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『洋楽日本盤のレコード・デザイン』特集 著者インタビュー&ディスク紹介
今年2月に発売されたユニークなディスクガイド本、その名もずばり『洋楽日本盤のレコード・デザイン』。50年代から80年代にかけて、洋楽を日本で売るために当時のディレクターやデザイナーがどんな工夫をしたかに着目し、邦題やキャッチコピー、帯やシングル盤のデザインを時代ごとに並べた画期的な一冊です。
今回はその著者であり、長年音楽業界に関わってきた植村和紀さんにインタビューを行いました。さらに、書籍には載せられなかったLPやシングルを中心に魅力的な洋楽国内盤作品をセレクト。その場でのコメントのやりとりと共にお届けします。まずは“魅惑の国内盤レコード・コレクション(LP編)”からどうぞ!
ベンチャーズ 『ライブ・イン・ジャパン』

植村:ベンチャーズの『ライブ・イン・ジャパン』、日本独自編集の独自ジャケットです。これは“赤坂日枝神社シリーズ”といって、本にも載せたんですけど、アニマルズやハーマンズ・ハーミッツも日枝神社で撮ってるんですよ。
--なぜ日枝神社で?
植村:ヒット祈願とかけてるんじゃないですかね。僕は40歳で東芝EMIに入ったんですけど、EMIでは必ず元旦にヒット祈願として日枝神社にお参りするんですよ、洋楽部も邦楽部も。
--なるほど。シチュエーションと言い、衣装と言い、ポーズと言い、面白い絵になってますね。
ザ・ドアーズ 『ゴールデン・アルバム』

植村:あと、これなんかもいいジャケットですよね。ドアーズの『ゴールデン・アルバム』シリーズ。写真自体は「タッチ・ミー」っていうシングルの使い回しなんですけどね。あと、昔のレコードはライナーも味がありますよね。私の場合、『ミュージック・ライフ』の付録も一緒に保管していて。勝手にレコードに特別付録「ドアーズの全て」とか、「アート・ロック・シリーズ」とか書いてるんですよ。たまにスペル間違えたりして(笑)。曲の長さとか、ビルボードの順位とかも全部自分で調べて書き込んでますね。
--これはスゴイですね!
植村:要は自分で買ったレコードを世界で1枚のレコードにしたかったんですよね。売るつもりも全くなかったですから。
オーティス・クレイ『ライヴ・アゲイン』

植村:これは本にも載せようかと思ったんですが、他にもオーティスの日本ライブ編集盤を載せていたので今回は外しました。?このアルバムはリリースしている会社が<ユピテル・レコード>っていう、今はカーナビとかを作ってる会社なんですよね。
キャバレー・ボルテール『HAI!(唯)』

三富(編集):これもオススメですよ。
--こちらも日本公演を元にした独自盤、キャバレー・ボルテールですね。
植村:今回、若い人の目があった方が良いだろうということで、三富さんと山本さんに編集に入って貰えたのも良かったですね。70年代~80年代まである程度網羅できたので。もちろん僕自身もその年代の音楽も好きなんですけど。
山本(編集):でも、これは編集作業中は見なかったような気がするなあ…なんで見つけられなかったんだろう。
--改めてコレクション全体の物量がうかがい知れます(笑)。
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書籍情報
洋楽日本盤のレコード・デザイン
--シングルと帯にみる日本独自の世界
50~80年代の洋楽レコードの日本盤において、日本独自にデザインされてきたシングル・ジャケとLPの帯たち。
レタリング時代ゆえの味わい深いタイポグラフィや、秀逸な邦題が生み出すメイド・イン・ジャパンの世界観は、今なお強烈な魅力を放っています。
本書は、邦題のネーミング・日本語タイポグラフィ・帯デザインを、約800点の図版とともに紹介するグラフィカルな一冊。
東芝音工デザイン室にて、ビートルズ日本盤シングルとLP帯・オデオン・レーベルのロゴなどをデザインされてきた竹家鐵平氏へのインタビューも収録。
展覧会情報
<ミュージックジャケットギャラリー常設展>
2015年4月~6月のテーマ “ JAPANESE LP WITH OBI COLLECTION”&“ SPECIAL LP BOX COLLECTION ”
「日本盤帯付きLPコレクション」「スペシャルLPボックス・コレクション」を展示
開催日:
2015年4月9日・16日
2015年5月14日・21日
2015年6月11日・18日
開催時間:13:00~/14:00~
入場料:無料
※各時間ごと先着20名様限定です。
※2010年4月よりのMJG見学申込みの時間帯が変更となりました。
※都合により、ご希望の時間帯にお受けしかねぬ場合もあること、ご容赦ください。
詳細URL:http://www.kinyosha.co.jp/mjg/
プロフィール
植村和紀(うえむら かずのり)
1953年千葉県生まれ。大学卒業後オリジナル・コンフィデンス社に入社、営業部長、市場調査部長、編集長を歴任。
92年にMSIに入社、フランク・ザッパと直接ライセンス契約、『ペブルス』などの洋楽カタログ制作。
93年東芝EMIに入社、邦楽・洋楽の宣伝・制作を歴任、制作者としてはスパンク・ハッピー(菊地成孔他)、尾崎亜美などを担当。
98年同社デザイン部で編集担当、2006年からT&Mクリエイティブで編集業務を行っている。
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