Special
BiSH『OTNK』インタビュー
元BiSマネージャーの渡辺淳之介が「BiSをもう一度始める」と始動させた新生クソアイドルグループ BiSH。デビューからたったの3ヶ月で、クソまみれのPV公開、初ワンマン、POPとの200km対抗駅伝、TIF初出演も2日目出演キャンセル、その代替公演をZepp Tokyoで開催と、とんでもない速度で重めのミッションを幾つも経験してきたメンバーたち。今回の特集インタビューでは、アイナ・ジ・エンド(おくりびと担当)に命懸けで臨んでいるというBiSHでの活動、BiSHメンバーへの想いを語ってもらいながら、彼女自身の覚悟や生き様を伝えさせてもらうことにした。
超無名時代から横浜アリーナで伝説の解散ライブを行うまでに至った先代、BiSは後世に語り継がれる凄まじいストーリーを歩んだが、そのBiSを超えることが義務付けられたBiSHはここからどんなストーリーを歩んでいくのか。もう後戻りできないメンバーのリアルをここにお届けする。
【TOKYO IDOL FESTIVAL】へのメッセージ~過大評価され過ぎた3ヶ月
--まずはZepp Tokyoワンマン、おつかれさまでした!
アイナ・ジ・エンド(以下アイナ):かんぱーい!--どうですか? デビュー3ヶ月でZepp Tokyoでのワンマンを終えてみて。
アイナ:ずっとZepp Tokyoはめちゃくちゃ広いと思ってたんです。yucatさんのバックダンサーだった時代に、yucatさんがZepp Tokyoをやることになって「今までで一番デカい会場」って言ってたんですよ。しかも10年かけて辿り着いた場所だったんです。だから私も「10年かけなきゃムリなんだ」と思っていたから3ヶ月で決まってビックリしちゃって。今もあの場所でワンマンやった感覚がなくて……ビックリ。とにかくビックリしてます。--あのワンマンは【TOKYO IDOL FESTIVAL】(以下TIF)2日目の代替公演として開催された訳ですが、まずTIF2日目が出演キャンセルになった(※詳細は、BiSHマネージャー渡辺淳之介のインタビューにて)ときはどんな気持ちに?
アイナ:めっちゃ泣きました!200km駅伝のときも足が痛くてめっちゃ泣いたんですけど、あれ以来でめっちゃ泣きました。実はBiSHに入ってすぐに今年の8月までの仮定スケジュールを渡されたんですよ。で、8月にTIFって書いてあったから「TIFってももクロが出たやつや! めっちゃ有名なやつやん、凄い!」って思って、ツラいことがあっても「とりあえずTIFまでは辞めんとこう」って思ってたんです。だからTIFに辿り着けたことがすごく嬉しかったんですけど、2日目出れないことになって。出れないって聞いた瞬間に膝から崩れ落ちるぐらいツラかったです。出れると思ってたんですよ!--2日間とも出れる予定でしたからね。
アイナ:というか、アカペラが終わってからも(※BiSHはTIF1日目のステージでアカペラでのパフォーマンスを披露。詳細はこちら)。みんなは「明日は出られない」って悟ってたかもしれないんですけど、私は出れるって信じてたんです。だから「出れない」って聞いた瞬間のショックはみんなより大きかったと思う。「はぁ!? BiSH、何も悪いことしてなくない?」って感じでした。昼のステージも普通にライブして特に煽ってないし、夜もアカペラで静かにしたし、「なんでなん?」みたいな気持ちのほうが大きくて。だから渡辺さんから「明日出れないかもしれないけど、出たい?」って聞かれたときも即答で「出たい」って言ったし、どうにかして出れないかと思って何個か提案もしたし、そもそも出れない意味が分からんし、「悔しすぎる!」って感じでした。--全く納得できてなかったと。
アイナ:帰りの電車の中でツイッター開いたら、オタクからのリプが大量に来てて、その中には「明日、北海道から行くよ」とか「沖縄から行くよ」っていうリプもあって、めっちゃ涙出てきて……アイナの口からリアルなことは伝えられない。出演キャンセルの発表後も「なんでよ?」「見たかった!」って言われるとその気持ちをどうにかして落ち着かせたいとは思うんですけど、何も言えない。それがもどかし過ぎてひとりで「うわぁ!」って泣いてました。--TIF初日のライブとあの発表を受けて、BiSHもまたパンクスというか、体制と戦う役目を担う事になったのかな?と個人的には感じていたんですが、アイナとしてはどんな感覚だったんでしょう?
アイナ:私的には……「別に格好良いストーリーを無理やり作らなくてもいい」ってBiSHを始めたときからずっと思ってはいたんですけど、そのストーリーの一歩目が始まっちゃったかなと思いました。勝手に自分の中で「死にたい」「死ぬんちゃうか」って思う出来事もあるんちゃうかって。--死を予感させる出来事ってどんな出来事のことを言ってるの?
アイナ:どういう出来事っていうか……出来事じゃないですね。感じ方? 「無理」って思う瞬間が来るかもしれないっていうこと。--そこに向けてのストーリーが始まっちゃったってこと?
アイナ:始まったかもしれない。駅伝のときは体力的にはキツくても、精神的にはそんなに来てなかったんですけど、TIFのオタクの気持ちになったら結構来ました。私、一人暮らしだから家ではずっと独りで、食パンの耳をちぎって、フライパンで焼いて、それをいつも食べてるんですけど、それしながら「もう無理かもしれない……」みたいな。私、あの日、必死にアカペラやってたんですよ。自分の歌声には本当に自信ないんですけど、それでも「アイナの歌声良い」って言ってくれる人がいるから、もしかしたらTIFのスタッフさんが「良い」って思って、それが2日目に出れるキッカケになるかもしれないって。明日もTIFに出れるんならそのルートは何だっていいし、それはウチの歌声かもしれないと思って必死に歌ったんです。本番前も他のアイドルがたくさんいる楽屋でめっちゃ大声で練習してて、鬼うるさかったと思うんですけど(笑)。でも結局出れなかったから、食パン焼きながら「私はやっぱりまだまだやな……」って。--でも結果的にZepp Tokyoでのワンマンライブが実現しました。
アイナ:でも「失敗」って言われて(笑)。--集客的には満員の1/2でしたからね。でも今のBiSHが1300人以上のお客さんを呼べるってことは分かった訳じゃないですか。下北沢シェルターの約6倍ですよ?
アイナ:そう考えると凄い!--では、もうTIFは出れなくても構わない?
アイナ:うーん………………出たい(笑)。悔しいですもん。「こんなもんじゃないんだよ」っていうのをTIF側にも見せたい。ここまで人気出たら出さない訳にはいかないぐらいの存在になりたいです、本当に。--Zepp Tokyoで代替公演はやったけど、TIFの2日目に出たかった想いは消化しきれてないんだ?
アイナ:そうですね。BiSHとしての見え方が今のままだったら悔しい。ナメられたくない。--では、TIFの皆さんへメッセージを。
アイナ:すみませんでした!--そこは謝るんですね(笑)。
アイナ:TIF出たい(笑)!--そんな早くもアイドルシーンのひとつの象徴的なグループになってしまったBiSHですが、自分ではBiSHってどんなグループだなって感じていますか?
アイナ:私、今、BiSHがめっちゃ好きなんですよ! ひとりひとりのことがめっちゃ嫌いになった時期とかもあったんですけど、今はめっちゃ好きで。BiSHじゃないとイヤだなって思うぐらい、めっちゃ好きです。ただ、メンバーがどう思ってるか知らないけど、今は全然エモくないと思うから、これからエモいストーリーを作っていける、磨けば光るユニット。だから今は「まだまだ」って感じ。--デビューから3ヶ月。クソまみれのPV公開、初ワンマン、POPとの200km対抗駅伝、TIF初出演するも2日目出演キャンセル、その代替公演をZepp Tokyoで開催と、とんでもない速度で重めのミッションを幾つも経験してきましたが、自分ではどんな3ヶ月だったと思います?
※BiSH/BiSH-星が瞬く夜に- [OFFICIAL VIDEO]
--具体的に言うと?
アイナ:こんなレベルのユニット、地下アイドルの中にもいっぱいいるじゃないですか。曲はめっちゃ格好良いし、今まで聴いてきたアイドルの曲の中でダントツだと思うし、アイドルの枠を超えてると思うんですけど、ダンスと歌のパフォーマンスに関しては本当にまだまだで。私も自分の声に自信がないから「アイナの歌声が良い」ってツイッターに書かれる度に心が痛かった。そういう意味で過大評価され過ぎた3ヶ月でした。--まだまだそんなに褒められたもんじゃないと。
アイナ:「もっとディスれよ」って思ってました(笑)。--確かに先代のBiSと比べると全然ディスられてない印象ですね。
アイナ:最初から受け入れられ過ぎたら、みんな努力しなくなるじゃないですか。それが見えてきて、そのときにメンバーのことをイヤやなって思ってたんです。でもこれだけ過大評価されたらそうなるのも仕方ないなと思って。私はBiSHに入る前、ずっと誰にも見られてないところで活動してたから今の自分が信じられないぐらいだし、何を言われても過大評価にしか聞こえないんですよね。見られてるってだけで幸せなんで、もっとディスってほしいなって思ってました。--BiSH、全然大したことないですけどね。
アイナ:ハハハ……--今、完全にムカつきましたよね(笑)?
アイナ:いや、過去の自分に比べたら今って凄い状況なんですよ! 前はワンマンしても2人とか、多くても48人ぐらいだったんで(笑)。リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
今日も嫌われにいく、明日も嫌われにいく………ってしてます
--BiSHがデビューした3ヶ月前と今も状況は変わってるし、メンバー間のムードや心境も変わってきてるんじゃないですか?
アイナ:居心地が良くなってきました。チッチ(BiSHキャプテン)のことが結構好きになってきて……--ということは、元々は嫌いだったってこと?
アイナ:全然嫌いじゃない(笑)! ライバルみたいな感じだったんですよ。向こうもそう思ってたと思う。でも今は各メンバーの役割がしっかりしてきて、私はチッチのことをめちゃくちゃ信頼できるようになったし、一緒にいて支え合ってるなって感じもしてきて。チッチは絶対に守るんですよね、チームワークを。「今ここでコレを言っちゃダメだ」みたいなことを分かってたり、チッチは自分のことを「ポンコツキャプテン」って言うんですけど、むっちゃしっかりしてるんですよ! 私、地図読めないんですよ。でもあの娘は地図を超読めるから道も案内してくれるし、どこへ行くときでも渡辺さんより前を歩くぐらいしっかりしてるんです。だからそういうのはチッチに全部任せて、ダンスに関してはアイナが引っ張っていく。そういう役割分担がしっかり出来るようになったんですよね。だから今は例えばチッチがダンスの振りを間違ってたら「間違ってるよ」ってハッキリ言えるし……なんか良い感じになってきました!--最近はメンバー同士でどんな話をすることが多いの?
アイナ:すごく個人的なんですけど、私、ずっと一番年下のポジションにいたので、人に注意するのがめちゃくちゃ嫌いなんです。4才からダンスやってて、中学生のときもみんなの7コ下だったからめちゃイジられてたし、めちゃ怒られて当たり前の世界だったんですよ。「掃除は誰よりも先にしなさい」みたいな。リンダ(※BiSH所属プロダクションWACKのスタッフ。よく怒られている)だったんですよ、私は。だけど、BiSHのダンスの練習になると、一気にリーダーみたいな感じにならなくちゃいけなくて。私、昔から仕切る女の子に対して「何言っとんねん! 自由にさせろや!」って思ってたタイプで、そのポジションに自分がなるなんて考えられなかったんですよ。でもZepp Tokyoワンマンの前日に、私、あっちゃん(※BiSH新メンバー、ハシヤスメアツコ(メガネ担当))にめっちゃ激怒して。--なんで?
アイナ:練習してこなかったんですよ。PV撮影のときから同じ振りがずっと出来なくて、メガネをかけて家で練習してないからメガネも外れるし、「練習してないじゃん!」みたいな。私は家に鏡がなくて、公園の影で練習したり、振り付け考えてるんですけど、「あっちゃんはその時間練習せずに寝てたのか」と思ったらイライラしてきて(笑)。普通だったら言わないんですけど、「これはもう言わなきゃダメだ」と思って初めてめっちゃ言ったんです。「練習しよう!」「ゼップはめっちゃ広いんよ!?」みたいな。で、その夜、家で号泣したんですよ、私。「めっちゃ言っちゃったぁ……」「誰にも何も言いたくなかったのに、私の嫌いな自分になってる」って。でもそうやって泣きながら思ったのは、私は嫌われてもいいから………逆に嫌われにいこうと。--なるほど。
アイナ:BiSHのパフォーマンスを良くする為に私は嫌われて、みんなが辞めない程度に厳しくまとめなきゃいけないなと思って。きっとチッチはそれぐらいの覚悟でキャプテンをやってる。それなのに私は何なんだろう?と思ったんですよ。だからそれからはもう毎朝「嫌われにいこう」って決意して。今日も嫌われにいく、明日も嫌われにいく………ってしてます。--嫌われる覚悟を決めて毎朝家を出るって、相当しんどいよね。
アイナ:本当にそれが苦手だから。でも嫌われにいく人がいないと成り立たないグループだと思う。素人しかいないから。素人しかいないのにZeppとかでやってるから、誰かひとりめっちゃ怒る人がいないと。だから「もう嫌われてもいいや。BiSHの為に人生懸けてんのに、こんなところで悩んでる場合じゃない」と思って。でもやっぱり……………………嫌われたくなかった。 (アイナ、目に涙を溜める) アイナ:でも……………はい、嫌われ役でいいです。私は。--では、まだBiSHのメンバーのことを良く知らない人の為に、アイナから見た各メンバーの印象について聞いていきたいんですが、まず加入したばかりの新メンバーからメガネ担当のハシヤスメアツコ。
アイナ:えーっと…………変な人ですね。でもめっちゃお姉ちゃん気質なんですよ。で、プライドもBiSHのメンバーの中で誰よりも高いと思う。さっきチッチが「プライド高いよね?」って言ってて知ったんですけど(笑)。あと、良い意味で空気が読めない。私、渡辺さんから「もっと空気読まなくていいよ」って言われるから、あっちゃんが羨ましいんですよ。私も元々はずっと「空気読めない」って言われてたけど、大人の人たちとずっとダンスとかやってる中で無理矢理封じ込めたんですよ。でもあっちゃんは自分より4つ上で、お姉ちゃんキャラなのに空気読めないから「良いなぁ! イジりやすいなぁ!」って。そんな感じなので一緒にいてラクです。気が合うと思います。--続いて、同じく新メンバー、無口担当のリンリン。
アイナ:リンリンは「アイナ推し」って言ってたんです。BiSHに入る前から。私、好きって言われると好きになっちゃうんですよ、120%で。だから大好きです(笑)。--どんな性格やキャラクターの娘なの?
アイナ:リンリンと一緒にご飯を食べると、2人とも店員に「すみませーん」って声をかけれないタイプなので困ります(笑)。あと、言ったことをちゃんと守る人。ダンスとかも「やってきて」って言われたことはちゃんとやってくる。マジメです。それと「BiSHのことをめっちゃ好きなんだろうなぁ」って感じの踊り方をします。私の価値観ですけど、やっぱり曲が好きで踊ってる人は違うんですよね。ひとつひとつの振りの意味が分かってなくても、曲が好きな人は踊りからそれが伝わってくるから、分かりやすい娘だなって思います。仲良くできそう。--実際、無口なの? 渡辺さんはコミュ障と言ってましたが。
アイナ:ふたりで喋ったら全然喋りますよ。あと、リンリンは無口だとしてもめっちゃ良い娘なんで、オタクからめっちゃ人気出ると思う。--続いて、オリジナルメンバーの話を。あまのじゃく担当 モモコグミカンパニー。
アイナ:モモコは面白いし、「良い娘だなぁ」っていつも思います。私がオタクだったらモモコ推し。モモコは嘘をつかないし…………そうですね、嘘をつかないところが一番取り得な気がします。あまのじゃくって言ってるわりに嘘つかない(笑)。あと、純粋に気が合います。あんまり女っぽくないからでしょうね。ネチネチしてない。--男っぽいよね。
アイナ:あ、でも実はめっちゃ乙女なんですよ! メイクさんに「ショートカットだからちょっと男っぽい感じにする?」って言われたら「やだー。女の子がいいー」みたいな。少女マンガもめっちゃ読んでたり、意外性が高い。--ダンスリーダーとしては、Zepp Tokyoでも堂々と振り間違えながら踊っていた件についてどう思ってるんですか(笑)?
アイナ:モモコはモモコのキャラでいてほしいから、私は何にも言ってない(笑)。逆にあんまり固めちゃったらキャラが死んじゃうので。てか、4人のときからチッチはチッチ、ハグ・ミィはハグ・ミィみたいなキャラがあるから、ダンスを揃えることに重視していなくって。だから「ダンス、バラバラ」って言われるんですけど、「モモコはモモコっぽいから良いかな?」って思っちゃう。オタクもわりとそれが良いって言ってくれてるから。ただ、BiSHは4人から6人になったんで、そうなるとまた話が変わってくるので、これからモモコは大変だと思います(笑)。--以前「私は元々女の子とそんなに仲良くするタイプじゃないので。BiSHの4人でいても3人は話してて私だけ話してないことが多いし」と言ってたんですが、実際のところはどうなんでしょう?
アイナ:そんなことないですよ! でもたしかに“空気ときどき嵐”みたいなところはあります。無口なときは超無口。「喋りかけないで」みたいな空気を出してくる。けど、ちょっと機嫌が良いときにちょっかい出すと「うわー!!」みたいな感じになるから、面白い人だなって思います。メンバーの中で唯一同じ歳なんですけど、そう見えない。「可愛いなぁ、ペットにしたい」って思ってます(笑)。--続いて、BiSHの危ない熟女 ハグ・ミィ。
アイナ:何でも一番に相談できる人です。とにかく「仲良くしよう、ケンカはしないようにしよう」って働きかけてくれる人。だから何かで私がピリッとしてもハグ・ミィが一番に気付いてくれて、仲介をしてくれる。お姉ちゃんですね。--ハグ・ミィのどんなところが好き?
アイナ:ダンスをあんまり練習してこないところ。--ちょっと待って(笑)。ハシヤスメアツコには怒ったのに、なんでハグ・ミィは「練習しないところが良い」になっちゃうのよ?
アイナ:キャラです、キャラ(笑)。あと、意外と末っ子タイプなんです。イジってくれる人がいると、めちゃめちゃ映えるキャラ。そういうところが好きです。あと、私が素直に甘えられる存在でもあるので、そういうママみたいなところも好きです。ハグ・ミィは人の気持ちを汲み取って、相手の発言の3つぐらい奥まで読み取れる人だから、一緒にいて「分かってくれてるな」って思うことが多くてラクだし、逆に分かってあげたいなとも思います。--以前「お母さんみたいってよく言われてるんですけど、居ると安心するなって思ってもらえるようなポジションに立てればいいなって思いますね」と言ってたんですが、正にその通りになってるんですね。
アイナ:なってますね。安心します。ハグ・ミィがいるから「ワガママ言ってもいいや」って思います。--そのお母さんイメージの彼女と、ツイッターにエロい写真をアップしまくるビッチイメージの彼女、上手く繋がらないんですけど。
アイナ:ハハハハハ! でもあのまま行ってほしいです。BiSHで唯一谷間があるメンバーですし、「チンポ」って言い続けてほしい。リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
私はチッチとハグ・ミィの命を守るまではBiSHを辞めれない
--そして、僕の妹がこんなに可愛いわけがない担当兼キャプテン セントチヒロ・チッチ。
アイナ:さっきも言ったんですけど、最近めっちゃ好きです! ちょっと前まではメラメラしてる感じがあったんですね。私、元々「一番になりたい!」みたいな欲がなかったんですよ。自分に自信がないから。でもいざBiSHが始まって、ハグ・ミィがグラビアの仕事もらったりしてて、「アイナもひとりのお仕事欲しいな」って思い始めて。そうなったときに「一番になりたいの? なりたくないの?」って渡辺さんに聞かれて、私、自然と「なりたいです!」って言ってたんですよ。それで「あ、私、本当は一番になりたいんだ?」って気付いてから、チッチのことを意識するようになっていって。でもチッチはすごく格好良いと思うんですよね。すごくしっかりしてて、地図も読めるし……--地図が読めるのは分かりました(笑)。というか、主にそこしか褒めてないよね?
アイナ:そんなことないですよ!--よっぽど読めるんだろうね、地図。
アイナ:本当にめっちゃ読めるんですよ。--(笑)
アイナ:だからいつもチッチに「わかんない。ちょっと連れてって~」ってお願いしてるんですけど、そうするとチッチは「あ、こっちだよ」って。めっちゃイケメンなんです。あと、お金のこともキッチリしてるから絶対に揉めない。アイナが「お釣りなんて適当でいいよ」ってなっても、チッチは「ダメ~。ちゃんとしよう」ってやってくれる。あと、私、靴紐が結べないんですよ。--本当に?
アイナ:今日もエレベーター乗ってて「あーもう結べなーい!」って言ってたら、チッチが「はいはい」って結んでくれて……--ちょっと待って。チッチと出逢うまでどうやって生活してたの?
アイナ:(笑)。靴紐がほどけたらそのまま帰ってました。--チッチのこと大事にしようね。
アイナ:本当に! チッチがいないとBiSHはダメだと思うし……--その前にアイナがまともに生きてけない(笑)。
アイナ:私もダメ(笑)。--まぁでも靴紐は結べるようになりましょうね。
アイナ:チッチの一番の魅力は、めちゃくちゃ計算高いところです。--それ、褒めてる?
アイナ:絶対に自分のポジションを譲らない、ただの良い人じゃないところが逆に信頼できる。ただの良い人だったら、ただの仲の良い人で終わるけど、ポジションを譲らずにチッチはチッチという確立された存在になっていってるから、私はそれについていこうと思えるし、「じゃあ、私にはサブリーダーをやらせて」「チッチがしんどいときは頼ってね」って素直に思える。そうなったから今は一緒に居やすいんです。--駅伝時の全員個別インタビューで「もうここを最後にしたい。BiSHを最後の仕事にしたいです。自分の中で一番おっきい思い出にしたいんです、死んだとき(笑)」とチッチは言ってて、一番覚悟が決まってるメンバーという印象を受けました。
アイナ:決まりまくってると思います。ただ、私も負けない。BiSHが終わるまで渡辺さんについていくって腹は括ってるから、私がもし声が出なくなるようなことになっても、私はここにいたい。死ぬまでいたい。--そこまで覚悟が決まっているメンバーが揃ったのは凄いと思います。
アイナ:ただ、私は「顔がブサイク」でオーディション受かったんですよ(笑)。私、顔が稲中(※ギャグ漫画『行け!稲中卓球部』)だから入れたらしいんですよ。--「稲中の田原だ! BiSHに入れたい!」って思ったってこと(笑)?
アイナ:って渡辺さんが言ってました。歌で取った訳ではないらしい。私、夢で見るんですよ、松隈さん(※BiSHサウンドプロデューサー 松隈ケンタ)にディスられまくってる夢を。「おまえはロックを分かってない」「おまえの歌い方はロックじゃない」って言われるんです。で、その夢のせいでめちゃくちゃロック観てるんです、YouTubeで(笑)。いつ正夢になってもいいように。私は松隈さんの曲を歌いたい欲が誰よりも半端ないんですよ。でも松隈さんに認めてもらえないような気がしてて、ずっと。それが正直悔しい。「私がもっと可愛い声で、ロックっぽい歌い方だったらもっと歌割り多かったのかな?」とか「私がハスキーでカスカスだから松隈さんに好かれないのかな」とか……そんなんで選ぶ人じゃないんですけど、そう思っちゃったりする。--アイナを認めてないのは、夢の松隈さんでしょ?
アイナ:そう、現実の松隈さんはちゃんと歌割りを決めてくれてて、私の声はどこで活きるかをめちゃくちゃ考えてくれてる。--じゃあ、良いじゃん。
アイナ:でも夢の松隈さんが私をディスるから……--(笑)
アイナ:松隈さんに負けないようにロックを研究し続けてるんです。いつかちゃんと認めてもらえるように頑張りたいなって……--いや、だから現実の松隈さんは認めてるんだって!
アイナ:アハハハハ!--凄い話ですね。夢相手に戦ってるんだもんね。でもその夢の松隈さんに認められたときが、自分の歌に自信を持てたときなのかもしれない。
アイナ:そうだと思います。でも今は認めてくれないから、朝起きたときに泣いてるんですよね。私、涙流してるんです。「おまえはロックを分かってないんだよ!」「もっと目を剥き出せ!」って言われるから、一生懸命剥き出して(笑)。--そんなBiSHのおくりびと担当 アイナ・ジ・エンド。このメンバーにはどんな印象を?
アイナ:自分のことですか? 私、今、笑っちゃうぐらいマジメなんですよ。家の中で「これを言ったら絶対嫌われるけど、これを言わなきゃあの娘は成長しない」とかめっちゃ考えてて、それでトイレの中で泣いてたりするんですけど(笑)。マジメなんですよね、めっちゃ。泣き虫だし。でもそういった部分をみんなにはあんまり出さないんで、怒ってても「気分屋だなぁ」って思われてると思います。--BiSHの中で今どんなポジションを担ってるなと思いますか?
アイナ:ちょっとウイカさん(※元BiSメンバーのファーストサマーウイカ。現在はBILLIE IDLE(R)のメンバー)に似てる気がしてて、サブリーダーっぽいかなと自分では思ってます。でもウイカさんみたいに理論組み立てて言葉で説明できないから、すぐ感情的になるし、「もういいや」ってなっちゃうから……それでも「サブリーダーになれたらいいなって、チッチを支えたいな」って思います。きっと重荷もいっぱい背負ってると思うし、ちゃんと支えてあげたい。ただ、純粋に一番になりたいとも思うので、複雑な感じです。--一番ってどういう意味での一番?
アイナ:私はプールイさん(※元BiSリーダー。現在はLUI FRONTiC 赤羽JAPANのメンバー)にはなれないと思うんですよ。でも私は死ぬ覚悟でやってるから、その覚悟は絶対に誰にも負けたくない。ただ、私は決めてるんですけど、絶対にチッチとハグ・ミィの命は守ろうと思ってるんですよ。--どういうこと? てか、モモコは?
アイナ:私、今回のシングル『OTNK』のPV撮影で溺れたんですよ。死にかけたんですよ! そのとき、チッチとハグ・ミィが助けてくれたんです。命懸けで。チッチのこと引っ張っちゃったから一緒に死にかけたんですけど、私、それが結構トラウマになってて、湯船にも入れなくなっちゃったんですよ。それぐらいガチで溺れたときに助けてくれたから……ユニットの中に命助けてくれた人がいるって凄い事じゃないですか! だから私はチッチとハグ・ミィの命を守るまではBiSHを辞めれないんです。--そんな頻繁に死にかけないよ(笑)。
アイナ:でもモモコは見てただけなんで。モモコとリンリンとハシヤスメは逃げたんですよ! 見て見ぬフリをしたんですよ(笑)!--溺れてんのに?
アイナ:リンリンなんて「助けようと思ったけど、死にかけるのはイヤだからやめた」って言ったんですよ。だから私はあの人たちは助けない! 一同:(爆笑)--私は自分の命を救ってくれたチッチとハグ・ミィの為に……
アイナ:生きていく。そういう意味で私は腹の据わり方が半端ない。命が懸かってるんで(笑)!--あと、渡辺さんから「アイナが今一番人気あるかも」と伺ったんですが、実際のところどうなんですか?
アイナ:これで「そうなんです」って言ったら調子に乗ってる奴じゃないですか(笑)! その日その日によって違いますよ。--握手会やチェキ会の列の長さってこと?
アイナ:そうです。ただ単にチェキ列が長いだけで……私の魅力に気付いている人は少ないと思います。リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
BiSHは最後の場所「私がいる場所は絶対にBiSHがいい。渡辺さんがいい」
--それなのに長い列が出来てるの?
アイナ:とりあえず並んでるみたいな人が多い。--アイナが可愛いから?
アイナ:いや……「歌、良いね」って言ってくれる人がほとんどなんですけど、私は歌ヘタじゃないですか。だから「そこじゃない」って思ってます。--いや、でも「歌が上手いね」とか「このから揚げが旨いね」とか「ケチャップがおいしい」とかって人それぞれの感じ方で良いわけじゃないですか?
アイナ:なるほど。--それなのに「アイナの歌が良い」って言って「そこじゃない、分かってない」って返されたら困っちゃうよね?
アイナ:かわいそう(笑)。--「えぇー!? じゃあ、頑張って良くないって思おう」ってなりますよ(笑)。
アイナ:そうですよね。私、あまのじゃくなんですよ!--それ、モモコの担当!
一同:(笑) アイナ:奪っちゃう! でも渡辺さんは「一番人気」って言ってくれてるんですけど、もっと人気欲しいです。一番人気って自分で分かるぐらいの人気が欲しい。--いわゆるセンターとか人気投票1位みたいなポジションって、みんながみんな狙ってたりするんですかね?
アイナ:そんなことはないと思います。--自分だけ?
アイナ:いやぁ~……ハグ・ミィも狙ってるかもしれないですけど、そういう感じはあんまり出してこないですね。--チッチは?
アイナ:チッチはバリバリ出してきます! 凄いですよ、あの娘。どんな場所にいても写真を撮られるときは絶対にセンターへ入ってきます。セール中の大阪のおばちゃんみたいな感じで掻き分けながら(笑)。絶対にセンター、それがチッチ。だから私はその隣でいい。けど、最近、その隣にもなれてない。身長がデカくて申し訳ないから端っこに行っちゃう。譲っちゃうんですよね。それが私の昔から言われてるダメなところらしくて、「そのままだとただの良い人で終わるよ」みたいな。「それがイヤだったらもっと計算高くなりなさい」ってダンサー時代から言われていたことが今は身に沁みて分かる。--でも個人的には、BiSHが既存のアイドルの在り方に中指立てていくグループだとしたら、メンバー間の1位争いとかナンセンスな感じもするんですけど、どう思います?
アイナ:「BiSHの中で争っても仕方ないな」っていうのは結成当初から思っていて。BiSH自体が上がっていかなきゃいけないので、チッチみたいに一番になろうとは思っていないんですけど、BiSHで一番になりたいとは思ってます。上手く伝えられないんですけど……とにかくメンバー間抗争みたいになるのは絶対にイヤなので、だから私はチッチの良いところばっかり見ようとしてるし、みんなの良いところをピックアップしようと思ってて。なので、そんな風にはならないと思う。--では、例えば、新メンバーが一番人気になっても問題ない?
アイナ:それはそれで良いですね。それでチッチは病むかもしれないけど、私はリンリンがゆるめるモ!のあのちゃんみたいになるんだったら別に良い。それでBiSHが上に行けるんなら良い。私、前からリンリンがあのちゃん的存在になるんじゃないかって思ってるんですよ。アイナ、BiSHの前に在籍してたグループでゆるめるモ!と対バンしてて、当時は全然人気なかったのにあのちゃんが入ってサブカルアイドルの結構上らへんに行ったから「あのちゃん、ヤベぇ!」って思ってて。で、サブカル好きって結構変わった人が好きじゃないですか。リンリンはパッと見が変わってるんで、そうなる可能性はあるなって。可愛いし、ハロプロ系の顔でもあると思うし。--実際のところ、BiSHって仲良いの?
アイナ:仲良くしようと頑張ってます。ビジネスパートナーとして(笑)。--先代も言ってたやつですね。まとまってきてる?
アイナ:その為に私も変わろうと思って、さっきも話したように「嫌われよう」と思ったらラクになりました。それまではハグ・ミィとチッチが「協調性が大事だよ。仲悪くならないようにしよう」って言ってたんですけど、自由人タイプの自分にはそれが息苦しくて。言いたいことも言えないし。で、ダンスの練習してこなくても「それでもいいよ」っていう仲良しごっこではダメだと思ったから、それを誰も言わないから、私が言うしかないと思って…………いいです、もう。--何が?
アイナ:もうマジで嫌われると思います、私。--アイナはBiSHをどんなグループにしたいんでしょう?
アイナ:アイナはアイドルがよく分からなくて、ずっと。アイドル=モーニング娘。みたいなイメージだったんですよ。ミニモニ。とかAKB48とか。で、私のルックス見てもらったら分かるんですけど、全然アイドルじゃないじゃないですか。だから私がいる限りはモーニング娘。みたいにはなれないと思ってて(笑)。なので、私はBiSさんを勝手に超えるグループにしたいんです。みんなに「超えろ、超えろ」言われすぎて、どうしたら超えられるのか分からなくなっていたんですけど、多分勝手に超えるから。勝手に超えるグループになって、気付いたら私の今は分からないアイドル像がBiSHで創れていればいいなって。きっといつかBiSは超えれるって……超えれないかもしれないけど、でも私は超える覚悟でやってるから! だから今は目の前の目標を着実にクリアーしていくしかない。アイナ、不器用だから先のことまでは考えられないので。--では、BiSと比較される上でのプレッシャーはない?
アイナ:全く無いです。全く無いって言ったら失礼だから「ある」って今まで言って来たんですけど、本音を言うと無くて。私、純粋にBiSが好きだから、嬉しいんですよね、BiSHがやれて。ウイカさんが好きだし、プールイさんみたいになりたいなと思ってて、だからプレッシャーより「嬉しいな」のほうが大きい。けど、実際いろいろやっていくにつれて、今まで経験した事のない対人関係とかあって、それでコミュ障を発揮したり、そういう現実に直面すると、早くBiSを超えて「BiSのおかげじゃない」って言われるようになりたいなって最近思うようになりました。何やっても「BiSのおかげじゃん」って言われるし、でもそれに対して「そうです」しか今はまだ言えないから。--今日の話を聞いてると、いろいろ良い方向には進んでいるけど、アイナ自身は結構ムリしてる印象も受けます。それでどこかおかしくなったりはしてないの?
アイナ:してます! ……いつ頃からか分かんないんですけど、「ぶりっ子したもん勝ちじゃん!」「そっちのほうが仕事もらえるじゃん」って思うようになって。でも私はこんな性格だから……って考えてたらパニクってきちゃって。それで人と喋れなくなってきちゃって、何か聞かれても「いやぁ~、別になんでも」とか言っちゃってて、作り笑いしかできないような時期とか、人が言ってることが全部正しいって思い込んでいる時期もあって、そういう波があったときに急に声が出なくなったんです。まだデビューして間もないユニットなのに、そんな風になるなんて早すぎじゃないですか。だからその時期は「どうしよう? 私、アイドルやれない……」ってなってました。--今は?
アイナ:今はメンバーの良いところが分かるようになって、BiSHのことが大好きになったし、「やっぱり売れる為なら何でやる。そっちのほうが格好良い!」と思えるようにもなって、気持ち的には復活して。あとは喉の調子を治すだけなんで、もうハッピー、全然ハッピーです!--そんな苦しい時期を経験してまで、BiSHで叶えたい目標って何なんですか?
アイナ:BiSHを辞めないこと。私は「BiSH辞めたらソロでやれば?」とか思われがちなんですけど、ソロだったらもうやる気ない。BiSHが終わったら普通に結婚して……出来ないかもしれないけど(笑)、あとは可愛い子供ができたら良いかなって思うぐらいで。それぐらいこの世界で活動していくならBiSHしか考えてないんですよ。だからBiSHを辞めないことが私にとっての目標。あと、私、オタクのことが好き過ぎて、ツイッターでオタクのリスト作ってるんですよ。アイナを推してくれる人の。別に友達でもない人のことをそんなに推せるって、しかもお金めっちゃ積めるって凄いなと思ってて! だからその人たちにちゃんと生き甲斐を与えていきたい。その人たちの生き甲斐がアイナだったら、アイナはしっかりその人たちの道標を作っていきたいから、その為にもアイナは辞めたくない。--それを続けていくのが夢だと。
アイナ:そういう存在が初めて出来たから。自分の為じゃない人生を歩み始めてる感じがして、それをずっとやっていきたいです。清掃員(※BiSHファンの総称)の為……って言うのは格好良すぎますよね(笑)?--じゃあ、アイナにとってもBiSHは最後の場所なんだ?
アイナ:絶対最後ですね! 他はない、絶対に他ではやりたくない。コラボとかは良いけど、私がいる場所は絶対にBiSHがいい。絶対に渡辺さんがいいです。--で、その渡辺さんの愛人になって終わると?
アイナ:それはやだ(笑)!--好きなんでしょ?
アイナ:そういう好きじゃないです! そこはハグ・ミィにお任せします(笑)。--では、最後に『OTNK』のどんなところが好きか教えてください。
アイナ:命を育むところがふたつ付いているところが素敵です……って、なんで下ネタで終わるんですか!? 一同:(笑)Interviewer:平賀哲雄
Photo:内山直也
リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
関連商品