Special
BiS 『PPCC』インタビュー
コンプレックスを抱える全ての少女へ―――
有名になる為なら手段を選ばない、
マドンナを目指す新人アイドルの物語。
秋田の田舎に一人娘として生まれ、家でリカちゃん人形とばかり遊んでいた幼女が。クラスメイトから嫌がらせを受け、家で音楽ばかり聴いていた少女が。度胸試しとも言えたひとつのオーディションをきっかけにアイドルとなり、自らのコンプレックスと対峙しながら、2012年夏、自分でも想像していなかった“avexからのメジャーデビュー”を果たす。
今回のインタビューでは、そんなのぞしゃんの生誕~アイドルとしてavexからメジャーデビューする迄を(彼女の大好きな)ロキノン風に振り返りつつ、時に敵を作り、反感や「ブス」などの誹謗中傷を受け、逃げ出しそうになりながらも、問題を起こして怒られながらも、BiSで何を成し遂げんとするのか。ビールジョッキ片手に、彼女の故郷・秋田の名物 きりたんぽ鍋をつつきながら、本音で語って頂いた(※注釈)。
のぞしゃん誕生~引きこもり時代「学校での嫌がらせ」
--のぞしゃんが、この世に生を授かってからアイドルとしてavexからメジャーデビューするまで。まずはロキノン風に振り返りたいんですけど、のぞしゃんが生まれた街はどんなところだったの?
のぞしゃん:秋田県横手市っていう、かまくらと焼きそばが有名な街でごく普通に生まれました。近くの町よりはお買い物をする場所はあったんですけど、やっぱり田舎ではあって、遊びに行きたい場所とかもなく。小さい頃からお友達も少なかったですし、兄弟もいなかったので、ひとりでリカちゃん人形と遊んだりしていました。昔から暗かったですね。遊ぶと言ったら、お絵かきとお飯事(ままごと)ぐらいしかなくて、あとは本を見たりしていました。
--家族はそれぞれどんな人なんでしょう?
のぞしゃん:父は頑固でプライドが高くて、昔から衝突することが多くて。最近だと、私が引き篭もっていることに対してのイライラが募っていて、よくケンカしていました。母は普段からワァー!って感じで。真面目な人ではあるんですが、ずぼらでもあって。私にはどちらの要素もあると思うんですけど、どちらかと言うと頑固な父に似ている気がします。
--そんな家庭の中でのぞしゃんはどんな風に育てられたんだろう?
のぞしゃん:躾(しつけ)には厳しかったですね。私があまりにも言うことを聞かなくて、押し入れに入れられたりしたこともありました。それは祖母と母に、なんですけど。祖母は優しいんですけど、やるべきことはやらないとダメだ!っていうタイプで。でも私は祖母に一番懐いていたんです。小さいときは母も父も仕事が忙しくて、私が寝てて目を覚ますと隣にいつも祖母がいてくれたんで。でもやっぱりいないときもあって、そのときは「やだぁ!」って一人で泣いていた記憶があります。
--じゃあ、結構ひとりで過ごすことが多かったの?
のぞしゃん:多かったです。小学生のときも鍵っ子でしたし。だからテレビでも何でも人の声を聞くと安心して……。
--そういう心細さはどうやって誤魔化していたんですか?
のぞしゃん:二次元に逃避することで。
--(笑)。具体的には?
のぞしゃん:『セーラームーン』だったり『キューティーハニー』だったり、特に美少女戦士が好きでした。アニメとマンガの世界に逃避していましたね。
--ちなみに初恋はいつですか?
のぞしゃん:小学校2年生のときです。隣の席の男の子がやけに格好良く見えた瞬間があって。よくわかんないですけど、そのときはキュンとしていました。特に想いを告げることもなかったんですけど、その子の友達には私の態度が分かり易かったからバレていたみたいで。「あいつのこと、好きなんだろ?」って言われました(笑)。
--甘酸っぱいです。思春期特有の反抗期はありましたか?
のぞしゃん:ありました。多分、反抗期っていうのが引き篭もっていた時期なのかな。中学生ぐらい。親と些細なことでケンカをすることが多くなって、お互いにムシャクシャしていて。私が引き篭もっているからどうしても顔は合わせてしまいますし。
--それでも家に居たかったんだ?
のぞしゃん:うーん……。
--以前のインタビューで「人付き合いとか何もかもが嫌になって引き篭もっていた時期もあって、家でひたすら音楽を聴いていた」と仰ってましたけど、そもそもなんでそうなっちゃったんでしょう?
のぞしゃん:小学生のときからイジメまでは行かないんですけど、ちょっとした嫌がらせを受けていたんです。それは自分にも非があって、相手だけの問題ではなかったんですけど、そのときから田舎特有の閉塞感もあるし、嫌になり始めて。中学では同じ小学校だった子たちから、あからさまにコソコソ話をされたり……。
--「自分にも非があって」と言いましたが、それは大人になってから思えたことですよね、きっと。
のぞしゃん:当時から思ってました。ただ、その嫌がらせをしてきていた子のうちの一人は、私が何もしてないときから好きじゃなかったみたいなんですけど、あるときから私の目が悪くなり、メガネをかけ始めた頃に「睨んできてる」ってわざと私にも聞こえるように言ってきて。そういうこともあって、自分がどうしていいのか分からなくなっちゃって、どんどん引き篭もるようになりました。
--そこからよく表に出ていくようになれましたね。
のぞしゃん:とにかく田舎に居たくなくて。それと、小さい頃からの“女優になる”っていう夢を叶えたかったこともあって。それでケータイから応募できるオーディションとかを受けるようになるんですけど、なかなか引っ掛からなくて。でもルイちゃん(プー・ルイ/BiSリーダー)のBiSメンバーオーディションには受かることができたんですよね。
--ちなみに、引き篭もり中はどんな音楽を聴いていたの?
のぞしゃん:小学校のときはモーニング娘。さんを聴いたり、家族3人で女子十二楽坊さんのコンサートを仙台まで観に行ったりしていました。ロックに目覚めたのは、中学生になってからだと思います。ちょっと大人ぶりたい時期だということもあって、ELLEGARDENを聴くようになり、だんだん細美武士さんの声自体が好きになって。そこからいつの間にかDOPING PANDAとかも聴くようになったり。あとはマドンナだったり、エミネムだったり、レッチリだったり。
--その中で一番救いになった音楽は?
のぞしゃん:マドンナの存在自体が救いでした。絶対的存在。彼女って有名になる為なら手段を選ばないじゃないですか。若いときにはお金を稼ぐ為にヌードモデルをやっていたり。多分、男性を取っ換え引っ換えしていたのも、名前を売る為の手段という面もあるんじゃないかな。そういう“のし上がってやるぜ”精神が大好きです。
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PPCC
2012/07/18 RELEASE
AVCD-48455 ¥ 3,981(税込)
Disc01
- 01.PPCC
- 02.歩行者天国の雑踏で 叫んでみたかったんだ
- 03.CRACK CRACK
- 04.survival dAnce ~no no cry more~
- 05.PPCC -Acappella-
- 06.歩行者天国の雑踏で 叫んでみたかったんだ -Acappella-
- 07.CRACK CRACK -Acappella-
- 08.survival dAnce ~no no cry more~ -Acappella-
- 09.PPCC -Instrumental-
- 10.歩行者天国の雑踏で 叫んでみたかったんだ -Instrumental-
- 11.CRACK CRACK -Instrumental-
- 12.survival dAnce ~no no cry more~ -Instrumental-
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