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吉田山田『吉田山田シングルズ』特集インタビュー
2014年「日々」のロングヒットと共に、各人気テレビ番組へ引っ張りだこ状態になるほどのブレイクを果たした吉田山田。今回の特集では彼らがここに辿り着くまでの日々、そして彼らの音楽に救われた(?)女の子の日々をお届けします。
◎吉田山田インタビュー ~吉田山田の日々~
初めてのMステ「俺、このままテレビ出ちゃダメだ!」
--今年1月『吉田山田』リリース時以来のインタビューなんですが……いやぁー、売れましたね。吉田山田。
山田義孝:どうなんですかね? 吉田結威:どうでしょう? あの……全くお金が入ってこない。 山田義孝:信じちゃうから(笑)。逆に聞きたいんですよね。いろんな人に「キテるねぇ!」とか言われるんですけど、「本当にキテるんですか? 今」って誰かに確認したい。いろんなテレビ番組に出させて頂くようにはなったんですけど、前から街中で指さされたりはしていたんで。こんな恰好してるんで。だから日常的に何かが変わった印象もなく。 吉田結威:今、僕ら自身としてはそれをちょうど精査してるところなんですよ。初めてのことが本当に多いので。ずっと出たかった番組に出させてもらったりとか、自分たちのステージが上がってきているのは分かるんですけど、それがこの日本のどんな人たちにどれぐらい届いているのか、精査している。例えば、先日、北海道でインタビューを受けて、そのインタビュアーの方が前日に女子大に講義をしに行ったらしくて、「明日、吉田山田っていう2人組にインタビューするんです」って言ったら、9割ぐらいの女生徒が知っていたらしいんです。--完全に売れてるじゃないですか。
吉田結威:そういういろんな人から聞く「そんなに知ってくれてるんだ?」っていう話を自分の中で重ねていって、実際にはどれぐらいの人が知っているのかを考えている最中なんだと思います。だから売れてると言われればそんな気もするし、これだけテレビに出させてもらっても「まだまだ知らない人は山ほどいるな」とも思うし。--初めて出演した『ミュージックステーション』はいかがでした?
山田義孝:吐くかと思いました。--(笑)。緊張で?
山田義孝:そうですね。錚々たる出演者じゃないですか。目の前にPerfumeさんがいて、ちょっとした待ち時間に「あ! 話題の人たちだ!」って僕らに向かって言うんですよ。「いやいやいや、何これ?」って思うじゃないですか。僕らの憧れとか、僕らが知っている著名人が僕らのことを知っていたときに「へ? 僕らのこと知ってるの?」ってなります。ドキっとしますよね。 吉田結威:あと、山田が今まで取ったことのない行動を取り始め……出演10分ぐらい前になって急に楽屋の電気を消し始め、ヘアメイクさんが髪の毛セットしてくれたにも関わらず、和室の床に寝始めたんですよ。それで「すみません、スネにハンドクリームを塗ってください」っていう……あ、これはもうアレかなと思って。「怖い!怖い!怖い!」と思いながらも、「スタッフの皆さん。ちょっと今集中したいみたいなんで、そうさせてあげてください」と伝えて。--凄い状況ですね。
吉田結威:なんかでも「成長したな」と思うのは、そういった初めての仕事のとき、自分が何を求めているかそれぞれ分かるようになってきたっていう。楽屋を真っ暗にしてスネにハンドクリーム塗ってくれって言ったら、もしかしたら「こいつ、本当に頭おかしいんじゃないか」と思われるんじゃないかな?と気にして言えなかったりして、結果的に緊張しすぎて仕事をトチったりとか、そういう失敗もこの5年間で繰り返してきたんです。でも正直言って良いパフォーマンスができれば、裏で何があってもいい訳ですよ。多少のワガママがあっても「楽屋で集中させてください」「2人だけにさせてください」って言うのもアリだし、そういう「こうすれば緊張が和らぐ」とか、今自分が何を求めているか分かるようになった、言えるようになってきたのは成長かなって思いましたね。--なるほど。
吉田結威:初めての『ミュージックステーション』だったからもちろん緊張したし、その話をプロデューサーの方にしたら、その方が「でもね、初めての緊張って1回しかないから、緊張したらいいんだよ。大いに」って言ってもらえて。それで僕は結構肩の荷が降りて、大いに緊張しました。堂々と。--なんでスネにハンドクリームだったんでしょう?
山田義孝:『ミュージックステーション』って本番の前に本番と全く同じことをリハーサルとしてやるんですよ。そのときにもう高まっちゃって! 心臓ドキドキするし、テンションが上がっちゃって、「俺、このままテレビ出ちゃダメだ!」と思ったから、一旦落ち着こうと思って、一回寝て無になりたかったんです。 吉田結威:できればお風呂に入りたかったんだよね? 山田義孝:そうなんです。お風呂に入ると、1回全部が洗い流されるので。でも時間的に全然無理だったので、寝て。そしたら普段気にならないことが気になってきちゃって。「あ、俺、足の肌がカサカサじゃねーか」と思ったら、そればっかり気になっちゃって!--こんなカサカサでテレビ出ていいのかと?
吉田結威:アハハハハ! 山田義孝:もう急いで足にクリーム塗ってもらって、「あ、うん。これで多分大丈夫だな」と思って。一応自分の中で安心してから出たんですけど、あんだけ何十回何百回歌ってきた「日々」なのに歌詞忘れそうになるんですよ! 「“おじいさんは”だっけ? “おじいさんと”だっけ? どっちだっけ!?」って分かんなくなって。でも歌い出したら何とか出てきたんですけど、なんか、頭使ってるって感じでしたね。「どうやって歩いてるんだっけ?」って考え出したら歩けなくなるのと同じ感じ。それぐらい、今まで感じたことのない空気感でした。でもあれを乗り越えたら大丈夫だろうなって思います。いろんなことに対して。--あの日の『ミュージックステーション』はリアルタイムで観ていたんですけど、吉田山田が出てきて、その話題がツイッターとかで盛り上がってる感じは嬉しかったです。「おー、ここまで来たのか」って。
吉田結威:吉田山田に「ギター持ってフルマラソン走れ」って言うぐらいの人ですからね。嬉しいでしょうね。(※詳細は過去のインタビューにて) 一同:(笑)--吉田山田はそんなことしなくても『ミュージックステーション』に出れることを証明してくれました(笑)。それにしても『オールナイトニッポン』にも出れましたし、ここ1,2年で吉田山田を取り巻く状況って大きく変わりましたよね。そこってどう消化しているの?
吉田結威:まだ消化してないんです。それが僕なりの、この日常を過ごす上でのやり方。あの『ミュージックステーション』に出ているとか、僕らが『オールナイトニッポン』に出ているとか、それについて考えちゃうと上手くいかないんですよ。そこにある空気。僕らが「こんな感じなんじゃないか?」と考えていた現場の空気と、実際に感じる現場の空気って違うんです。そこには人の温かさがあるし、やっぱり人間が作ってるんですよ、全部。でも自分が好きだったその番組たちを憧れ視しすぎると、それに飲み込まれちゃうんですよね。だから「今、自分は『オールナイトニッポン』で喋っている」とか「テレビに映っている」っていうことを忘れるようにしていて。--ひとつの処世術ですね。
吉田結威:『ミュージックステーション』のリハで歌ったとき、共演者のE-Girlsさんとか何人かの女性が泣いていて、「すごく素敵な曲ですね」って言ってもらって。そのときにまたひとつ気がついて。俺らはテレビのプロじゃないから、例えば「この角度でこの表情したら格好良い」とかも分かんないから、そうじゃなくて目の前にいる人たちが涙を流すぐらいの歌をうたおうって。あんまり意識を広げないようにしたんですよね。「カメラの向こう側で何万人の人が観てる」とか考えないようにするのと一緒。今正にそういう状態だから売れてる実感がないんですよね。--じゃあ、天狗になってる感もなく?
吉田結威:いや、それももちろん自覚はなく……天狗って自覚なくなっちゃうもんだから分かんないですけど(笑)、「これでいいのかな?」って思うぐらい、僕ら2人はすごくフラットですね。やんなきゃいけないこととか、やっていることは別に変わっていない。--変にバランス崩したりはしてないと。
山田義孝:それは周りのスタッフの存在も大きいと思います。もう友達みたいな感じなんですよ、マネージャーもディレクターも。 吉田結威:とある人から「これだけ売れたら天狗になっちゃうんじゃないの?」って言われたときに、ウチのスタッフが「いや、こいつらが天狗になったら僕がしばき倒すから大丈夫です」「こいつらには“天狗になったらしばく”って言う人がたくさんいるんです。だから大丈夫だと思います」って言ってて、なるほどなぁって。だから僕はなんとなく大丈夫かなって思ってます。--山田さんはどうですか?
山田義孝:そうですねぇ~……--山田さんが天狗になるってどういう状態かよく分からないですよね(笑)。
吉田結威:生まれたときから天狗っちゃ天狗ですからね。 一同:(笑) 山田義孝:自分のことしかあんまり考えずに生きてますからね。でも……毎日楽しいですね。今まで「良い作品できた!」と思ってもそれがあんまり広まんなかったりするとストレスというか、それが次の作品を生み出す良いフラストレーションでもあったんですけど、それがようやくちょっとずつ実を結んで、いろんな人と共に喜び合えるようになってきたんで、それは幸せ。あと、一流の人たちと出逢ったりすると、みんな面白かったりして、仕事終わった後にすごく良い気分になるんですよね。「素敵な人だったなぁ。ああいう風になりたいな」って。そういう良いお手本がたくさんいるし、研ぎ澄まされた世界にいるなって感じる。だから毎日刺激的で楽しいです。--あと、売れてくるとよく出てくる問題シリーズで、そろそろギャラの配分でギスギスし始める頃なのかなと。
吉田結威:まぁ基本的には8:2なんで。山田が8。 山田義孝:ほらほらそういうこと言うと…… 吉田結威:僕はまぁ2で満足してるんで。 山田義孝:すぐそういうこと言うよね。最近、これ、多いんですよ。--そんな吉田山田が『吉田山田シングルズ』なる……
吉田結威:ハハハハハ! 山田義孝:いやいやいや、まずいまずい!--シングルコレクションをリリースできるぐらいの日々を刻んできた訳ですけど、今は8:2とは言え、元々は学校で知り合った2人が……
山田義孝:8:2じゃないです!--8:2じゃない?
山田義孝:5:5です!- < Prev
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リリース情報
関連リンク
Interviewer:平賀哲雄|Photo:外林健太
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