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スティーヴ・アーリントン(formaly of スレイヴ) 来日直前インタビュー

スティーヴィ・アーリントン インタビュー

 オハイオが誇った重量級ファンク・バンド、スレイヴのリード・ヴォーカルとして名を馳せたスティーヴ・アーリントン。スレイヴ脱退後はホール・オブ・フェイム、ソロとして精力的に活動し、N.W.A、スヌープ・ドッグ、ATCQなどにサンプリングされるなどスレイヴも含めヒップ・ホップ・シーンにも大きな影響を与えた。2009年に30年近くのブランクを経てシーンにカムバック。デイム・ファンクとのコラボ・アルバムも話題となり、10月についにファン待望の初来日を果たす。今回の公演を前にインタビューを敢行。これまでの活動を振り返りつつ、公演に向けて意気込みを語ってもらった。さらに、本人からのビデオコメントや好きなアルバムもコメントつきで紹介!

自分に正直に表現することが一番大切だ。

Negicco
▲Little Anthony and the Imperials「Shimmy Shimmy Ko-Ko-Bop」

──幼少のころはどんな音楽を聴いていましたか?

スティーヴ・アーリントン(以下:スティーヴ): 子どもの頃はLittle Anthony and the Imperialsの「Shimmy Shimmy Ko-Ko-Bop」とか初期のモータウンをよく聴いていたよ。Jimmy Smithの「Walk on the Wild Side」とかJames Brownの「Live At the Apollo」、Little Evaの 「Loco-Motion」なんかを聴いたり、教会で音楽に触れて、どんどん好きになったんだ。

──スレイヴに加入するきっかけはなんだったのですか?

スティーヴ: 高校生の時にYoung Mysticsというバンドをやっていて、後にスレイヴを結成するフロイド・ミラー、マーク・アダムス、トム・ロケットがいたんだけど、みんなより年上だった俺は、高校卒業と同時にオハイオからサンフランシスコに移り住んでサンタナのアルバムにも参加したCoke EscovedoやPete and Shelia、17人編成のサルサバンドなんかをやってたんだ。1978年ごろ、スレイヴが最初のアルバムをリリースした後に、マーク・アダムスから連絡があって、「ドラムで参加しないか?」と誘ってきたのがきっかけだよ。

CV
▲スレイヴ『ストーン・ジャム』

──ボーカルに転身後『ザ・コンセプト』や『ストーン・ジャム』、『ジャスト・ア・タッチ・オブ・ラヴ』といったビッグ・ヒットとなりましたが、なぜスレイヴを離れようと思ったのですか?

スティーヴ: マネージメントや金銭的な問題さ。あとは、1stアルバムをリリースした後にメンバーチェンジがたくさんあって、同じメンバーで継続的にやっていくことが全然なかったんだ。スレイヴに参加したのは『ザ・コンセプト』から『ショウタイム』までだよ。

──ホール・オブ・フェイムやソロとして活動を始めて、スレイヴ時代と大きく違ったところは何ですか?

スティーヴ: 様々なバリエーションを探求できたことだね。

Negicco
▲Steve Arrington「Feel So Real」

──1990年の『No Reason』から2009年の『Pure Thang』まで、空白の期間がありますが、どのように過ごしていたのですか?

スティーヴ: 教会で演奏していたよ。

──楽曲やアルバムを制作する上で、最も大切にしていることはなんですか?

スティーヴ: 自分の気持ちに従って作ること。自分に正直に表現することが一番大切だ。自分に正直に表現をして、たとえそれが他と違っても、その「違い」を恐れてはいけない。

Negicco
▲Steve Arrington「Weak At The Knees」

──これまでの活動のハイライトは?

スティーヴ: 17人編成のサルサ・バンドでEscovedoファミリーとプレイしたことは一番大きなハイライトだな。あと、初めて自分の曲(「Stellar Funk」だった)がラジオで流れた時もだね。自分自身のドラムとコーラスに聴き入ったよ。 あとはもう一つ、「歌うドラマー」から「ドラムを叩くシンガー/シンガー・ソングライター」になったことも大きなハイライトと言えるね。あ、「Weak at the Knees」もそうだな。メロディアスな部分を排除したダーティーで埃っぽいファンクが出来上がったと思っている。

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──2013年にはデイム・ファンクとコラボして『Higher』をリリースしましたが、これはどちらがきっかけとなったのですか?

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▲Steve Arrington + DâM-FunK『Higher』

スティーヴ: デイムがソーシャル・メディアを使って「一緒にやってほしい」ってコンタクトしてきたんだ。その曲が「Magnificent」さ。ロサンゼルスで開催されたThe Do-Overに、デイムのDJセットのゲストとして初めて参加したんだけど、やつがO’Brianの「I’m Freaky」をかけたら、オーディエンスがクレイジーなくらい熱狂したんだ。そこでパフォーマンスしたら20代とか30代のオーディエンスがみんな俺の曲を知ってて一緒に歌ってくれたんだ。あれには圧倒された。ホントにスペシャルな時間だった。ピーナッツ・バター・ウルフもそこにいたよ。

──一緒に作業を行ってみて、デイムのどんなところがすごいと思いますか?

スティーヴ: いくつかあるんだけど、彼のシンセの使いこなし方やコードのチョイス、そしてファンクを演奏することを心から楽しんでいるところは素晴らしいと思うよ。

 

──現在進行中のプロジェクトはありますか?

Negicco
▲Christian Rich feat. Steve Arrington「What More」

スティーヴ: 去年、『Way Out(80-84)』っていう回顧的なアルバムを出したんだけど、それには「完成していたけど未発表だった」3曲と「未完成だった」5曲を仕上げて収録したんだ。あと、シカゴ出身でいまはロスアンゼルスを拠点にしているChristian Richとコラボした「What More」っていう曲もこの前完成したよ。最近は次のアルバムを制作中さ。

──デビュー以来、音楽に対する姿勢は変わりましたか?

スティーヴ: 変わったね。最初はただ単にドラムに興味があっただけなんだけど、いまは歌も歌うし、曲も作るし、アレンジ、プロデュース、サウンドそのものに興味を持ってやってるからね。どれもここ何年かで(技術的にも)すごく進歩してるよね。

──これまでのキャリアで一番のチャレンジは?

スティーヴ: 高校卒業してサンフランシスコのベイエリアいったことかな。自分がプロのミュージシャンとして通用するか試してみたかったんだ。あと2009年、25年以上休んで音楽シーンに戻ってきたときもそうだな。その時は「自分がまだやれるのか」というのを知りたかった。そして、まだまだやれるってことに気付いたし、これが自分が本当にやりたかったことなんだって思ったよ。

──現在のポップ・カルチャーにも興味を持っていますか?最近聴いた曲やアーティストで気になったものはありますか?もし日本で気になるアーティストがいたら教えてください。

Jimbo

スティーヴ: ああ。いつも若い子たちに彼らが何を聴いているか尋ねるんだ。それでまだ聴いたことのないアーティストの名前が出てきたらチェックするようにしてるよ。最近はマッドリブやフライング・ロータス、カニエ・ウェスト、ドレイク、ハドソン・モーホーク、ウィル・アイ・アムなんかをディグっているよ。日本人だとドラマーの神保彰かな。電子ドラムを見事に取り入れてるよね。彼の教則ビデオも持ってるよ。もう一人、ドラマーの川口千里もすごくうまいと思うよ。彼女が13歳の時からチェックしているよ。

──あなたにとってライブ・パフォーマンスの醍醐味は?常にエキサイティングで新鮮味のあるパフォーマンスをする為に心掛けていることはありますか?

スティーヴ: ライブは大好きだよ。ライブ用に曲をアレンジして、オーディエンスと繋げることがすごく好きなんだ。このエネルギーは衰えることはないし、飽きることもないよ。常に新しいんだ。古い曲も新しい曲も、自分の曲を演奏するのは本当に楽しいよ。

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俺のありのままのソウルをみんなに見せたい

──今回初来日というのに驚いたのですが、スレイヴ時代に来日オファーはなかったのですか?

Steve Arrington
▲Slave「Just A Touch Of Love」Live

スティーヴ: スレイヴ自体は日本に行ったことがあるけど、俺が辞めたあとなんだ。だから、今回が初めてなんだよ。

──バンドメンバーについて教えてください。

スティーヴ: シカゴから素晴らしいミュージシャン達を連れて行くよ。ドラマーはリナード・ストラウド、ギターはデリック・ディーロック・ウィームズ。この二人はここ5年位俺と一緒に演奏してくれてるんだ。あとは、ベースにマイケル・スターリン、キーボードにウィル・カート、バッキング・ボーカルはライニ・ミッチェルだよ。

Steve Arrington
▲Slave「Watching You」Live

──ライブ以外に楽しみにしていることはありますか?

スティーヴ: たくさんの人に会っていろいろ話すこと、日本の文化も味わいたいね。

──ライブではどんな楽曲を披露する予定ですか?可能な範囲で教えてください。

スティーヴ: いろんな曲をやりたいと思っている。スレイヴ、ホール・オブ・フェイム、ソロの曲をアレンジしてやるつもりだ。日本での初めてのショーでは俺のありのままのソウルをみんなに見せたいと思ってるし、オーディエンスも俺の世界に飛び込んできてほしい。たくさんの愛を届けて、みんなと楽しみたいよ。

──最後に、ファンに一言お願いします。

スティーヴ: 日本は人、文化、ブラック・ミュージックに対する愛情、すべて素晴らしいと聞いている。歴史ある素晴らしい日本の文化を楽しみたいし、みんなに会うのが待ちきれないよ!Blessings

スティーヴ・アーリントンの初来日公演を盛り上げる
オープニングDJが決定!

higher

DJ ATOM

DJ Time: 2015年10月20日 17:30~19:00 / 20:45~21:30

1976年よりDJキャリアスタート。
赤坂マンハッタン・イベリア・スタジオワン・ファーマーズ  マーケット・XANADU・
ナバーナなど、ブラック系のディスコでプレイ。誰もが知っている六本木XANADUを
伝説のディスコに仕立てあげたのはATOMさんの熱いプレイによるもの。
XANADUと言えばATOM! ATOMと言えばXANADU と言う時代もあったほどでした。
現在は自ら主催するイベントATOM-ic NITE(17年目)で新旧を問わずディスコ、
クラブファンより大絶賛を浴びています。
独創性のある究極のDJプレイは正にFunky President!!

higher

DJ KOUNO

DJ Time: 2015年10月21日 17:30~19:00 / 20:45~21:30

1978年DJデビュー。
新宿や六本木を拠点に、数々のネペンタ/メイクアップ/ヒッポフェロー等でレジデントDJを務める。1984年にオープンした高級ディスコ ムーンチャイルドクラブのサウンドプロデュース兼レジデントDJとして就任。 同店舗においてStevie Wonder、Robert Palmer等、数多くの海外アーティストのウエルカムパーティーに携わる。
1986年~1991年まで六本木の夜を一世風靡したディスコ、シパンゴでレジデントDJを務める傍らCD製作や芝浦湾岸エリアのカフェバー空間プロデュース、丸井流行通信ファッションショーのサウンド・プロデュース等、数多くの総合プロデュースを手掛ける。
現在も日比谷DIANA/横浜GROOVY等でレギュラーDJを務める傍らInter FM Radio Discoやプリンスディスコ、ほか数多くのイベントにゲストDJとして出演している。
長年の経験値を生かした独自のスタイルでオーディエンスと空間を感動と興奮の渦に捲き込むグルーヴ・メイカーである。

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スティーヴ・アーリントン"Favorite Albums"

CV

ジミ・ヘンドリックス
バンド・オブ・ジプシーズ

ファンク・ロックの誕生だ。個人的に「マシン・ガン」のギター・ソロは、この世で一番だと思ってる。

 

 


CV

イエス
危機

エネルギーが満ち溢れてる。どの曲も傑作だし、最初から最後まで元気を与えてくれるサウンドだ。ビル・バーフォードのスネアの音も最高だね。

 

 


CV

ザ・マハヴィシュヌ・オーケストラ
内に秘めた炎

俺の好きなドラマー4人のうちの一人、ビリー・コブハムを初めて聴いたのがこのアルバムだったんだ。不規則なリズム、インディアンの雰囲気が大好きだよ。とてもスピリチュアルなアルバムだね。

 

 


CV

スライ&ザ・ファミリー・ストーン
暴動

このアルバムは、正真正銘ブラック・ミュージックの世界を一変させた一枚だ。スライ・ストーンは本物の詩人であり、ファンク・メーカーだと思う。

 

 


CV

ザ・ビートルズ
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド

このアルバムはポップスとロックの可能性を大きく広げた一枚と言える。奥行の深さ、バリエーションに圧倒されるね。

 


スティーヴ・アーリントンズ・ホール・オブ・フェイム「1」

2015/08/19 RELEASE
WPCR-28693 ¥ 1,100(税込)

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Disc01
  1. 01.ノーバディ・キャン・ビー・ユー
  2. 02.ユー・ミート・マイ・アプルーヴァル
  3. 03.ラスト・ナイト/ナイト・ビフォア
  4. 04.ストレンジ(ソフト&ハード)
  5. 05.スピーク・ウィズ・ユア・ボディ
  6. 06.ウィーク・アット・ザ・ニーズ
  7. 07.ベディバイ
  8. 08.ウェイ・アウト

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