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WRECKING CREW ORCHESTRA presents DOOODLIN' Special Interview

DRAMATIC SOUL インタビュー

 昨年、見事な「光のダンス」がTV画面に現れるや日本はもとより世界の話題をさらったダンサー集団、WRECKING CREW ORCHESTRA(レッキンクルーオーケストラ)。数々の世界的ダンスバトル/コンテストを制してきた超実力派ストリートダンサーたちが集結したこのグループは、ストリートダンスの世界では国内外問わず説明不要のトップ・グループ。様々なパフォーマンスで見る者を圧倒してきた彼らが、Zeppブルーシアター六本木で行われるロングラン公演『DOOODLIN’』で新たな挑戦を仕掛ける。そのリーダー、YOKOIが「見る者の心を震わせる」そのダンスについて語ってくれた。

自分たちにしかないものを徹底的に創りあげようという思いがあった。

??WRECKING CREW ORCHESTRA(以下WCO)が大きな注目を集めるきっかけとして、ELワイヤーを使った「光のダンス」(EL SQUAD)があり、今回の舞台でも大々的にフィーチャーされていますが、そもそもそれを活かす下地としてダンスのスキルやアイディアを生む力が必要ですよね?

YOKOI: まずWCOは「独自の世界観」とよく言われるんだろうけれども、そんなに「独自の」とか「他とは違うものを」と思っているわけではないんですよね。もちろんオリジナリティは求めてますけどね(笑)。僕らは別に舞台のリハーサルがなくてもほとんど毎日一緒に集まって練習したり話をしたりしてるんですね。それを結成時から10年以上ずーっと続けてるんです。だから、僕ら特有の世界観だったり共通言語があるんです。そういう共通の感覚が家族ぐらいのレベルで作り上げられてるんです。

??毎日!それはすごい!

YOKOI: 普通は世の中にあるたくさんの作品を見て、影響されたりいろんな部分を吸収していくんだろうけど、僕の場合は舞台を始めた当時はそれをわざと遮断してたんです。素晴らしい舞台やエンターテインメントはたくさんあるから、いろんなものを見ちゃうとどうしても既存のものと似通っていってしまうような気がしてたんです。



??なるほど。

『Get Lucky』MV
▲ "Get Lucky" - Wrecking Crew Orchestra | STAGE - Dance Videos

YOKOI: だから昔は、自分の思い描くストリートダンス観をまず色濃くして、自分たちにしかないものを徹底的に創りあげようという思いがあった。さらにそれをWCOという限られた中で揉むことで、新たなものが生まれるんじゃないかって思ったんです。それってある意味、独自のスタイルが生まれるか何も出ないかの賭けみたいなものだったかもしれませんね。でもその中でで創りあげてきたからこそ、自分たち独自のものが出来上がっていったのかもしれません。

そして、ある程度やれることが広がってきたいま、いろんなものを見て勉強しているんですけど(笑)

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    ELワイヤーを使ったパフォーマンスがでてきた
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「ここで瞬間移動できたらいいのに!」と思っていたら
ELワイヤーを使ったパフォーマンスがでてきた

??似通ったものになるといえば、日本だけでなくアメリカなどでもいろいろな形で光とダンスを連携させたパフォーマーが出てきていますが、どう考えていますか?

Wrecking Crew Orchestra / EL SQUAD Code 17.2 | STAGE - Dance Videos
▲ Wrecking Crew Orchestra / EL SQUAD Code 17.2 | STAGE - Dance Videos

YOKOI: 現在、EL SQUADの模倣というかコピーをしたグループは世界にたくさんいていますが俺らとは根本的に違うんですね。自分たちの地盤には徹底した世界観とか音楽表現がある。EL SQUADも元々「光ったら面白い」というものじゃなくて自分たちの拡張表現なんだと思ってるんですね。例えば普段踊っていて「ここで瞬間移動できたらいいのに!」とか「ここの音の部分で体ごとふわっと浮けたら、すごい盛り上がる!」だったりと、ダンス作品を作ている上で生まれた発想であり、自分たちの能力を拡張させた表現なんです。EL SQUADだったら人があっという間に瞬間移動したり、そういった不可能なことが実現できる。

??それは面白いですね! あの光が使えるから考えた演出ではなく、「瞬間移動したい」と思っていたら使える道具がでてきた?

YOKOI: そうですね。もともと2008年くらいにKanye WestとかM.I.A.とか海外のアーティストがELワイヤーの衣裳を使ってライブをしてた時があって。最初はもちろんDaft Punkだったと思うんやけど。単純に最初は未来っぽくてかっこいいやん!と思ってたんだけど、よくよく考えてみたら「これってオレたちがやりたかったことができるんじゃない?」「新しいものが作れるんじゃない?」みたいなところから始まった。
 さらに今回の『DOOODLIN'』を創る上でも、いままで音楽の表現にこだわってきたからこそ伝えられる方法論を考えている。音楽の中にもともとあるストーリーの上に、自分たちが持っている身体表現のストーリーを加えることで何倍にも増幅させることができる。そういう緻密に計算された表現や作品構成があるからこそ、EL SQUADがいろいろな人に受け入れられたんだと思う。それをいくら模倣しても、いくら奇抜な衣裳にしてものすごい光ったとしても、人の心に響く根本的な表現や生身の体がもつ身体表現がないと絶対に伝わらないし、一回見ただけで飽きられてしまいます。

??納得です。逆にいうと、舞台を作るとなるとダンスそのものを磨くだけではなくて、演出や構成、衣裳、セットなどなど、外側でやることが多くなりますから、それだけ大変ですよね……。

YOKOI:ほんとに(突然大声で)大変(笑)!!

(同席のメンバー演出家コトバタクミ)まさにいまが大変の真っ最中(笑)。

?? (笑)

YOKOI: 今回の『DOOODLIN’』はいままでの自分たちの舞台の中でも最大スケールでやってるし、テディ・ロイドや小林岳五郎といった素晴らしいアーティストと一緒にオリジナルの曲を作ったりするのも楽しいですが、作業が膨大すぎて本当に(再度大声で)大変(笑)!!
ただ好きな曲を選んで振付けを作るようなものとはまったく違うことだから……でもこれが新しい次元のダンスだと思うし。

 

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    そういう世界が見せられるんじゃないかな。
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そういう世界が見せられるんじゃないかな。

??さらに今回はプロジェクション・マッピングやシースルースクリーンも大々的に取り入れるということですが、どんな仕掛けになるのか、説明できる範囲で教えてもらえませんか?

YOKOI: プロジェクション・マッピング自体は一昨年の『COSMIC BEAT』っていう舞台でも使ってたけど、ダンスとの融合っていうほどのモノではなかった。今回の『DOOODLIN’』は、セットデザインの時点からプロジェクション・マッピングが面白く見えるように計算して作っています。今いろんなところでプロジェクション・マッピングと呼ばれているものの多くは、実は本来とは違うものだったりしますよね。

??ただ映像を映しているだけ、というやつですね?

『COSMICBEAT』MV
▲ "COSMICBEAT" Ending Theme - Wrecking Crew Orchestra | STAGE - Dance Videos

YOKOI: そうそう。そもそも立体物に映像を映して、その形を変えたりして見せる面白さがプロジェクション・マッピングやから。だからお客さんはきっとセットと映像の部分を見るだけでも「こんなに面白いの!?」って思うはず。さらにさっきも言ったように確固たるダンス表現がミックスされることで、目の前でまるでCGのような現実では見れない事が目の前で起きるから「なんじゃこりゃ!?」ってなるような世界が見せられるんじゃないかな?よりエンターテインメント性を高めているから、絶対に面白いと思う。

「わあ! すげー! 感動した! よっしゃ、俺もがんばろー!!」みたいな(笑)

??そのエンターテインメントにもこだわっているからこそのステージ作りだと思いますが、人を楽しませたい、という意識がやはり強いんですか?

YOKOI: ダンスって自分との戦いというか、わりと「内側」でやっていく人が多いものなのね。自分磨きみたいな。でも僕は踊り始めた時から人に見せることが前提でした。「誰かに自分のダンスを見て感動してもらいたい」っていう思いがすごくあった。自分が影響を受けたダンスを見た時に、心が震えたからだと思うんですね。それで自分もそんな風に人に何かを伝えられるダンサーになりたいと思ってやってきた。だから舞台をやるようになる以前から音楽が本当に視覚化されるような、そして音楽がより伝わるようなダンスがしたいと思ってたから、現在の自分のスタイルが生まれたんだとも思います。
さらに舞台で踊るようになっても、伝えたいメッセージはもう単純で、「わあ! すげー! 感動した!よっしゃ、俺もがんばろー!!」みたいな(笑)。ただそれだけなんですよね(笑)。作品内で葛藤とか混乱とかを表現することもあるけど、舞台全体としてただ楽しかっただけじゃなくて、何かわからなくても心が震えるという感覚を感じさせたい。

??まずダンスって楽しいものですから、そこが伝わればということですね。

YOKOI: そう、それこそ『DOOODLIN'』のコンセプトにもつながるんやけど、子供の頃と何も変わらへん。踊るのって楽しいやん、「心躍る」っていう言葉そのまま。そういう感覚が普段踊らない人にも伝わって、一緒に体を揺らしたくなったりとか気持ちだけでも一緒に踊って「うわー、すっげー楽しい!」と思ってもらえるといいかなと。それが一番じゃないかと思うんです。
 だから今回の『DOOODLIN’』は今の僕らにしかできないエンターテインメントの表現をそこにつめ込んでる。プロジェクション・マッピングもそうだし、もちろんEL SQUADの光のダンスもそうだし。実はそれ以外にもいろんなギミックを準備しています。子供が思いつくような「こんなことできたら面白い!」とか「あんなことやってみたい!」とか、そういったイメージをいろんなテクノロジーも使って具現化しています。それにもちろん根本的には僕たちのダンスで心を震わせたいわけだから、ストリートダンスのかっこよさにも強烈にこだわってます。

 『DOOODLIN’』は今、僕らにあるクリエイティヴィティの集大成。本当の意味で誰もが楽しめるものになると思いますので、いろんな人に見ていただきたい!

Interview: Omizu, Jiro

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