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Do As Infinity 『TIME MACHINE』インタビュー

Do As Infinity 『TIME MACHINE』 インタビュー

J-POP/ROCKシーンにおける“異端”の真髄。

最新アルバム『TIME MACHINE』で到達したDo Asにしか鳴らせない音楽、表現できないロックンロール。J-POP/ROCKシーンにおける“異端”の真髄を2人が語ってくれた。

J-POPシーンにおける“異端”=Do Asの個性

--完成したばかりの『TIME MACHINE』について話を伺っていきたいんですが、どんなアルバムになったと感じていますか?

大渡 亮:J-POPシーンの中における“異端”な感じが表現できたんじゃないかな。ロックバンド? ポップバンド? みたいな感じが上手く。

--前作が『EIGHT』ということで、今回のアルバムは“T”から始まるタイトルになることがマストだった訳ですけど、複数あったであろう候補から『TIME MACHINE』を選んだのは?

大渡 亮:いろんなタイプの楽曲、メッセージが盛り込まれていたんだけど、それらをまとめたときに一番自分たちらしくて、それぞれの楽曲に違和感なくハマる言葉が『TIME MACHINE』だったんですよね。このアルバムは全体的に未来へと向かっていく感じもあったし。

--未来へもタイムスリップできますし、表題曲では音楽ひとつでどんな過去へもフラッシュバックできる。それを音楽の素晴らしさとして表現しています。2人にも「この曲を聴くと、あの頃がフラッシュバックする」というナンバーはありますか?

大渡 亮:色濃く残っているのは、ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズの『ノー・ウーマン・ノー・クライ』。声の持つ力強さに慰められるような気持ちになるんですよ。ボブ・マーリィってレゲエのリズムに話が終始されがちなんですけど、人間力みたいなものに惹かれてしまうんですよね。この曲をよく聴いていたとき、たしか恋愛のゴタゴタですごく落ち込んでいて、「女、泣くな」って歌われてるんですけど「男、泣くな」みたいな(笑)。ズタボロだったなぁ~、あのとき。酒呑んでたら泣いちゃうような、励まされる、生きる力をもらった感じがありました。

伴 都美子:私は、習字を12年間ぐらいやっていて、小中学生の頃も頑張っていたんですね。その習字の先生がすごく厳しい人で、教室は大体夜7時~9時までなんですけど、品評会に提出するものとかは、納得いくものが仕上がらないと終われないんですよ。ようやく「よし!出来た!」と思って教室を出る頃には10時近くになってる。それで帰ると、いつも家ではドラマ「金曜日の妻たちへ」主題歌の『恋におちて -Fall in love-』が流れていて。だからあの曲を聴くと「あー!習字疲れた~!」って疲れ果てていた頃を思い出します。

--恋の思い出じゃなく習字なんですね(笑)。

伴 都美子:足はしびれる、お腹は空く、眠い。習字に通っていた頃を思い出します(笑)。

--Do Asの楽曲でもそういうエピソードはありますか?

大渡 亮:俺はやっぱり『深い森』が印象深いかな。デビュー前にすでに曲があって「素晴らしいな」って思っていて。どっぷり暗くなりそうなんだけど、そうはならない感じにも惹かれていったし。そのときはDo Asが12年も続くとは思っていなかったし、売れるか売れないかも分かんなかったけど、こういう音楽を演奏できるグループに参加できてよかったと思ったことを憶えてますね。モチベーションがグッと上がって「これだったら、ちょっと辛いことも乗り越えられそう」みたいな。

伴 都美子:どの曲もいろんな風景が思い出されるんですけど、私は歌手として考えると『柊』が印象深くて。あのときはプライベートと仕事のスウィッチを上手く切り替えられなくて、レコーディングで全然歌えなかった。それぐらい精神的にしんどいことがあったんですけど「プロとしてダメだ~」って思って。後にも先にもそんな風になったことはないんですけど、歌うときの気持ちと歌詞とメロディと、全部がドカドカ来てダメでしたね。泣き崩れてました。反省の念と、当時の辛かったことを思い出します。

--貴重なエピソードをありがとうございます。で、今作のオープニングを飾る『TIME MACHINE』は「音楽の力ってすげぇだろ」ということを明快に表現したロックナンバーで、サウンド的にもイントロの熱量からして尋常じゃなく、Do Asがロックンロールバンドであることを改めて証明してますよね。

大渡 亮:そうですね。リフやキャッチーなテーマというフックの部分が冒頭にあると、その後の他の楽曲も引っ張っていける。だから今回もそのスタイルに乗っ取って、良い流れが作れたんじゃないかな。

--ポップでキャッチーでありながら、音や声ではロックンロールとしてのグルーヴを全身全霊で打ち出していく。『アリアドネの糸』でも顕著でしたが、そこは現在のDo Asにおいて重要視しているところなんでしょうか?

大渡 亮:ダンスミュージック主流のエイベックスに在籍していながら“バンドサウンドを模索する”というのをこの時期にもう一回やっていきたい。それはディレクターの徳田善久さんともよく話していて。せっかくメンバーにギタリストがいるんだから、シンセやベースをテーマに持ってくるのはもう止めようと。昔のDo Asはそんなにギターに固執することはなかったんですけど、最近は“ギターバンドなんだから”という部分が色濃く出ていますね。

--それがDo Asの個性にもなっています。

大渡 亮:やっぱり『TIME MACHINE』や『アリアドネの糸』のような音をシーンに投下していかないと、他との差別化も図れないと思うし。そういうところを拘っていくことが、ひとつの色や個性になったりするから。自分のエゴではなくて、シーンに対して「こういうグループがいても良いはずだ」という気持ちで最近は取り組んでいますね。

--そこは亀田誠治さんがDo Asに求めているところでもあるんですか?(今作『TIME MACHINE』も亀田誠治が全編アレンジを手掛けている)

大渡 亮:亀田さんは逆に楽曲優先なので、今回はディレクターと僕らが「そうかもしれませんが」と、再オーダーすることが何回かありました。そのリクエストを受けてからは、亀田さんも今のDo Asを意識してくれているかもしれない。再結成後最初のアルバム『ETERNAL FLAME』はみんな手探りで、俺と伴ちゃんも「Do Asってこうだったよね?」って思い出すのに必死で、楽曲ありき、雰囲気ありきでアレンジしていったり、演奏したりっていう感じだった。でも再結成後3枚目のアルバムにもなったら、歌詞にもある“譲れない”感じを醸し出さないと、ひとつの色は作れないのかもしれないと思ったんですよね。だからそういうキャラクターを追求していくし、今はその楽しさを感じてモチベーションが上がっています。

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Do As Infinity「TIME MACHINE」

TIME MACHINE

2012/02/29 RELEASE
AVCD-38414 ¥ 3,300(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.TIME MACHINE
  2. 02.アリアドネの糸
  3. 03.Why?
  4. 04.PRIDE
  5. 05.黄昏
  6. 06.誓い
  7. 07.御伽話
  8. 08.恋歌
  9. 09.Sun Shower
  10. 10.もう一人の僕へ
  11. 11.君の為に今できること
  12. 12.Go Ahead!

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