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【SONICMANIA 2015】+【SUMMER SONIC 2015】特集~Billboard JAPAN Party & 注目アクトのライブ・レポート大公開!
8月15日~16日にかけて千葉・QVC マリンフィールド&幕張メッセと大阪・舞洲サマーソニック大阪特設会場にて行われた【SUMMER SONIC 2015】。ヘッドライナーにファレルとケミカル・ブラザーズを迎え、ポップ、ロック、R&B、ダンス・ミュージック界屈指のアーティスト達が一同に会した今年のサマソニにてBillboard JAPANは、昨年同様“Billboard JAPAN Party”を開催。ファンクをテーマに、タキシード、ZAPP、オリジナル・ジェームス・ブラウン・バンドが灼熱のビーチ・パーティーを盛り上げてくれた。“Billboard JAPAN Party”の詳細レポはもちろん、日本を代表する都市型音楽フェス【SUMMER SONIC 2015】とその前夜祭【SONICMANIA】をBillboard JAPAN編集部が総力レポート!
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SUMER SONIC & Billboard JAPAN Party - (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.
SONICMANIA - (C)SONICMANIA All Rights Reserved.
HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER - (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved, at Hostess Club All-Nighter
100% Funky Beach ?We Feel Good-
昨年のSUMMER SONIC 2014では、デ・ラ・ソウル、ピート・ロック& CL スムース、ザ・ファーサイドのバンドセットと、90年代 HIP-HOPシーンを牽引してきたベテラン勢が数々のHIP-HOPクラシックスを披露した『Billboard JAPAN Party』。今年は、『100% Funky Beach ?We Feel Good-』をテーマに、タキシード、ザップ、オリジナル・ジェームス・ブラウン・バンドが集結。2013 年ダフト・パンク「ゲット・ラッキー」、2015 年マーク・ロンソン「アップタウン・ファンク」が大ヒット、さらにジェームス・ブラウンの伝記映画が公開されるなど、「ファンク」が世界の音楽シーンを沸かせる中、オーディエンスがFeel Goodし、心行くまで踊り倒せるFunk Partyを開催した。
16:45~
昨年はパラリと雨が降った午後4時45分のビーチステージ。今年リリースしたデビューアルバム『Tuxedo』がスマッシュヒットとなり、4月のリリースパーティーも超満員となったタキシードのフルバンドセットを見ようと、まだ太陽の日差しがじりじりと肌を焼く中、多くのオーディエンスが集結。SEをバックにターコイズブルーのタキシードに身を包んだメイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンが登場すると、会場は大きな歓声が沸いた。「Fux with The Tux」、「Number One」でスタートすると一気に会場もダンスフロアと化し、オーディエンスが思い思いに体を揺らし始める。「R U Ready」、「Without Your Love」、「I Got U」など、アルバム収録曲を中盤までほぼMCなしで淀みなく披露。タイトなドラムに軽快なギター、グル―ヴィーなベースに浮遊感のあるキーボードの中、メイヤーがゆらゆらとダンスをしながら歌を乗せていく。少し力の抜けたゆるめのサウンドは、日差しも柔らかくなり、海から爽やかな風が吹くビーチステージに最高に映える。フォト・セッションを挟んでヒット曲「So Good」、「Roll Along」でいい感じにレイドバックした後、ロサンゼルスでナイル・ロジャースに会った話を交えCHICの「I Want Your Love」をカバー、さらにSkyy「Here’s To You」も披露し、ラストにお待ちかねの「Do It」でBillboard JAPAN Partyのトップバッターを見事に飾った。
18:15~
先ほどのステージでも「大ファン」、「大きな影響を受けた」と語っていたタキシードの二人がステージ脇で見つめるなか、バトンを受け取ったザップは、イントロからテンションMAXのダンスをかまし、「So Ruff So Tuff」でのっけから見事なコール&レスポンスを披露。さらに名曲「Dance Floor」からドラムソロでマーク・ロンソンの「アップ・タウン・ファンク」を挟み(「ザップ・タウン・ファンク・ユー・アップ」と歌っていたように聞こえたが。)、「I Heard It Through the Grapevine」を畳み掛け一気にオーディエンスの心を鷲掴みに。メンバーは入れ替わり立ち代わりステージを出捌けし、楽器を持ち替え、衣装を替え、時にはスピーカーの上に登ってコール&レスポンスを見せるなど、広いステージを縦横無尽に動き回り息つく間もない圧巻のエンターテインメントショーを繰り広げていく。中盤は「Computer Love」、「Be Alright」、でクールダウン。紫に染まった空にメロウかつエモーショナルなスロー・ナンバーが心地よく響き渡った。サム・スミスの「Stay with Me」も披露するあたりはさすがというか、ステージに立つものとしてオーディエンスを目いっぱい楽しませようという心意気を強く感じた。ラストはファンク・シーンのみならずヒップホップシーンでも大ヒットとなった「California Love」で再び会場を熱いパーティータイムに持ち込み、初めての人もそうでない人も大満足の観ても楽しい、聴いても楽しいパフォーマンスを見せつけてくれた。
19:45~
feat. RJ, Martha High etc.
演奏が上手い! 身も蓋もない言い方をすれば、この日のライブを観ていて一番最初に抱いた印象はそれだ。直前に、ダニー・レイが体調不良のため出演できなくなってしまうというトラブルに見舞われた今回のオリジナル・ジェームス・ブラウン・バンド。ダニーの不在により、たしかにあの天下無敵の祝祭感、ショーをぶち上げる感じは弱まっていたが、その分、ストイックなバンドの演奏の魅力が前面に出ていたとも言える。こうして様々なスタイルのアクトが出演するフェスという場だからこそ、シンプルながら徹頭徹尾反復するリフの組み立てによって観客を昂揚に導くJB流ファンク・スタイルの有り難さというのも沁みる。冒頭、マーサ・ハイがボーカルをとる形でステージを始めた後、2曲ほどを歌い終えてルーズベルト・ジョンソンを呼びこむと会場はさらにヒートアップ。いつ聴いても完全無欠のR&Rチューンである「アイ・フィール・グッド」。EDM時代にこそ、その構成の大胆さに改めて感じ入る「セックス・マシーン」など、時代を経て廃れるどころか、むしろのその尊さが思い知られるような楽曲群に何度もシビレた。伝統芸能化すべきポップ・ミュージックNo.1。JBバンドは永遠に続く。
Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.
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SONIC MANIAのトップバッターは、2年ぶりの出演となるPerfume。メインステージとなるCRYSTAL MOUNTAINには開演前から多くの観客が詰めかけ彼女たちの登場を待っていた。そして、定刻の22時に「Pick Me Up」のイントロが流れ、3人が登場するとオーディエンスは大歓声で迎えた。そして、立て続けに「レーザービーム」、「GLITTER」、「Spring of Life」とキラーチューンを投下。「今日は最高の夜にしよーねー!」というあ~ちゃんのMC通りに序盤からガンガンに会場を盛り上げていく。もちろん、ライブではおなじみのチーム分けやPTA(パッと楽しく遊ぼうのコーナー)もあり、会場を盛り上げる。そして、「Party Maker」、「チョコレート・ディスコ」と最後まで観客を踊らせてフィニッシュ。ガッツり低音が効き、色とりどりのレーザーが華やかに彩るステージだった。
一方、SUMMER SONIC1日目のMARINE STAGEに出演するMADEONがSONIC WAVEに登場。白いシャツにジャケットという少しカチっとした衣装で現れたが、曲をプレイし出すとノリノリですぐにジャケットを脱ぎ、両手を突き上げジャンプ!初めからテンション高めでのパフォーマンスだった。「ユアー・オン」、「OK」などアッパーだがどこか浮遊感のある独特の曲の連続でダンスフロアとなった会場をわかせた。
大量のスモークが立ち込める中、真っ黒の衣装に身を包んだマリリン・マンソンがCRYSTAL MOUNTAINに降臨。赤い照明に照らされて「Deep Six」からスタート。あっという間にマリリン・マンソンの世界に包み込まれ、会場は熱狂の渦と化した。その存在感はもちろん歌唱力や体の芯まで響く重い演奏で見るものを圧倒。「Rock Is Dead」など代表曲だらけのセットリストもファンにはたまらなかったが、「トーキョー!」と随所で叫んだり、跪いて歌ったり、竹馬、そしてお馴染みのあれを燃やすもパフォーマンス披露。マリリン・マンソンのカリスマ性を存分に味わうことができた。
マリリン・マンソンのステージ後は、ザ・プロディジーが控えるCRYSTAL MOUNTAIN。スタート前から大勢の観客がその登場を待ちわび、会場は異様な熱気に。定刻になりライブ開始のSEが流れるとその熱気をさらに上昇。初っ端から「Breath」、「Nasty」、「Omen」という踊らないわけがない流れ。前方ではモッシュが巻き起こり、汗だくの笑顔で動き回るオーディエンス。さらにマキシムとキースがMCで煽りまくる。もうそこは狂喜の宴だった。「Firestarter」、「The Day Is My Enemy」など新旧織り交ぜた選曲で、「Smack My Bitch Up」で一気に暴れ倒し、なんとアンコールに「Their Law」、「Take Me To The Hospital」まで披露する大サービス。最後まで彼らの爆発力を存分に感じたパフォーマンスだった。
SONIC WAVEを満員にした電気グルーヴ。どんなセットリストでくるのかと待ち構えていると序盤は、「SHAMEFUL」、「Fallin' Down」、「Missing Beatz」と2010年代の曲を次々にドロップ。石野卓球が送り出す心地よいビートとステージ上を右に左にとコミカルに歩きながら歌い、オーディエンスを盛り上げるピエール瀧の絶妙なパフォーマンスは疲れも忘れて踊らせてくれた。その後も「Flashback Disco」、「Baby's on Fire」などを披露し、ベテランの安定感と技で聴衆を楽しませた。
Photo: (C)SONICMANIA All Rights Reserved.
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BAIO / SPIRITUALIZED / THOM YORKE / MATTHEW HERBERT / FFS / JON HOPKINS / BO NINGEN
12:10~
初来日ステージとなった人気急上昇中の米バンド、エコスミス。黄色い花柄のセットアップに身を包んだボーカルのシドニーが「We are Echosmith!」と挨拶を済ませると、MVが公開されたばかりの「Let's Love」でショーがスタート。デビュー曲「Come Together」やアルバム・タイトル曲「Talking Dreams」、「Come With Me」などのアップテンポなナンバーに合わせて、ステージ上を動き回る観客を煽るシドニーに、観客も手を叩いたりジャンプしたりして応えていた。ラストはヒット・ソング「Cool Kids」で最高潮にスタジアムを盛り上げ、30分ほどのステージだったが、新人バンドらしいポップで元気いっぱいのショーを見せつけた。今回はギターのジェイミーが奥さんの出産のため来日できなかったが、サングラスをかけながらクールにドラムを叩くグラハム(ベビーフェイスの16歳!)や、全身でベースをかき鳴らすノア、そしてタンバリン、ドラム、キーボードと様々な楽器を担当するキュートなシドニーの姿を見て、次は4人揃った姿でもっとビッグになって日本に戻ってきてほしい。
14:20~
今秋のUSツアーに日本の人気ロック・バンドONE OK ROCKが出演するというニュースも記憶に新しいAll Time Low。そんな彼らの来日は、2013年以来、サマーソニックには5年ぶりの出演となった。集まった観客達を見ると、All Time Lowのポップで馴染みやすい曲調が広い世代に愛されるということがわかった。メンバーが登場すると黄色い歓声が上がり、「Weightless」、「Time-Bomb」、「Kids In The Dark」など人気ソングを連発させた。ラストの「Dear Maria, Count Me In」では、ヴォーカルのアレックスがステージを降り、観客の間を練り歩く場面も。青春時代を彼らの音楽と共に過ごした人も少なくないであろう、観客達を大いに沸かせたステージとなった。
15:40~
今年で4年連続のサマソニ参戦となり、今や国内に留まらず世界中で人気を誇る、BABYMETAL。そんな彼女達を一目見ようとマウンテンステージに詰めかけた大勢の人々、さらに、何時間も前から待ち構えていたファン達によって超満員状態のホールは、ライブ開始前から熱気で溢れていた。メンバーが登場し「BABYMETAL DEATH」が始まると、観客の「DEATHコール」と共に会場の温度はさらに上昇。海外公演を終えグンと成長した姿を魅せた「メギツネ」からは想像できないほどキュートな「ド・キ・ド・キ モーニング」や「あわだまフィーバー」で、ポップさと可愛らしさで、ファン以外の観客もどんどん引き込んでいき、観客全員がキツネポーズで飛び跳ねる。「Road of Resistance」、「ギミチョコ!!」、最後には、メジャーデビューシングル『イジメ、ダメ、ゼッタイ』など全9曲を披露し、大熱狂のステージに幕を閉じた。
16:00~
@ MARINE STAGE
サマソニの数日前に自身が結婚、そして子ども(娘)が生まれていたことを発表し、その生誕を記念した新曲をフリーダウンロードで配信したマックルモア。その新曲「Growing Up (Sloane's Song) feat. Ed Sheeran」を中盤のハイライトに、幸福感に溢れながらも、非常にメッセージ性の強いライブだった。ステージは、マックルモア&ライアン・ルイスの2人に加え、3人のホーン隊にストリングスやフロアタムも加え、どことなくエキゾチックでアコースティックなサウンドが印象的。ライブが始まって早々に披露されたユニット最大のヒット曲「スリフトショップ」では、さらにダンサーやシンガーが加わり、ステージはより一層豪華に。終盤に演奏された「アンド・ウィー・ダンスド」では“パーティー・モンスター”に仮装したマックルモアがやはりゲストダンサーとド派手な衣装とともにステージを盛り上げるなどエンタメ性も豊富だ。そんな中、「誰かが心から愛する人について、“正しい”とか“間違ってる”とかは誰も言えないんだ!」という熱いMCとともに披露された「セイム・ラブ」は、真摯な内容がひときわ強く響く。最後は、年内に新しいアルバムを完成させて、その後、日本に戻ってくると誓い、「ピース!」の合言葉で締めたマックルモア達。朗らかで力強いステージだった。
17:30~
サマソニ東京1日目の大本命と言ってもいいほどの注目株、アリアナ・グランデがついに登場!会場にはうさぎの耳や、黒のタイトワンピースでライブ参加するアリアナファンでごった返していた。そして「Bang Bang」のイントロと共にアリアナが現れると、大きな会場が黄色い声でいっぱいに包まれる。憧れのアリアナを目の前にして、感極まって涙を流すファンの姿がスクリーンに映り、改めて彼女の人気ぶりと、ファンがどれほどこの時が来るのを待ち望んでいたのかが分かった。元カレ、ビッグ・ショーンをフィーチャーした彼女のお気に入り曲「Best Mistake」や「Break Your Heart Right Back」など、ニュー・アルバムからの曲に続いて、今回は普段ライブでは歌わない「Baby I」を披露。小柄なアリアナがヒールの高いニーハイブーツで、ダンサーに劣らないパワフルなダンスで観客を魅せ、激しく踊った後も息切れることもなく、あの高音を軽やかに出す圧巻の歌唱力には衝撃を受けたオーディエンスも多いだろう。2日目に登場するZEDDがプロデュースを手掛けたダンスナンバー「Break Free」で会場がダンスホールと化し、ラストは「Problem」でライブを締めくくった。約1時間のショーはあっという間に終わってしまったが、ファンが好きな人気曲を余すとこなく披露した充実感溢れるライブだった。
19:00~
2013年のSONIC STAGEにも登場したアイルランド出身の4人組バンド、コーダライン。「Ready」や「Love Like This」、「High Hopes」など、爽快感溢れるアップテンポな楽曲から、しっとりと聞かせるラブソングまで幅広いジャンルの歌が披露され、観客は手を叩いたり一緒に口ずさみ、広すぎず狭すぎない屋内ステージの雰囲気と彼らの歌が見事にハマっていた。ライブ序盤ではお世辞にも満員とは言えなかった会場も、気が付けば後ろまでびっしり。極めつけの代表曲「All I Want」では、ボーカルのスティーブに合わせてコーラス部分の“Oh oh oh ohhhh”を観客全員が大合唱。会場が歌声で響き渡り、何とも言えない一体感が生まれ、バンドメンバーも感銘を受け、思わず顔がほころんでいた。余韻に浸った雰囲気の中、大きな拍手で幕を閉じたコーダラインのステージ。ライブ開始直後は彼らの日本と海外での人気と知名度の違いを感じさせられたものの、スティーブの「またすぐに日本に戻ってきたい」という言葉通り、彼らがまたここ日本で歌を披露してくれる日が近く実現することを期待している。
19:25~
1日目のヘッドライナー、ケミカル・ブラザーズを一目見ようと、アリーナもスタンドもパンパンになるほどの人が集まったMARINE STAGE。ほぼ定刻にライブがスタートし、1曲目「Hey Boy Hey Girl」が流れ出すとオーディエンスの地響きのような歓声が響き渡った。会場ではスモーク、色とりどりのレーザーやライト、曲によって変わるバックモニターの映像、すべてが音楽と一体となり、ケミカル・ブラザーズの世界観を作り上げていた。「Do It Again」、「Go」、「Swoon」、「Star Guitar」と次々に代表曲をドロップし会場を大きく揺らせた。途中、スクリーンの映像の中でボールが飛び跳ねていると、会場に巨大なバルーンが出現したり、青と赤の巨大ロボットが現れ、目からライトを飛ばすなど曲以外にも様々な演出で観客を楽しませた。そしてラストナンバーは「Block Rockin’n Beat」。最後まで観客を踊らせる大満足のセットリストだった。、約1時間30分のステージで王者の貫録を見せつけ初日の幕は閉じた。
☆ケミカル・ブラザーズとシスターズへのビデオ・メッセージ
&来日ミニ・インタビュー公開中
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/31183/2
20:00~
SONIC MANIAと同じ幕張メッセのMOUNTAIN STAGEに登場したマリリン・マンソン。前日同様、スモークをふんだんに炊いたステージに黒のジャケット、赤いスカーフ、を巻いたブライアン・ワーナーが登場すると、雄叫びにも似た歓声が降り注ぐ。「昨日もここでやったんだが、皆とても賑やかだった。だから、お前たちも、もっと騒げ!!トーキョー!」と絶叫して「Disposable Teens」に突入。一気に会場のボルテージが上がり、轟音と狂気と興奮のマリリン・マンソン・ワールドに包み込んだ。ジャケットを脱いだ時の二の腕が若干衰えを感じさせてしまったものの、感情に満ちた声とシャウト、そして全身にまとったダークなオーラは健在。「Third Day of a Seven Day Binge」や「The Dope Show」など新旧の楽曲を織り交ぜながら、刃や指サックのついた凶器的マイクを投げ捨て、ベースの頭をタンバリンで叩いたり、ベースに粉を振りかけたり、ベースの股の下をくぐったり、ブライアン・ワーナーの一挙手一投足にオーディエンスは惹きこまれた。終盤に差し掛かるとトーキョーコールでオーディエンスを扇動した後、「Rock is Dead」で会場を揺らし、「Antichrist Superstar」では演台で聖書を燃やすパフォーマンスを披露。ラストに向け怒涛のパフォーマンスを展開した。ラストを前に暗転したステージにうっすら光が灯ると、ステージ後方には翌日のBeach Stageに登場予定のブラス・バンド、ザ・ソウル・レベルズが整列。目の周りを赤くペイントしていたブライアン・ワーナーの顔には黒いペイントも加わり、「黒人も、白人も、黄色人も、みなBeautiful f**kin peopleだ」と訓示を述べ「The Beautiful People」をドロップ。最後はステージから降りて中央を練り歩き、轟音と狂気に満ちたMOUNTAIN STAGEの幕を下ろした。
20:20~
@ SONIC STAGE
90年代UKロックの金字塔の一つと言っても過言ではないマニックスの『ホーリー・バイブル』がリリースから20周年を記念して、アルバムが完全再現された今回のステージ。今作がリリースされた直後にドラッグやアルコールなど様々な問題を抱えていたリッチーが失踪したことは有名な話だが、彼が立つべき場所と言わんばかりに、いつものようにステージ左側がぽっかりと空いているのも、心なしかこの日はさらに強調されていたように感じたし、あえてサポート・メンバーを入れずに3人だけで再現したのにもマニックスなりの男気を感じる。ジェームスの卓越した演奏力にはいつも関心させられるが、今作を“蝕む”リッチーによる絶望に満ちた詞を力強く歌い上げる姿に心を打たれた人も多かったはず。「P.C.P. 」で本編が終わると「You Love Us」に突入し、大合唱が沸き起こった「A Design for Life 」から会場を漂うマニックス愛が絶頂に達した「Motorcycle Emptiness 」と70分という短いセットながらもツボを押さえた選曲でライブが終了。なんとも言えない多幸感に加え、切なさが残るステージだったが、心から観れて良かったと思えるものだったのは間違いない。このアルバムを生で演奏してくれたバンドへの敬意と感謝の気持ちでいっぱいだ。
Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.
00:00~
ディアハンターの突然のキャンセルを忘れさせてくれるほど完成度の高いライブを披露してくれた我らがジェーソン・ピアース率いるスピリチュアライズド。今回は女性ヴォーカル隊不参加のシンプルなバンド編成で、1曲目の「Hey Jane」で少々肩すかしをくらった状態でスタート。攻撃的な電子音が会場を駆け巡る「Electricity」、ブルージーなギターが吠える「She Kissed Me (It Felt Like a Hit) 」などのアッパーなチューンから、スペーシー&サイケデリックな「Shine a Light 」や「Oh Baby」まで緩急がついた鉄板セットリストで攻めてくる。まるで万華鏡の中に迷い込んでしまったかのような錯覚を受けるVJから幾何学模様のカラフルでポップなVJや壮大で宇宙的なVJも楽曲と見事にシンクロし、みるみると観客を“スピリチュアライズド・ワールド”に引き込んでいく。もちろんスペースメン3の「Walkin' with Jesus」のカヴァーも披露され、終盤で傑作『宇宙遊泳』収録の「Come Together」のイントロが鳴り響くと、待ってました~、とばかりに天に向って拳を振り上げる観客が続出。もうちょっと爆音で聞きたかった…というのが唯一の不満点だが、90分に及ぶ濃厚なノイズ・シャワーに完全陶酔。ライブの思い出を噛みしめながら、今年中にリリースするらしい?という噂のニュー・アルバムを心待ちにしたい。
00:00~
TOMORROW'S MODERN BOXES
@ SONIC STAGE
画家がちょっとした時間に思いついたアイデアを簡単なスケッチに残すように、作家が自宅のPCや機材で作りためたビートやメロディ。それは完成されたポップ・ミュージックという視点から言えば一種の断片であり不完全なものだ。だが一方で、そこにはポップスとして“完成”させていく過程で削り取られてしまうカドがある。もしそれを、つまりレディオヘッドというポップスの制作プロセスを通さないで外に出したらどうなるか。そもそもトム・ヨークのソロ活動は、そうした初期衝動的でシンプルなアイデアに端を発している。
今回は作品ではなくライブだが路線はそれほど大きく変わらない。1時間強という演奏時間で十数曲を演奏し、3曲が新曲(前述の通り、いずれも断片的な新曲だ)。既発曲も音源と異なるアレンジが施されている部分が多く、ほぼ全ての曲で、曲と曲が繋がっている構成になっている。おまけに楽器のサウンド・レパートリーも極めて限定的で、トム・ヨークの歌に加えて、マシンドラムとシンセサイザー、そして時々ヨーク自身が思い出したように弾くギターがあるのみ。そうなってくると、やはりライブ全体の印象は限りなく茫洋とした、アブストラクトなものになっていく。いわばショウ全体が一つの潮流のように感じられてくるのだ。そこには激流もあれば、一気に空間が開けたような穏やかな時間もあり、それの流れに揉まれているうちに時間が経っていく。そんなステージ。そこにはFKAツイッグスのようなモダンなアクトがステージ上で紡いでいる最先端のポップスへの目配せがあると感じた。その上で、異様に生々しくてハイファイな音の鳴りも印象的。やはりとてもユニークなライブだったと思う。最後はファンへのささやかなプレゼントとして「デフォルト」がアンコール披露された。
02:15~
スパークスとフランツ・フェルディナンドによる相思相愛コラボ・プロジェクト、FFS。最年長70歳ロンと最年少ボブの年齢差は35歳(なんとちょうど倍)だが、2組の魅力が見事に融合された、最強にダンサブルなステージだった。アルバムの冒頭を飾る「Johnny Delusional」でライブがスタートすると、ドルマン・スリーヴのトップスをお洒落に着こなすラッセル、そしてアレックスの両フロントマンによる鳥肌もののハーモニーと掛け合いがのっけから炸裂。ポールが刻む鋭敏な4つ打ちビートとロンが奏でる軽快なピアノラインに観客の体も自然と動き出す。メンバー全員がソロ・パートを歌う「Collaborations Don't Work 」や日本語の「そうですね。」という相槌をそのままタイトルに起用した「So Desu Ne」のライブならではの演出もよく練られていて、ファンならこれだけでもライブを観る一見の価値ありだ。その上、両者のヒット・ナンバーも数曲づつ披露され、「The Number One Song in Heaven 」の間奏部分では、スパークスファンにはお馴染みのロンのダンスコーナーがちゃんと用意されているのも分かってらっしゃる。はたまたフランツの「Take Me Out」では、歌詞はもちろんギターのメロディーラインまで大合唱が沸き起こるほど盛り上がり、これにはメンバーからも笑みがこぼれる。ラッセルのベテランの域に達した自由自在なヴォーカルワークに引けを取らぬよう、ライブの半分近くをハンドマイクのみでこなしていたアレックスは、何度も何度も華麗にターンを決め、小刻みにステップを踏み、通常のフランツのショーとは比べ物にならないほど(?)楽しそうに、動いていたのも印象的だった。ラストの「Piss Off」が終わり、メンバー全員で肩を組み、お辞儀をした時のメンバーの満足そうな表情(特にラッセル!)にウルッとなっていると、すかさずロンの「オヤスミナサイ。」の一言で会場は一気に和みムードに。やっぱり、最後はロンが全部持ってちゃうんですよね。とにかく、これは単独公演熱望です!
Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved, at Hostess Club All-Nighter
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13:40~
肩の力を抜いたサウンドで新たなレゲエ定番ソングを生み出したマジック!寒国カナダの大都市トロントから夏にぴったりのナンバーを引っ提げてサマソニ初参戦を果たした彼らのステージはやっぱり熱かった。「トーキョー、コンニチワ!」とカーリーヘアをなびかせながら登場したフロントマン、ナスリらバンドメンバーは、日本でもヒットしたデビュー・アルバムのタイトル曲、「Don’t Kill the Magic」からライブをスタート。その後“オンナノコ”と連呼するナスリは、会場にいる女性全員に捧げる歌としてシンディ・ローパーの「Girls Just Want to Have Fun」と「Let Your Hair Down」を披露し、スロウなメロディで会場もゆったりと心地よい雰囲気に満たした。サマソニにて生歌初披露となった新曲「#SundayFunday」や「No Evil」で再び熱気を取り戻すと、誰もがお待ちかねの大ヒット曲「Rude」で会場は一気にヒートアップ、大歓声と共にライブが終了した。最初から最後まで盛り上がっていた会場の熱気にメンバー全員、終始ご満悦の様子だった。
14:55~
サマソニ初登場となったアイルランドが誇るロックバンド、ザ・スクリプト。母国では5万人収容のスタジアムをソールドアウトさせるほどのスター・バンドが笑顔でステージに登場すると、挨拶代わりにアイリッシュ・サウンドが濃く出ている「Paint the Town Green」と「Hail Rain or Sunshine」を披露。観客に手を差し伸べるように歌うボーカルのダニーや、スクリーンに写る他のメンバーらの表情はみな、はつらつとしていて、「The Man Who Can't Be Moved」や「Breakeven」など人気の高い過去の曲でのコールアンドレスポンスでは、一緒に歌う観客が多く見られた。ライブ中盤、「You Won't Feel a Thing」ではダニーがアリーナ中央まで駆け、観客に混じって歌うサプライズが。突然の出来事にアリーナ全体が大騒ぎとなり、手を伸ばせば届きそうなほど近くにいるダニーに、ファンは大きな歓声を上げた。その興奮をキープしたまま「Superheroes」、「For the First Time」へと移り、「一生忘れられないこのSUMMER SONIC 2015に俺たちはいたんだ!今日ここに集まってくれたスクリプト・ファミリーにこの歌を贈るよ」と「Hall of Fame」がスタートすると、会場の興奮は最高潮に。“We could be a champion”というフレーズに合わせ観客は大きく手拍子をし、最後はお決まりのダニーのエビぞりでライブは幕を閉じた。全力でパフォーマンスに、彼らの虜になった人は大勢いるはずだ。
15:10~
「黙って踊れ!」という曲タイトルのキャッチーさも魅力のウォーク・ザ・ムーンは昼過ぎにマウンテン・ステージに登場。最近では、その「シャラップ・アンド・ダンス」がラジオでかかりまくり、日本でもジワジワと知名度を上げている彼らだけに、会場には多くのファンが詰めかけた。その音楽性は、デュラン・デュランやカルチャー・クラブなどの80sのポップ・ロックのを現代仕様にアップデートしたもの。その上で、最近の日本のロック・バンドとも通じる部分のありそうな4つ打ちロック「Jenny」があったり、アニマル・コレクティブをさらにポップにしような曲「WorkThis Body」があったりと、サウンドのバラエティも豊富で演奏力も高い。そんな中、メンバーから客席に放たれる「いっしょに歌って!」や「ここに来てくれてありがとう~!」といった日本語もいやに流暢で人懐っこく感じた。最後は満を持しての「シャラップ・アンド・ダンス」で大盛り上がり。キャッチーなメロディとともに構成にも凝った一曲で、EDM時代に万人を巻き込むポップ・バンドとして活躍しようという野心をビシビシと感じた。更なるヒット・ソングの量産体制で、案外すぐにグラミーとか獲っちゃいそうだな。
16:15~
16時を過ぎても依然とな灼熱のマリン・ステージに降り立ったのは、6月の来日公演も記憶に新しい、EDM界のプリンスことZEDD。クリーン・バンディット「Rather Be」、バスティル「Pompeii 」など序盤からアッパーなアンセミック・ナンバーでどんどん攻め、ZEDD自身も両手を広げジャンプしながら、観客を大いに煽る。6月の来日時に、これまで作品に携わっている「アリアナ・グランデやエコスミスと同じ日だったら良かったのにな。」なんて話していたこともあり、スペシャル・ゲスト無しなのか~、と思っていると、自身がリミックスを手掛けるマジック!の大ヒット・ナンバー「ルード」で、ヴォーカリストのナスリがステージに登場すると大歓声が!さすがZEDD、やってくれます。その後も「Clarity」をはじめ、「I Want You To Know」、「Find You」、「Spectrum 」など自身のヒット曲を立て続けにドロップし、盛り上がりは最高潮に。1時間という短いセットだったが、ZEDDの魅力が凝縮された、最高にハッピーで高揚感溢れるステージに観客からは惜しみない拍手喝采が送られた。
17:35~
2日目のRAINBOW STAGEには、サマソニ初出演の郷ひろみが“勝負の色”という赤のスーツで登場。1曲目の「GOLDFINGER'99」から大盛り上がりとなり、「A CHI CHI A CHI」と大合唱が生まれた。MCでは「郷ひろみです!今日は素晴らしいな!」とテンション高めで挨拶。「出演者の名前が横文字ばかりで、ちょっとしたアウェイ感を感じてたけど、あたたかく迎えていただいて心から感謝しています!」と感謝を述べた。この日披露したナンバーは、「男の子女の子」、「お嫁サンバ」、「男願 Groove!」など、長いキャリアの中から厳選された7曲。最後の「2億4千万の瞳」では、集まった約1万人のオーディエンスも一緒に「ジャパーン!」と絶叫。ダンスやジャケットプレイなど、もうすぐ還暦とは思えないキレキレのステージパフォーマンスを披露し、日本最高峰のエンターテイナーは終始笑顔で幅広い年代のファンを魅了した。
17:45~
東京2日目マリンステージの大型ロックバンド2組目は、ラスベガス出身のイマジン・ドラゴンズ。全身黒でキメたバンドメンバーの中で唯一、白で登場したフロントマンのダンは、時間的にも日が落ち始めたステージ上で映えていた。高音ギターサウンドが特徴的な「Shots」でステージが始まると会場から大歓声が沸きあがった。今回で2度目のサマソニ出演となるイマジン・ドラゴンズは「前回はもっと早い時間でお客さんももう少し少なかったけど、今回はこんなにも集まってくれた。今日ここに来てくれたみんなありがとう!」と感謝を述べた。「It’s Time」やダンがアリーナに飛び込む「On Top of the World」など誰もが一度は聞いたことがある人気曲に合わせて会場全体が一斉にジャンプ。「I’m So Sorry」ではロン毛のギタリスト、ウェインが髪の毛を一心不乱に振り回し、サウンドに合わせて体を半分に折りながら歌うダンの姿がとても印象的だった。「Friction」や「Gold」(ダンが上半身裸になるのは予想外だった!)などロック色の強い曲もたくさん歌われた。「日本以上に親切なファンは他にいない。呼んでくれれば何度でも日本に戻ってくるよ。We love you!」と叫び「I Bet My Life」がスタート。そしてラストにメンバー全員のドラム演奏が超絶クールな「Radioactive」に会場が震え、大合唱でライブは幕を閉じた。何度見ても飽きない、これぞアメリカン・ロックというライブだった。
18:10~
サマソニ会場の一番はずれという長閑な立地にあり、ファンクを基調とした良い湯加減のグルーヴを持ったバンドが多数出演したガーデン・ステージ。そんなステージのまさに本命とも言える演奏を繰り広げたのがこのネイザン・イーストだ。息子のジャック・イーストも引き連れたバンドは“良い湯加減”な演奏達者ばかり。指弾きで絶妙なトーンのプレイを披露したマイケル・トンプソンに、ジャック・リーというギター陣に加え、ドラムにはスティーブ・フェローニ、そしてサックスには、いまや日本の劇伴界にとっても欠かせない存在となった住友紀人が参加。ネイザン本人の柔らかなヴォーカルも心地良く、昨年のソロアルバムからの曲はもちろん、「愛するデューク」(スティービー・ワンダー)などの名曲を、柔らかな音響のフュージョン・サウンドで披露していく。終盤では一旦メンバー紹介を行い、そこで終わり…かと思いきや、単独公演でも披露した“光るサングラス”モードに早替えしてエレクトロ・ファンク・テイストの「ダフト・ファンク」を披露。そんな細かい芸の一つをとっても、やっぱりとても良い湯加減。笑顔も相変わらず超キュートでした。
19:25~
2日目のMARINE STAGEのトリは9年ぶりの来日となったファレル・ウィリアムス。会場は、アリーナ、そしてスタンドの上の方までぎっしり人で埋め尽くされており、近年の音楽シーンを賑わせているファレルの人気っぷりを物語っていた。大声援の中、ダンサーを引き連れて登場すると、最新シングル「Freedom」からライブはスタート。1曲目からファレルのファルセットなシャウトを全開。オーディエンスも両手を空に突き上げ、それに呼応した。この日は、大ヒットアルバム『G I R L』からのナンバーはもちろん、ネプチューンズ、N*E*R*Dといった自身の長いキャリアから選ばれた豪華なセットリスト。ライブ中盤では、「Spaz」、「Lapdance」、「She Wants To Move」などN*E*R*Dの曲を立て続けに披露した。ダンサーのショータイムをはさみ終盤に入ると、ファレルが参加し世界的大ヒットとなったロビン・シック「Blurred Lines」、ダフト・パンク「Get Lucky」が続き、オーディエンスは疲れも忘れてさらに踊り続ける。そして、お待ちかね「Happy」が流れ出すとステージには大勢の子供たちが登場し、ファレルと共にステージ上でダンスやハイタッチ。ファレル自身も笑顔がこぼれ、9年ぶりのステージを楽しむ様子に、会場全体が文字通りハッピーな空気に包みこまれた。ラストは再び「Freedom」を力強く歌い上げ、花火と共に2日目のフィナーレを飾った。
20:40~
2014年の傑作『ブラック・メシア』にも掲げられた“D'ANGELO AND THE VANGUARD”という文字列が、この日最後のマウンテン・ステージのバックスクリーンにも大きく掲げられていた。待望に待望を重ねたディアンジェロの15年ぶり2度目の来日ステージは、しかし、紛れもなくディアンジェロ・アンド・ザ・ヴァンガードのステージでもあった。ベースのピノ・パラディーノ、ドラムのクリス・デイブ、ギターのアイザイア・シャーキーを中心に、ジェシー・ジョンソンやクレオ・“ポーキー”・サンプルらを加えたザ・ヴァンガードの面々は、確実にこの日のディアンジェロのステージを“現代ファンクの最高峰”のライブに仕立てていた。
ライブは「エイント・ザット・イージー」や「リアリー・ラブ」など、最新作『ブラック・メシア』からのレパートリーを中心に「スパニッシュ・ジョイント」や「ブラウン・シュガー」など旧作の重要レパートリーも交えられたセットリスト。事前にライブは音源より更にファンクでロック寄りだという噂は聞いていたものの、実際に目の当たりにするとその迫力が尋常じゃない。音も大きすぎて半分割れているような状態だが、そんなことお構い無しに突っ込んでくる。マウンテン・ステージに詰めかけたファンの熱い声援にも後押しされて、JBスタイルのブレイク演奏や、コール・アンド・レスポンスも盛り込み、オーディエンスも巻き込んで盛り上げようという意志も非常に強く、その熱量に引っ張られて客席の熱狂もドンドンと大きくなっていく。しかも、ステージ上で誰よりも笑顔を振りまいているディアンジェロに引っ張られるように、誰もが笑顔でステージを見つめていた。アンコール最後で披露された「アンタイトルド(ハウ・ダズ・ユー・フィール)」では、バンドの大切さを強調するかのように、一人一人がステージを去っていくという演出で粋に盛り上げた。こちらの大き過ぎた期待を軽く上回るステージングを見せたディアンジェロは間違いなくこの日のベストアクトの一組だったはずだ。
Photo: (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.
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