Special
SuG『BLACK』インタビュー
構想10年。複雑なSuGストーリーを解き明かす『BLACK』。
SuGのこれまでの音楽と人生は、すべてこの為にあった。その生き様をさらけ出して刻み付けた音楽は、世界を振り向かせることができるのか。全音楽ファンを巻き込む革命劇、刮目せよ。
一回失う覚悟をするべきだと思ってました、復活する前から
--つい先日、東京女子流とのツーマンがありました。yujiさんの女子流愛が成功に導いた公演だと思うんですが、いかがでした?
yuji(g):あんなに女子流ファンがウェルカムだと思わなくて。自分が女子流のライブを観に行ってたときは、そんなにはしゃぐ系じゃなかったので、アイドルファンの中では楽しみ方が上品な印象だったんですよ。だからあんなに大声出して、ウェルカムな感じで盛り上がってくれるとは思わなかったから、すげぇビックリしました。すげぇやりやすかったです。--ももクロ、ベビメタ、BiS等、アイドルとの対バンは得意としているSuGですが、女子流とのツーマンであそこまでの一体感を生めるとは思いませんでした。いよいよ誰が相手でも成立させられるバンドになったなと。自分たちではどう思います?
yuji:アイドルファンは自分たちのファンより盛り上がってくれるから(笑)。1月12日にやったファンクラブ限定ライブとか、本当にビックリするほど声がちっちゃいというか、最近のライブではぶっちぎりでノリが悪くて。記念っぽいライブになると急に大人しくなる。それに比べると、あの日は逆に女子流ファンのほうが盛り上げてくれていたというか。--異端児フェス、SuGフェスをはじめ、最近は異種格闘戦的なイベントに積極的に臨んでいきました。攻め過ぎた組み合わせゆえ券売面では苦戦を強いられるイベントもありましたが、それでもやってきたことに価値はあったなと感じています?
武瑠(vo):自分たちはそんなに変わらないと言えば変わらないんですけど、一番はファンが成長したこと。「こんなに自由でいいんだ」ってみんな吹っ切れてくれた。アイドルファンとか他のバンドのファンと紛れることによって、「こんなにライブって楽しんでいいんだ」って気付いてくれたことが一番大きかったです。あとは、何でもやるしかない。SuGはジャンルに守られている状況じゃないものを創っていっているので、ああいう風に誰とでもやっていくしかない。--年末のワンマンライブでは、「本当に今年は挑戦の年でいろんなことをやりました。ついてくるの、本当に大変だったと思うんですけど」と仰っていましたが、それを分かりながらも荊の道を進んでいくこと、ファンにも荊の道を進ませるのはどんな気分だったんですか?
武瑠:どんな気分? そんな余裕なかったです。ただ進むしかない。結局「ついてきてください。お願いします」って相手に合わせた感じだとずっと続かないんで。何よりも自分たちが一番良いと思うものを届けて、それで好きになってくれる人がついてくる。それしかない。だから一回失う覚悟をするべきだと思ってました、活動休止から復活する前から。一回人気は下がるだろうなって。それは新しいことに挑戦する上では確実に起こることなので。--では、実際に「SuGは変わってしまった」「ヴィジュアル系じゃなくなった」とファンが離れていくこともあったと思うんですけど、そこは冷静に見ていた?
武瑠:そうですね。もちろんショックだし、悲しいなと思うけど、そうなるだろうなって。逆にそこらへんにずっと気を遣ってたら何も変わらないし、復活しないほうがよかったので。活動休止した意味がない。--ただ、怒涛の2014年を経て、その活動の全ての理由を解き明かしてくれるニューアルバム『BLACK』が完成しました。昨夜も「マスタリング終了」とツイートで喜んでいましたが、今の率直な感想は?
武瑠:創ってるときから手応えはデカくて。これは確実に転機になるアルバムになるんじゃないかなと思いました。--「バンドを活休するという選択をしてまで、創り上げた世界観」とコメントされていましたが、あの活動休止がなければこのアルバムはなかった?
武瑠:なかった。一番好きな原点に立ち返った時間になったし、復活後のライブの熱とかもそのまま反映されているので。いろんなジャンルと戦っていく挑戦があったからこそのアルバム。さっき「誰が相手でも成立させられるバンドになった」と言ってくれましたけど、このアルバムはまさにそれ。誰だろうが「良い」って思わせられるものが出来たんじゃないかなと思います。--そこを目指してのこの数年間の動きだったと。
※Pastel Horror Yum Yum Show - SuG(PV FULL)
--10年前から構想していたものを10年間形にできなかった。そこのジレンマはなかったんですか?
武瑠:ジレンマもあったし、今じゃ出来ないって気持ちもあったし、あとは「怖い」っていう気持ちが一番強くありました。「今やったら成功しないんじゃないか」とか、「これを出して受け入れられなかったら、自分の理想像ってもう形に出来ないんじゃないか」とか、そういうのはありました。自分のまんまだからこそ怖い。写真も服も曲もロゴも言い訳なしで今のSuGだし、昔からずっとやりたかったことなので。誰かに合わせてとか、そういうことじゃないから。--yujiさんは、今の話を意識しつつの曲作りだったんですか? ここ数年は。
yuji:っていうよりもひたすら曲を書いて、どれかが武瑠に引っ掛かればっていうところでずっと作ってきていて。で、曲が決まってからアレンジで……例えば「overflow」にヒップホップっぽい打ち込みは元々入ってなかったんですけど、そういうテイストを混ぜたいって話を受けてから変えたりはしましたね。 武瑠:あと、制作期間が3年ぐらいあったんで、すごく大まかなプロット/企画書だけは作って渡してはいました。以前は「今回のシングルはこういう音楽だ」って最初から話していたんですけど、今回はそこまで詰めないで、世界観の説明に写真とデザインだけ加えて渡して。それでみんなでワァーって曲書いて、その中でハマるものを選んでいく流れでした。--世界観としてはどんなものを目指したアルバムなんですか?
武瑠:音楽的にはSuGのカラフルさが一段上になって、いろんな色を塗り重ねていった結果として黒=BLACKになる。今までのシングルのいろんなカラースプレーの色が重なって『BLACK』っていうアルバムになるっていうのは、すごく綺麗な伏線になるなって思ったんです。あと、生まれたときって目を閉じてるから黒いじゃないですか。死ぬときも目を閉じるから黒い。でも生まれてそのままの0の状態の黒と、100だったら100の人生を経て目を瞑ったときの黒は、全く違う意味を持つんじゃないかと。挑戦も0の状態で諦めるのと、100までやりきって辞めるのは全然意味が違う。そういう意味で何事も挑戦……って言うとすごく明るいイメージがあるけど、ただもうやるしかないし、そういう黒のほうがちゃんと意味がある。その黒から始まって黒で終わる人生の中で目を開けているうちは、いろんなカラフルな景色を見たい。その為にいろんな挑戦が必要だなっていう。--SuG武瑠 原作・監督 短編映画『WE CRY OUT HELLYEAH』でも描いていた世界観ですよね。
武瑠:そうです。「頑張りたい」とか「夢がある」とか「幸せになりたい」とか、そういう前向きなイメージじゃなくて、ただそっちのほうがドキドキするから。そういう話です。--まだ僕は今の時点ではラフミックスしか聴けてないんですけど、アルバム『BLACK』には心底驚きました。マキシマム ザ ホルモンからブンブンサテライツのファンまでリーチできる。
yuji:なるほど(笑)。 武瑠:ハハハハ! そのキーワード、ちゃんとハマってる!--でもそのすべてがちゃんとSuGである。ヴィジュアル系ファンが求める色気もあるし、何なら表題曲とか『アナ雪』ファンにも刺さるんじゃないかと。
武瑠:普遍的なストリングス使ってますからね(笑)。- < Prev
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リリース情報
BLACK
- 2015/03/04
- <3939BOX>[PCCA-4155]
- 定価:5,940円(tax in.)
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関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:内山直也
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