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「音楽にインスパイアされない日はない」― ポール・ウェラー 最新インタビュー
1977年にザ・ジャムのフロントマンとしてデビューして以来、ザ・スタイル・カウンシルからソロ作まで40年近く現役で活躍し続けているポール・ウェラー。前作でもタッグを組んだジャン・“スタン”・カイバートをプロデューサーに迎え、ザ・ストライプスのジョシュ・マクローリーらも参加した最新作『サターンズ・パターン』は、「今まで俺が発表してきたどの作品よりもベストな出来だと思う…、ここまで出来たことに、俺自身すごく喜んでいるんだ。」と本人も語る意欲作だ。そんな御年57歳の“モッド・ファーザー”が今作、自身の子供たちや手掛けるファッション・ブランドなどについて話してくれた。
音楽にインスパイアされない日はない
??最新作『サターンズ・パターン』は、音楽スタイル、そしてサウンド面においてもっとも多様性のあるアルバムではないか、と感じます。これまで数々の作品を発表してきましたが、インスピレーションはどこから湧いてくるのですか?
ポール・ウェラー:いい質問だ。ただ、インスピレーションが音楽そのものだとしか答えようがないな。なんとなく、アルバムが作りたいというフィーリングを感じたら、アイディア探しを始め、何かこれまでと違ったものだったり、違った方向へ導いてくれるものが見つかるまで、様々なことを試してみて、そしてそれに従う。君の質問の答えになってないのはわかってる(笑)、俺自身にも答えが分からないんだ。音楽にインスパイアされない日はないよ。
??最近聴いたもので気に入っているものはありますか?
ポール:ヤング・ファーザーズの新作(『ホワイト・メン・アー・ ブラック・メン・トゥー』)は気に入ってる―知ってる?スコットランド出身なんだ。アラバマ・シェイクスのニュー・アルバム(『サウンド&カラー』)にもいくつか好きな曲が収録されてる、あのアルバムは良いな。でも、一番よく聴いているのはロンドンの海賊ラジオ。名前すら分からないけれど、もしロンドンに住んでたら88.4に合わせると聴ける。古めの良質なディスコっぽいものとかガラージ―ハウスとガラージが融合された音楽がよくかかってるんだ。他にもすごくいいレゲエ専門の海賊ラジオ局があるね。
??1990年代中盤に『ワイルド・ウッド』をきっかけにあなたは大々的な復活を遂げましたが、それはブリットポップのおかげだったと感じますか?
ポール:手助けになったとは思うが、すべてそのおかげだとは思わない。だんだん作品が良くなっていっていたし、『ワイルド・ウッド』に到達した時は―あのアルバムは俺にとって重要な作品だった。どちらにしろ起っていたことだと思うね。
??『ワイルド・ウッド』では、どのようなアイディアが具体化されたのでしょう?
ポール:夏にロンドンのホランド・パーク・アヴェニュー沿いを歩いていた時、誰かがオープンカーで『ワイルド・ウッド』を爆音で流していて、何だが腑に落ちたのを覚えてる。でも、分からない。俺は年々音楽業界を行ったり来たりしている―それに一体どんな理由があるというんだ?
??お子さんが7人いらっしゃると思いますが、その中の何人がミュージシャンですか?
ポール:娘の中に1人シンガーがいる。今デモを作っていて、年内にEPを出そうとしているんだ。彼女の作品はすごくイイよ、だんだん大人っぽく、洗練されていっている。
??SoundcloudかBandcampで音源を公開していますか?
ポール:まだだね。今年中に何か出せたらって感じさ。本当に良いよ、彼女の作品は。素晴らしい歌声の持ち主でもあるし。10歳の息子は音楽にとても、とてもハマっていて、ドラム、ギターを演奏し始めて、歌も歌ってる。色んなものに興味を持っているんだ―スケートボードとか。スケートボードのビデオもよく観てるけど、ああいうビデオは大体の場合サントラがすごく良い。だから、ミーターズとかも聴くけど、ジョージ・エズラも大好きなんだ。
??娘さんが作っている音楽の手助けをしたりしますか?
ポール:強要はしないけど、「この曲はどうやって演奏するの?」や「このコードは何?」など何か質問があれば、答えてあげるよ。数週間前に、息子と素敵な時間を過ごしたんだ―ある晩、俺のスタジオで彼と2人で数時間ジャムった。俺がピアノを弾き、彼がドラムをプレイし。時間を忘れて演奏したね。
??ご自身の昔の曲は聴いたりしますか?
ポール:出来る限り聴かないね。たまにラジオで聴くのはいいけど。
▲ 「My Ever Changing Moods」 (Live)
??今回のツアーでは、過去の曲も演奏されるのですか?
ポール:過去の曲はたくさん演奏してる。「Changing Man」とか、それ以前の曲も―もう20年以上経ってる曲だ。十分に古い曲だよね?
??ソロ以前の曲について伺いたかったんです。最近「My Ever Changing Moods」を演奏したというのを聞いたので。
ポール:ノーだ。たまに演奏することもあるけれど―大体は俺がやりたいかどうかによるんだが、現状はノーだ。毎年可能な限り、多少はセットリストを変えようと心掛けている。面白味を持たせるために。そういう時は過去の曲を取り入れる。でも大半は新しい曲をプレイしてる、それが俺のハートがある場所だから。
??あなたのファッション・ブランド「Real Stars Are Rare」の近況を教えてください。
ポール:去年、初のコレクションを発表したんだ―メールオーダーだけど。困難なのは、金がたくさんかかるけれど、やっていてすごく楽しいんだ。今ちょうど岐路にあって、俺はアンダーグラウンドでやり続けたい―別にどこのブランドに対抗したいわけでもないし、自分の好きなことをやるから、ほっておいて欲しいんだ。一緒に仕事している人々は素晴らしい人々なんだけど、「これからどうやって成長していくか。」とか拡大して方法について話合っているんだけれど、そういう言葉を聞くとちょっとビクッとするんだよね。自分はそんなことをする為にやり始めたわけじゃないから。単純に自分好みな服の小さなコレクションがやりたいだけ。赤字にならないぐらいに売り上げがあれば、それで満足さ。
??最近の主な“ビジネス”というのはツアーですか?
ポール:金銭面で?
??そうです。
ポール:イギリス国内ではそうだけど、アメリカは全く違うね。イギリス・ツアーでの売り上げが、他の国でツアーする際の資金となっているんだ。イギリス以外ではあまり大きな会場では演奏しないから。
Q&A by Jem Aswad / 2015年6月26日 Billboard.com掲載
"White Sky" Music Video
リリース情報
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サターンズ・パターン
2015/05/20 RELEASE
WPZR-30637/8 ¥ 3,436(税込)
Disc01
- 01.ホワイト・スカイ
- 02.サターンズ・パターン
- 03.ゴーイング・マイ・ウェイ
- 04.ロング・タイム
- 05.ピック・イット・アップ
- 06.アイム・ホエア・アイ・シュッド・ビー
- 07.フェニックス
- 08.イン・ザ・カー…
- 09.ディーズ・シティ・ストリーツ
- 10.アイ・ワーク・イン・ザ・クラウズ <日本盤用ボーナス・トラック>
- 11.プレイズ・イフ・ユー・ワナ <日本盤用ボーナス・トラック>
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