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【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/渡辺祐
ラジオのオンエアで再確認するヒット曲の「多様性」
ビルボードが世界に広めた「ヒット・チャート」という考え方は、ラジオと相性がいい。日本でも「アメリカンTOP40」をはじめとする多くの番組が誕生。J-WAVEの「TOKIO HOT 100」やFM802の「OSAKAN HOT 100」のように開局から四半世紀を越えてなお愛され続けるプログラムも多数。それは音楽をジャンルで区切ることなく「チャート」として発信することで、「最新かつ多様なスタイルの音楽、新旧を問わない多彩なサウンドに、いま=リアルタイムで出会える」というラジオならではの悦びと直結しているからでありましょう。
ところが、オンエアを重視するラジオステーションと違って、セールスを軸としたチャートで「現状」を見てみれば、そこにはアイドル・グループの名前がずらり。うーむ、どこが「多様」なんじゃい、とツッコミを入れたくなる大人が多いのも現実。特に洋楽はどこ行った? あ、6位にファレルがいたか……。
そこで、今回のビルボードHOT100の年間チャートです。「ラジオオンエア回数のエアプレイ順」(ちょっと日本語がややこしいですね)というボタンでソートをかけてみれば、1位はファレル・ウィリアムスの「ハッピー」。以下、ワン・ダイレクション、アリアナ・グランデと当代の人気「洋楽」アーティストが並んでいる。7位のサザンオールスターズの健闘も光る。
ラジオを聴くことが習慣化している年代が上がり気味ということと無縁ではないにしろ、「いま聴きたい曲」は「セールス軸だけでは語れない」ことに気づかされる。つまりラジオは、まだまだ「多様性」を示すことができる「グローバルでローカル」なメディアなのだということを再確認。
渡辺祐 エディター/ライター。1959年神奈川県出身。編集プロダクション、ドゥ・ザ・モンキー代表。80年代に雑誌「宝島」編集部を経て独立。以後、フリーランスの編集者/ライターとして活動。またテレビ「タモリ倶楽部」などにも出演、FM局J-WAVEの土曜午前の番組『Radio DONUTS』ではナヴィゲーターも務めている。音楽、カルチャー全般を中心に、落語、食、酒など守備範囲は幅広い。自称「街の陽気な編集者」。