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「愛、エネルギー、そしてエンターテインメントをファンへ届けたい」― “最後のアルバム”をTLCが語る
世界中で6,500万枚以上のセールスを誇り、米ビルボード・シングル・チャートでは4作品で1位、5度のグラミー賞受賞経験を持つ、最強のガールズ・グループ、TLC。T-ボズ、レフト・アイ、チリの3人組として活動していたが、2002年にレフト・アイが事故で他界。その直後に発表した『3D』から約10年以上スタジオ・アルバムをリリースしていなかった彼女たちが、新たなアルバムを制作するために人気クラウド・ファンディング・サービスKickstarterを利用したキャンペーンを行うことを発表した。今作が「最後のアルバム」と語るチリが、近況、新作を制作することになった経緯や長年支えてくれたファンへの熱い想いを語ってくれた。
(ダラス・オースティンは)
他のどのプロデューサーよりTLCのことを理解している
▲ 「CrazySexyCool: The TLC Story」トレイラー
??なぜこのアルバムをKickstarterを使って作ろうと思ったのですか?
チリ:いくつか要因かあるの。かなり前、マネージャーからKickstarterのことは聞いていたから、その当時から種をまいていたのかもしれない。私は大半の人より遅くTwitterを始めたけれど、それ以前からファン達に「いつカムバックするの?新曲がもっと聴きたい!」と言われていた。そして私たちの自伝ドラマが(VH1で)放映された時に、すごくたくさんの数のリクエストをもらった。私たちのファンはとってもクリエイティヴで、新しいアルバム・ジャケットはこんな風にしてほしい、って自分たちで作成したアイディアを送ってきたりするの。たくさんの愛を私たちに与えてくれるから、「ファンを交えた形で、これをやらなきゃ。」って思ったのよ。
??Kickstarterでやることになる前、レコード会社と話はしていたのですか?条件が合わなかったのですか?
チリ:全然違うわ。自伝ドラマをやった時に、L.A.リードと再び仕事をした―サウンドトラックに収録された曲(「Meant to Be」)を作って、それはそれでいい経験だった。彼とは素晴らしい時間を過ごせたけど、今回のやり方だとクリエイティヴ面において私たちが完全に主導権を握ることができる。相談をして、意見を聞くのは、ファンだけ。それ以外にいない。普通のやり方でやらないのがTLCよ。すでに常識はずれなところから、さらに前進してきた。もし箱の中に捕らわれていると感じたら、おかしくなりそうになる。『ファンメール』でも、アルバム・ジャケットの中に何千人ものファンの名前を載せて、アルバムをファンへ捧げているから、今回の試みは私たちにとって新しいことではない―ファンを巻き込むという部分では。Kickstarterは、私たちにピッタリ。最近知って、じゃあ、やってみようと思ったわけではないの。きちんと下調べをして、Kickstarterの担当とも話し合いをしてきた。素晴らしい人々で、私たちと仕事をすることにエキサイトしてる。このコラボに関して、とてもいい予感がしてるわ。
??支援に対して、どのようなものをオファーしているのですか?
チリ:楽しげなものをたくさん用意してる。T-ボズと私が暗闇が嫌いなことを、みんな知ってるからTLCのライトや、私たちはつなぎ服が大好きだから、ファンたちとつなぎ服を着て、お泊り会をする権利とか。他には、私と一緒にエキササイズできる権利なんかの、パーソナルなものもある。あげられるようなものもある―実際に手で持てるようなもの。でも、やっぱり大好きなファンと一緒に時間を過ごすことほど貴重なものはないわ。
??曲は作り始めたのですか?
チリ:今は、レコーディングに適した人材を探してる。適したプロデューサー、適した作曲家。全員と繋がりを感じることが出来なくてはダメだし、相性も大事だから。そこが欠けていたら、どんなに素晴らしいプロデューサー、作曲家を起用しても、“魔法”は起こらない。現状ではその部分の作業をしていて、今のところイイ感じよ。みんなTLCがいい音楽を作ることを待ち望んでる。
??自伝ドラマのために作った曲には、ニーヨが参加していましたが、彼はアルバムに参加するのですか?
チリ:そう願ってるわ!2人とも彼の作品の大ファンで、とても才能豊かだし、私たちのこともよく理解してくれている。彼には、是非参加して欲しい。この話から、唯一彼を遠ざけるのは、彼自身のプロジェクトだけだと思う。今、自分のアルバムで忙しそうだから。でも、もし時間が合えば、素晴らしいわね。
??他には、誰に参加してもらいたいですか?
チリ:何人かいる。でもビッグネームというわけではない。私たちのヒット曲はみんなが知っているような人々によって書かれたものではないから。ダラス・オースティンに初めて出会ったのは、彼がまだ駆け出しの頃。彼は、TLCの4人目のメンバーのような人物だった。このアルバムについて彼に話したら、とても興奮してた。他のどのプロデューサーよりTLCのことを理解しているし、私たちと仕事をすることを喜んでいる。「是非参加させてくれ!」って言われたもの。
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愛、エネルギー、そしてエンターテインメントをファンへ届けたい
??今作は、TLCとしての作品ですが、他界してしまったレフト・アイの未発表音源などでの参加はあるのですか?
チリ:知っているとおり、前作『3D』の制作中に、彼女は亡くなってしまった。その当時、唯一レコーディングされた彼女のラップが収録されているのが「Girl Talk」で、あの曲のために彼女がラップしたものなの。その頃、彼女は自分のソロ作品の制作を行っていて、TLCの音楽性とは異なる方向へ進みたがっていた。私たちは、それを完全に理解していたし、彼女の意見を尊重して、サポートしていたけれど、彼女が作っていた音楽は私たちが作っているものとはかなり違う。当時、アルバム(『3D』)を完成させるために使えるようなパートは、一生懸命探した。あなたの質問に答えると、多分参加することはないと思うけれど、「ノー」とは言わない、そのアイディアに抵抗はないから。どちらにしろ、私たちの“シスター”をどれだけ愛しているか、みんなわかっているはずよ。私たちのライブを観に来てもらえれば、彼女の存在が感じとれるから。
??無理矢理という感じにはしたくないでしょうし。
チリ:私たちのファンは分かってくれると思う。それが無理矢理か、自然でいい出来かと言うのが。自伝ドラマが公開された時、私たちの“シスター”役のリル・ママが、どんな風に彼女を演じたか。熱狂的なファン達は、彼女の演技があまりにも素晴らしいかったから、彼女と恋に落ちてしまったぐらい。だから、彼女がレフト・アイの代わりとして、私たちと一緒にライブをやったりしても平気なの。そういった偽りのない、オーセンテイックなことが出来るのであれば、やると思うわ。
??リル・ママにアルバムに参加してもらったらどうですか?
チリ:分からないわ。どうかしら、まだコラボレーションの部分まで進んでないから。今はファンのみんなへ「こういうことを、みんなと一緒にやりたい。アイディアはたくさんあるけど、みんなもアイディアをたくさん持っているのは知ってる。だって、Twitterを通して教えてくれるでしょ(笑)。」って伝えたいの。TwitterやInstagramにログインすると、ビックリさせられるようなものに毎日遭遇する。私たちには音楽を愛する気持ちがまだ残っている、そしてその気持ちはこれからも私の心の中で生き続ける。私が一番最初に夢中になったことの1つは、ステージに上がり、パフォーマンスをすること。だから再びそう出来るのが待ちきれない。でも、まずはみんなが気に入るような作品にしなきゃ。
??今作を最後のアルバムにするというのは、どのように決意したのですか?
チリ:私たちは、素晴らしい作品に恵まれてきた。こんなにもみんなに愛される曲ばかりのバック・カタログに恵まれ、そこに新たに加えられるような作品を作り、それを最後のアルバムだ、と言えるのはとても稀なことだと思う。今後どうなるかわからないけれど、私たちにとって大事なことだからきちんとやりたい。今後8枚アルバムをリリースするとか、みんなに嘘はつきたくないの。今取り掛かっているアルバムは、私たちにとってすごく重要な作品。そうでしかない。もし何年か後に、思いがけないことが起きて、もう1枚アルバムを作ろうと思った時、「もう1枚作ることにした。」と言うことがあるかもしれない。けれど、今はこのアルバムが最後だと感じてる。これまでのバック・カタログに追加するような新しい作品を作るということは、みんなが深く愛する過去の作品と並べても引けを取らない曲を作らなくてはならない。そうじゃなければ、酷いものは酷いって、みんなが教えてくれるわよね(笑)。
??プレッシャーに、なりませんか?
チリ:もちろん。でも、何に関しても私たちは常にナーヴァスになってる―なんでも当たり前だと思っていないから。愛、エネルギー、そしてエンターテインメントをファンへ届けたい。聴いた後に、「わぁ!彼女たちは、まだ私のことを愛してくれている。」って感じて欲しい、その通りだから。お金のためにパフォーマンスしてるんじゃない―自分たちがやっていることをただ愛しているの。すべての作品が、基準に達しているか確かめるのは大事なこと。もし曲の内容やサウンドがしっくりこなかったら、やらないというのは本当よ。新しいTLCダンスも作らなくちゃ。いくつか、もうすでに考えついてる。新しいダンスに合うような、クレイジーな衣装も考えなきゃ―これはKickstarterのファンたちに相談するわ。たとえば、マイケル・ジャクソンが―彼は私の旦那で、私のベイビーなの―もし私が「Thriller」で彼が着用していたジャケットを選ぶのを手伝ったと言うことができたら、それってすっごくクレイジーなことじゃない?今後ずっと忘れない思い出になるわよね。
Q&A by Joe Lynch / 2015年1月19日 Billboard.com掲載
"Waterfalls" Music Video
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playlist:ヴェリー・ベスト・オブ・TLC
2012/08/08 RELEASE
SICP-3623 ¥ 1,362(税込)
Disc01
- 01.エイント・2・プラウド・2・ベッグ
- 02.ベイビー・ベイビー・ベイビー
- 03.ホワット・アバウト・ユア・フレンズ
- 04.クリープ
- 05.レッド・ライト・スペシャル
- 06.ウォーターフォールズ
- 07.ディギン・オン・ユー
- 08.ノー・スクラブス
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- 10.アンプリティ
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