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上田健司 生誕50周年フェス記念インタビュー ~堂本剛、小泉今日子、PUFFYらを手掛けるウエケンのプロデューサー論とは?

 8月30日、31日の2日間にかけて、ビルボードライブ東京、そして、下北沢GARDENにて生誕50周年記念フェスを行う上田健司。これまで、KENZI & THE TRIPS、そしてthe pillowsをはじめ数々のバンドやミュージシャンのバックでベースを演奏するかたわら、堂本剛、小泉今日子、PUFFY、加藤いづみなどのミュージシャンや、怒髪天やGOING UNDER GROUND等のバンドの作品も手掛けるプロデューサーとしても活躍。さらに、自身のソロや、最近では怒髪天の上原子 友康とのユニット、MOIL&POLOSSAとしても活動するアーティストでもある。
 今回はそんな彼の、主にプロデューサーとしての活動面に注目し、そのキャリアがスタートしたきっかけや、自身のプロデューサー論、そして、様々なアーティストや作品との関わりについて話を聞いた。

日本のロック・プロデューサー 佐久間正英&山口州治

――既にバンドマンとして活動されていた上田さんがプロデューサーとして活動するようになったきっかけは?


▲怒髪天『怒髪天』

上田健司:僕は18歳の頃から東京でKENZI & THE TRIPSを始めて、22歳の時に、当時『イカ天』(『三宅裕司のいかすバンド天国』)に出ていたGENというバンドにレコーディングを手伝ってくれと頼まれました。自分のバンドで僕がイニシアチブをとってレコーディングをしていたことを後輩とかは知っていたので。それで一緒にやろう、ということになって、(スタジオに)入ったら、直ぐにプロデュースに近いことをやるようになって。レコーディングの二日目からはベタ付きで、ドラムの音作りから始める、みたいな、今とほとんど変わらないことをやるようになりました。それをきっかけに数珠つなぎで、怒髪天、佐久間学、と仕事が増えて。その間にthe pillowsもやりつつ。その頃はあくまでまだサウンド・プロデューサーで、詞曲提供はまだほとんどしてなかったですけどね。

――当時、アーティストとしても活動する中でプロデューサーにどんなイメージを持っていましたか?


▲ザ・ブルーハーツ
『THE BLUE HEARTS』

上田健司:正直、日本にロックのプロデューサーはほとんど居ないと思ってました。それこそ佐久間(正英)さんとか、そういう人たちしか居なかった。特に、同世代にはかっこいい音を作れるプロデューサーが少なかったですね。だから当時はみんな佐久間さんと、エンジニアは山口州治さんとやってましたよね。端から見ると「この人達何人いるんだろう?」って思うくらい人気だった。だから、やっぱり佐久間さんの功績ってすごく大きいと思いますね。山口さんがエンジニアを担当したブルーハーツもすごく良い音だったし。だから、もう1人か2人くらい彼らみたいなプロデューサーがいた方が良いと思って、じゃあ、僕がやろうって思いました。あと、僕は日本のロックにもすごく影響を受けていて、最初の頃はARBとか、ルースターズとか、アナーキー、THE MODS、ザ・ロッカーズとか、ああいう人たちの音を超えたいとも思ってましたね。

白井良明との師弟関係 ロックやポップスほぼキャスティング

――リスナーとして10代の頃からプロデューサーを意識して聴いていましたか?


▲沢田研二『MIS CAST』

上田健司:うん、聴いてましたね。沢田研二さんの『ミス・キャスト』っていうアルバムがあって。全曲作詞作曲が井上陽水さんで、それをまだ20代後半だった白井良明さんが全部プロデュースした作品で。だから良明さんにもすごく憧れがありましたね。the pillowsも、僕がいた頃はアルバムのプロデュースは全部良明さんにやってもらって。そこですごく勉強させてもらいました。
 僕は勝手に良明さんの弟子を名乗ってるんですけど、良明さんは多分ただの友達だと思ってると思います。少なくとも僕を弟子と言ったことはない。あの人のそういう後輩をもしっかりリスペクトしてくれるスタイルもまた尊敬できます。良明さんには「プロデューサーはスタッフだ」っていうことを本当に若い頃から叩き込まれた。偉くないし、一番みんなの助けになんなきゃいけない。ミュージシャンが来たら扉を開けて、「今日はありがとうございます」って挨拶する。

――なるほど。

上田健司:要するに、キャスティングですよね。アーティストや演奏家が来てくれて初めて出来るものだから、そこはちゃんと接しないといけない。ロックやポップスはそんなに難しい音楽じゃないから、ほぼキャスティングで決まる。レコーディング・エンジニアやスタジオ、それにやっぱり演奏家。そのキャスティングが完璧になった時に、レコーディングはほぼ成功しているんだっていうことは良明さんからよく言われました。
 僕自身もキャスティングにはすごくこだわります。この曲にはこの人がいいなっていうのを考えたり。幸いなことに、すごくよく出来るミュージシャンが僕の周りにはいっぱいいるので、1つのパートに候補が2、3人いることも多いですね。

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上田健司「楽しい追憶」

楽しい追憶

2013/10/09 RELEASE
KMY-11 ¥ 2,619(税込)

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Disc01
  1. 01.見たい鏡
  2. 02.水時計
  3. 03.雨宿り
  4. 04.乱れてロンリー
  5. 05.あの日忘れた時の夜
  6. 06.ムーニームーン
  7. 07.samida-rain
  8. 08.キミがいる
  9. 09.楽しい追憶

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