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BiSH『OTNK』インタビュー
元BiSマネージャーの渡辺淳之介が「BiSをもう一度始める」と始動させた新生クソアイドルグループ BiSH。デビューからたったの3ヶ月で、クソまみれのPV公開、初ワンマン、POPとの200km対抗駅伝、TIF初出演も2日目出演キャンセル、その代替公演をZepp Tokyoで開催と、とんでもない速度で重めのミッションを幾つも経験してきたメンバーたち。今回の特集インタビューでは、アイナ・ジ・エンド(おくりびと担当)に命懸けで臨んでいるというBiSHでの活動、BiSHメンバーへの想いを語ってもらいながら、彼女自身の覚悟や生き様を伝えさせてもらうことにした。
超無名時代から横浜アリーナで伝説の解散ライブを行うまでに至った先代、BiSは後世に語り継がれる凄まじいストーリーを歩んだが、そのBiSを超えることが義務付けられたBiSHはここからどんなストーリーを歩んでいくのか。もう後戻りできないメンバーのリアルをここにお届けする。
【TOKYO IDOL FESTIVAL】へのメッセージ~過大評価され過ぎた3ヶ月
--まずはZepp Tokyoワンマン、おつかれさまでした!
アイナ・ジ・エンド(以下アイナ):かんぱーい!--どうですか? デビュー3ヶ月でZepp Tokyoでのワンマンを終えてみて。
アイナ:ずっとZepp Tokyoはめちゃくちゃ広いと思ってたんです。yucatさんのバックダンサーだった時代に、yucatさんがZepp Tokyoをやることになって「今までで一番デカい会場」って言ってたんですよ。しかも10年かけて辿り着いた場所だったんです。だから私も「10年かけなきゃムリなんだ」と思っていたから3ヶ月で決まってビックリしちゃって。今もあの場所でワンマンやった感覚がなくて……ビックリ。とにかくビックリしてます。--あのワンマンは【TOKYO IDOL FESTIVAL】(以下TIF)2日目の代替公演として開催された訳ですが、まずTIF2日目が出演キャンセルになった(※詳細は、BiSHマネージャー渡辺淳之介のインタビューにて)ときはどんな気持ちに?
アイナ:めっちゃ泣きました!200km駅伝のときも足が痛くてめっちゃ泣いたんですけど、あれ以来でめっちゃ泣きました。実はBiSHに入ってすぐに今年の8月までの仮定スケジュールを渡されたんですよ。で、8月にTIFって書いてあったから「TIFってももクロが出たやつや! めっちゃ有名なやつやん、凄い!」って思って、ツラいことがあっても「とりあえずTIFまでは辞めんとこう」って思ってたんです。だからTIFに辿り着けたことがすごく嬉しかったんですけど、2日目出れないことになって。出れないって聞いた瞬間に膝から崩れ落ちるぐらいツラかったです。出れると思ってたんですよ!--2日間とも出れる予定でしたからね。
アイナ:というか、アカペラが終わってからも(※BiSHはTIF1日目のステージでアカペラでのパフォーマンスを披露。詳細はこちら)。みんなは「明日は出られない」って悟ってたかもしれないんですけど、私は出れるって信じてたんです。だから「出れない」って聞いた瞬間のショックはみんなより大きかったと思う。「はぁ!? BiSH、何も悪いことしてなくない?」って感じでした。昼のステージも普通にライブして特に煽ってないし、夜もアカペラで静かにしたし、「なんでなん?」みたいな気持ちのほうが大きくて。だから渡辺さんから「明日出れないかもしれないけど、出たい?」って聞かれたときも即答で「出たい」って言ったし、どうにかして出れないかと思って何個か提案もしたし、そもそも出れない意味が分からんし、「悔しすぎる!」って感じでした。--全く納得できてなかったと。
アイナ:帰りの電車の中でツイッター開いたら、オタクからのリプが大量に来てて、その中には「明日、北海道から行くよ」とか「沖縄から行くよ」っていうリプもあって、めっちゃ涙出てきて……アイナの口からリアルなことは伝えられない。出演キャンセルの発表後も「なんでよ?」「見たかった!」って言われるとその気持ちをどうにかして落ち着かせたいとは思うんですけど、何も言えない。それがもどかし過ぎてひとりで「うわぁ!」って泣いてました。--TIF初日のライブとあの発表を受けて、BiSHもまたパンクスというか、体制と戦う役目を担う事になったのかな?と個人的には感じていたんですが、アイナとしてはどんな感覚だったんでしょう?
アイナ:私的には……「別に格好良いストーリーを無理やり作らなくてもいい」ってBiSHを始めたときからずっと思ってはいたんですけど、そのストーリーの一歩目が始まっちゃったかなと思いました。勝手に自分の中で「死にたい」「死ぬんちゃうか」って思う出来事もあるんちゃうかって。--死を予感させる出来事ってどんな出来事のことを言ってるの?
アイナ:どういう出来事っていうか……出来事じゃないですね。感じ方? 「無理」って思う瞬間が来るかもしれないっていうこと。--そこに向けてのストーリーが始まっちゃったってこと?
アイナ:始まったかもしれない。駅伝のときは体力的にはキツくても、精神的にはそんなに来てなかったんですけど、TIFのオタクの気持ちになったら結構来ました。私、一人暮らしだから家ではずっと独りで、食パンの耳をちぎって、フライパンで焼いて、それをいつも食べてるんですけど、それしながら「もう無理かもしれない……」みたいな。私、あの日、必死にアカペラやってたんですよ。自分の歌声には本当に自信ないんですけど、それでも「アイナの歌声良い」って言ってくれる人がいるから、もしかしたらTIFのスタッフさんが「良い」って思って、それが2日目に出れるキッカケになるかもしれないって。明日もTIFに出れるんならそのルートは何だっていいし、それはウチの歌声かもしれないと思って必死に歌ったんです。本番前も他のアイドルがたくさんいる楽屋でめっちゃ大声で練習してて、鬼うるさかったと思うんですけど(笑)。でも結局出れなかったから、食パン焼きながら「私はやっぱりまだまだやな……」って。--でも結果的にZepp Tokyoでのワンマンライブが実現しました。
アイナ:でも「失敗」って言われて(笑)。--集客的には満員の1/2でしたからね。でも今のBiSHが1300人以上のお客さんを呼べるってことは分かった訳じゃないですか。下北沢シェルターの約6倍ですよ?
アイナ:そう考えると凄い!--では、もうTIFは出れなくても構わない?
アイナ:うーん………………出たい(笑)。悔しいですもん。「こんなもんじゃないんだよ」っていうのをTIF側にも見せたい。ここまで人気出たら出さない訳にはいかないぐらいの存在になりたいです、本当に。--Zepp Tokyoで代替公演はやったけど、TIFの2日目に出たかった想いは消化しきれてないんだ?
アイナ:そうですね。BiSHとしての見え方が今のままだったら悔しい。ナメられたくない。--では、TIFの皆さんへメッセージを。
アイナ:すみませんでした!--そこは謝るんですね(笑)。
アイナ:TIF出たい(笑)!--そんな早くもアイドルシーンのひとつの象徴的なグループになってしまったBiSHですが、自分ではBiSHってどんなグループだなって感じていますか?
アイナ:私、今、BiSHがめっちゃ好きなんですよ! ひとりひとりのことがめっちゃ嫌いになった時期とかもあったんですけど、今はめっちゃ好きで。BiSHじゃないとイヤだなって思うぐらい、めっちゃ好きです。ただ、メンバーがどう思ってるか知らないけど、今は全然エモくないと思うから、これからエモいストーリーを作っていける、磨けば光るユニット。だから今は「まだまだ」って感じ。--デビューから3ヶ月。クソまみれのPV公開、初ワンマン、POPとの200km対抗駅伝、TIF初出演するも2日目出演キャンセル、その代替公演をZepp Tokyoで開催と、とんでもない速度で重めのミッションを幾つも経験してきましたが、自分ではどんな3ヶ月だったと思います?
※BiSH/BiSH-星が瞬く夜に- [OFFICIAL VIDEO]
--具体的に言うと?
アイナ:こんなレベルのユニット、地下アイドルの中にもいっぱいいるじゃないですか。曲はめっちゃ格好良いし、今まで聴いてきたアイドルの曲の中でダントツだと思うし、アイドルの枠を超えてると思うんですけど、ダンスと歌のパフォーマンスに関しては本当にまだまだで。私も自分の声に自信がないから「アイナの歌声が良い」ってツイッターに書かれる度に心が痛かった。そういう意味で過大評価され過ぎた3ヶ月でした。--まだまだそんなに褒められたもんじゃないと。
アイナ:「もっとディスれよ」って思ってました(笑)。--確かに先代のBiSと比べると全然ディスられてない印象ですね。
アイナ:最初から受け入れられ過ぎたら、みんな努力しなくなるじゃないですか。それが見えてきて、そのときにメンバーのことをイヤやなって思ってたんです。でもこれだけ過大評価されたらそうなるのも仕方ないなと思って。私はBiSHに入る前、ずっと誰にも見られてないところで活動してたから今の自分が信じられないぐらいだし、何を言われても過大評価にしか聞こえないんですよね。見られてるってだけで幸せなんで、もっとディスってほしいなって思ってました。--BiSH、全然大したことないですけどね。
アイナ:ハハハ……--今、完全にムカつきましたよね(笑)?
アイナ:いや、過去の自分に比べたら今って凄い状況なんですよ! 前はワンマンしても2人とか、多くても48人ぐらいだったんで(笑)。- < Prev
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Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
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