夜」が、インディなのにヘヴィローテーションになりました。

藤本:FM802もデビュー前から応援してくれていて、ディレクターの方によくご飯に連れて行ってもらったりしていたんですよ。だから、すでにファミリーみたいな雰囲気になっていたんですよ。

−−普通はデビューが決まってからシンパを作っていくというのが一般的なんですが、オレンジ・ペコーはすでに応援してくれる人が集まっていたんですね。

ナガシマ:関西だからというのもあったかもしれない。クラブやカフェといったコミュニティが多く、仲間が出来やすい環境はあったと思います。音楽だけでなくて、絵を描いたり洋服作ったりしているクリエイターが、たくさん集まっていたから。

−−それは、この時期特有なんでしょうか。

藤本:僕らがデビューした頃は、たしかにそういう人が集まりやすい面白い持期だったのかもしれないですね。

ナガシマ:今もそういうシーンはあるんですけど、カフェも出来始めた頃だったからというのもあるかもしれない。

藤本:だから、僕らも関西のそういうシーンに入れてもらったという感覚です。カフェやクラブをやっていた人は僕らよりもちょっと先輩だったから。あと、僕らの音楽って、ジャズすぎるって言われたり、ロック系のライブハウスで浮いていたりあまり理解されなかったんですよ。でも、クラブやカフェに行くと認めてもらえて、それで輪が広がっていきましたね。CDを出す前から、ライブにはお客さんがたくさん来てくれたし。

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ORANGE PEKOE Tomoko Nagashima Kazuma Fujimoto Hajime Yoshizawa Show Kudo Nobuyuki Komatsu Ryo Saito Yoichi Okabe「ORANGE PEKOE WITH THE BIG BAND PARTY NIGHT!!!」

ORANGE PEKOE WITH THE BIG BAND PARTY NIGHT!!!

2014/12/24 RELEASE
KICJ-678 ¥ 3,300(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Happy Valley
  2. 02.やわらかな夜
  3. 03.Wanderer Soul
  4. 04.Beautiful Thing
  5. 05.Honeysuckle
  6. 06.空の庭
  7. 07.Selene
  8. 08.輪舞
  9. 09.空に架かる circle
  10. 10.LOVE LIFE -Live at shibuya duo MUSIC EXCHANGE-

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