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ディラン~マムフォードまで幅広い層に支持される、次世代のアメリカン・ロック界を担うDawes (ドーズ) 最新インタビュー

ドーズ インタビュー

 2009年に『North Hill』でデビューしたLA出身の4人組オルタナティブ・ロック・バンド、Dawes(ドーズ)。60年代~70年代のウェスト・コースト・ロックを彷彿とさせるタイムレスなメロディー&ハーモニーとその卓越した演奏力で人気を博す彼ら。2010年に加入したキーボーディスト以外全員20代にも関わらず、これまでジャクソン・ブラウン(ジャクソンは彼らの2ndアルバム『Nothing Is Wrong』にも参加)、ジョン・フォガティらのバック・バンド、ボブ・ディランのツアー・サポートを務めるなど錚々たるベテラン・アーティストからマムフォード&サンズ、コナー・オバースト、ホージアまで幅広い年代のアーティストからも支持されている。また、フロントマンでメイン・ソングライターのテイラー・ゴールドスミスは、エルヴィス・コステロ、マイ・モーニング・ジャケットのジム、マムフォード&サンズのマーカス、リアノン・ギデンズらとともに、ボブ・ディランの未発表の歌詞に音楽をつけるプロジェクト、ザ・ニュー・ベースメント・テープスにも参加。
 今年6月には通算4作目、自身のレーベルから2枚目となる新作『All Your Favorite Bands』をリリースし、米ビルボード・フォーク・アルバム・チャート1位、ロック・アルバム・チャートで4位に輝いたドーズ。次世代のアメリカン・ロック界を担う存在として注目を集めるバンドのフロントマン、テイラーがインタビューに答えてくれた。

アーティストが価値のある存在であり続けるには、
常に変化し続け、これまでの作品の幅を広げていくしかない

Right On Time
▲ 「Right On Time」 (Live on KCRW)

??新作『All Your Favorite Bands』では、シングル重視ではなく、一つの作品を作り上げようという試みが伺えますが、それはなぜですか?

テイラー・ゴールドスミス:もし僕らが(ホージアの)「Take Me to Church」を書いたとして、それがあれほどヒットしたのだったら、喜ばしいことだと思う。でも、自分たちの創造の流れに逆らうわけにはいかない―僕らが曲を書いて、演奏する方法、それは必然的で、変えようがないんだ。これからもバンドとして成長していきたいし、このアルバムや、前作を気に入ってくれたファンたちに、次のアルバムも気に入ってもらえるか挑戦していきたい。一つのアイデンティティを持った作品として受け入れられる程度に前作とは異なる作品を作りながら、このバンドの可能性を広げていきたいんだ。僕ら、クールなバンドだったことは一度もない。まぁ、僕らは自分たちの音楽が最高にクールだと思ってるけど、一般的にはそうは思われてない。TOP40ラジオでかからないような音楽かもしれないけど、その反面キャリア重視のバンドだと受け止められてるんじゃないかな。それが僕らの夢でもあるんだ。4枚目のアルバムをリリースするとなると、多くのアーティストは“年寄り”扱いされる。少なくとも今の時代だと。僕らをまだ新人扱いしてくれるのは嬉しいことだよ、だってこのバンドのキャリアはまだ始まったばかりだからね。

When My Time Comes
▲ 「When My Time Comes」 (Live w/ Mumford & Sons)

??ドーズは常にツアーを行っているようなバンドなので、曲にすごくライブ感あるのは納得できますね。

テイラー:そうだね。自分たちを象徴するようなステージ上での演奏は既に身につけてる、っていうのはずっと感じてきたことだから。「これが僕らなんだ―これが僕のギター・プレイ、これがドラムの叩き方で、これが僕の歌い方。」って具合に。単純に一緒に演奏したい、ライブをしたい、そして何事も大切にしすぎたらダメだ、というのは分かっていた。結果、このアルバムはこれまで以上に自由で、音楽自体もこれまで以上に喜びに満ちたものになってる。僕らの顔には笑みが浮かんでる、っていうのが分かると思うよ。

??以前ツアーを共にしたことがあるマムフォード&サンズは新作でハードなロック色が増したサウンドへとシフトしましたが、今後ドーズも同じようなことをすると思いますか?

テイラー:アーティストがサウンドをシフトするのはよくあることで、彼らはそれを難なくこなした。でも外部からの圧力があって、違うバンドになることを余儀なくされたんだ。アーティストが価値のある存在であり続けるには、常に変化し続け、これまでの作品の幅を広げていくしかない。でもそれが強制されたものであってはいけないと思うね。

All Your Favorite Bands
▲ 「All Your Favorite Bands」 (Live at WFUV)

??アルバム・タイトルの元となった「I hope all your favorite bands stay together」という詞について教えてください。

テイラー:好きなバンドがその人にとってどのような意味を持っているか、というのは万人共通だと思うんだ。たとえば「この本が好き。」とか、「この大学に通ってた。」、「今この仕事に就いてる。」とかいう表現よりも自分という人間を表しているって僕は感じる。バンドっていうのは、他の表現方法からは得られないストレートな方法で僕らに語りかけてくる。それはアートとポピュラー・カルチャー両方が完璧にバランスされているから。12歳の頃に自分を発見するきっかけとなったバンドに対して、「そのバンドがこれからもずっと活動を続けていけばいいね。」って思えるような感じだね。自分の一部にすがリ続ける方法なんだ、その当時の純粋さにね。

??今作ではプレッジミュージック(Pledge Music)を使いましたね。クラウドファンディングを行ってみていかがでしたか?

テイラー:あぁ、気に入ったよ。より多くの人々にアルバムのことを知ってもらうための施策だったんだ。僕の直筆の詞やインタグラム上で行ってた#songsjustforinstagramの音源を7インチに収めたデラックス・バージョンを作ったり。近年アルバムを売るのは大変だから、やれることをやってみた―他にもたくさんアルバムがリリースされてるわけだし。話題を作り続け、アルバム・リリースに面白味を持たせるための、僕らなりの方法さ。自分たちがリリースしている作品はすべて気に入ってるから、今後もこういう試みを出来る限りやっていきたいと思ってるよ。

Q&A by Nick Williams / 2015年6月18日 Billboard.com掲載

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