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シャロン・ヴァン・エッテン 来日直前インタビュー
2014年5月に最新作『アー・ウィ・ゼア』をリリースしたNYを拠点に活動するシンガーソングライター、シャロン・ヴァン・エッテン。その伸びやかで力強い歌声と自身の恋愛体験に基づいた真摯な詞で、ボン・イヴェール、ザ・ナショナルなどのUSインディー界を代表するアーティストから、ツアー・サポートに抜擢されたニック・ケイヴまで、様々なアーティストを虜にしている。そんな彼女が2015年2月23日に来日公演を開催、日本では初となるバンド・セットを披露してくれる。2010年12月以来、約4年ぶりの来日を控えるシャロンに電話インタビューを決行。この日、記録的な大雪に見舞われたNYの自宅から、自身のパフォーマンスの遍歴や久しぶりの来日について語ってくれた。
自分のことを身近に感じて欲しいし、
私の様々な側面を見てもらいたい
――今回は、シャロンのパフォーマンス中心に話を訊きたいと思うのですが、初めて人前でパフォーマンスした時のことを憶えてますか?
シャロン・ヴァン・エッテン:小さい頃、ダンスを習っていて、他にもヴァイオリンとピアノを習っていたから、習い事の発表会やリサイタルではよくパフォーマンスしていた。その頃ものすごくシャイで、人前に出る機会があると、とても、とてもナーヴァスになっていた。でも、そのわりに一旦ステージに上がってしまうとスリルを感じた。変よね(笑)。
自分の曲を初めて人前で演奏したのは、高校生の時。友人に学校のタレント・コンテストに出ないか、って誘われたのがきっかけ。アムネスティ・インターナショナルのチャリティ・イベントでもあったから、人助けになると思って。緊張のあまり、泣き出してしまったけど、演奏が終わったら、とっても爽快な気分になった。
――因みに、どんな曲?
シャロン:ギターで作った曲で、とにかく酷い曲だった(笑)。今訊かれて、久しぶりに詞を思い出したけど、「Every time I look into your eyes / I wanna stab them out and hang them in the sky (あなたの瞳を見つめる度に/目をえぐり出して、空から吊るしたい)」みたいな感じだったと思う。
――かなり生々しい詞ですね(笑)。
シャロン:本当よね!当時ウィーンが大好きだったから。
――なるほど、納得です。
シャロン:でしょ?その頃は、可笑しな曲ばかり書いていた。「There's a gangster in the corner / Hands blowing in the wind」とか、シンプルでジョークっぽい曲。今のような、ヘヴィーな曲を書きだしたのは、10代後半~20代前半頃。
▲ 「Every Time the Sun Comes Up」 MV
――その頃は、テネシーからニュージャージー、ニューヨークと拠点を変えていますが、それらのヘヴィーで、パーソナルな曲を人前で演奏するきっかけとなったのは?
シャロン:私にとって、この時は“過渡期”だった。当時、一足早く“中年の危機”を迎えていたのを、美化した表現だとも言えるわね(笑)。20代前半になって、実家に転がり込んで、近所のリカーショップでバイトをしながら、再び大学へ通い始めた。同時にセラピーにも行き始めた。どういう人生を歩んだらいいか、模索していたの。両親のことは大好きだけど、ずっと実家にいるわけにもいかないし。彼らは本当に素晴らしくて、励みになるような言葉をかけてくれたり、相談にも乗ってくれて、今後どうしたらいいか、一緒に考えてくれた。だから、とても感謝してる。
当時、セラピーの一環として、曲をたくさん書いていた。ダークで、孤独な気持ちになった時、その何年間の間に経験したことを曲にしていたの。そしてある日、友人にペンシルヴェニア州にあるオープンマイクに参加することを進められた。私の親友ショーン―彼とはニュージャージーで知り合って、一緒にオープンマイクに行ったり、ハングアウトしたり、演奏もしていた。自分が生まれ育った地で、大人になってから初めて出来た友人で、私が人前でパフォーマンスすることを後押ししてくれた。そこから、すべてがスタートしたの。
――シャイだったシャロンが、パーソナルな楽曲を人前で演奏することは、とても勇気がいることだったと思います。
シャロン:お酒の力を借りて気分を上げて、観客に「みんなのことを泣かせたい。」って、言いながら演奏してた(笑)。ジョークを言って、観客を和ませるの。すごく怖かったし、緊張したけど、人前で演奏したいっていう意欲に溢れていた。理由は、今でもわからない。でも、必然だったんだと思う。
――シャロンのユーモア溢れるMCは、パフォーマンスの魅力の一つでもありますしね。
シャロン:アハハ!でも、そう言ってくれて嬉しい。人と話すのは好きだし、私が演奏をするのは人と繋がりを感じたいからでもある。自分のことを身近に感じて欲しいし、私の様々な側面を見てもらいたい。曲の合間に話しかけられたら、出来る限り答えて、観客全員とコミュニケーションを図りたい。その為に、同じ場所に集まっているんだから。
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リリース情報
来日公演情報
Sharon Van Etten
東京:2015/2/23(月) ビルボードライブ東京
>>公演詳細はこちら
INFO: http://www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
シャロン・ヴァン・エッテン / Sharon Van Etten (Vocals, Guitar, Keyboards)
ヘザー・ウッズ・ブロデリック / Heather Woods Broderick (Keyboards, Vocals)
ダグ・キース / Doug Keith (Guitar, Vocals)
ブラッド・クック / Brad Cook (Bass, Vocals)
ダレン・ジェシー / Darren Jessee (Drums)
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