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井乃頭蓄音団×忘れらんねえよ 特別対談



井乃頭蓄音団 『グッバイ東京』 インタビュー

井乃頭蓄音団、対談企画第2弾!
忘れらんねえよ 柴田隆浩とのクロストークが実現!

古くからの盟友にして、お互いを“同じ穴のムジナ”と語り合える両者が、共に観ていたというフラワーカンパニーズの武道館公演にはじまり、改めて出会いの思い出や柴田が“今年で一番よかった!”と絶賛するアルバム『グッバイ東京』。そしてメンバー脱退についてまで、井乃頭蓄音団の松尾よういちろう(歌、アコースティックギター)、ヒロヒサカトー(エレキギター)と包み隠さずに語り合います。

覚悟ではなく諦め “やるしかないんだよな……”


△左からヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)/柴田隆浩(忘れらんねえよ )/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)

--今月開催されたフラワーカンパニーズの武道館公演は、皆さん行かれたそうですね。

柴田:最ッ高だったよねぇ! ヤバかった! 怒髪天さんの時は暗転した瞬間に涙出たけど、フラカンさんの時は泣くよりもアガって、最高に笑ったしめっちゃ晴れやかだった。ライブハウスで戦ってきた延長での武道館というか……、ここで終わるみたいな感じは一切無くて、普通に歩んできた結果の武道館で、これからも歩んでいくみたいな感じだったね。

ヒロヒサ:ゴール感が無かったんだよね、来年もツアーがあるし、通過点感がすごかった。俺たちもこの間、渋谷WWWでワンマンやったんだけど、そこですでに“俺の人生では最後かもしれない……”っていうゴール感が出ちゃったもん(笑)。

松尾:忘れらんねえよって長く続けたい? それともどこかでパッと終わらせたいとか、考えたことある?

柴田:あるある、最近寝る前とかに考えるんだよね、生きてる意味とか。今まで全然考えてなくて、楽しきゃいいと思ってやってきたんだけど、最近バンドをやる意味とか生きる意味とか考えててさ、結論は特にないんだけど……。

松尾:井乃頭蓄音団は長く続けようって言ってるし、私はずっと歌っていたいと思ってたから、どこまでいっても、どんなライブをやっても通過点に思える。フラカンは20年続けていて、もっともっと続けようっていうつもりがあるから、ああいうライブになったんだと納得した。

柴田:それはすごいわかる。要は辞められないんだよ。これだけバンドに人生を突っ込んでるとさ、歌うことやバンドを無くすと何にもない。自分の人生がスカスカで無為なものになっちゃうから、辞めたくても辞められないというか。覚悟ではなく諦めだよね、“やるしかないんだよな……”って。

だからこそ毎日を楽しくしなきゃなって気持ちになるよ。どうせ死ぬまで辞められないんだから、今日が楽しい方が良い。毎日が充実していて今日のライブが最高、っていう考え方の方がいいんじゃないかって最近思うようになって。

松尾:前はあれしてこれしてこうなって……みたいな話をよくしてたよね。


柴田:うん。それは今も考えるけど、あと30年続くと考えたらさ、ここ2?3年で流行ったり売れたりした人とかもほとんどがその状態が続いかないわけじゃん? だったらあと30年続く音楽の道をどれだけ美しく完遂するか。そっちの方が大事なんじゃないかって考えるようになってきて。

--では、井乃頭蓄音団と忘れらんねえよの初対面というのは?

柴田:THEラブ人間のライブの打ち上げだっけ?

ヒロヒサ:いや、柴田くんは松尾さんと対バンをしたよね、下北のCCOで。

松尾:金田くんの弾き語り企画で、彼はそのライブに誘ってくれた時から“松尾さんにどうしても会わせたい奴がいて、柴田っていうんだ”って言ってた。当時はお互い、コンドームとかセックスの歌しか歌ってなかったんだよね。

柴田:下ネタしかなかった(笑)。

--2011年には忘れらんねえよのワンマンに、井乃頭蓄音団がゲスト出演したこともあったとか。

松尾:あれはヤバかったですよ。忘れらんねえよがデビューする前、ワンマンをやるからオープニングアクトとして一緒にやってくれないかって話で、やってみたら演奏時間がほぼ同じくらいだったっていう。

柴田:僕らの曲数が足りなくて、全曲やっても4?50分だった(笑)。

松尾:あと、JACCSカードのイベントに出たのも2011年だもんね。

柴田:ふたりで司会やったよね。UST番組の司会だったと思うけど……、思い返すとだいぶ成長したなって自分のことながら思うよ(笑)。

ヒロヒサ:「この街には君がいない」ってあの時の曲だよね?

▲「【MV】この高鳴りをなんと呼ぶ - 忘れらんねえよ」
▲「【MV】この高鳴りをなんと呼ぶ - 忘れらんねえよ」

柴田:そうそう。書き下ろしした曲だったんだけど、単純に技術とかバンドに向き合う感じが変わってきていた時期だったから、ちょっと曲も変わってきてた頃で。あの後から「この高鳴りをなんと呼ぶ」とかの流れになっていくから。

松尾:まだあの曲がリリースされる前、会った時にずーっと口ずさんでたのを覚えてる? “松尾くん、すげえメロディが降ってきたんだよ!”って、どっかのライブハウスでずっと歌ってた。それで半年後にシングル『この高鳴りをなんと呼ぶ』が出て、“あ、あの時の曲だ”って。



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“お前たちには負けないぞ!”っていう競り合いになってきた

--当時、忘れらんねえよと井乃頭蓄音団はお互いをどのようなバンドだと思っていましたか?

柴田:俺はもう同じ穴のムジナ(笑)。似てると思ってた。

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▲「【MV】井乃頭蓄音団「グッバイ東京」」
▲「【MV】井乃頭蓄音団「グッバイ東京」」

松尾:似てると思ってたし、すごくシンパシーはあったよ。でも、忘れらんねえよはメジャーデビューして活動の輪を広げて、場所が変わってきたというか。井乃頭蓄音団も『グッバイ東京』で変わったでしょ?

柴田:変わった! 俺らが『この高鳴りをなんと呼ぶ』を出してひとつの方向性が定まりだしてた頃、井乃頭蓄音団は地下に潜っている印象だった。だけどそこで牙を磨いてきて、『グッバイ東京』で“よし、行くぞ!”みたいな感じがした。 前作を聴いた時は、俺の勝手な考えなんだけどまだ迷ってるのかなって気がしたの。でも、そこからの『グッバイ東京』が全然違くて、“これ、めっちゃかっこいいじゃん!”って、完全に井乃頭蓄音団が定まった感じがした。今そこかしこで名前を聞くようなバンドとか、フェスとかに出るようなバンドと比べても全然勝つでしょってその時思ったの。

--そういう思いの一部はTwitterにも投稿されていましたよね。

柴田:本当に感動したし、今年聴いた作品の中で一番良かった! 最初、はっぴいえんどのカバーだと思ったくらいだもん。

松尾:私ははっぴいえんどって井乃頭蓄音団を始めたくらいから聴いた音楽だったし、最近ははっぴいえんどがやっていたB.Y.Gでやらせてもらったり、鈴木茂さんと一緒にやらせてもらったりしていて……

ヒロヒサ:僕は昔から聴いてましたよ(笑)。それこそ柴田くんも褒めてくれていた「夢ひとつ」では最近流行りのシティ・ポップを意識して書いた。“俺らだって昔から好きで聴いてたんだよ!”って思いで書いた曲なんだ(笑)。

柴田:でもサウンドがめちゃくちゃ良くて、音像として豊潤で音圧があって、それぞれの楽器が綺麗に分離してる。めっちゃ良い音なんだよ、『グッバイ東京』は。流行りそうとか今のサウンドとかは割と重要じゃなくて、本当に良い音楽かどうかに引っかかったんだよな、たぶん10年後とか20年後に聴いても良いと思う。

--Twitterでは「夢ひとつ」「さよならだけでも構わない」「二人の影」「帰郷」の4曲を挙げていましたね。

柴田:「夢ひとつ」か「さよならだけでも構わない」をリードにして欲しかったくらい、あの2曲はダントツに好き。これはおべっかでも何でもなく、アルバム全体がすごく良いんだけど、あの2曲はマジで良いと思った。

▲「【MV】井乃頭蓄音団「タスマニアエンジェル」」
▲「【MV】井乃頭蓄音団「タスマニアエンジェル」」

--井乃頭蓄音団は以前に比べると歌詞の世界観にも変化が見られます。

柴田:3人がそれぞれに歌詞を書いてるのに、ひとつの人格になっているのが面白いと思った。どれも井乃頭蓄音団の世界観で、「タスマニアエンジェル」のような曲もあれば、「さよならだけでも構わない」みたいな郷愁を掻き立てるような曲もある。あの曲、歌詞がめちゃめちゃ良い!

ヒロヒサ:そういう意味では前作よりもうまくいったかもしれないね。この前、THEラブ人間とも対談したんだけど、金田とツネも言ってたんだよね、前よりも誰がどの曲を書いたのかわからなくなったって。

柴田:読んだ読んだ! 井乃頭蓄音団がやるべき音楽がピタッと定まって、そこをどんどん研ぎ澄ましていくモードに入ってるんじゃないかなって。だから結果もついてくると思うんだよね、フジロックとか。だって最初に井乃頭蓄音団がフジロックって聞いた時、“チッ、クソ……”って思ったもん(笑)。

ヒロヒサ:こっちの方が思った回数多いわ!(笑)

柴田:俺はすべてに嫉妬するんだもん(笑)。でも、アルバム『グッバイ東京』を聴いた時に“これは行くわ”って思ったんだよね。ちゃんと心ある人が聴いたらわかる作品だったから納得できた。


松尾:柴っちゃんは作詞作曲を全部ひとりでやってるから、やる曲を決めるのも大体自分でしょ? うちは違って、曲を作ってメンバーに聞かせて、採用するか否かを決めてもらうの。井乃頭蓄音団としてやるかどうか。

で、前作からはヒロヒサくんとジョニーさんも作詞作曲をするようになって、共作したりもして……。それはバンドとしてすごく良いんだけど、私は嫉妬深くて心が狭いから意識しちゃんだよね。でも、それが新たなモチベーションになって、“お前たちには負けないぞ!”っていう競り合いになってきた。私は歌い手よりも作ることの方に意識が向いてる人間だとは思っているからなおさらだよね。

柴田:そういう関係性って最近はあんまり聞かないからすごく良いと思う。

ヒロヒサ:ザ・ビートルズだってそうだもんね。歌う人もひとりじゃないし。うちも最初は松尾さんの曲をやってたんだけど、前にメンバーが抜けた時、松尾さんと僕とジョニーさんの3人になって、とりあえずスタジオに入って今後どうしていこうかと……

柴田:その時の絶望感って半端じゃないでしょ?

松尾:絶望はなかったよね。何にもなかった。とにかく新しいことをやろうよって話だったな。

ヒロヒサ:あんまり意識はしてないんだけど、そこから井乃頭蓄音団を作り直したって感じはあるのかもしれない、『おかえりロンサムジョージ』と『グッバイ東京』で。

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80歳でコンドームを歌うってかっこいい

--忘れらんねえよも、今年の秋にドラム 酒田耕慈さんが脱退となりました。


柴田:さすがに別れるって決断する直前まではすごい不安だったし、これは綺麗事じゃなくお客さんを傷つけることになる。それはすごく辛いことなんですよ。これはどのバンドもわかることだと思うんだけど、お客さんって本当に大事になっていく。ライブを観るために3000円をがんばって貯めて来てくれたんだって思うと、愛情しかわかないです。 でも、そもそも俺がバンドを始めた時って、自分のやりたいことをやるために誰の言うことも聞かないって気持ちだったから、やっぱりすごい作品を作って“あの時の決断は良かったんだ”って思ってもらうしかないなって。

ヒロヒサ:難しいよね、メンバーチェンジを悲しむ気持ちはわかるけど……、極端な話、松尾さんが死んじゃっても井乃頭蓄音団を続けようと思ってるんだよね。ボーカルが変わるバンドだってあるわけじゃん、AC/DCとか。

柴田:今、俺らはベスト盤を作っていて、昨日のマスタリングで通して聴いてみたんだけど、少なくともうちのバンドはめっちゃ成長して大人になったと思ったんだよね。自分で言うのもなんだけど、一人前になった。もう、覚悟ができたというか、ようやくひとつのロックバンドとして“俺らは俺です”って言えるものを持てるようになった。それは『グッバイ東京』を聴いた時に同じことを井乃頭蓄音団に思ってて、ここから先は行くだけだって。

ヒロヒサ:堕ちるだけって言われるのかと思った(笑)。

▲「ゲスの極み乙女。
▲「ゲスの極み乙女。"キラーボール" (Official Music Video)」

柴田:世の中はそんなにバカじゃないって。絶対に支持者増えると思う。だってゲスの極み乙女。の「キラーボール」を初めて聴いた時は衝撃を受けたし、キュウソネコカミもKANA-BOONも新曲聴いてマジでかっこいいと思った。それが『グッバイ東京』でも、同じように思ったんだよ! 時代に合う合わないがあるかもしれないけど、良いものは絶対だから。

松尾:井乃頭蓄音団はそもそも、私が仮ボーカルだったからね(笑)。歌える人を誘って歌わせたりもしてて、最終的に私は引っ込みたかったんですよ。当初はメンバーを固定しなかった理由もそこにあって、30分で6曲できるとしたら2曲くらいステージに上がれればいいかなって(笑)。それくらいの感覚だったし、始めた当初は80歳でも歌える歌を作ろうと思ってあまり声を張らずに歌える歌とか、覚えやすい歌詞とか、歌いやすい回しとかをがっちり決めて……。

--ベテランの演歌歌手みたい(笑)。

ヒロヒサ:80歳でコンドームを歌うってかっこいいね(笑)。

松尾:それをすごい考えてて、「公衆便所で」とかも80歳で歌えるように設定したの。柴っちゃんも感じてるだろうけど、“30歳で声が出なくなる”とか、“声色を使って歌っていた人が歌いにくくなる”とか、先輩方からよく聞くじゃない? そしたら去年に声が出なくなっちゃって、今まで通りに歌えなくなっちゃったんだよね。1週間、声が出なくて。

--声を奪われる絶望というのは?

松尾:絶望はなかったですね。昔の歌が歌えるかなって心配はあったけど、私は制限をかけられた方が面白いから。そういうのもあって今回の『グッバイ東京』では歌い方もだいぶ変わりました。

柴田:その話、すごい重い。俺も最近、歌をすごく気にしてて、歌い方とか出す声質とか奥が深いよね。昔の音源だと勢いで喉声を必死で出してるんだけど、それだけだといま自分が表現したいことをぜんぶ表現しきれない。同じ歌詞でも、言葉をひとつひとつ噛み締めながら歌うのと、ただの音として歌うのとでは聴こえ方が本当に全然違う。録った音が全然変わるから面白いよね。こんだけやって34歳になって、まだ発見があるしもっと巧くなりたいって思うじゃん。

松尾:34歳にならなきゃわからなかったしね。

柴田:そう! トレーニングしてるから20代の頃より今の方が声も出てるし、高い所も出る。前は1mmも思ったことなかったんだけど、最近本当に巧くなりたい。技術的な速弾きとかそういうことじゃなくて、良い声を出したいとかグッとくる歌唱をできるようになりたいっていう意味で、巧くなりたい。そういうことが34歳になってわかってきたんだよね。

松尾:これは忘れらんねえよも言われていると思うんだけど、踊ったりジャケットをパタパタしたりと三の線みたいなパフォーマンスもあるバンドだから、ある時“全部食われちゃうから嫌だ”って対バンを断られたことがあって、それは“よっしゃ!”と思ったな。その人からは二度と呼ばれないかもしれないけど……

柴田:俺らもめっちゃパフォーマンスするけど、それも聴いてもらうためじゃん。それをやって掴んで、聴かせたい曲をちゃんと聴いてもらうってやってるだけで。もちろん、そういうことをやらなくても超かっこいいバンドはいて、そういう人たちは俺らとも対バンしてくれるし、お互いリスペクトしあったガチンコ勝負がやれる。対バンのパフォーマンスを理由に逃げてく奴らはそもそもがしょぼいんじゃない?

ヒロヒサ:昔は忘れとかTHEラブ人間との対バンも多かったから負けねえぞみたいな気持ちがあったし、忘れは来年も【ツレ伝ツアー2016】をやるけど、僕らは今年もワンマンが多かったしバトルしてる感じがなかったんだよね。

柴田:2マンはめっちゃオススメだよ! 良い意味で潰し合いをできれば、結局お互いに良くなってハッピーになれるんだよ!

--では、今回の一連の企画で常に訊いてきていることを最後に。柴田さんにとって東京とは?

柴田:ただ単に住んでる場所で、仕事をする場所って感じ……だなぁ。それ以上でもそれ以下でもないな。

ヒロヒサ:いつか熊本に帰りたい?

柴田:いや、まったくない。その時、住まいがそこならそこって感じ。だって今どきは名古屋に居て全国で活動して人気を得ているバンドもいるし、東京って言っても新宿でライブするのと下北でライブするのも違うから。……すいません、面白い答えができなくて。

--いえいえ。ただ、それは上京した当初から変わっていない?

柴田:いや、出てきた時はありましたよ、東京に行ったら地元には戻らないんだろうなとか、東京は特別な場所だとか。でも、今は時代がそうだからだとも思うんですけど、本当に仕事をする場所。今の俺がいるだけ。だから仕事ができるなら北海道でも名古屋でも熊本でもどこでも良い。遊びにもいかないしね、どこにも。仕事しかしてないから……(笑)。

井乃頭蓄音団 『グッバイ東京』 インタビュー

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井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー

11月23日(月・祝)【下北沢にて'15】出演!
井乃頭蓄音団×THEラブ人間! 特別対談!!

11月11日に渾身の3rdアルバム『グッバイ東京』をリリースした井乃頭蓄音団が、バンド結成以前から交流のあり盟友と呼ぶべきTHEラブ人間と初めての対談!

松尾よういちろう(歌・アコースティックギター)とヒロヒサカトー(エレキギター・ハーモニカ)、が、金田康平(歌手)とツネ・モリサワ(キーボード)を迎え、お互いの共通点からアルバム『グッバイ東京』の魅力。今週末に開催を控えた【下北沢にて'15】や井乃頭蓄音団の年末ワンマン、そして“東京”ついてまで……、幅広く語り合います!

青春時代が6~7年くらい遅れてやって来ていたような感覚

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
△左からヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)/金田康平(THEラブ人間)/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)/ツネ・モリサワ(THEラブ人間)

松尾:今回の対談では、私たちの好きなバンドを呼んで良いとのことで、これはもうTHEラブ人間にお願いしようと、ね。

ヒロヒサ:俺、今日めちゃくちゃ楽しみだったんだよね。長い付き合いだけど対談ははじめてだしね。

金田:井乃頭蓄音団の結成って何年だっけ?

松尾:2008年の7月かな。

金田:俺らは次の年の1月だから、半年くらいしか変わらないね。

--当時から数えると6~7年経っているわけですが、その間、お互いをどのように見ていましたか?

松尾:THEラブ人間の最初は凄い勢いがあったから、あっという間にどわぁ~っと行ったよね。

ヒロヒサ:でもライブを見てると変わらないですよね。もちろん、途中で色々あったりスタイルが変わったりもしているけど、俺らが【THEラブ人間決起集会 【僕の愛した女たち】】に出させてもらったりしていた時からテンションが変わらない。

金田:(井乃頭蓄音団は)マイペースにやってるのが凄いなっていうのと、焦ってる感じが見えない。やりたいことを集中してやって、あんまり周りの評価を気にしない。メンバーにとって良い音楽だけが共通言語としてある。できる限り他者の言葉を入れずに、ちゃんとに時間をかけて作ったのが今回のアルバム『グッバイ東京』、という感じはしますね。

松尾:でも(THEラブ人間も)変わらないね、歌っていることは。一時期……、それこそメジャーの2枚目とかはちょっと違う方向に行こうとしていると思ったけど、この前連続で出したアルバムは変わってなかった。私と全く一緒じゃないけど、金田くんも凄い狭い範囲のことを煮詰めるように作るよね。

金田:俺と松尾さんはどうとでも捉えられるものがないんですよ。“コレについて歌っているからソレ”っていうか。でも、そこがお互い広くなっていっている気がするんだ。 俺らや井乃頭が1stの時と今とで違うのは、けっきょくバンドの演奏だと思います。同じことを歌っていて、それだけをギュッていうのはアコギ1本でいいようなことじゃん? それを色んな人が聴けるようにするのが、けっきょく演奏とアレンジと曲調。

△【MV】井乃頭蓄音団「グッバイ東京」
△【MV】井乃頭蓄音団「グッバイ東京」

--井乃頭蓄音団は前作からヒロヒサさんとジョニーさんが作詞作曲を手がける曲も増えてきましたよね。

金田:あ、そうなんだ。『グッバイ東京』は、誰がどれを書いたのか全然分からなかった。

ツネ:前作はどれが誰の曲か分かりやすかったんですけど、そういう意味では松尾さんが普段歌っていないことをヒロヒサとかジョニーさんが作って、広がってるイメージは持てるというか。うちも、金田が作ってきたものを谷とか遥が一緒にアレンジすることで広がっていくし。

金田:言っちゃえば俺らも井乃頭も、高校の時にすごせなかったタイプの青春時代が6~7年くらい遅れてやって来ていたような感覚だったんですよ。それを同じ時期に共感し合えてた。そういうのがあれば他のバンドでも同じことがあったのかもしれないけど、こればっかりは特別です。

そういえば……、今回のアルバム『グッバイ東京』に「文豪気取り」って曲あるじゃん? 俺、鈴木茂さんのアルバム『バンドワゴン』が凄い好きなんだけどさ、アレは凄いね。「夢ひとつ」もよかったな~……。でさ、「透明人間フェスティバル」は何なんですか?(笑)

松尾:これと「タスマニアエンジェル」は私の曲ってすぐ分かったでしょ?(笑)

金田:あ、でも「帰郷」は松尾さんだと思ってた。なんかいいですね、レノン=マッカートニーみたいで。ヒロヒサが松尾さんみたいなメロディ書いてるもん。

ヒロヒサ:「帰郷」は作詞作曲俺なんだけど、去年の冬、毎日松尾さんが歌詞を作って、俺が曲を付けるっていうのをやっていたんだよね。歌詞に対して自然なメロディをつけようとすると、松尾さんの歌詞だから、それに合うメロディが浮かぶ。言葉が元々持っているメロディを活かしてやっていくと松尾さんっぽくなる。

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
金田康平(THEラブ人間)/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)

松尾:言葉がメロディを呼んできてくれる感じだよね。同時進行で私はヒロヒサカトーとジョニーが作ってきたメロディに歌詞をつける作業をしていて、色んな方向が集まってちょうど中和されてるんだと思う、『グッバイ東京』は。言葉すぎずメロディすぎない所っていうのは、作り方にも関係しているのかもしれない。







バンドメンバーって基本的にはボーカルのファン

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
△ヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)/ツネ・モリサワ(THEラブ人間)

ツネ:その作り方は今作から?

ヒロヒサ:そうだね。前作は直前にメンバーチェンジがあって、俺と松尾さんとジョニーさんだけになって3人でスタジオに入ったりして、新しいことをやっていこうということで曲を書いたりし始めたんだよね。

ツネ:前作に収録されてた「東京五輪」では、3人が歌うじゃないですか。でも松尾さんが歌うパートになると、説得力が全然違うっていう印象があって。でも、それはただの出処の話で、歌の巧さとかそういうことじゃないんだよね。それぞれに見合った所があるっていうか。

ヒロヒサ:さっき金田くんが“マイペース”って言ってたけど、俺は気が長いというか長期スパンで考えてて。こういう時期も必要とか、今こうやってやっていることも後々ためになるかなとか。これは俺の考えだけど、基本的にはみんながナチュラルにやってて、それが合わさった時にすげえ!っていうバンドになりたいの。それには時間が必要。

松尾:THEラブ人間のコーラスはみんなでやってるの?

金田:CDはがんばってみんなで録ったりしてますけど、ライブじゃできないんですよね。うちのテンションの場合、ライブの時は綺麗なハーモニーが無くても構わんというか。

△THEラブ人間「クリームソーダ」【Official Music Video】
△THEラブ人間「クリームソーダ」【Official Music Video】

ヒロヒサ:「クリームソーダ」のイントロとか難しそう。

金田:ライブの時は全員で大合唱みたいな雰囲気に持っていかないと、谷に怒られる(笑)。今回の『グッバイ東京』を聴いて、1曲目の「夢ひとつ」の1サビが終わるくらいで“これはヒロヒサ(の歌詞)だな、めっちゃいいなぁ”ってなった時に、このアルバムは成功してるんだって思った。この歌詞が凄く好き。ねえ、この主人公って死ぬの?

ヒロヒサ:いや、その人が死ぬとかは頭に無かったけど、死は気にしてる。ちょっとアレですけど、俺たちの共通の恩人でもあるDai-chang(大阪フェス【見放題】福実行委員長)が死んじゃってから、どうしてもずっとあるんだよね。人ってやっぱり死んじゃうんだなっていうのがリアルに感じられて。

--先ほど、金田さんから青春時代のお話がありましたが、井乃頭蓄音団は2nd『おかえりロンサムジョージ』の前で青春がひとつ終わったようにも感じました。

松尾:一番大きかったのは『おかえりロンサムジョージ』を出した後、声が出なくなったんですよ。発売してすぐ声が出なくなっちゃって、やっぱり歌い方が変わるから見せ方、考え方も色々変わるし、あれから別人格というか“松尾ようじろう”になりました(笑)。 歌っている内容もね、それまではラジオで流せない曲とかをメインにして歌っていたけど一切無くなって、途端に色んな所に出られるようになったから、井乃頭としては正解だったのかなって。

ヒロヒサ:松尾さんも金田くんもシンガーソングライターの面があるけど、バンドをやる上では制限する所が出てくる、というのはずっと思ってて。松尾さんは高円寺辺りでひとり伸び伸びとコンドームを歌っていればよかったのかもしれないけど、バンドでどんな音楽をやりたいか。色んな人が関わることで変わるわけじゃないですか。 バンドメンバーって基本的にはボーカルのファンでもあると思うんですよ。だけど、バンドでやるとなると選ぶ言葉とか曲にフィルターがかかる。それって何なんだろうとは思うんだけど、そういうもんじゃん、バンドって。バンドの為に何が一番良いのか、それは常に悩む。

ツネ:難しいよね。ボーカルって良い意味でも悪い意味でも影響されやすい。すぐ受け入れるし、対バンとかやってもボーカル同士ってすぐ仲良くなるし、色んな人を巻き込む力が凄くありますよね。そこで“バンドとしてこうやっていきましょう”みたいな提案をする理由は、やっぱりその人の曲を広げたいからで。 でも、言い過ぎちゃったりすると個性が死ぬし、作品に手を加えるとなると(ボーカルの)想いと違ってきてしまったりとか。いつもそこでぶつかっている感じはあるかな。

ヒロヒサ:だから常に反省しているというか、“これでいいのかな?”って思いながらやってる。でも、その一番はバンドを良くしたいから。ぶっちゃけ、俺が曲を書こうが誰が書こうがいいんだ。バンドの為になれば。僕はバンドで一番年下なんだけど、メンバーのことをみんな尊敬してるんだよね。みんな俺より凄いと思ってる。俺が一番凄くない。

松尾:そんなことないよ。

ヒロヒサ:例えばお客さんが入らなかったライブとか、ちょっとスベっちゃったステージの後ってさ、俺は気が小さいから顔向けできなくなっちゃうんだけど、松尾さんは本当に変わらないんですよ。“ありがとうございます”ってニコニコしてて、本当にすげえな!って思うんですよ。

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
△松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)/ヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)

金田:松尾さんって緊張するの?

松尾:私らはメンバーを尊敬しているから、互いの演奏に関してあんまり口出ししないのよ。そこに自信はあるからどんだけMCでスベっても歌えばだいじょうぶ、かな。それにアレンジまで全部ひとりでやっていたら不安のまんまだと思うんですけど、メンバーが僕のデモテープを1回ふるいにかけて、良いものをチョイスしてくれて、その上でアレンジしてくれる。私は割と丸投げしちゃって、イントロも作らずすべて任せちゃってるから、適材適所みたいなことは考えるな。



井乃頭蓄音団はステージが高い所が似合う

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
△左からヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)/金田康平(THEラブ人間)/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)/ツネ・モリサワ(THEラブ人間

--そんな両者が出演するサーキットイベント【下北沢にて’15】が今週末11月22、23日に開催されます。

ツネ:若い子から中堅、ベテランの方まで色んなバンドが出ていて、バンド以外にも色んな要素が取り入れられて……。今年はより下北のお祭りを目指せているので、お客さんには新しい音楽に出会って欲しいと思いますね。

金田:元々は自慢みたいなことをしたかったんですよ、“俺たちの友だちはかっこいいでしょ?”みたいな。今の東京の音楽シーンって凄い細分化されてなおかつ極端だから、その中でずっと居続けるっていうのがかっこいいと思うんですよ。1年で出ては消えるんじゃなくて、ずっとヤバいことをやり続けているっていうのを自慢したい。 昔カセットテープに自分の好きなバンドの音源を両面に詰め込んで渡した感覚のイベントをしたいなって思ってて、それが今年は120バンドいる。井乃頭と壊れかけのテープレコーダーズは最多出場ですよ、1回目から出てるから。

ヒロヒサ:THEラブ人間しか出来ないよ、こんなフェス。THEラブ人間とは昔から友だちだから、仲間意識みたいなのがあるけど、毎年【下北沢にて】のフライヤーを見ると“俺らはTHEラブ人間くらいしか仲間がいないのに、THEラブ人間はたくさんいるんだなぁ~”って(笑)。

--そんな友だちの少ない井乃頭蓄音団は……

ヒロヒサ:オイ、やめろ!(笑)

--12月11日に渋谷WWWにて、バンド史上最大規模のワンマンライブが控えています。

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
金田康平(THEラブ人間)/ツネ・モリサワ(THEラブ人間)

金田:井乃頭ってステージが高い所が似合うんですよ。頭からつま先まで見えるステージで観たいなっていつも思ってますね。やっぱり井乃頭にはドンッと居て欲しいですね、ザ・ビートルズとかザ・バンドみたいに。

ツネ:今年、井乃頭はフジロックも出演してましたけど、その流れでのWWWっていうのが良いですよね。フジロックはうらやましいですよ、バンドマンとして。

金田:井乃頭がフジロック出られるんだから、俺らも出られると思ったもん。それは知名度の話じゃなくて、俺たちみたいなバンドじゃ出られないんだと思ってたんだよね。雰囲気も違うし、たぶん求めているものも違うから。でも、井乃頭が出られるってことは、ちゃんと用意されている。それは夢がありますよね。

ヒロヒサ:自分がTHEラブ人間を意識してるんだなって思ったのが、俺らがフジロックに出られるって決まった時に、“よっしゃ、THEラブ人間はフジロックに出たことねえだろ!”って(笑)。

松尾:3大フェスの3タテふせいだ(笑)。

ツネ:今回のWWWワンマンでは、何かやるんですか?

ヒロヒサ:基本的にはいつも通りライブをやる。どんな夜になるのか、終わるまで分からない。それが井乃頭っぽいかなって思って。

松尾:【親が泣くLIVE】の時は(ギターソロで)ステージを降りる用に10mくらいある長いシールド作ってたよね? これはオフレコ?(笑)

ヒロヒサ:いやいや、そうだよ!大体、 俺、ダイブも1回しかやったことないんですよ。

--WWWでもお客さんがいっぱい入ったらダイブしてくれますか?

ヒロヒサ:やりますよ!

松尾:私ね、ダイブとか見てると怖いんだよぉ、心配になっちゃって。よく(撃鉄の)天野くんが高い所に登るでしょ? “明日とかライブ無いのかしら?”って凄い心配になっちゃう(笑)。

--ちなみに前回井乃頭蓄音団にインタビューした時、各メンバーに東京について伺ったんですよ。ツネさんは広島出身ですよね?

ツネ:出てきて10年経ちますけど、やっぱり楽しいですけどね、毎日のように新しい人たちが出てきて、変わらない人たちもいっぱいいて。けっきょく、人がいっぱいいて、その人と人で面白いことをやろうよみたいなのがすぐに成り立つっていうか。そういった意味では、音楽の仲間や知り合いは凄く増えたし、【下北沢にて】がひとつの東京みたいな感じなのかもしれないですね、僕にとって。

--金田さんは東京出身ですよね?

ツネ:でも金田って東京の人っぽくないよね。

井乃頭蓄音団×THEラブ人間
△左から金田康平(THEラブ人間)/松尾よういちろう(井乃頭蓄音団)/ヒロヒサカトー(井乃頭蓄音団)/ツネ・モリサワ(THEラブ人間)

金田:俺は清瀬市なんですけど、東京に地元感ないもん。東京って、歌にする素材としか思ってない。それは「東京」って曲を書いた時に思ったの。当時、俺が好きだった人が長野から出てきた人で、“東京なんて……”みたいなことを言っている様を見て、初めて東京を俯瞰した所はありますね。だから東京に来た人とかのフィルターでしか感じたことがない。東京生まれで東京で遊んでるけど、まだ行ってない所ばっか。新宿出るのにも3~40分かかるからね。

松尾:それもう東京じゃないじゃん(笑)。

金田:オイ!




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井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー

宮藤官九郎やグレートマエカワも絶賛するインディーズバンド 井乃頭蓄音団が、勝負作となる3rdアルバム『グッバイ東京』をリリースした。

稀代の表現者にしてトリックスター 松尾よういちろうが描く随一の詞世界、近年はクリエイターとしても存在感を発揮するヒロヒサカトーとジョニー佐藤の才気、独特のグルーヴでサウンドを支える大貫真也が与える新たな彩り……。インディーロックファンからオールドロックマニアまでをも唸らせてきた4人が、初のフジロック出演など勢いに乗る2015年、遂に『グッバイ東京』なる大傑作を完成させたのだ。

そこで今回各々へのソロインタビューを敢行し、それぞれの思う“東京”を語ってもらった。

CASE1:ヒロヒサカトー、31歳のグッバイ東京

ヒロヒサカトー

--2015年の井乃頭蓄音団はビッグトピックも多く、中でもフジロック初出演は大きかったですよね。

ヒロヒサ:楽しかったですね~……。よく、フェスに出ているバンドとかアーティストで“普段のライブにも来てください!”とか言う人たちがいるけど、アレは普段のライブでは味わえない経験だと思いました。
自然の中、テントサイトがあったり知らない人たち同士で盛り上がったり……。野外フェスには、音楽観賞だけじゃなくて全体の経験を求めている。ライブハウスは音楽を観賞しにきている人がメインになっている傾向があるから、来て欲しいと思うけれど同じ経験はできないかもしれないとは思いますね。

--また、ここ数年の間にも解散や脱退など、まさに“グッバイ東京”をしたバンドマンがたくさんいましたよね?

ヒロヒサ:うん。

--井乃頭蓄音団にとっても他人ごとではない中で、“グッバイ東京”という言葉をタイトルに冠したアルバムをリリースした理由というのは?

ヒロヒサ:決して井乃頭蓄音団は売れてるわけでもないけど、インディーズバンドっていうのは最高に楽しいわけで。色々あるけど結局好きなように表現して、やりたいことしかやってないんですよ。だからそんなに直ぐには売れないのかもしれないけれど、そんな生き方をしていられるのは本当に幸せだなって。

--暗いムードの作品ではない?

ヒロヒサ:確かに周りにバンドを辞めていった人はたくさんいます。残念だなって気持ちはもちろんありますし、僕もひらくドアっていうバンドが解散しましたけど、世の中全体で見れば別にどうってことないじゃないですか。クールかもしれないですけど、そんなことはバンドに限らず幾らでもあるから、そこまで感傷的になっているわけでもないです。

今こういうインディーズバンドという形でやっていて、CDは発売できるし、ファンの人たちもいてくれて、続けられる。僕がかつて憧れていたロックバンドの姿と今の自分とは違うかもしれないけど、こうしてやってこれている。悲観的な所は一切無いです。ただ、次はもっと良いCDを作るぞとか、そういう意味で向上心はあるから今より売上が上がって欲しい。そう思ってます。

--『グッバイ東京』は、そんなヒロヒサさんの決意表明のようなもの?

ヒロヒサ:そうまとめたい所だけど、やっぱり曲は曲ですよ。もちろん自分と無関係とは言わないですし、バンドを売っていくやり方としてストーリーを作るべきとか言ってくる人もいるけど、一言で言えば、ごちゃごちゃうるせえなって(笑)。
僕は20代前半からライブハウスに出ていて、色んな人に色んなことを言われました。それはすべて正しかったとも言えるし、すべて間違っているとも言える。だから基本的には、周囲の人の言うことは聞かなくていいと思う。……僕もおじさんになってきて、若い人にアドバイスをしたくなってきたけど(笑)。

--リリース直前となる11月4日には、ご自身のブログにあげた「俺が音楽をやる理由と、現実的な話」という投稿が話題にもなりました。

ヒロヒサ:基本的にはそんなに売れてないバンドでもミュージシャンは夢を見せるものだと思ってるから、あまり現実的なことは言いたくない。あのブログを読んで誤解されたくないのは、インディーズバンドやバンドマンは惨めだってことじゃない。惨めさを煽っているように捉えられたとしたら、僕の書き方が間違ってたってことで、そこはごめんなさい(笑)。

--では、今のヒロヒサさんが思う東京とは?

ヒロヒサカトー

ヒロヒサ:僕は中学受験で名古屋から引っ越してこっちで暮らしているけど、まだホームタウンって感じはしないですね。音楽をやるための上京でもなかったから、ただの町です。住んでる場所。冷たい町だとも思わないし、むしろ何かあった時に助け合える町でもあると思うし。

2011年に東北大地震があって原発の問題が出てきて、それまでに無かった不安が表出したじゃないですか。今年は安保問題が取り沙汰されて、民主主義について改めて考えさせられたり……。
自分が思っていた国では無かったと思い知らされたけど、悪い所ばっかりだったわけじゃない。東京では3.11の時はあんな状況になったのにみんなで助け合って、混乱を起こさずに行儀良く帰宅したりとか。こんなに良い人たちが住んでいる町や国もなかなかないでしょ?

そういう事実を全部忘れて、無かったことにして、ただ前向きに成長していこうっていう考えには賛同できないです。だから『グッバイ東京』は、新しい東京へのハローでもあるって感じですね。前も後ろも見ている感じ。

--増幅しすぎた既存の価値観に一度グッバイをして、もう一度積み上げていく?

ヒロヒサ:そうですね。ただ、震災から4年経ちましたけど、まだ自分の中で全然整理ができてないし、何の決着もついてない。そのモヤモヤした中からのひとつが『グッバイ東京』だから、何かの答えになっているわけではないんです。

CASE2:大貫真也、37歳のグッバイ東京

大貫真也

--大貫さんは以前のバンドを脱退されてから井乃頭蓄音団に加入するまでの間にブランクがあったそうですが、その間は地元に帰っていたのでしょうか?

大貫:いや、東京にいた。

--それは音楽を諦めていた時期だった?

大貫:いや、単に誘いが無かっただけ(笑)。まあ、オファーはあったけど、やってみてもあんまりウマが合わなかった。

--そんな中で井乃頭蓄音団を選んだ理由というのは?

大貫:2011年だったかな?前のバンドでフェスに出た時に、井乃頭蓄音団も違うステージに出てるって話だったからそこで初めて観て、“すげーな……”って。やっぱり人間というか、楽曲どうのこうのよりもステージに立っている人間のエネルギーを感じたのかな。正直、見た目は汚かったよ?(笑) だけど、人間の強さを感じたから、凄いなって思った。

--そこに自分が加入することで、バンドのエネルギーを増幅させたいという思いはありましたか?

大貫:井乃頭蓄音団は曲や歌詞の世界観があるから、その中で自分がどうするか。(エネルギーは)強いけど当時はまだバラつきがあってまとまってないって感じてたから、そこがまとまればバンドとしてもっと行けるっていう思いはあった。地盤をしっかりさせれば全然行けるなって。

--加入から2年ほど経ちましたが、バンドとしての一体感は以前よりもぐっと増しましたよね。

大貫:2年半くらい一緒にやってて、阿吽の呼吸まで言わないまでも、こうきたらこうくるみたいなことも分かってきた。だから俺が行きたい方向をプレイで示せばついてきてくれるし、他のメンバーがそれを示せば俺もついていけるし。

--そうして完成したアルバム『グッバイ東京』ですが、大貫さんにとって東京とはどんな町でしょうか?

大貫:グッバイと言いながら、絶対に離れられないよね。楽しいところだから。俺は22歳くらいから東京に住んでるんだけど、最初は嫌だったの。負けん気だけで来た感じだったのが、「木綿のハンカチーフ」じゃないけど染まりに染まって(笑)。
うちの地元は本当に音楽が無くて、バンドやってた奴もいるけどどんどん離れていくし、CDショップ行っても目新しいCDは置いてなかったしね。それと比べちゃうと東京から戻れなくなっちゃうよね。東京は世界中からみんなが集まってくるわけだから。

--では、バンドマンとしての東京というイメージが変わった部分は?

大貫:いや、最初からほぼノーフューチャーだったよ(笑)。ほとんど絶望の中で、“何かしなくちゃ”っていう焦りとか色んなものが混ざり混ざっての上京だったから。ただ、今は少なからず……、いや、少ないんだけど音楽をやる仲間がいる。続けている奴を見ていたいし、一緒に続けていきたい。
この年になると続けてる奴を見るのが嬉しいんだよね。自分がついていってた湯川トーベンさんとかエンケンさんとか石塚俊明さんとか見ててかっこいいと思っちゃたから、これは辞められないなって。

--とはいえ気持ちだけで一生続けられるものでもなく、そうした現実も見据えた上で完成したのが『グッバイ東京』というアルバムで、シリアスなムードはこれまでで一番顕著ですよね。

大貫:うん、かもしれない。

--それは今のバンドの状況とイコールなのでしょうか。

大貫真也

大貫:それはあるかもしれない。これは俺らに限らず誰もが抱えていることだし、そこで自分をどれだけ追い詰められるか。夢だけじゃ何もできないというか、それなりのものしかできなくなるよね。

--だから生活の匂いもあるし、夢の匂いもあるし、絶望の匂いもある。それを最も端的に表現しているのが『グッバイ東京』というタイトルですよね。

大貫:うん。

--大貫さんは音楽家としてまっとうする覚悟を持って、東京にいるのでしょうか?

大貫:いや、俺は好きなことをやりたいだけ。それにしかやる気を見出だせないというか、好きじゃないことに時間をかけるのは非効率だと思っていて、やる気ってやっぱ好きなものだと凄いじゃん?
それってどんどん研ぎ澄まされて結晶のようになっていくものだから、自分が一番能力を発揮できるものって、好きなものだと思う。それで何もできないのだとしたら、それは自分のせい。自分の能力が足りない。シンプルにそう思う。

--それを最も純度高く行える場所が、大貫さんにとっては東京だったということなんでしょうか。

大貫:そう。

CASE3:ジョニー佐藤、37歳のグッバイ東京

ジョニー佐藤

--リスナーとしても造詣が深い面々が揃っている井乃頭蓄音団内で、飛び抜けて洋楽好きのジョニーさんにとって、今年の夏に初出演したフジロックは感慨深いものがあったのでは?

ジョニー:フジロックは何が嬉しかったって、親が喜んでたのが嬉しかったよ~。「親が泣く」って歌ってるけど、さすがにうちのおふくろ世代でもフジロックは知ってた。出演が決まったことを伝えたら親戚中に伝えてたみたい(笑)。

--ジョニーさんは若い頃、アメリカに住んでいた時期があるんですよね?

ジョニー:俺ね、アメリカン・ミュージックに関してはめちゃめちゃ熱心なんですよ!誰にも負けない自身がある!俺は北海道出身なんだけど、高校を卒業して大学に進学しないとなると、音楽が好きな場合は東京に行くことが多いじゃないですか。でも、それって普通だし俺は筋金入りの洋楽好きだから、アメリカに行こうって。
当時から英語の曲ばっかり聴いてたし勘がよかったのか、英語の成績だけよかったんですよ。他は1とか2ばっかだったのに英語だけ良かったから、“語学留学させてくれ”って親にお願いして。“将来のためにがんばっておいで”って1年間の約束でアメリカに行って、そこから姿をくらまして4年間帰らなかったの(笑)。

--その後は?

ジョニー:一時、音楽をやりたくなくなって、そうなったらアメリカにいる理由もわからなくなって、北海道に戻った。だってギターを弾きたくて行ったわけですけど、1990年代後半はギターロックなんてまったく流行ってない。いわゆるミクスチャーの時代だったんですけど、そもそもロック自体が流行ってなくて、みんなヒップホップを聴いてたの。
ただ、俺も例に漏れずヒップホップの洗礼を受けて、そこからブラック・ミュージック……ブルースは聴いてたけど、ファンクやジャズも掘り下げていって、段々レコードマニアになっていったんですよ。

--トラックメイクなどもやっていたんですか?

ジョニー:うん。蚤の市とかに行って安いレコードをディグって、サンプリングに使える音源を探したりとか、ひとりで部屋にこもってひたすらトラックメイクをしてた(笑)。日中はメキシコ人と一緒に瓦を焼くバイトをして、帰ってくると夜から明け方までひたすら音楽を作って……。

--では、北海道に戻ってから上京した理由というのは?

ジョニー:地元に帰ってからはコンビニのお弁当を作る工場のバイトをしながら、ダラダラすごしてたんですよ。そしたらある時、幼なじみが“帰ってきてるなら一緒に音楽やらない?”って誘ってくれて、やってみたら思いのほか楽しくて(笑)。そこで意識を取り戻して、再び日本一になろうと思って東京に行こうと決めたんです。

--当時のジョニーさんにとって、東京ってどんな町だったのでしょうか。

ジョニー:バンド組んで音楽ができる環境。ビザが切れてからも住んでたアメリカには行けないし、70年代以降のブリティッシュ・ロックはあんまり思い入れが無かったからイギリスも違う。他もよく分からないし、とりあえず東京かなっていう消去法で来たくらいですから(笑)。

ジョニー佐藤

まあ自分のことしか分からないんだけど、バンドマンと言ってもバンドやってる時間があればバイトしている時間もある。友だちと会う、飲む、私生活、練習とか……本当に人それぞれだと思うんですよ。ただ、引っ越してきてから10年以上も同じ町に住んでいるってことは、俺は東京が好きなんだと思います。

ただ、これは地方から出てきた人ならみんなあると思うんだけど、そのまま東京の人になる人と、何かを見つけていつか帰りたいと思う人とに分かれるじゃないですか。俺はいつか帰りたいと思っているタイプなんです。東京はゴールじゃなくて、今やるべきことをやるために住んでいる町っていうつもりですよ。

--そんなジョニーさんが今、『グッバイ東京』というアルバムをリリースすることには必然性を感じますか?

ジョニー:アルバムってね、ミュージシャンの今の姿を捉えているわけではないんですよ。3.11に震災があって、あれ以前と以後では音楽をやる、CDを出すことに対するモチベーションや意味合いは変わっていると思うんですよね。曲とかアルバムを生み出すのに、何かそういうことを背負っていないといけない運命になってしまった。

震災以降、自分の故郷へ帰っていく若者が増えてるんだってって話をヒロヒサくんとしてて。繁栄の象徴たる東京という既成の価値観に背を向けて、自分なりの心地良い価値観を見出そうとする動きが個々に見受けられるようになってきた時代だと。そんな話をしていたのが、すごく印象深かったんですよ。
俺も、いつまで東京でギターを弾けるのか、バンドで音楽できるのかを考えたら、単純に無制限を約束できる状況ではないかもしれない。それこそ地震が起きればできなくなるかもしれないし、いつか東京に別れを告げなきゃいけない日がくるって常々考えていたりもするんです。そういう気持ちとリンクして生まれたっていうのが事実です。

CASE4:松尾よういちろう、34歳のグッバイ東京

松尾よういちろう

--今年はフジロックも然ることながら、伝説のロック喫茶 B.Y.Gでの3か月連続ワンマンというビッグトピックが印象的でした。

松尾:B.Y.Gっていう場所自体に個人的にも思い入れがあって、好きなバンドがいっぱい出ていた所だから憧れていたし、簡単に出られるような場所ではないと重々承知だったので、テンションは違いましたよね。

それに井乃頭蓄音団自体も変わりましたね。その時々によって中心人物が変わって、それに伴ってバンドが見据える未来が変わっていると思います。前回のアルバムからはヒロヒサカトーがブレインになってきた所があって、曲作りという点から見ても彼とジョニーという人間の魅力が出てきたし、私の持ち味も発揮できる。大貫もだいぶ慣れてきて引っ張ってもくれますし。

そう考えると、『グッバイ東京』は8年のバンド活動の中で一番意見がぶつかったアルバムだと思います。1stアルバムと今作を並べて聴いて、同じバンドだと思える人は少ないかも。

--アルバム『グッバイ東京』は東京で奮闘しているインディーズバンドや苦戦しているバンドマンに刺さる作品だと思います。

松尾:最近は自分たちのことを洗いざらい歌うっていうバンドも多いと思うんですよ。そうやって売れないバンドマンががんばってる姿を出し始めてから、私は書きたくなくなっちゃった(笑)。それまではどちらかというと、売れないバンドマンと親との対峙とかを書いてましたし、その最たるものが「親が泣く」でしたし。

それに当時は一緒に成長できる曲っていうのが好きだったんですけど、今回のアルバムの曲はその時を記すようなものになっているのかなって思うんですよ。時間軸が揺るがないものが多い気がする。たとえば「グッバイ東京」の歌詞みたいに、スカイツリーがあって東京タワーもある、っていう状況は今だけだと思いますし。

--それは前々から決めていたコンセプトというわけではないですよね?

松尾:今年の最初くらいに、今まで作り溜めてきた色々な曲をかき集めて、どんなアルバムを作ろうかって会議をしたんですけど、まとまらなかったんですよ。そんな時にヒロヒサカトーが持ってきた「グッバイ東京」がコンセプトになって、そこから選ばれた曲たちなんですよ。

--確かに松尾さんが作詞した「閉店」「バカ息子」なども、“グッバイ東京”している曲ですよね。

松尾:ずっと言っているのは、通過点なんですよね、やっぱり。どんな集大成を作っても、けっきょく通過点になる。

--松尾さんにとって東京も通過点?

松尾:どこかしらそう思ってはいますね。色んな土地に歌える場所はあるじゃないですか。東京に固執すればするほど逆に離れていくというか、夢を描いていた東京は僕にはもうないんですよ。かつて父親にタンカを切って、“こんな所じゃダメなんだ!”って出てきた場所は東京だったんですけど、実際に住んで現実的な東京を知って、夢では無くなったんです。

もちろん、当時はもっと短絡的に考えてたって所があったと思います。地元の名古屋は田舎ではないですけど、やっぱり東京に出て行くのが流れ的なものではあったし。ただ、当時は父親との確執から家を出ることを決意したので、正直名古屋以外ならどこでもよかったんですよね。

--そういう気持ちがわかる人は多いと思います。

松尾よういちろう

松尾:当時は“東京なら何でも可能になる”って思ってましたけど、それはもう無くなりましたね。可能っちゃ可能なんですけど、どんどん凝り固まっていくというか。

あと、もっと大きな面でずっと思っていたのが、ネット社会もそうだし、地方へ向けた国の政策などを見ていると、もう東京じゃなくてもいいんじゃないか。これからはみんなが東京から離れていく時代なんじゃないかと思います、首都という考え方自体が無くなるくらい。

--つまり『グッバイ東京』というのは、松尾さんの決意表明になっている?

松尾:考えれば考えるほどそうですね。長いこと音楽をやっていると諦めて帰っていく友だちもいっぱいいる。彼らに向けてのグッバイっていうのもすごくあって、この町で出会った友だちは、どこから来た人であっても私にとっては東京なんです。そして私が東京にいる以上、彼らはそこから去っていく。私が東京に背中を向けたグッバイよりも、東京にいるからこそ去っていくものをいっぱい見送った気はしますよね。

東京タワーっていうのは数々の潰れた、倒れてしまった夢たちの墓標だと表現されることは多々あるじゃないですか。これからはそれがスカイツリーになっていくのかもしれないですけど、そうなってくると私の思っていた東京は完全に無くなっていくわけですよね。

--松尾さんが思っていた東京とは?

松尾:最初に来た時はゴールだと思ってました。今は通過点だと思いますけど、メンバーがいるから私も東京にいる。井乃頭蓄音団という大切なバンド、仲間がいるから東京にいられるし、歌い続けようと思っていられる。みんなそういうものを繰り返してきていると思うんですよ。

昔のメンバーを思い返してみたら、その時はその時で“このメンバーしかいない”と思っていた。関わってくれる人、応援してくれる人も今とは違う中、お互いの考えがちょうど合っている時期に出せたのがこういうアルバムです。

やっぱり80歳までみんなといたいですけど、その先には死っていう別れもあるし、ずっと一緒はそうそう無いと思うんですよ。だからこそ、とにかく今しかないっていうのはありますね。

インタビュー写真
井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー 井乃頭蓄音団『グッバイ東京』インタビュー

井乃頭蓄音団「グッバイ東京」

グッバイ東京

2015/11/11 RELEASE
INORC-5 ¥ 2,200(税込)

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  6. 06.閉店
  7. 07.バカ息子
  8. 08.言ってはいけない言葉
  9. 09.タスマニアエンジェル
  10. 10.帰郷
  11. 11.グッバイ東京

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